スティーヴィー・ワンダーの名曲をまとめて学ぶ: 名曲6選の歌詞・和訳と英語学習ポイント一覧
黒猫が前を横切る。鏡が割れる。13という数字を避ける。根拠があるとは言い切れないのに、「何か悪いことが起こるかもしれない」と気になってしまう。英語では、こうした迷信を superstition と言います。
スティーヴィー・ワンダーの「Superstition」は、印象的なクラヴィネットのリフで知られる名曲です。しかし、歌詞の中心にあるのは怪談や占いではありません。理解できないものを根拠なく信じ、その信念に人生を支配されることへの警告です。
曲中には難しい長文より、believe in、understand、good / bad などの基本語が多く登場します。メロディーやリフは知っていても歌詞を意識したことがない人にとって、まさに「実は簡単な英語で深いことを言っていた」と気づける一曲です。
この記事では歌詞を長く転載せず、学習に必要な短い一節だけを引用します。曲の背景、題名の意味、believe と believe in の違い、迷信にまつわる英語、発音、日常会話への応用まで初心者向けに解説します。
スティーヴィー・ワンダー「Superstition」はどんな曲?
「Superstition」は1972年に発表され、アルバム『Talking Book』の先行シングルとなったスティーヴィー・ワンダーの代表曲です。全米チャート1位を獲得し、彼にとって約10年ぶりの全米1位となりました。
1974年の第16回グラミー賞では、最優秀R&B楽曲と最優秀男性R&Bヴォーカル・パフォーマンスを受賞しました。スティーヴィーのグラミー受賞歴の重要な出発点になった曲でもあります。
曲を一度聴けば記憶に残る「ワウワウ」とした鍵盤の音は、クラヴィネットによるものです。ギターのように鋭く、打楽器のように跳ねるリフが、迷信に縛られて落ち着かない心理を体で感じさせます。
同じ『Talking Book』には、穏やかなラブソング「You Are the Sunshine of My Life」も収録されています。温かな光を描く曲と、不安や思い込みの影を描く曲が並んでいることからも、スティーヴィーの表現の幅が分かります。
しゅみすけ(大山俊輔)
Superstitionの意味|「迷信・根拠のない信仰」
superstition は名詞で、「迷信」「俗信」「根拠のない信仰」を意味します。
- an old superstition
昔からの迷信 - a common superstition
よく知られた迷信 - believe in superstitions
迷信を信じる - I’m not superstitious.
私は迷信を信じるほうではありません。
最後の superstitious は形容詞で、「迷信深い」という意味です。
- superstition:迷信という考え・言い伝え
- superstitious:迷信を信じやすい、迷信深い
He is a superstition. とは言いません。「彼は迷信深い」なら He is superstitious. です。名詞と形容詞をセットで覚えておくと会話で使いやすくなります。
歌詞の核心を短い一節で読む
“When you believe in things that you don’t understand”
自然な日本語にすると、「自分でも理解できないものを信じ込んでしまうとき」です。
この後、歌はそのような信じ方が苦しみにつながると警告します。重要なのは、「信じることはすべて悪い」と言っているのではない点です。問題にしているのは、何を信じているのか自分でも理解せず、恐怖や言い伝えだけに行動を決めさせることです。
文の構造を分けると、初心者にも読みやすくなります。
- When:~するとき
- you believe in …:あなたが~の存在・価値を信じる
- things:ものごと
- that you don’t understand:あなたが理解していない
that you don’t understand は、前の things を後ろから説明しています。「ものごと、どんなものごとかというと、あなたが理解していないもの」という流れです。
believeとbelieve inの違い
believe の中心は、何かを「本当だと心の中で受け入れる」ことです。ただし、後ろに in が付くかどうかで焦点が変わります。
believe+内容|話・情報を本当だと思う
- I believe you.
あなたの話を信じます。 - I believe his story.
彼の話を信じます。 - I believe that she is honest.
彼女は正直だと思います。
I believe you. は「あなたという人間が存在すると信じる」ではなく、「あなたの言うことを本当だと受け入れる」です。
believe in+存在・価値・可能性
- I believe in you.
私はあなたの力・可能性を信じています。 - Do you believe in ghosts?
幽霊の存在を信じますか。 - She believes in hard work.
彼女は努力することの価値を信じています。 - They believe in good luck charms.
彼らは幸運のお守りの力を信じています。
in には「内側」という感覚があります。人や考えの内側にある力・価値・存在を本物だと受け入れるのが believe in です。詳しくはbe:RIZEの「believeの意味とコアイメージ|believe in・think・trustとの違い」でも確認できます。

understandは「情報を知る」より深い
understand は「理解する」です。単に情報を見たり聞いたりしただけでなく、意味、仕組み、理由が頭の中でつながっている状態を表します。
- I know the rule.
そのルールを知っています。 - I understand why the rule exists.
なぜそのルールがあるのか理解しています。
迷信では、「Aの後にBが起きた」という経験から、「AがBを引き起こした」と結びつけてしまうことがあります。しかし、同時に起きたことと、原因になったことは同じではありません。
曲が批判しているのは、知らないことそのものではありません。分からない状態のまま恐怖に任せて答えを決め、その答えに自分が支配されることです。
しゅみすけ(大山俊輔)
英語圏で知られる迷信
英語圏には、会話や映画に登場するさまざまな迷信があります。ただし、国や地域によって受け止め方は異なり、全員が本気で信じているわけではありません。
Friday the 13th|13日の金曜日
13という数字や13日の金曜日を不吉と考える文化的イメージがあります。
- Some people think Friday the 13th is unlucky.
