ビージーズの「Melロディ・フェア」は、メロディーは知っていても、歌詞を見ると「こんなにやさしい英語だったのか」と驚きやすい一曲です。
登場するのは、girl、face、life、hair、rainなど、中学英語で見覚えのある単語ばかり。語り手は、泣いている少女に「下を向いたままでいないで」「自分の美しさに気づいて」と語りかけます。
この記事では歌詞全文を転載せず、英語学習に必要な短い一節だけを引用し、曲全体の意味は日本語で丁寧に解説します。特に、Who is …?の疑問文、cryingの働き、comb your hairの語順、励ますときのcome onに注目しましょう。
ビージーズ「Melody Fair」はどんな曲?
「Melody Fair」は、ビージーズが1969年に発表した2枚組アルバム『Odessa』に収録された曲です。ビージーズ公式サイトでも、『Odessa』は1969年3月発売の初の2枚組アルバムで、ニューヨークとロンドンで録音された、1960年代作品の中でも特に野心的なアルバムと紹介されています。
本国イギリスやアメリカでは当初、大型シングルとして広く売り出された曲ではありません。しかし日本では、1971年の英国映画『小さな恋のメロディ』との結びつきから特別な人気を得ました。オリコンによると、日本盤は1971年6月10日発売、最高3位、34週チャートインを記録しています。
同じ映画では、すでに取り上げた「First of May」も印象的に使われました。日本で初期ビージーズの繊細なバラードが長く愛されるうえで、この映画は大きな橋渡しになったと考えられます。
しゅみすけ(大山俊輔)
歌詞の意味は「自分の美しさに気づいて」
曲の冒頭では、泣き顔の少女が大勢の人や無数の合図を眺めています。周囲を気にし、自分がどう見られているのか分からず、立ち止まっているような情景です。
語り手は、その少女を責めません。人生は動き続けるものだから、悲しみを顔に残したままにせず、身支度をして、雨の中から出ておいでと優しく促します。
後半では「自分は決して美しくなれない」と思い込んでいる少女へ、あなたは本当は美しいのだと視点を変えさせます。外見だけを褒める歌というより、本人がまだ見つけられていない魅力を、語り手が先に信じている歌です。
つまり、この曲の流れは次のように整理できます。
- 泣いている少女に気づく
- 彼女が周囲の目に迷っていることを理解する
- 身支度をして前へ出るよう励ます
- 本人が否定していた美しさを肯定する
短い歌詞で学ぶ:Who is the girl with the crying face?
“Who is the girl with the crying face?”
自然な日本語なら、「泣き顔をしている女の子は誰?」という意味です。わずか8語ですが、疑問詞、be動詞、名詞を説明する前置詞句、現在分詞が入った学びやすい一文です。
Who is …? は「その人は誰?」
whoは、人について欠けている情報を尋ねる疑問詞です。
- Who is she?
彼女は誰ですか? - Who is that woman?
あの女性は誰ですか? - Who is your favorite singer?
好きな歌手は誰ですか?
be動詞の文を質問にするときは、Who+is+名詞の順になります。今回の一文では、the girlが「誰なのか」を尋ねています。whoの役割を詳しく整理したい方は、be:RIZEのwhoの意味・使い方も参考にしてください。
with the crying faceのwithは「伴っている」
withは「~と一緒に」だけではありません。人や物が何かを身につけている、ある特徴を伴っている状態も表します。
- a girl with blue eyes
青い目の女の子 - a man with a beard
ひげのある男性 - a woman with a warm smile
温かい笑顔の女性
同じように、with the crying faceは「泣いている顔を伴った女の子」、つまり「泣き顔の女の子」です。英語は、まずgirlと言い切り、その後ろからwith以下で特徴を足します。
cryingは「泣いている」という進行中の特徴
cryは「泣く」という動詞です。-ingを付けたcryingがfaceの前に置かれ、今見えている表情を説明しています。
- a sleeping baby
眠っている赤ちゃん - a smiling child
ほほ笑んでいる子ども - a crying face
泣いている顔
日本語では「泣き顔」と一語にできますが、英語は「泣いている+顔」と動きを残して描きます。写真の一場面を言葉にする感覚です。
Who is she? と comb your hairを絵で確認

comb your hair|動作のあとに対象を置く
combは、くしを使って髪をとかすことです。英語では、動作を先に言い、その対象を後ろに置きます。
- comb your hair
あなたの髪をとかす - wash your face
顔を洗う - brush your teeth
歯を磨く - dry your hair
髪を乾かす
朝の身支度は「動詞+体の部分」という同じ形でまとめやすいテーマです。なお、ブラシで髪をとかすならbrush my hair、くしを使うことをはっきり言うならcomb my hairが自然です。詳しい違いは、b わたしの英会話の「髪をとかす」は英語で?で解説しています。
なぜthe hairではなくyour hair?
