「マサチューセッツ」という地名は知っていても、ビージーズの名曲「Massachusetts(マサチューセッツ)」が何を歌っているのかは、意外と知らない方が多いのではないでしょうか。
穏やかなメロディーから聞こえてくるのは、難しい英単語を並べた物語ではありません。中心にあるのは、go、back、way、home、lightのような中学英語でおなじみの語です。それでも、そこには「離れて初めて気づく故郷への思い」が静かに込められています。
この記事では、歌詞全文を転載するのではなく、英語学習に役立つ短い一節だけを取り上げ、曲全体の物語は日本語でわかりやすく解説します。特に、go backとcome homeの違い、toとinの使い分け、on my wayという表現を丁寧に見ていきましょう。
ビージーズ「Massachusetts」はどんな曲?
「Massachusetts」は1967年に発表されたビージーズ初期の代表曲です。英国のOfficial Chartsでは1位を4週間記録し、チャートには17週間入りました。ビージーズの公式解説によると、この曲は当初、オーストラリア出身のグループThe Seekersに歌ってもらうことを思い描いて作られましたが、最終的にはビージーズ自身が録音しました。
さらに面白いのは、作曲時のギブ兄弟がマサチューセッツ州を訪れたことがなかったという点です。実際の旅行記というより、遠くにある土地の名前から「帰る場所」の物語を膨らませた曲なのです。
日本でも大きな人気を得て、オリコンの記録では1967年12月25日に発売され、週間1位、30週のチャートインを記録しています。英語圏だけでなく、日本人の耳にも「懐かしい洋楽」として深く残った一曲です。
しゅみすけ(大山俊輔)
歌詞の意味をひと言でいうと「故郷へ戻る決心」
主人公は、かつていた場所や人々を後にして、西海岸のサンフランシスコへ向かいました。しかし、そこで何かの知らせを耳にし、心は再びマサチューセッツへ引き戻されます。
曲の情景には、消えてしまった明かり、置いてきた人々、そして帰る途中にある自分が描かれます。明るい再会を大声で祝う歌ではなく、「なぜ自分は離れたのだろう」「今度こそ戻ろう」という後悔と決意が混ざった歌です。
すべてを説明し切らないからこそ、聴く人は自分の故郷、昔の友人、離れてしまった大切な人を重ねられます。地名は具体的なのに、気持ちはとても普遍的です。
短い歌詞で学ぶ:I’m going back to Massachusetts
“I’m going back to Massachusetts”
自然な日本語なら「僕はマサチューセッツへ戻るところなんだ」「マサチューセッツへ帰るんだ」という意味です。
文の形は、主語+be動詞+動詞のing形。現在進行形ですが、今まさに移動中という意味にも、すでに決めている近い予定にも取れます。ここでは、主人公が帰郷へ心を定め、すでにその方向へ進み始めているような響きがあります。
goingだけなら「行く・向かう」ですが、backが加わることで「以前いた場所へ戻る」になります。詳しい用法は、b わたしの英会話本体のGo backの意味とCome backとの違いでも整理しています。
go backのイメージは「今いる所を離れて元へ」
goの核は、単なる「行く」ではなく、今いる場所や基準点から離れて進むことです。そこへ「元の位置・状態へ」を示すbackが重なると、go backは「現在地を離れ、以前の場所へ戻る」という動きになります。
- I need to go back to the office.
会社へ戻らないといけません。 - She went back to Boston last week.
彼女は先週ボストンへ戻りました。 - Let’s go back to the first question.
最初の質問へ戻りましょう。
場所だけでなく、話題や以前の状態にも使えるのがポイントです。goの感覚をさらに深めたい方は、be:RIZEのgoのコアイメージもあわせて読んでみてください。
go back to+場所、でもgo back home
一般的な場所にはtoを使います。
- go back to Massachusetts
- go back to Japan
- go back to school
一方、homeは「家へ」という方向まで含む副詞として使えるため、通常はtoを置きません。
- ○ go back home
- × go back to home
同じ仲間にhereとthereがあります。go back there、come back hereのように言い、通常はtoを挟みません。
go backとcome homeは何が違う?

日本語ではどちらも「帰る」と訳せますが、英語では視点が違います。
- go back:今いる場所を離れ、元の場所へ戻る
- come home:家を基準点にして、そこへ近づいてくる
たとえば、旅行先にいる本人が「明日、家へ帰る」と言うなら、I’m going home tomorrow. が自然です。家で待つ家族が電話で「何時に帰ってくるの?」と尋ねるなら、What time are you coming home? となります。
この曲の主人公は、現在いる側からマサチューセッツを見ています。だから、今の場所から離れて元の土地へ向かうgo backがよく合います。goとcomeを日本語の「行く・来る」だけで暗記せず、矢印の向きを見ると理解しやすくなります。詳しくはbe:RIZEのgoとcomeの違いも参考にしてください。
しゅみすけ(大山俊輔)
to Massachusettsとin Massachusettsの違い
toは目的地への矢印、inはある範囲の内側にいる状態を表します。
- I’m going to Massachusetts.
