「Perhaps Love」は、ジョン・デンバーと世界的オペラ歌手プラシド・ドミンゴが歌った、美しいデュエット曲です。フォークの素朴な声と、クラシックの豊かな声。一見まったく違う二人が「愛とは何か」を静かに問いかけます。
タイトルのperhapsは「たぶん」「もしかすると」。つまり、この曲は愛を断言しません。愛は安らげる場所かもしれない。扉かもしれない。雲のように柔らかいことも、鋼のように強いこともある。人によっても、同じ人の人生の時期によっても、愛の姿は変わります。
この記事では歌詞全文を転載せず、曲全体の意味を自然な日本語でたどりながら、perhapsとmaybeの違い、Love is like…の比喩、some say/for some、holding onとletting goなど、大人の英語学習に役立つ表現を解説します。
この記事のポイント
・Perhaps Loveというタイトルの意味
・歌詞が愛を一つに定義しない理由
・perhapsとmaybeの違い
・Love is like…で比喩を作る方法
・some say/for someで複数の見方を並べる表現
・ジョン・デンバーとプラシド・ドミンゴの声が生む意味
「Perhaps Love」はどんな曲?
「Perhaps Love」はジョン・デンバーが作詞・作曲し、1981年にプラシド・ドミンゴとのデュエットとして発表された曲です。ドミンゴのポップ/クラシカル・クロスオーバー作品『Perhaps Love』の表題曲に収録されました。
ジョン・デンバーは、ギターを中心に自然や故郷、人間の感情を歌うフォーク系のシンガーソングライター。一方のプラシド・ドミンゴは、世界の主要歌劇場で活躍してきたオペラ歌手です。
歌い方も声の作り方も異なる二人ですが、この違いが曲のテーマと重なります。愛に唯一の形がないように、愛を歌う声にも一つの正解はありません。やわらかく語りかける声と、大きく包み込む声が交互に現れ、最後には同じ問いを共有します。
しゅみすけ
歌詞の意味:愛は、一つの答えに閉じ込められない
この曲には、一般的なラブソングのような細かな物語がほとんどありません。誰がどこで出会い、何が起きたかを語る代わりに、愛をさまざまなものへたとえていきます。
- 嵐のときに身を守れる場所
- 外の世界を見せてくれる窓や扉
- 形を変える雲と、揺るがない鋼
- 静けさと激しさの両方を持つ海
- 寒いときに温める火
- 手放さずにいることと、自由にすること
一見すると矛盾するものが並びます。しかし、それがこの曲の核心です。
愛はいつも優しいだけではありません。守ってくれることもあれば、知らなかった世界へ踏み出させることもあります。つながり続けることが愛になる場面もあれば、相手のために手放すことが愛になる場面もあります。
タイトルにPerhapsが置かれているのは、歌い手が愛を知らないからではありません。むしろ、愛を一つの説明で言い切るには、あまりにも多くの姿を知っているからです。

Perhaps Loveの意味:なぜ「たぶん愛」なの?
perhapsは「たぶん」「もしかすると」を表す副詞です。確実ではない可能性を示す点ではmaybeとよく似ています。
しかし、Perhaps Loveを単純に「たぶん、愛」と訳すと、愛に自信がないようにも聞こえます。この曲でのperhapsは少し違います。
自然な日本語にすれば、次のような感覚です。
- 愛とは、もしかするとこういうものなのかもしれない
- 愛には、こんな姿もあるのかもしれない
- 一つに決められないけれど、私が知る愛はこう見える
疑って距離を置く言葉ではなく、答えを一つに固定せず、可能性を開いておく言葉です。Perhapsという一語があることで、その後ろに続く数々の比喩を「どれが正しいか」ではなく、「どれも愛の一面かもしれない」と受け止められます。
perhapsとmaybeの違い
perhapsとmaybeは、多くの場面で置き換えられます。どちらも可能性や不確かさを表します。
| 表現 | 基本の意味 | よくある印象 |
|---|---|---|
| maybe | たぶん・もしかすると | 会話的で直接的 |
| perhaps | たぶん・もしかすると | やや丁寧、思索的、文章にも合う |
- Maybe she’s busy.