英語では、自分や相手の体の部分について話すとき、誰のものかをmy、your、his、herなどで示すのが基本です。
- I washed my face.
私は顔を洗いました。 - She brushed her hair.
彼女は髪をとかしました。 - Close your eyes.
目を閉じてください。
日本語では「あなたの髪」と毎回言わなくても分かりますが、英語では所有格を置くことで、動作の対象が明確になります。
come onは場面によって「さあ」「元気を出して」
曲では、少女を前へ動かす呼びかけとしてcome onの感覚が役立ちます。直訳の「こちらへ来る」だけではなく、相手を会話の中心や次の行動へ引き寄せる表現です。
- Come on! We’re late.
早く!遅れているよ。 - Come on, you can do it.
さあ、あなたならできるよ。 - Oh, come on.
もう、勘弁してよ。
声の調子と場面によって、励まし、催促、驚き、いら立ちにもなります。この曲のような柔らかい場面では、「さあ」「元気を出して」「こちらへおいで」と背中を押す響きになります。
comeの核は、話し手や聞き手、共有するゴールへ近づくことです。詳しくは、be:RIZEのcomeのコアイメージもあわせて読んでみてください。
しゅみすけ(大山俊輔)
life is a running raceという比喩の読み方
曲では人生が、止まらず走り続ける競走にたとえられます。ここで大切なのは、勝敗を競うスポーツの話だけに限定しないことです。時間は待ってくれず、人も世界も動いていく。そのため、悲しみの中で立ち止まり続けないで、という励ましにつながります。
runningはraceを前から説明し、「進行中の、走り続ける」感覚を加えます。
- running water
流れている水 - a running engine
動いているエンジン - a running race
走って進む競走
runを「走る」だけでなく、物事が動き続けるイメージとして捉えると、run a business「事業を運営する」やThe machine is running.「機械が動いている」といった用法にもつながります。
fairは「公平」だけではない
fairを見て、最初に「公平な」を思い浮かべる方も多いでしょう。しかしfairには、文脈によって「美しい」「明るい色の」「晴れた」といった意味もあります。
- a fair decision
公平な判断 - fair skin
明るい色の肌 - fair weather
晴天
Melody Fairは曲の中では少女の名前のように呼びかけられています。同時にfairが持つ明るさや美しさの響きが、本人の魅力を肯定する歌のテーマと重なります。
また、名詞のfairには「見本市・祭り」という別の意味もあります。同じつづりでも品詞と場面で意味が変わるため、前後の語を見ることが大切です。
「あなたはきれいだ」を英語でどう伝える?
曲の核は、本人が否定している魅力を、外から肯定することです。日常会話なら次のような表現が使えます。
- You look beautiful.
きれいですね。 - You have a lovely smile.
素敵な笑顔ですね。 - You look great today.
今日はとても素敵ですね。 - Believe in yourself.
自分を信じて。
You are beautiful.は人そのものをまっすぐ褒めます。You look beautiful.は、今見えている服装や表情、全体の印象を褒める言い方です。初対面や日常の軽い会話では、lookを使う方が場面に合うこともあります。
曲の英語を日常会話へ置き換える例文
歌の世界を、自分の生活で使える短い文に替えてみましょう。
- Who is the girl by the window?
窓のそばにいる女の子は誰ですか? - Don’t cry. I’m here.
泣かないで。私がここにいるよ。 - Come on, let’s go outside.
さあ、外へ行こう。 - I need to comb my hair.
髪をとかさないといけません。 - You look great when you smile.
笑うととても素敵ですよ。
一文を長くする必要はありません。Who is she?、She is crying.、She combs her hair.のように、まず見えている場面を主語と動詞に分けるだけで、歌詞の英語が自分の英会話になります。
初心者向け|Melody Fairの3ステップ学習法
- 少女の表情を想像して聴く
最初は単語を追わず、泣き顔から少しずつ前を向く流れを感じます。 - 疑問文と命令文を探す
人を尋ねる形と、相手へ行動を促す形を聞き分けます。 - 鏡の前の独り言に替える
I wash my face.、I comb my hair.、I look good today.のように、朝の身支度で声に出します。
歌詞を丸暗記するより、ひとつの場面から短い英文を作る方が、会話で取り出せる英語になります。
まとめ|やさしい英語で、自分を肯定する歌
ビージーズの「Melody Fair」は、泣いている少女へ、身支度をして前へ進み、自分の美しさに気づくよう呼びかける歌です。日本で映画とともに親しまれた美しいメロディーの中には、英語初心者でも理解して使える表現が詰まっています。
- Who is …?=人について欠けている情報を尋ねる
- with+特徴=「~を伴った、~のある」
- crying+名詞=「泣いている~」
- comb your hair=動作+対象、体の部分には所有格を使う
- come on=相手を次の行動へ促す呼びかけ
次に曲を聴くときは、単なる悲しい少女の歌ではなく、「あなたは自分が思っているより素敵だよ」という優しい声かけとして味わってみてください。
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