キャロル・キングの「It’s Too Late」は、別れの歌なのに、泣き叫んだり相手を責めたりしません。二人とも努力した。それでも、以前と同じ関係には戻れない――その静かな事実を、やさしいメロディと簡単な英語で受け止める名曲です。
タイトルに使われているのは、中学英語で習う it、be動詞、too、late だけ。歌詞全体にも、try、change、stay、feel、know といった基本動詞が多く登場します。メロディは知っていても歌詞を読んだことがない方にこそ、「こんなに身近な英語で大人の別れを描けるのか」と感じてもらえる曲です。
この記事では、歌詞全体の意味をストーリーとして整理し、短い引用を一つだけ使って、too + 形容詞、too … to、used to、try to、stop -ing などを初心者向けに解説します。
この記事で分かること
- 「It’s Too Late」が描く別れの意味
- too late が単なる「遅い」と違う理由
- too + 形容詞と too … to の使い方
- used to + 動詞で過去と現在を比べる方法
- try to と stop -ing の文法
- 落ち着いた曲でリスニングを練習する手順
キャロル・キング「It’s Too Late」はどんな曲?
「It’s Too Late」は、1971年に発表されたアルバム『Tapestry(つづれおり)』の収録曲です。キャロル・キングと作詞家トニ・スターンの共作で、公式サイトにも両者がwritersとして記載されています。
「I Feel the Earth Move」と組み合わされたシングルは、Billboard Hot 100とEasy Listeningの両チャートで5週にわたり1位を記録しました。また「It’s Too Late」は1972年のグラミー賞でRecord of the Yearを受賞し、2003年にはGrammy Hall of Fameにも選ばれています。
実績だけを見ると大きく華やかな曲ですが、歌われる感情はとても私的です。別れの原因を一つの事件や裏切りに求めず、「どちらかが変わったのかもしれない」「二人とも努力をやめてしまったのかもしれない」と考えます。誰か一人を悪者にしないため、聴く人それぞれの経験と重なりやすいのでしょう。
歌詞の意味・和訳をストーリーでつかもう
物語は、主人公が朝の時間を持て余している場面から始まります。二人の間に何かがおかしい。しかし、それを否定して以前のように振る舞うことはもうできません。
関係を続けるために、二人は本当に努力しました。それでも、心の中にあった何かが失われ、気持ちを隠したり、うまくいっているふりをしたりすることもできなくなりました。
主人公は過去を振り返ります。以前は一緒に暮らすことがもっと自然で、相手も明るく軽やかに見え、自分もどうすればよいか分かっていました。ところが今は、相手は幸せそうではなく、自分も取り残されたような気持ちになっています。
最後に主人公は、二人にはこの先、それぞれ良い時間が再び訪れると考えます。しかし、それは「二人が恋人として一緒にいる未来」とは限りません。別々の道へ進むことを受け入れながら、かつて二人の間にあったもの、そして相手を愛した事実には感謝しています。
自然な日本語でまとめるなら、次のような意味です。
二人とも関係を続けようと努力したけれど、以前の気持ちには戻れない。無理に一緒にいても、幸せなふりはできない。別々に進むとしても、あなたと過ごした時間を否定したくはない。
この曲は「別れたい」と勢いで宣言する歌ではありません。すでに起きてしまった心の変化を見つめ、遅すぎると認める歌です。そこに、タイトルの too late が効いています。
短い歌詞引用で学ぶ too late
英語学習のため、ここでは8語だけ引用します。
“It’s too late, baby, now it’s too late”
意味は「もう遅すぎる」「今となっては、もう手遅れ」です。
late だけなら「遅い」「遅れて」という状態です。たとえば I’m late. は「私は遅刻しています」、It’s late. は「もう遅い時間です」となります。
そこに too が付くと、単に遅いだけではなく、許容できる範囲や目的を達成できる限界を越えているという意味が加わります。
- It’s late.(遅い時間です)
- It’s too late.(遅すぎます/もう手遅れです)
- You’re too late.(あなたは来るのが遅すぎました)
日本語の「もう遅い」は、時刻が遅い場合にも、やり直せない場合にも使えます。英語では文脈によって late と too late を使い分けます。この曲では、時計の時刻ではなく、関係を元へ戻すための限界を越えたという意味です。
too + 形容詞=「〜すぎる」
too + 形容詞 は、「必要な程度を越えている」「望ましくないほど〜だ」を表します。
- This coffee is too hot.(このコーヒーは熱すぎます)
- The bag is too heavy.(そのバッグは重すぎます)
- I’m too tired.(私は疲れすぎています)
- It’s too expensive.(それは高すぎます)
