やわらかな声で、少しいたずらっぽく歌われる「I Wanna Be Loved by You」。マリリン・モンローの歌声とともに、boop-boop-a-doop の軽快な響きを思い浮かべる方も多いでしょう。
曲名の英語は短く、使われている単語も I、want、love、you という基本語ばかりです。それでも、日本語話者には二つの大切な学習ポイントがあります。一つは wanna が want to の会話的な発音であること。もう一つは、love you ではなく be loved by you という受動態になっていることです。
この記事では歌詞を長く転載せず、曲名になっている短い一節から全体の意味と自然な和訳を読み解きます。wanna の使い方、be loved の受動態、by you の役割、only と alone の違いまで、初心者向けに解説します。
この記事でわかること
- 「I Wanna Be Loved by You」の曲名と歌詞全体の意味
- wanna と want to の違い
- be loved が「愛される」になる仕組み
- by you が示す動作の担い手
- I love you. との気持ちの方向の違い
- 曲の英語を自分の会話に応用する方法
「I Wanna Be Loved by You」はどんな曲?
「I Wanna Be Loved by You」は、1920年代末に生まれたアメリカのポピュラーソングです。マリリン・モンローのために新しく書かれた曲ではなく、彼女が歌うよりも前から知られていたスタンダード曲でした。
現在もっとも有名な歌唱の一つが、1959年公開のビリー・ワイルダー監督作品『お熱いのがお好き(Some Like It Hot)』でのマリリン版です。マリリンは女性楽団の歌手シュガー・ケーンを演じ、トニー・カーティス、ジャック・レモンと共演しました。
曲の場面では、マリリンの息を含んだ歌声と、ヴィンテージマイクに近づいて歌う姿が、主人公のかわいらしさと危うさを同時に伝えます。英語は非常にシンプルですが、「誰でもよいのではなく、あなたに愛されたい」という一点に気持ちが集中しています。
b-cafe.netには、映画そのものを紹介した『お熱いのがお好き』で学ぶ英語表現もあります。映画のあらすじや登場人物と一緒に見ると、この歌の甘さが物語のなかでどのように働いているかが、さらに分かりやすくなります。
しゅみすけ(大山俊輔)
曲名の意味・和訳
“I wanna be loved by you.”
自然な和訳は、「あなたに愛されたい」です。
語順を一つずつ見ると、次のようになります。
I → wanna → be loved → by you
私は → ~したい → 愛される → あなたによって
直訳の「私はあなたによって愛されたい」では日本語として少し硬いため、通常は「あなたに愛されたい」と訳します。
ここで重要なのは、単なる「恋人がほしい」ではないことです。by you があるため、愛してほしい相手が特定されています。「ほかの誰かではなく、あなたに」という強い焦点があります。

歌詞全体の意味を物語の流れで読む
1.主人公は「愛したい」より「愛されたい」と願っている
曲の中心にあるのは、相手へ何かをしてあげたいという宣言ではありません。自分を見てほしい、自分を選んでほしい、自分へ愛を向けてほしいという願いです。
そのため能動態の I love you. ではなく、受動態の I want to be loved by you. が使われています。恋愛感情の方向が逆です。
- I love you.:私はあなたを愛しています
- I want you.:私はあなたを求めています
- I want to be loved by you.:私はあなたに愛されたいです
2.相手は誰でもよいわけではない
この曲のかわいらしさは、願いが一人の相手へまっすぐ向いている点にあります。「愛されたい」だけなら I want to be loved. で文は完成します。しかし、そこへ by you を加えることで、「その人があなたでなければ意味がない」というニュアンスが生まれます。
短い英語でも、最後に置かれた二語によって曲全体の焦点が定まっています。
3.難しい理由や条件を並べない
主人公は、なぜその相手が好きなのかを論理的に説明しません。将来の約束や関係の条件も並べません。ただ一つの願いを繰り返します。
この単純さが、歌を子どものように無邪気にも、大人の恋のように切実にも聞かせます。マリリンの歌い方は、その両方を持っています。
4.声と発音そのものが気持ちを伝える
歌では、辞書的な意味だけでなく、音の伸ばし方、息の混ぜ方、間の取り方が大きな役割を果たします。短い文をゆっくり歌うことで、「あなたに愛されたい」という願いが、説明ではなく感情として伝わります。
英語学習でも、単語を増やすだけでなく、知っている短い文を気持ちに合わせて言う練習が大切です。
英語学習ポイント1|wannaはwant toの会話的な発音
wanna は、want to が速い会話のなかでまとまって聞こえる形です。
- I want to go. → I wanna go.
- Do you want to dance? → Do you wanna dance?
- We want to try it. → We wanna try it.
