「誰かを愛すること」を英語にすると、to love somebody。ビージーズの名曲「To Love Somebody」は、タイトルだけなら中学英語のやさしい単語3つでできています。
しかし曲から伝わるのは、単純なラブソングの幸福感ではありません。自分には相手がはっきり見えているのに、相手には自分の思いが届かない。その苦しさを、know、see、live、loveといった基本動詞で切実に歌っています。
この記事では歌詞全文を転載せず、英語学習に必要な短い一節だけを引用し、曲全体の意味は日本語でわかりやすく解説します。タイトルのto不定詞、somebodyとsomeone、the way、そしてwhat it’s likeを中心に学びましょう。
ビージーズ「To Love Somebody」はどんな曲?
「To Love Somebody」は1967年に発表された、ビージーズ初期を代表するソウル色の強いバラードです。アルバム『Bee Gees’ 1st』に収録され、公式ベスト盤『Timeless: The All-Time Greatest Hits』でも、1967年の重要曲として「New York Mining Disaster 1941」に続いて並んでいます。
Official Chartsによると、ビージーズ版は英国で1967年7月18日に初登場し、最高41位、5週間チャート入りしました。数字だけを見ると英国での最大ヒットではありませんが、その後、多くの歌手に歌い継がれ、ビージーズの作曲家としての強さを象徴するスタンダードになりました。
バリー・ギブは後年、この曲をソウル歌手オーティス・レディングに歌ってもらうことを思い描いて書いたと語っています。本人による録音は実現しませんでしたが、ゴスペルやソウルを思わせる熱のこもった歌い方には、その発想が感じられます。
カバーも数多く、ニーナ・シモン版は英国チャートで最高5位を記録しました。歌う人の性別やジャンルが変わっても、「愛している側にしか分からない痛み」という核が残るからこそ、長く歌い継がれているのでしょう。
しゅみすけ(大山俊輔)
歌詞の意味は「この愛がどんなものか、あなたには分からない」
主人公には、自分が進みたい人生の道筋があります。本来なら、相手と一緒に明るい方向へ歩きたい。しかし現実には、その相手が自分の気持ちを同じようには受け取ってくれません。
主人公の視界には相手しか入らず、考えも気持ちも一人の人へ向かっています。それでも、愛される保証はない。周囲から「前を向けばいい」「ほかの人を見ればいい」と言われても、愛している本人にとっては簡単に切り替えられません。
サビで繰り返されるのは、愛の告白だけではありません。「この人を愛するとは、自分にとってどんな体験なのか」を相手は知らない、という訴えです。愛の大きさを説明したいのに、言葉だけでは相手へ渡せない。その届かなさが曲の切実さを生んでいます。
タイトルTo Love Somebodyの意味と文法

タイトルは3つの部分に分けられます。
- to:後ろの行為へ向かう
- love:愛する
- somebody:ある人、誰か
to+動詞の原形はto不定詞です。To love somebody全体で「誰かを愛すること」という名詞のようなまとまりになります。
- To love someone is not always easy.
誰かを愛することは、いつも簡単とは限りません。 - I want to love and be loved.
私は愛し、愛されたいです。 - It takes courage to love somebody.
誰かを愛するには勇気が必要です。
学校文法ではto不定詞の名詞的用法と呼ばれます。ただし、名称だけで覚えるより、toの矢印がloveという行為へ向かっていると考えると理解しやすくなります。be:RIZEのtoの意味とコアイメージでも、前置詞toとto不定詞を「到達点への矢印」としてつないで解説しています。
なぜlove somebodyで「誰かを愛する」?
loveは、後ろに愛する対象を直接置ける動詞です。
- I love you.
私はあなたを愛しています。 - She loves music.
彼女は音楽が大好きです。 - He loves his family.
彼は家族を愛しています。
日本語では「~を」が必要ですが、英語ではloveの直後に対象を置けば関係が決まります。toやforを挟んでlove to somebodyとはしません。
somebodyとsomeoneに違いはある?
somebodyとsomeoneは、どちらも「誰か」「ある人」を表し、多くの場面で置き換えられます。
- Somebody is at the door.
誰かが玄関にいます。 - Someone called you.
誰かがあなたに電話しました。 - I need somebody to talk to.
話し相手が必要です。
somebodyは会話的で、人の存在を少し強く感じさせることがあります。someoneはやや中立的で、会話にも文章にも広く使われます。ただし、日常英会話では厳密に使い分ける必要はありません。
大切なのは、someが付いているため「人がいることは想定しているが、誰かは特定していない」という感覚です。
- somebody:誰かいる、でも誰かは言わない・分からない
- anybody:誰でも、誰か一人でも
- nobody:誰もいない
- everybody:みんな
タイトルだけを見ると「誰かを愛すること」ですが、曲の中の主人公には愛する相手がはっきり存在します。一般的な言葉を使いながら、実際にはただ一人を思っている。この対比もタイトルの強さです。
短い歌詞で学ぶ:You don’t know what it’s like
“You don’t know what it’s like”
自然な日本語なら、「それがどんなものか、あなたには分からない」「どんな気持ちなのか、あなたは知らない」という意味です。
ここでのlikeは「好き」ではありません。what … is likeで「~がどのようなものか」「どんな感じか」を表します。人・場所・仕事・体験について尋ねる基本形や、look likeとの違いは、What is S like?の意味と使い方で詳しく確認できます。
- What is the city like?
その街はどんなところですか? - Do you know what her job is like?
彼女の仕事がどんなものか知っていますか? - You don’t know what loneliness is like.
