
It’s an ill wind that blows nobody any good. は「どんな不幸な出来事でも、誰かには利益や好都合をもたらすことがある」という意味です。ある出来事が多くの人にとって悪くても、別の人や業種には思わぬ利益になることを表す古いことわざです。災害や損失を喜ぶ表現ではなく、利害が一様ではないという観察として慎重に使います。
この記事では、直訳から意味が生まれる考え方、ネイティブが感じるニュアンス、文法と語順、自然な例文、似た表現との違い、日本人が間違えやすい点まで整理します。最後に、このことわざが出てこないときの簡単な英語も紹介します。
Contents
It’s an ill wind that blows nobody any good. の意味
基本訳は「どんな不幸な出来事でも、誰かには利益や好都合をもたらすことがある」です。直訳すると「誰にも少しも利益を吹き送らない風こそ、本当に悪い風だ」。直訳だけを見ると不思議でも、目に見える場面を一般的な教訓へ広げると意味がつかめます。
ことわざは会話の内容を短くまとめる「一言コメント」として働きます。長い説明の代わりに使えますが、聞き手が表現を知らない可能性もあります。その場合は、すぐ後に簡単な英語で補足すると親切です。
しゅみすけ(大山俊輔)
直訳から本当の意味を理解する
ill は古風に『悪い・不吉な』、blow A B はここで『風がAへBを運ぶ』という比喩。nobody と any good の組み合わせは『誰にも何の利益も』という強い否定です。
皮肉や達観を含みます。当事者が傷ついている最中に言うと無神経です。経済や市場を後から分析するときなど、距離を置いた文脈に向きます。

上の図では、ことわざの中の具体的なイメージから、実際に伝えたい教訓へ意味が移る流れを示しています。英語を話すときは、原文を一語ずつ訳し直すより、最後の「相手に何を伝えたいか」を先に決めると自然です。
ネイティブが感じるニュアンス
事実ではなく、経験から生まれた短い助言
この表現は科学的な法則や必ず当たる予言ではなく、よくある経験を短くまとめたものです。状況に合えば印象的ですが、例外がある話題では断定しすぎないようにします。I think、sometimes、in this case などを添えれば、自分の判断として柔らかく伝えられます。
誰に向けて言うかで響きが変わる
自分の経験を振り返って言えば控えめな教訓になります。相手へ突然言うと、説教、警告、楽観論に聞こえることがあります。まず事情を聞き、共感や具体的な説明を加えることが大切です。ことわざだけで会話を終えないのが、自然に使うコツです。
よく使われる形・語順・文法
ill は古風に『悪い・不吉な』、blow A B はここで『風がAへBを運ぶ』という比喩。nobody と any good の組み合わせは『誰にも何の利益も』という強い否定です。
- It’s an ill wind that blows nobody any good. と単独で結論を述べる
- Sometimes it’s an ill wind that blows nobody any good. と一般化を弱める
- As they say, “It’s an ill wind that blows nobody any good.” と「よく言うように」を添える
引用符は会話文や文章でことわざそのものを示すときに便利です。一方、自然な会話では大文字・句読点を意識して発音する必要はありません。短く一まとまりで言い、必要なら次の一文で自分の状況を説明します。
日常会話・仕事で使える例文
The rain canceled the festival, but umbrella shops were busy—an ill wind blows nobody any good.
雨で祭りは中止になりましたが、傘店は忙しくなりました。不運が誰かの利益になることもあります。
The shortage hurt buyers but helped some suppliers.
不足は買い手を苦しめましたが、一部の供給者には利益となりました。
Do not use this proverb to dismiss another person’s loss.
このことわざで他人の損失を軽く扱ってはいけません。
Even a bad event may help someone.