日本語では「ワナ」と書かれることがありますが、実際の音は話者や地域によって変わります。一音ずつ want / to と切るより、ひとまとまりとして弱く短く発音されます。
ただし、wanna はくだけた表記です。友人へのメッセージ、歌詞、会話の再現では使えますが、ビジネスメール、論文、正式な案内では want to と書くのが基本です。発音や使ってよい場面は、wannaの意味・want toとの違いで詳しく確認できます。
wannaの後ろには動詞の原形
wanna は want to なので、後ろには動詞の原形が続きます。
- I wanna eat.:食べたい
- I wanna know.:知りたい
- I wanna be loved.:愛されたい
love ではなく be loved になっているのは、be + 過去分詞 で受動態を作るためです。
英語学習ポイント2|be lovedは「愛される」
英語の受動態は、基本的にbe動詞 + 過去分詞で作ります。
- love:愛する
- loved:loveの過去形・過去分詞
- be loved:愛される
能動態では、行動する人を主語にします。
- You love me.
あなたは私を愛しています。
受動態では、行動を受ける人を主語にします。
- I am loved by you.
私はあなたに愛されています。
曲名では want to の後ろに置くため、am ではなく原形の be になります。
- I am loved.:私は愛されています
- I want to be loved.:私は愛されたいです
英語学習ポイント3|by youは誰から愛を受けるか
受動態の by は、動作をする人・ものを示します。
- This song was written by three songwriters.
この曲は3人の作詞・作曲家によって書かれました。 - The movie was directed by Billy Wilder.
その映画はビリー・ワイルダーによって監督されました。 - I was encouraged by my friend.
私は友人に励まされました。
誰がしたのかが重要でなければ、by… は省略できます。
- I want to be loved.
愛されたいです。
しかし、この曲では相手が重要なので by you を省けません。文法的には省略可能でも、曲の気持ちは大きく変わってしまいます。
英語学習ポイント4|want toとwant 人 toの違い
want には、初心者が混同しやすい二つの形があります。
- want to + 動詞:自分が~したい
- want + 人 + to + 動詞:人に~してほしい
- I want to call you.
あなたに電話したいです。 - I want you to call me.
あなたに私へ電話してほしいです。
曲名と近い意味は、次のようにも表せます。
- I want you to love me.
あなたに私を愛してほしいです。 - I want to be loved by you.
あなたに愛されたいです。
前者は相手にしてほしい行動を直接述べます。後者は自分が受けたい状態に焦点を置くため、少しやわらかく、ロマンチックに響きます。
onlyとaloneは同じ「ひとり」ではない
恋愛の英語では、only と alone が近く見えることがありますが、働きが異なります。
- only:唯一の、ただ~だけ
- alone:一人で、ほかの人がいない状態で
- You are the only person I trust.
あなたは私が信頼する唯一の人です。 - I live alone.
私は一人暮らしです。 - I feel alone.
私は孤独に感じます。
「あなただけ」と言いたいとき、単に alone を使うのではなく、only you や the only person を使います。
マリリン・モンローの言葉にも触れてみよう
歌のなかのマリリンは、「あなたに愛されたい」と無邪気に願います。一方、映画の外で語られてきたマリリンの言葉には、自分らしさ、仕事、失敗、勇気について考えさせるものが数多くあります。
b-cafe.netのマリリン・モンローの英語の名言8選では、短い名言を日本語訳と英語解説付きで紹介しています。歌の「愛されたいマリリン」と、自分の人生を自分で選ぼうとする言葉を並べると、彼女のイメージが一面的ではないことが見えてきます。
さらに、買い物や日常表現から楽しく学びたい方は、マリリン・モンローと靴にまつわる英語表現も続けてどうぞ。
しゅみすけ(大山俊輔)
この曲で英語を学ぶ3ステップ
ステップ1|want toを滑らかにつなぐ
まずは I want to go.、I want to know. を普通の速さで繰り返し、自然に音が縮まる感覚を確認します。最初から無理に「ワナ」と言うより、want to を何度も滑らかに発音するほうが自然です。
ステップ2|能動態と受動態を並べる
- I love my family.
- I am loved by my family.
「自分から相手へ」と「相手から自分へ」の矢印を頭のなかで逆にしてみましょう。
ステップ3|自分が望む状態を一文にする
- I want to be understood.
理解されたいです。 - I want to be respected.
尊重されたいです。 - I want to be trusted.
信頼されたいです。 - I want to be remembered.
覚えていてもらいたいです。
loved を別の過去分詞へ置き換えるだけで、自分の気持ちを表す文が増えていきます。
まとめ
「I Wanna Be Loved by You」は、基本単語だけで「ほかの誰でもなく、あなたに愛されたい」という願いをまっすぐ伝える曲です。
- wanna:want to のくだけた発音・表記
- be loved:be動詞 + 過去分詞で「愛される」
- by you:愛する動作をする相手を示す
- I love you.:私からあなたへ向かう愛
- I want to be loved by you.:あなたから自分へ愛が届くことを望む
- want + 人 + to…:人に~してほしい
まずは I want to be… の後ろに、understood、trusted、respected などを一つ入れてみてください。マリリンの短いフレーズを入り口にすると、受動態が試験の文法ではなく、自分の気持ちを表す英語になります。
マリリンの華やかさと現実的な女性像を別の角度から読みたい方は、前の記事「Diamonds Are a Girl’s Best Friend」歌詞の意味・和訳もあわせてご覧ください。


