鋭いリズムに乗って、アレサ・フランクリンが相手へ真っすぐ言葉を投げかける「Think」。曲名だけなら「考えて」という簡単な英語ですが、歌の中での意味はもう少し強烈です。
ここでアレサが伝えているのは、単なる「少し考えてみて」ではありません。自分が私に何をしようとしているのか、その行動と結果を一度立ち止まって本気で考えなさいという警告です。そして曲は、恋人への問いかけから、自由と自立を求める大きな宣言へと広がっていきます。
この記事でわかること
- アレサ・フランクリン「Think」の歌詞全体の意味・和訳
- 曲名の think が持つ強いニュアンス
- think about と think of の違い
- what you’re trying to do の文法構造
- freedom がサビで持つ意味
- 「よく考えて」と日常会話で自然に伝える方法
アレサ・フランクリンの「Think」はどんな曲?
「Think」は、アレサ・フランクリンと当時の夫テッド・ホワイトが書いた曲で、1968年にシングルとして発表され、アルバム『Aretha Now』にも収録されました。米国Billboard Hot 100で7位、R&Bチャートで1位を記録した代表曲の一つです。
曲の語り手は、相手との関係の中で傷つけられ、自由を奪われそうになっています。しかし、ただ悲しんだり、相手にすがったりはしません。「あなたは自分が何をしているのか分かっていますか」と問い返し、立ち止まって考えるよう迫ります。
1980年の映画『ブルース・ブラザース』では、アレサ自身が食堂の店主役としてこの曲を披露しました。夫が店を離れようとする場面で歌われるため、「自由がほしいのはどちらなのか」「相手の自由を奪っているのは誰なのか」という曲の緊張感が、物語の中でも鮮やかに表現されています。
しゅみすけ(大山俊輔)
「Think」の意味・和訳
Think の直訳は「考えて」です。しかし、この曲の文脈に合う自然な日本語は次のようになります。
- 自分が何をしているのか、よく考えて
- 私に対するその態度を見直して
- このままでいいのか、頭を冷やして考えて
- 私の自由を奪う前に、結果を考えて
中心となる短い呼びかけは、Think about what you’re trying to do to me. です。直訳すると「あなたが私に何をしようとしているのかについて考えて」となります。
ただし実際の意味は、情報を整理するための穏やかな「検討」ではありません。相手の言動によって自分が傷ついていることを示し、その行動が二人の関係にどんな結果をもたらすのか自覚してほしいと迫っています。
歌詞全体の意味を物語の流れで読む
1.二人の関係には、もともと信頼があった
語り手は、二人が最初から敵同士だったとは考えていません。互いを理解し、支え合える関係だったはずだという感覚を持っています。だからこそ、現在の相手の態度が理解できず、「なぜこんなことをするのか」と問いかけます。
ここでの think は、過去を懐かしむだけではありません。以前の関係と現在の行動を比べ、相手に矛盾を自覚させるための言葉です。
2.相手の行動が、語り手の自由を奪っている
曲が進むと、問題は単なるすれ違いではなくなります。相手が語り手を思いどおりに動かそうとし、関係の中で自由を制限していることが見えてきます。
語り手は「あなたの望む自分になるために、自分自身を失うつもりはない」と立場を示します。愛情があっても、自分の意思や尊厳まで相手へ渡す必要はないという考えです。
3.「考えて」は自由を取り戻す宣言へ変わる
後半では freedom という言葉が繰り返されます。これは単に外出する自由や一人になる自由だけではありません。自分で考え、自分で選び、自分らしく生きる自由です。
最初は相手へ向けられていた「考えて」という言葉が、やがてすべての人へ向けた自由の宣言に聞こえてきます。個人的な恋愛の問題と、女性や黒人の尊厳が強く問われた1968年の社会的な空気が重なり、多くの人が自分自身の歌として受け取りました。
英語学習ポイント1|think aboutは「ある問題について考える」
think about+名詞/疑問詞節 は、あるテーマや問題を頭の中に置き、しばらく考えることを表します。
- Think about your future.
自分の将来について考えてください。 - I need time to think about it.
それについて考える時間が必要です。 - Think about how she feels.
彼女がどう感じるか考えてください。 - Have you thought about changing jobs?
転職することを考えたことはありますか。
曲中では、about の後ろに「何をしようとしているのか」という内容が続きます。相手の行動を具体的な検討対象として差し出しているわけです。

英語学習ポイント2|think aboutとthink ofの違い
think about と think of は重なる場面もありますが、中心となるイメージが異なります。
| 表現 | 中心イメージ | 例 |
|---|---|---|
| think about | ある問題について時間をかけて考える | Let me think about it. |
| think of | 人や物を思い浮かべる/アイデアを思いつく | I thought of a good idea. |
- I’m thinking about my next trip.