ここで注意したいのが、very との違いです。very hot は「とても熱い」という強調ですが、飲めるかもしれません。too hot は「熱すぎて飲めない」など、何かをするうえで問題になる温度を示します。
- The soup is very hot.(スープはとても熱いです)
- The soup is too hot.(スープは熱すぎます)
too の後ろには、何に対して限界を越えているのかを続けられます。
- It’s too late to call her.(彼女に電話するには遅すぎます)
- This box is too heavy to carry.(この箱は重すぎて運べません)
- I’m too tired to cook.(疲れすぎて料理できません)
too + 形容詞 + to + 動詞 は、直訳すると「〜するには…すぎる」。自然な日本語では「…すぎて〜できない」と訳すことも多い形です。

used to + 動詞=「以前は〜していた」
この曲では、現在の二人と過去の二人を比べるために used to の型が使われます。
used to + 動詞の原形 は、「以前はよく〜した」「以前は〜という状態だった」という意味です。そして普通、今はそうではないという対比を含みます。
- I used to live in Osaka.(以前は大阪に住んでいました)
- We used to talk every day.(以前は毎日話していました)
- She used to be shy.(彼女は以前、内気でした)
- This café used to be a bookstore.(このカフェは以前、本屋でした)
単なる過去形 I lived in Osaka. は、過去に大阪に住んだ事実を述べます。I used to live in Osaka. は、「以前は住んでいたが、今は違う」という変化をよりはっきり感じさせます。
「It’s Too Late」でも、過去には自然だった二人の生活と、今は続けられない関係が対比されています。used to は文法問題のためだけの表現ではなく、変わってしまった人間関係や習慣を語るときに便利です。否定文・疑問文や、be used to・get used toとの違いは、used toの意味と使い方で詳しく確認できます。
be used to -ing と混同しない
形が似た be used to -ing は「〜することに慣れている」です。
- I used to get up early.(以前は早起きしていました)
- I’m used to getting up early.(私は早起きに慣れています)
前者の used to の後ろは動詞の原形。後者では to が前置詞なので、名詞または動名詞を置きます。意味も「以前の習慣」と「現在の慣れ」で異なります。
try to と stop -ingにも注目
try to + 動詞=「〜しようと努力する」
try to + 動詞 は、目的を実現しようと努力することです。
- I tried to call you.(あなたに電話しようとしました)
- We tried to solve the problem.(私たちは問題を解決しようとしました)
- She tried to stay calm.(彼女は落ち着いていようとしました)
努力した結果、成功したかどうかは try to だけでは分かりません。この曲では、「努力しなかったから終わった」のではなく、「努力はしたが、それでも戻せなかった」という切なさを作っています。
try -ing は「試しに〜してみる」です。たとえば Try restarting your phone. なら「試しにスマートフォンを再起動してみて」。try to restart は再起動しようと努力する、try restarting は方法として再起動を試す、という違いがあります。
stop -ing=「〜するのをやめる」
stop + 動名詞 は、それまで行っていたことをやめる意味です。
- He stopped smoking.(彼は喫煙をやめました)
- We stopped talking.(私たちは話すのをやめました)
- She stopped trying.(彼女は努力するのをやめました)
一方、stop to + 動詞 は「〜するために立ち止まる」。
- We stopped to talk.(私たちは話すために立ち止まりました)
- We stopped talking.(私たちは話すのをやめました)
to と -ing の違いだけで、ほぼ反対の意味になる点に注意しましょう。
can’t は能力不足ではなく「状況的にできない」こともある
can は「能力がある」だけでなく、状況に実現可能性があることも表します。否定の can’t は、能力が足りない場合だけでなく、心理的・状況的に選べない場合にも使います。
- I can’t stay here.(私はここにはいられません)
- We can’t go back.(私たちは元には戻れません)
- I can’t pretend anymore.(もうふりはできません)