私はマサチューセッツへ向かっています。 - I live in Massachusetts.
私はマサチューセッツに住んでいます。
移動の目的地ならto、到着後の所在地ならinです。この曲では帰る方向が大切なので、目的地を示すtoが使われます。toを「~へ」という日本語だけで覚えず、「到達点を含む矢印」と捉えると、toの意味とコアイメージにあるさまざまな用法も一本につながります。
また、Massachusettsは州の固有名詞なので、通常はtheを付けません。the United Statesのように複数の州をまとめた名称とは扱いが異なります。
on my wayは「自分の道の上にいる」
曲の物語を理解するうえで役立つもう一つの表現が、be on one’s wayです。「~へ向かう途中」「今向かっている」という意味になります。
- I’m on my way.
今、向かっています。 - I’m on my way to the station.
駅へ向かっている途中です。 - I’m on my way home.
家へ帰る途中です。
wayを一本の道と考え、その道の上にいるのでonを使います。ここでもhomeの前にはtoを置きません。待ち合わせの連絡でもそのまま使える表現です。より細かな違いは、b わたしの英会話の「今向かってる」は英語で?で確認できます。
leaveとleave forを区別しよう
主人公は、以前の場所や人々を後にして別の土地へ向かいました。この場面を英語で話すときに役立つのが、leaveの二つの形です。
- leave+出発地:その場所を去る
I left Boston in the morning.(朝、ボストンを出ました) - leave for+目的地:その場所へ向けて出発する
I left for Boston in the morning.(朝、ボストンへ向けて出発しました)
前置詞がないと後ろは「離れる場所」、forがあると「向かう場所」です。たった一語ですが、矢印が反対になるので注意しましょう。
また、leave people behindは、物理的に人を残して去るだけでなく、人間関係や思い出を置き去りにする寂しさも表せます。この曲に漂う後悔を理解するのにぴったりの感覚です。
明かりが消える英語:go out
曲には、マサチューセッツの明かりが消えていく印象的な情景があります。明かりや火が消えるとき、英語ではgo outを使います。
- The lights went out.
明かりが消えました。 - The fire went out.
火が消えました。
このgoは「ある状態から別の状態へ進む」という変化を表します。outには内側から外へ出る感覚があり、光や火が活動中の状態から外れてしまう、と映像で捉えると覚えやすいでしょう。
単に町が暗くなったという説明だけでなく、「自分が離れたことで、心の中の故郷の光まで失われた」ようにも感じられます。やさしい句動詞が、曲の寂しさを深くしています。
Massachusettsの発音とつづり
Massachusettsは長く見えますが、音のまとまりに分けると発音しやすくなります。
Mass-a-chu-settsのように区切り、特にchuの部分を強く読みます。カタカナの「マサチューセッツ」に近いものの、最初のMassは口を横に開いた「マス」と「メァス」の中間を意識しましょう。最後のsettsは伸ばさず、短く締めます。
歌に合わせて、まず地名だけ、次にgo back toとつなげ、最後に文全体を口にすると無理なく練習できます。
日常会話で使える練習例文
曲の表現を、自分の話に置き換えてみましょう。
- I’m going back to Osaka this weekend.
今週末、大阪へ戻ります。 - When are you coming home?
いつ帰ってくるの? - I’m already on my way.
もう向かっているよ。 - We left for Kyoto before sunrise.
私たちは日の出前に京都へ向けて出発しました。 - I want to go back to those days.
あの頃に戻りたいです。
最初はMassachusettsを自分の故郷や思い出の場所に入れ替えるだけで十分です。「英語の例文」ではなく「自分が本当に言う文」にすると、go、come、back、toの方向感覚が定着します。
初心者におすすめの3ステップ学習法
- 1回目は物語だけを聴く
細かな単語を追わず、「離れた人が戻ろうとしている」と情景をつかみます。 - 2回目は移動を表す語に注目する
go、back、to、wayなど、矢印を作る語を耳で探します。 - 3回目は地名を自分の場所に替えて話す
東京、福岡、実家、学校などに替え、声に出して練習します。
歌詞をすべて和訳して終えるより、一つの短い文から動きと場面を理解する方が、実際の英会話に再利用できます。
まとめ|やさしい移動の英語が郷愁を作る
ビージーズの「Massachusetts」は、故郷を離れた主人公が、置いてきた人々や失われた光を思いながら戻ろうとする歌です。難解な表現ではなく、go back、to、home、wayといった基本語が、心の向きまで描いています。
- go back=今いる場所を離れ、元の場所へ戻る
- come home=家という基準点へ近づいて帰ってくる
- to=目的地への矢印、in=場所の内側
- on my way=目的地へ向かう途中
- go back homeのhomeには通常toを付けない
メロディーを知っている方こそ、次は「矢印」を思い浮かべながら聴いてみてください。シンプルな英語の一つひとつが、主人公の帰り道として聞こえてくるはずです。
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