
Render unto Caesar … は映画や政治評論でも引用されますが、「権力者には何でも従え」という意味ではありません。背景と文脈を知らないと誤解しやすい、聖書由来の定型句です。
Render unto Caesar the things that are Caesar’s は、公的な権力に属する義務と、信仰・良心に属する事柄を区別するという英語のことわざです。結論から言えば、聖書に由来し、税や社会的義務と、個人の信仰・道徳の領域を分けて考える文脈で使われます。訳語だけでなく、文の組み立てと話し手の距離感まで押さえましょう。
しゅみすけ(大山俊輔)
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Render unto Caesar the things that are Caesar’s の意味
自然な日本語なら「カエサルのものはカエサルに返しなさい」「公的義務と信仰・良心を区別せよ」と表せます。税など公的な義務と、信仰や良心に関わる領域を分けて考えるという景色が中心です。
| 英語 | 基本イメージ |
|---|---|
| Render unto Caesar the things that are Caesar’s | Caesarの領域/神・良心の領域を区別する |
render は「描写する」だけでなく「返す、引き渡す、与える」の意味があります。unto は古風な to、Caesar はローマ皇帝を指す称号として使われています。things that are Caesar’s は「カエサルに属するもの」です。
なぜこの意味になる?単語と文の組み立て
- render:ここでは返す、差し出す。
- unto:古風・聖書調の to。
- Caesar:ローマ皇帝、転じて世俗の公権力。
- the things that are Caesar’s:カエサルに属するもの。
命令文なので主語 you は省略されています。完全な引用では and unto God the things that are God’s と続きます。二つの領域を対にすることで、単純な服従ではなく「何が誰に属するか」を問い返す構造です。
ネイティブが感じるニュアンス
宗教、政治、税、公共の義務を論じる重い響きがあります。現代では「それぞれの正当な領域に返す」「功績を正しく帰属させる」という広い比喩として使われることもあります。
聖書の引用なので、信仰を持つ相手には特別な重みがあります。政治的主張に利用すると解釈が分かれるため、背景を一言説明するのが誠実です。

自然に使える場面
聖書表現の解説、税と信仰、政教関係、組織と個人の良心、責任や功績の帰属を論じる場面です。
使うときに注意したい場面
あらゆる権力への無条件服従を命じる短いスローガンとして使うと、原文の対比を失います。相手の信仰を決めつける使い方も避けます。
よく使われる形と文法
引用では Render unto Caesar the things that are Caesar’s, and unto God the things that are God’s. が完全形です。短縮形 Render unto Caesar … だけでも文化的に通じます。
- Render unto Caesar the things that are Caesar’s.
カエサルに属するものはカエサルに返しなさい - Give Caesar what belongs to Caesar.
カエサルに属するものをカエサルに与えなさい - We should separate public duty from private conscience.
公的義務と個人の良心を分けて考えるべきです
Caesar’s のアポストロフィは所有を示します。Caesars と書くと複数形になってしまいます。unto は日常英語で自由に使う語ではなく、引用の格調を保つ語です。
場面別の自然な例文
- The phrase comes from a discussion about paying taxes.
この表現は納税をめぐる議論に由来します。 - Render unto Caesar the things that are Caesar’s.
カエサルのものはカエサルに返しなさい。 - The full quotation also refers to what belongs to God.
完全な引用は、神に属するものにも言及します。 - It does not settle every modern political question.
現代のあらゆる政治問題を解決する一文ではありません。 - We must understand the historical context.
歴史的な文脈を理解しなければなりません。 - She used the phrase while discussing church and state.
彼女は政教関係を論じる際にその表現を使いました。 - Public rules and private beliefs can come into tension.
公的規則と個人の信念は緊張関係になることがあります。 - Give credit where it is due.
功績は正当に認めましょう。 - The quotation sounds formal and weighty.
この引用は格調高く重々しく聞こえます。 - He explained what unto means before reading the passage.
彼はその一節を読む前に unto の意味を説明しました。 - A slogan can hide the complexity of the original.
スローガンは原文の複雑さを隠すことがあります。 - The central question is what belongs in each sphere.
中心的な問いは、何が各領域に属するかです。
短い会話で使い方を確認
A: Does this verse simply mean we must obey every ruler?
(この節は、どんな支配者にも従えという意味なの?)
B: Not simply. “Render unto Caesar” distinguishes Caesar’s claims from what belongs to God.
(単純には違うよ。「カエサルに返せ」は、カエサルの要求と神に属するものを区別しているんだ。)
Bは短い服従命令として処理せず、完全な引用の対比を説明しています。
似た表現との違い
| 表現 | 違い |
|---|---|
| Give credit where credit is due. | 功績を正しく認める一般表現。宗教・政治の領域分けとは異なります。 |
| Separation of church and state. | 政教分離という近代的な制度概念。聖句そのものと同義ではありません。 |
| The powers that be. | 現存する権力者・当局を指す別の聖書由来表現です。 |
日常的に責任の範囲を分けたいだけなら This is the government’s responsibility, and that is a personal choice. のように具体化するほうが明確です。
日本人が間違えやすいポイント
- 単語の意味:render を「絵として描く」と限定しないで、ここでは返す・差し出すと理解します。
- ニュアンス:引用前半だけで無条件服従を意味すると断定せず、後半との対比を確認します。
- 使う相手:宗教的・政治的に重い表現なので、軽い冗談に使う場合も相手と場面を選びます。
出てこないときの「しゅみすけ式」簡単英語
ことわざを思い出すことより、意図を分かりやすく伝えることが優先です。中学英語中心なら次のように言えます。
- Give the government what the law requires.
法律が求めるものを政府に納めなさい。 - Keep public duties and personal beliefs separate.
公的な義務と個人の信念を分けて考えなさい。 - We need to decide what belongs in each area.
何がそれぞれの領域に属するか決める必要があります。
この3文は解釈の一例を平易に示します。宗教的な文脈では、完全な引用と出典を確認するのが望ましいでしょう。
しゅみすけ(大山俊輔)
背景を知ると「無条件に従え」ではない理由が分かる
この言葉が出てくる場面では、納税を認めるか否かという罠のような質問が置かれています。硬貨に刻まれた像と銘を確認したうえで、カエサルに属するものと神に属するものを対にして答えます。したがって、前半だけを「国家の要求にはすべて従え」と読むと、後半が設ける別の忠誠・良心の領域を落としてしまいます。
現代の政策へどこまで当てはめられるかについては、宗派や研究者で解釈が異なります。英語学習の記事として重要なのは、引用が議論を一発で終わらせる答えではなく、二つの claims「要求・権利主張」の境界を考えさせる言葉だと知ることです。“People interpret the boundary differently.” と補えば、解釈の幅を認められます。
render の現代的な用法
render は法律・公的文章で “render assistance”「援助を与える」、 “render a decision”「判断を下す」と使われます。ITでは画像を画面に描画する意味もあります。多義語ですが、共通するのは、ある状態・結果・物を相手に差し出す感覚です。引用では「属するものを返す」が中心です。
まとめ
Render unto Caesar the things that are Caesar’s は、世俗の権力に属する義務と、神・良心に属する事柄を区別する聖書由来の表現。大切なのは、前半だけを切り取らず、二つの領域の対比を読むことです。まずは簡単な言い換えを使い、ことわざは文脈に合うときに一言添えてみてください。
関連表現は、英語のことわざ一覧と英熟語・定型表現の親記事からも探せます。