孤独がどんなものか、あなたには分かりません。
間接疑問文ではwhat+主語+動詞
直接質問するなら、What is it like?です。しかしknowの後ろへ質問内容を組み込むと、what it is likeの語順になります。
- 直接疑問文:What is it like?
- 文の部品:what it is like
- 完成文:I know what it is like.
疑問文のis itを、そのままknowの後ろへ置かないことがポイントです。質問を文の一部にすると、語順は「疑問詞+主語+動詞」へ戻ります。詳しくはbe:RIZEの間接疑問文とは?で整理しています。
しゅみすけ(大山俊輔)
the wayは「道」から「あり方・やり方」へ
wayの出発点は、目的地まで続く「道筋」です。そこから、物事の進み方、やり方、人や物のあり方へ意味が広がります。
- the way to the station
駅までの道 - the way she speaks
彼女の話し方 - the way I feel
私の感じ方、私の気持ち - the way things are
物事の現状
曲では、主人公が愛する「あり方」そのものを相手に分かってほしいと願っています。単にI love you.と言うよりも、the way I loveのようにwayを入れると、愛し方、感じ方、その人なりの全体像に焦点が当たります。
wayを含む日常表現は、b わたしの英会話のwayの意味と使い方でも解説しています。
I live and breatheのような基本動詞が生む切実さ
この曲では、主人公の人生や呼吸まで愛する相手と結びついているような強い感情が描かれます。ここで使われるliveやbreatheは、どちらも非常に基本的な動詞です。
- live:生きる、暮らす
- breathe:呼吸する
- see:見る、見える
- know:知っている
難しい形容詞で「とても深く愛している」と説明するのではなく、生きる、息をする、見るという生命の基本動作に愛を重ねています。そのため、英語が簡単でも感情は薄くなりません。
むしろ、簡単な動詞ほど聴いた瞬間に情景が立ち上がり、主人公がほかのことを考えられない状態が直接伝わります。洋楽で英語を学ぶ価値は、この「知っている単語が本気の感情を運ぶ」場面を体験できることにあります。
「あなたには分からない」は強く聞こえる?
You don’t know.は、場面によっては「あなたには何も分からない」と責める響きになります。日常会話で相手の理解不足を伝えるなら、少し柔らかくする方法があります。
- It’s hard to explain how I feel.
私の気持ちを説明するのは難しいです。 - I don’t think you understand how much this means to me.
これが私にとってどれほど大切か、分かってもらえていないと思います。 - I wish you could see it from my point of view.
私の立場から見てもらえたらと思います。
歌では、強い断定が主人公の切迫感を作ります。しかし現実の会話では、I don’t thinkやIt’s hard to explainを使うと、相手を攻撃せずに気持ちを伝えやすくなります。
loveとbe in loveの違い
loveは、人、家族、物、活動などを広く「愛する・大好きである」と表せます。一方、be in loveは、恋愛感情の中にいる状態です。
- I love her.
私は彼女を愛しています。 - I’m in love with her.
私は彼女に恋をしています。 - I love jazz.
私はジャズが大好きです。 - × I’m in love with jazz.
比喩的には可能ですが、通常は人への恋愛感情に使います。
be in love with+人で、「その人への恋愛感情に包まれている」と考えると分かりやすいでしょう。タイトルのto love somebodyは、恋に落ちる瞬間より、誰かを愛する行為やあり方そのものへ焦点を当てています。
日常会話で使える練習例文
曲から学んだ形を、自分の話に置き換えてみましょう。
- It’s wonderful to love somebody.
誰かを愛することは素晴らしいです。 - Someone is waiting for you.
誰かがあなたを待っています。 - Do you know what it’s like to live abroad?
海外で暮らすのがどんな感じか知っていますか? - I like the way you think.
あなたの考え方が好きです。 - It’s difficult to explain the way I feel.
自分の気持ちを説明するのは難しいです。
最初はsomebodyを具体的な人へ、loveをknow、help、meetなど別の動詞へ替えてみてください。
- to help somebody:誰かを助けること
- to meet somebody:誰かに会うこと
- to understand somebody:誰かを理解すること
to+基本動詞+somebodyという骨組みを持てば、少ない単語から多くの文を作れます。
初心者向け|3ステップで曲を英語教材にする
- タイトルを3つに分ける
to、love、somebodyをそれぞれイメージし、最後に一つへつなげます。 - 主人公と相手の視点を分ける
主人公には愛が人生全体に見え、相手にはその感覚が見えていない、と整理します。 - what it’s likeを自分の経験に使う
仕事、海外生活、子育てなど、自分が体験したことを入れて例文を作ります。
歌詞をすべて暗記しなくても、タイトルと短い一節だけで、to不定詞、代名詞、間接疑問文、wayの広がりまで学べます。
まとめ|やさしい単語だからこそ愛の痛みが伝わる
ビージーズの「To Love Somebody」は、愛する相手に自分の思いが届かず、「この気持ちがどんなものか分かってほしい」と訴える歌です。ソウルフルな歌声の中で使われるのは、love、know、see、liveといった基本動詞です。
- to love somebody=誰かを愛すること
- to+動詞の原形=行為へ向かうto不定詞
- somebody / someone=特定していない「誰か」
- what it is like=それがどんな感じか
- the way=道筋から、方法・あり方・感じ方へ広がる
「歌詞は難しそう」と思っていた方こそ、まずタイトルを声に出してみてください。知っている3語だけで、誰かを愛するという大きなテーマを英語にできることが実感できるはずです。
ビージーズの名曲で英語を学ぶ
- 「How Deep Is Your Love」歌詞の意味・和訳
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