彼女は忙しいのかもしれません。 - Perhaps she’s busy.
ひょっとすると彼女は忙しいのかもしれません。 - Maybe we should wait.
少し待った方がいいかも。 - Perhaps we should wait.
少し待った方がよいかもしれません。
日常会話ではmaybeの方がよく口にしやすく、perhapsには少し落ち着いて考えを差し出す響きがあります。ただし、これは絶対的な規則ではありません。
曲名がMaybe Loveだったなら、もっと会話的で軽い問いかけに聞こえたかもしれません。Perhaps Loveには、愛について静かに考えを巡らせる曲の雰囲気がよく合っています。
Love is like…:愛を比喩で説明する英語
A is like Bは「AはBのようだ」。何かを直接定義せず、似ているものを通して感覚を伝える形です。
- Life is like a journey.
人生は旅のようです。 - Her voice is like warm sunlight.
彼女の声は温かな日差しのようです。 - Learning a language is like building a bridge.
言語を学ぶことは橋を架けるようなものです。
ここでのlikeは動詞の「好き」ではなく、前置詞の「〜のような」です。
| 形 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| I like music. | 私は音楽が好き | like=動詞 |
| It sounds like music. | それは音楽のように聞こえる | like=前置詞 |
| Love is like the ocean. | 愛は海のようだ | 似た性質を重ねる |
辞書の定義は境界をはっきりさせます。一方、比喩は映像や感情を開きます。Perhaps Loveでは、愛を一つの名詞へ閉じ込めず、多くの映像を順番に重ねています。
some sayとfor some:「人によって違う」を英語で並べる
some say…は「〜と言う人もいる」、for some…は「ある人たちにとっては〜」です。
- Some say success is luck.
成功は運だと言う人もいます。 - Some say it takes hard work.
努力が必要だと言う人もいます。 - For some, work is a passion.
仕事が情熱である人もいます。 - For others, it is simply a job.
一方、単なる仕事である人もいます。
主語をIにして自分の答えだけを述べるのではなく、someを使うことで複数の立場を同じ場所に置けます。
英語の構造
Some say A. For some, B. For others, C.
「Aと言う人もいる。Bである人もいる。別の人にはCである」
結論を急がず、異なる見方を横に並べるときに使いやすい骨格です。
この構造によって、歌い手は愛について議論に勝とうとしません。異なる答えを持つ人を否定せず、それぞれの経験を受け入れています。
holding onとletting go:どちらも愛になりうる
hold onには「つかんで離さない」「持ちこたえる」、let goには「手を放す」「執着を手放す」という感覚があります。
| 表現 | 中心イメージ | 人間関係での感覚 |
|---|---|---|
| hold on | つかんだ状態を保つ | 関係を守る、諦めない |
| let go | つかんでいたものを放す | 相手を自由にする、執着を手放す |
- Hold on to what matters.
大切なものを手放さないでください。 - It’s time to let go of the past.
過去を手放すときです。 - She held on through difficult times.
彼女は困難な時期を持ちこたえました。
どちらが正しいかは状況によります。困難なときに関係を守り続けることが愛になる場合もあれば、自分の望みを押しつけず相手を自由にすることが愛になる場合もあります。
正反対の動きを同じ歌の中へ置くことで、愛は行為の形だけでは判断できないと伝わってきます。
resting placeとshelter:愛は「帰れる場所」
曲の前半では、愛が安心して休める場所や、嵐から守ってくれるものにたとえられます。
restは休むこと、shelterは雨風や危険から守る場所です。どちらも、愛を強い興奮ではなく「安心して弱さを見せられる場所」として描きます。
- We took shelter from the rain.
私たちは雨宿りしました。 - This café is my favorite resting place.
このカフェは私のお気に入りの休憩場所です。 - Her words gave me comfort.