次の旅行についていろいろ考えています。 - I was thinking of you.
あなたのことを思い浮かべていました。 - Can you think of another way?
別の方法を思いつけますか。
「提案について検討します」なら I’ll think about it. が自然です。「良い案を思いついた」なら I thought of a good idea. を使います。
英語学習ポイント3|what you’re trying to doの構造
what+主語+動詞 は「主語が~すること/もの」という一つの名詞のかたまりを作ります。
- what you want:あなたが望むもの
- what she said:彼女が言ったこと
- what we need to do:私たちがする必要のあること
- what you’re trying to do:あなたがしようとしていること
疑問文の What are you trying to do? では語順が入れ替わりますが、文の一部に入ると what you’re trying to do の語順になります。
- I don’t understand what you’re trying to do.
あなたが何をしようとしているのか分かりません。 - Think about what you’re trying to achieve.
自分が何を達成しようとしているのか考えてください。
英語学習ポイント4|try to doは「~しようとする」
try to do は、何かを実現しようと努力する、または何らかの行動を試みることです。
- I’m trying to understand.
理解しようとしています。 - Are you trying to hurt me?
私を傷つけようとしているのですか。 - Don’t try to control everything.
すべてを支配しようとしないでください。
try -ing は「試しに~してみる」という別の形です。
- Try talking to her.
試しに彼女と話してみてください。 - Try restarting the computer.
試しにコンピューターを再起動してみてください。
曲の try to do は、相手が意図的に何かをしようとしていることへ目を向けさせる形です。
英語学習ポイント5|freedomとfreeの違い
freedom は名詞の「自由」、free は形容詞の「自由な」です。
- Everyone deserves freedom.
誰もが自由に値します。 - I need the freedom to make my own choices.
自分で選択する自由が必要です。 - I want to be free.
自由になりたいです。 - You are free to leave.
自由に帰って構いません。
the freedom to do は「~する自由」という便利な形です。
- the freedom to speak:発言する自由
- the freedom to choose:選ぶ自由
- the freedom to be yourself:自分らしくいる自由
しゅみすけ(大山俊輔)
「よく考えて」を英語でどう言う?
Think about it.
「それについて考えて」。提案や判断を急がせず、検討してほしいときの基本表現です。
Think carefully.
「慎重に考えて」。間違った判断をしないよう注意を促します。
Think it through.
「最後までよく考えて」。途中だけでなく、結果や影響まで順序立てて考えるニュアンスです。
Think twice.
「よく考え直して」。実行する前に、もう一度考えたほうがよいという警告になります。
- Think twice before you send that message.
そのメッセージを送る前によく考えてください。 - We need to think this through.
私たちはこれを最後までよく考える必要があります。 - Think carefully about the consequences.
結果について慎重に考えてください。
この曲で英語を学ぶ3ステップ
ステップ1|thinkだけを聞き取る
最初から全文を追わず、繰り返される think を合図として聞きます。どの場面で声が強くなり、どこでコーラスが応答するかに注目してください。
ステップ2|about以下を意味のかたまりで捉える
think about の後ろには、考える対象が続きます。「自分がしようとしていること」という一つのまとまりとして捉えると、速いテンポでも構造を見失いにくくなります。
ステップ3|自分への問いかけを作る
- Think about what you really want.
自分が本当に望んでいることを考えて。 - Think about how your words affect others.
自分の言葉が人へどう影響するか考えて。 - Think about the life you want to build.
自分が築きたい人生について考えて。
相手を責める言葉としてだけでなく、自分の選択を見直す言葉としても使えます。
まとめ
アレサ・フランクリンの「Think」は、相手へ「自分が何をしているのか、本気で考えて」と迫り、自分の自由と尊厳を守ろうとする曲です。短い Think. という命令が、恋人への警告から自由を求める大きな宣言へ変わっていきます。
- think about:ある問題についてじっくり考える
- think of:人や物を思い浮かべる/アイデアを思いつく
- what you’re trying to do:あなたがしようとしていること
- try to do:~しようとする
- freedom:自由
- think it through:結果までよく考える
曲を聴くときは、think を単なる「考える」という単語ではなく、「立ち止まり、自分の行動とその結果を見直す」という場面で受け取ってみてください。アレサの声がなぜこれほど強く、解放感をもって響くのかが見えてきます。
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