恋愛関係について「一緒にいられない」と言うとき、それは物理的に同じ場所へいられないという意味とは限りません。関係として続けることができない、という判断にも can’t が使えます。
can の中心的な感覚をさらに掘り下げたい方は、be:RIZEの「canのコアイメージは『できる』ではない」もあわせて読むと、この曲の can’t を立体的に理解できます。
feel・lookで「見える気持ち」と「自分の気持ち」を分ける
この歌の別れが大人っぽく聞こえる理由の一つは、主人公が断定しすぎないことです。相手の内面を勝手に決めつけず、外からどう見えるかには look、自分がどう感じるかには feel を使います。
- You look tired.(疲れているように見えます)
- I feel tired.(私は疲れています/疲れを感じます)
- She looks happy.(彼女は幸せそうに見えます)
- She feels happy.(彼女は幸せだと感じています)
look + 形容詞 は見た印象、feel + 形容詞 は本人の感覚です。人間関係を話すときにも、「あなたは不幸だ」と断定するより、「不幸そうに見える」と観察として伝えられます。
初心者向け|この曲でリスニングを練習する4ステップ
- タイトル部分を目印にする
繰り返される too late が聞こえる場所を探します。全文を追う必要はありません。 - 過去と現在の語を分ける
used to が出る場面は過去、now が出る場面は現在、と物語の時間軸を意識します。 - 基本動詞だけ拾う
try、stay、feel、look、know など、聞き取れた語へ印を付けます。 - 自分の経験で一文を作る
I used to … や It’s too … to … を使い、自分の過去や日常へ置き換えます。
used to は一語ずつ「ユーズド・トゥ」と強く読むのではなく、会話や歌では音がつながり、「ユーストゥ」に近く聞こえます。また too late も二語が滑らかにつながります。文字を見ながら音を一度確認し、その後に文字を閉じて聞くと効果的です。
しゅみすけ(大山俊輔)
日常会話で使える It’s too late
too late は恋愛だけでなく、予約、締め切り、連絡、交通など幅広い場面で使えます。
- Is it too late to book a table?(今から席を予約するには遅すぎますか?)
- It’s not too late to start.(始めるのに遅すぎることはありません)
- We arrived too late.(私たちは到着が遅すぎました)
- Call me before it’s too late.(手遅れになる前に電話してください)
- It’s never too late to learn.(学ぶのに遅すぎることは決してありません)
「後悔しても遅い」「手遅れになる前に」などへ広げたい方は、b-cafe本体の「『後悔する』は英語で?regret・wish・should haveの違い」も参考になります。
よくある質問
too late と very late はどう違いますか?
very late は「非常に遅い」という程度の強調です。too late は、目的を果たせない、許容範囲を越えたという問題を含みます。The train was very late. は「電車が大幅に遅れた」、I was too late for the train. は「遅すぎて電車に間に合わなかった」です。
It’s too late の it は何を指していますか?
特定の物を指すとは限りません。時刻、状況、行動を起こすタイミングなど、話している状況全体を受ける it です。天気の It’s cold. や時刻の It’s five. と同様、形式的な主語として考えると分かりやすいでしょう。
used to は今も続いている習慣に使えますか?
通常は、以前そうだったが今は違うという対比を含みます。今も続く習慣なら I usually walk to work. のように現在形を使います。過去から今まで続いていることなら、現在完了形など別の形が適します。
この曲は失恋後の英語を学ぶ教材として難しくありませんか?
感情は複雑ですが、英語の骨格は比較的シンプルです。全文を一度に理解しようとせず、too late、used to、try to の3つに絞れば、初心者でも十分学べます。
まとめ|簡単な単語で「戻れない」を表す名曲
「It’s Too Late」は、関係の終わりを誰かの責任にせず、変化を受け入れる歌です。そして、その複雑な感情を基本語で表現しています。
- late は「遅い」、too late は限界を越えた「遅すぎる・手遅れ」
- too + 形容詞は「〜すぎる」
- too + 形容詞 + to + 動詞は「…すぎて〜できない」
- used to + 動詞は「以前は〜したが、今は違う」
- try to は「〜しようと努力する」
- stop -ing は「〜するのをやめる」
まずは自分の過去を一つ思い出し、I used to … で言ってみましょう。短い基本文が、自分の経験と結びついた瞬間、歌の英語も単なる暗記ではなくなります。
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