13日の金曜日を不吉だと思う人もいます。
break a mirror|鏡を割る
鏡を割ると不運が続くという有名な迷信があります。
- Breaking a mirror is said to bring bad luck.
鏡を割ると不運を招くと言われています。
walk under a ladder|はしごの下を通る
- Walking under a ladder is considered bad luck.
はしごの下を通るのは縁起が悪いと考えられています。
a black cat|黒猫
黒猫の意味は文化によって異なり、不吉とされる場合も、幸運の象徴とされる場合もあります。「英語圏では必ず不吉」と単純化しないことが大切です。
迷信と幸運表現をまとめて学ぶなら、b-cafe.netの「superstitionの意味は?英語圏の迷信と幸運を祈る表現」へつながります。
knock on wood・fingers crossed・jinx
迷信を強く信じていない人でも、幸運を願う決まり文句は日常的に使います。
knock on wood|この幸運が続きますように
- I’ve never missed a flight, knock on wood.
飛行機に乗り遅れたことはないよ。このまま運が続けばね。
よいことを口にした直後、「言ったせいで悪い結果になりませんように」という感覚で使います。イギリス英語では touch wood も一般的です。
fingers crossed|うまくいくよう祈って
- Keep your fingers crossed for me.
うまくいくよう祈っていて。 - Fingers crossed!
うまくいきますように!
jinx|悪い結果を招く
- Don’t jinx it.
縁起でもないことを言わないで/悪い結果を招かないで。 - I don’t want to jinx anything.
変なことを言って運を逃したくありません。
これらは科学的な主張というより、会話の習慣や軽いユーモアとして使われることも多い表現です。
be about to|「まさに~するところ」
この曲で学びやすいもう一つの形が be about to です。意味は「まさに~するところ」「今にも~しそう」です。
- The show is about to start.
ショーがまもなく始まります。 - I’m about to leave.
今まさに出かけるところです。 - It’s about to rain.
今にも雨が降りそうです。 - She was about to say something.
彼女は何か言いかけていました。
be going to が予定や見込みを広く表せるのに対し、be about to は出来事の開始地点のすぐ手前にいる感覚です。詳しくはbe:RIZEの「be about toの意味・使い方」で整理できます。
good luck・bad luckのluckは数えない
luck は「運」を表す不可算名詞です。通常、a luck とは言いません。
- Good luck!
幸運を祈ります/頑張って。 - That was good luck.
それは幸運でした。 - He had some bad luck.
彼には少し不運がありました。 - It’s just a matter of luck.
それは運次第です。
人について「運がいい」と言うなら形容詞 lucky を使います。
- I’m lucky.
私は運がいいです。 - You’re lucky to be safe.
無事で本当によかったですね。
luck は名詞、lucky は形容詞。この違いも、歌を入口に覚えられます。
迷信について英語で話す例文
自分が迷信を信じるかどうか、文化としてどう捉えているかを伝える例文です。
- Do you believe in superstitions?
迷信を信じますか。 - I’m a little superstitious.
私は少し迷信深いです。 - I know it’s just a superstition.
単なる迷信だとは分かっています。 - There’s no evidence for that belief.
その考えを裏付ける根拠はありません。 - It may be a coincidence.
偶然かもしれません。 - People have believed it for generations.
人々は何世代にもわたってそれを信じてきました。 - It’s part of our culture, even if we don’t really believe it.
本気で信じていなくても、それは私たちの文化の一部です。
coincidence は「偶然の一致」、evidence は「証拠・根拠」です。迷信を否定するときも、相手の文化をばかにせず、I’m not sure there is evidence for it. のように穏やかに言えます。
発音のポイント|superstitionはどこを強く読む?
superstition は長く見えますが、音のまとまりで区切ると読みやすくなります。
su-per-STI-tion
強く読むのは STI の部分です。カタカナの「スーパー・スティション」のように全部を同じ強さで読むのではなく、前半を軽くし、中央を目立たせます。
語尾の -tion は「ション」に近い音になります。information、education、condition などと同じリズムの仲間です。
superstitious では語尾が変わります。
su-per-STI-tious
名詞と形容詞を声に出して交互に練習すると、形の違いが定着しやすくなります。
この曲が英語初心者におすすめの理由
第一に、曲のテーマが題名一語に凝縮されています。superstition を覚えるだけで、黒猫、13、鏡、幸運と不運など、多くの文化語彙へ広げられます。
第二に、基本動詞が深い意味で使われています。believe、understand、know のような中学英語が、「根拠なく信じるとはどういうことか」という思想的な内容を担っています。
第三に、文法が日常会話へ直結します。believe in は人を励ますときにも、宗教・価値観・超自然的存在について話すときにも使えます。be about to も、出発、開始、天気、感情など多くの場面で使えます。
そして何より、強烈なリズムと単語が結びつきます。単語帳で superstition=迷信 と覚えるより、あのクラヴィネットの音、黒猫や割れた鏡の映像、歌の警告を一つにすると記憶に残ります。
まとめ|理解できないものに支配されない
「Superstition」は、迷信を題材にしながら、人が不安から根拠のない説明へ飛びつく危うさを描いた曲です。
- superstition は「迷信・根拠のない信仰」
- superstitious は「迷信深い」
- believe は話や内容を本当だと受け入れる
- believe in は存在・価値・力を信じる
- understand は意味や理由までつながっている状態
- be about to は「まさに~するところ」
- knock on wood や fingers crossed は幸運を願う日常表現
- 曲の核心は、理解のない信念が自分を苦しめるという警告
この曲を聴くときは、題名を「迷信」と訳して終わらず、What do I believe in, and why?――「自分は何を、なぜ信じているのか」と考えてみてください。簡単な英語の奥にあるメッセージまで聞こえてくるはずです。