悪い出来事でも、誰かの助けになる場合があります。
例文のように、先に具体的な状況を置いてからことわざを言うと、聞き手は意味を推測しやすくなります。逆に前触れなくことわざだけを言うと、学習者同士の会話では意図が伝わらない場合があります。
似た表現との違い
Every cloud has a silver lining. は本人にも良い面があると励ます表現。One person’s loss is another person’s gain. は損得の対立を直接示します。ill wind は悪い出来事が誰かへ利益を運ぶという比喩です。
似た表現は日本語訳が重なっても、会話上の役割が異なります。「警告したい」「励ましたい」「状況を説明したい」のどれかを考え、最も直接的な文を選びましょう。ことわざを使うこと自体が目的ではありません。
日本人が間違えやすいポイント
nobody any good の語順を「誰も善人ではない」と解釈しないこと。do someone good と同じく、good は名詞的に「利益・役立つこと」を表します。
相手が知らない前提も持つ
英語のことわざは地域、世代、個人によって親しみの差があります。相手が反応しなければ、発音を繰り返すより意味を直接説明します。特に国際的な職場では、短い基本語の説明のほうが全員に公平で確実です。
使う場面を先に確認する
冗談で済む話か、健康・安全・差別・ハラスメント・機密など慎重さが必要な話かで、ことわざの適切さは変わります。大切な場面では、誰が何をすべきかを具体的な文で伝え、ことわざは補足にとどめます。
出てこないときの「しゅみすけ式」簡単英語
このことわざがすぐに出てこなければ、Even a bad event may help someone. と言えば要点が伝わります。難しい固定表現を思い出すより、主語・動詞・短い補語で意味を直接届ける方法です。
しゅみすけ(大山俊輔)
簡単英語を組み立てる3ステップ
- 誰・何について話すかを主語にする
- 起きることを基本動詞で言う
- 必要なら because、if、but で理由や条件を一つ足す
たとえば、まず Even a bad event may help someone. と結論を言い、その後に自分の具体例を一文加えます。この二段構えなら、ことわざを知らない相手にも伝わり、英会話で言葉に詰まりにくくなります。
会話で自然に使うための実践練習
「状況→ことわざ→補足」の順にする
ことわざを自然に聞かせる基本は、先に状況を共有することです。最初に相手が知っている事実を短く言い、次に It’s an ill wind that blows nobody any good. とまとめ、最後に自分が提案したい行動や理由を加えます。この順序なら、表現を初めて聞く人も前後関係から意味を推測できます。ことわざを最初に置く場合は、話題とのつながりが急にならないよう As they say や You know what they say を添える方法もあります。ただし、改まった仕事の場では前置きを長くせず、要点を直接説明したほうが明確です。
自分の経験を一文足す
暗記した例文だけで終わらせず、「先週の会議」「旅行の準備」「家族との会話」など、自分が実際に経験した場面を一つ足して練習しましょう。たとえば Even a bad event may help someone. のあとに、because で理由を一つ続けます。内容は事実でなくても、架空の仕事や旅行の場面で構いません。英語を完璧にするより、誰が・何をした・どうなった、の三点を短く言えることが大切です。
言い方を柔らかくするフレーズ
- I think this may be a case of “It’s an ill wind that blows nobody any good.”
これは「どんな不幸な出来事でも、誰かには利益や好都合をもたらすことがある」というケースかもしれません。 - Maybe we can look at it this way.
こういう見方もできるかもしれません。 - In simple terms, Even a bad event may help someone.
簡単に言えば、Even a bad event may help someone.
may、maybe、I think は、ことわざの断定を弱めて対話の余地を残します。相手の判断を変えさせたいときほど、結論を押しつけず、What do you think? と意見を聞くと会話が続きます。反対に、安全ルールや機密保持のように曖昧さを避けるべき場面では、助動詞でぼかさず、具体的な禁止や依頼を明示します。
場面別:使ってよいかを判断するチェック
日常会話では、共通の状況があり、少し印象的にまとめたいときに使えます。友人がことわざを知らなそうなら、笑顔や声の調子だけに頼らず、簡単な言い換えも続けます。仕事では、雑談、スピーチ、振り返りには使いやすい一方、契約、手順、事故報告など正確さが必要な文章では補助的に使います。恋愛や家族の話では、相手の感情や境界線を尊重し、正論で会話を閉じないよう注意します。
送信前・発言前には、①このことわざが相手を責めていないか、②具体的に何をしてほしいか伝わるか、③もっと簡単な英語のほうが誤解が少なくないか、の三点を確認してください。三つ目に当てはまるなら、迷わず Even a bad event may help someone. を選びましょう。英会話の目的は、難しい表現を披露することではなく、相手と意味を共有することです。
関連表現を学ぶときの考え方
同じ日本語訳の表現を一度に暗記するより、「どんな場面で、誰が、何のために言うか」で整理すると使い分けやすくなります。本記事の表現は、まず意味を聞いて理解できる受動語彙にし、簡単な言い換えを能動語彙として練習するのがおすすめです。
ほかの完成した英熟語・定型表現は、英熟語・定型表現のまとめから確認できます。表現を単独で覚えず、似た場面の例文と一緒に読むと、実際の会話で選びやすくなります。
まとめ
- It’s an ill wind that blows nobody any good. は「どんな不幸な出来事でも、誰かには利益や好都合をもたらすことがある」という意味
- 直訳は「誰にも少しも利益を吹き送らない風こそ、本当に悪い風だ」で、具体的な絵から一般的な教訓へ意味が広がる
- ことわざは一言で印象を残せるが、場面と相手への配慮が必要
- 出てこなければ Even a bad event may help someone. と簡単に言い換えられる
まずは例文を一つ選び、自分の生活に合う名詞へ置き換えて声に出してみてください。原文と簡単英語の両方を持っておくと、聞く力と話す力を同時に伸ばせます。