彼女の言葉は私を安心させてくれました。
ジョン・デンバーの歌には、homeが建物を超えて「自分が属する場所」を表すことがあります。「カントリーロード」のhomeと、Perhaps Loveの守られる場所は、違う曲でありながら意味の深いところでつながっています。
open door:愛は外の世界へ導く入口
愛は中に閉じこもる避難所であるだけでなく、外へ開く扉にもたとえられます。
an open doorは文字どおり「開いた扉」ですが、英語では新しい可能性や機会を表すことがあります。
- This job opened the door to a new career.
この仕事が新しいキャリアへの扉を開きました。 - Learning English can open new doors.
英語を学ぶと新しい可能性が開けます。 - Keep the door open for future discussions.
将来の話し合いの可能性を残しておきましょう。
守る愛と、世界を広げる愛。一見反対に見えますが、人を安心させるからこそ、その人が新しい一歩を踏み出せることもあります。
if I should…:可能性を静かに想像するshould
歌の終盤には、未来の長い時間を仮定する表現があります。if+主語+should+動詞は、「万一〜するなら」「もし〜ということがあれば」と、可能性を少し遠くに置いて想像する形です。
- If you should need help, call me.
もし助けが必要になることがあれば、電話してください。 - If she should arrive early, ask her to wait.
万一彼女が早く着いたら、待つように伝えてください。 - If anything should change, I’ll let you know.
もし何か変われば、お知らせします。
普通のif節より少し控えめで、文章的な響きがあります。この曲では、非常に長い未来を静かに思い描く歌の調子とよく合います。
二人の声が、愛の二つの姿を見せる
ジョン・デンバーの声は、近くで一人に語りかけるようです。プラシド・ドミンゴの声は、感情を大きな空間へ広げるように響きます。
| ジョン・デンバー | プラシド・ドミンゴ | |
|---|---|---|
| 音楽的背景 | フォーク/ポップ | オペラ/クラシック |
| 声の印象 | 素朴で親密 | 豊かで包容力がある |
| 愛の見え方 | 個人の記憶や語り | 普遍的で大きな感情 |
どちらか一方が正解なのではありません。二つの声が並ぶことで、同じ言葉が異なる輪郭を持ちます。このデュエットそのものが、愛は人によって違うという曲の構造になっています。
英語初心者におすすめの聴き方
- 最初に、歌詞に登場する比喩を景色として思い浮かべる
- perhapsが出るたびに「断定せず可能性を開く」と捉える
- some/for someを探し、誰の見方なのかを区別する
- is likeの後ろにどんな映像が置かれるかを見る
- 二人の声で同じ言葉の印象がどう変わるか聴き比べる
一語ずつ日本語へ変換するよりも、比喩が作る景色を順番に受け取る方が、この曲の英語をそのまま味わえます。
まとめ:Perhaps Loveは、愛を決めつけないから美しい
Perhaps Loveは、愛とは何かについて一つの答えを出す歌ではありません。
愛は守られる場所かもしれない。世界へ開く扉かもしれない。つかみ続けることかもしれないし、手放すことかもしれない。どれか一つだけを正解にせず、異なる姿を並べていきます。
Perhaps=もしかすると
Love is like…=愛は〜のようなもの
そして最後に残るのは、愛の一般的な定義ではなく、一人の人との記憶です。抽象的な問いから始まり、個人的な思いへ静かに戻ってくる。その流れが、この曲を単なる美しいデュエット以上のものにしています。
ジョン・デンバーの名曲で英語を読む
故郷と居場所を描く「Take Me Home, Country Roads」
旅立つ朝の現在進行形を学ぶ「Leaving on a Jet Plane」もあわせてどうぞ。
「Annie’s Song」では、fill up my sensesと自然を使った愛の比喩を英語で解説しています。
「Sunshine on My Shoulders」では、onとin、make+人+形容詞、If I had…の英語を解説しています。
ジョン・デンバーの代表曲をまとめて読む
「ジョン・デンバーとは?代表曲・名曲6選」で、経歴・音楽の特徴と各曲の英語学習ポイントを一覧で紹介しています。



