静かなオルガンとホーンで始まり、曲が進むほどリズムも歌声も熱を増していく。オーティス・レディングの「Try a Little Tenderness」は、たった3分あまりの中で、優しい助言が魂の叫びへ変わっていく名演です。
タイトルを直訳すると「少し優しさを試してみて」。けれど、自然な意味は、「ほんの少し、相手をいたわってみて」「優しく接してあげて」です。愛情を大げさな言葉で語るより、疲れている相手の気持ちに気づき、小さな思いやりを行動で示そうと呼びかけています。
この記事のポイント
- tenderness が表す「いたわり」のニュアンス
- try + 名詞、try to do、try doing の違い
- a little と little の印象の違い
- 抽象的な英語を基本語で言い換える方法
「Try a Little Tenderness」はどんな曲?
「Try a Little Tenderness」は、ジミー・キャンベル、レグ・コネリー、ハリー・M・ウッズが書いた1932年のスタンダード曲です。ビング・クロスビーやフランク・シナトラなど、多くの歌手がオーティス以前にも歌っていました。
オーティス版は1966年のアルバム『Complete & Unbelievable: The Otis Redding Dictionary of Soul』に収録されました。アイザック・ヘイズがアレンジに関わり、Booker T. & the M.G.’sらスタックスの演奏陣が支えています。
それまで穏やかなバラードとして知られていた曲を、オーティスは大胆に作り替えました。前半は語りかけるように静かですが、ドラムが入り、テンポと反復が加わるにつれて、最後は全身で訴えるソウルへ変わります。この「静から動」への展開そのものが、思いやりは心の中だけでなく、行動にして伝えるものだというメッセージを強めています。
しゅみすけ(大山俊輔)
タイトル「Try a Little Tenderness」の意味・和訳
Try a little tenderness. は、文法的には try + 名詞 の形です。
- try:試してみる、やってみる
- a little:少しの、ちょっとした
- tenderness:優しさ、いたわり、愛情のこもった扱い
ただし、「優しさという物を試食してみる」ような機械的な意味ではありません。相手との関係をよくする方法として、怒ったり説教したりする前に、少し優しく接してみようという提案です。
文脈に合う日本語なら、次のように言い換えられます。
- 少し優しくしてあげて
- 相手の気持ちをいたわってみて
- 大切に思っていることを行動で示して
tendernessは「優しさ」よりも温度がある
tenderness は、形容詞 tender に、状態や性質を表す -ness がついた名詞です。
- tender:優しい、いたわるような、そっと扱う
- tenderness:優しさ、愛情、いたわり
kindness も「優しさ」ですが、両者には少し違いがあります。
| 語 | 中心イメージ | 例 |
|---|---|---|
| kindness | 親切で思いやりのある行動 | 困っている人を助ける |
| tenderness | 弱さや疲れを包む、愛情のこもった優しさ | 疲れた人へそっと声をかける |
この曲で必要とされているのは、正論や大きな贈り物ではありません。相手の疲れを見て、声のかけ方や触れ方を柔らかくするような tenderness です。
英語学習ポイント1:try + 名詞
try + 名詞 は、物や方法を「試してみる」という形です。
- Try this tea.
このお茶を試してみて。 - Let’s try a different way.
別の方法を試してみましょう。 - Try a little kindness.
少し親切にしてみて。
タイトルもこの形で、tenderness という接し方を試してみようと勧めています。

英語学習ポイント2:try to doとtry doingの違い
try to do|努力して〜しようとする
try to do は、簡単ではないことを実現しようと努力する形です。成功したかどうかは分かりません。
- I tried to open the door.
私はそのドアを開けようとしました。 - She tried to stay calm.
彼女は冷静でいようとしました。 - Try to understand how she feels.
彼女がどう感じているか理解しようとしてみて。
try doing|方法として〜してみる
try doing は、問題を解決する方法や選択肢として実際にやってみる形です。
- Try restarting your phone.
携帯を再起動してみて。 - Try talking to her gently.
彼女に優しく話しかけてみて。 - If you’re tired, try taking a short walk.
疲れているなら、少し歩いてみて。
try to open なら「開けようと努力する」、try opening なら「解決策として開けてみる」。この違いを景色で覚えると理解しやすくなります。
英語学習ポイント3:a littleとlittleの違い
どちらも数えられない名詞の前で使いますが、印象が異なります。
- a little tenderness:少しの優しさがある/少しでよい
- little tenderness:優しさがほとんどない
a があると「少しはある」という肯定的な見方、ないと「ほとんどない」という不足の見方になりやすいのがポイントです。
- I have a little time.
少し時間があります。 - I have little time.
時間がほとんどありません。 - She showed a little kindness.
彼女は少し優しさを示しました。
タイトルの a little には、「大きなことをしなくてもいい。ほんの少しでいい」という温かいニュアンスがあります。
英語学習ポイント4:抽象名詞をshow・giveで使う
英語では、優しさや敬意などの抽象名詞を show や give と組み合わせます。
- Show her some kindness.
彼女に少し優しくしてあげて。 - He showed great patience.
彼は大きな忍耐を示しました。 - Give him some time.
彼に少し時間をあげて。 - She gave me support.
彼女は私を支えてくれました。
日本語では「優しくする」と動詞的に言いますが、英語では show kindness のように「優しさを示す」と組み立てることがあります。
英語学習ポイント5:相手をいたわる自然な一言
tenderness を日常会話で直接使わなくても、いたわりは基本的な表現で伝えられます。
- Are you okay?
大丈夫? - You look tired.
疲れているように見えるよ。 - Take your time.
ゆっくりでいいよ。 - You don’t have to do everything today.
今日全部やらなくてもいいよ。 - How can I help?
何かできることはある?
思いやりは難しい単語よりも、相手の状態を見て短い一言をかけることで伝わります。
知っている英語で、曲の意味を伝えてみよう
tenderness が出てこなくても、次のように説明できます。
She is tired and needs love. Don’t be hard on her. Be kind and show her that you care.
彼女は疲れていて、愛情を必要としています。厳しくしないで。優しくして、大切に思っていることを示してください。
中心になるのは、tired、love、kind、care という基本語です。抽象名詞を一語で訳そうとせず、相手にどんな行動をすればよいかへ分解すると、歌の意味を自分の英語で伝えられます。
しゅみすけ(大山俊輔)
この曲で英語を学ぶ3ステップ
- 曲の速度と熱量を追う
静かな前半から激しい終盤へ、伝え方がどう変化するかを感じます。 - tryの後ろを確認する
名詞、to不定詞、動名詞のどれが続いているかを見ます。 - いたわりの一言を声に出す
Take your time. や How can I help? を自分の言葉として練習します。
まとめ
「Try a Little Tenderness」は、疲れている相手へ、ほんの少し愛情と思いやりを示そうと呼びかける歌です。tenderness は一般的な親切よりも、相手の弱さや疲れを包み込む「いたわり」に近い言葉です。
英語学習では、try + 名詞、try to do、try doing、そして a little と little の違いがポイントです。
まずは難しく考えず、身近な人へ Take your time. と言ってみてください。それも立派な tenderness です。
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