
友人とのけんか、家族との長いわだかまり、職場の対立を終わらせたい。そんなとき英語では bury the hatchet という印象的なイディオムが使われます。直訳は「手おのを埋める」ですが、現代の会話では「争いをやめる」「過去の対立を水に流して仲直りする」という意味です。
単に謝ることとも、表面的に会話を再開することとも少し違います。両者が敵対する姿勢をやめ、先へ進もうとするところに、この表現の中心があります。意味のイメージ、よく使う文型、自然な例文、make up や patch things up との違いまで詳しく見ていきましょう。
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bury the hatchetの基本的な意味
bury the hatchet は、「争いを終わらせる」「仲直りする」「対立を水に流す」という意味です。hatchet は片手で使う小型のおのを指します。争うための道具を地中へ埋め、もう使わない状態にする、と考えると意味をつかみやすくなります。
- bury:埋める、葬る
- the hatchet:その手おの、争いの象徴
日本語では「矛を収める」に近い発想です。実際の会話で武器を埋めるわけではなく、怒り、敵意、古い対立を手放す比喩として使います。
なお、この言葉の由来については、北米先住民の和平の慣習と結びつけて説明されることがあります。ただし、英語学習では細かな由来を断定して覚えるより、「争いの道具をしまい、対立を終える」という現代の比喩を理解するほうが実用的です。
しゅみすけ(大山俊輔)
ネイティブが感じるニュアンス
この表現には、以前に本当の対立や不仲があったという前提があります。意見が少し違うだけの場面より、けんかをした、競争関係で敵対していた、長く口をきいていなかった、といった場面に合います。
また、問題が完全に解決したことよりも、「これ以上争わないと両者が決めること」に焦点があります。過去の出来事を忘れたわけでも、すべてに同意したわけでもありません。それでも敵対を終え、関係を前へ進めようとするのです。
It’s time to bury the hatchet. は、「そろそろ仲直りしよう」「もう争いは終わりにしよう」という提案です。少しドラマチックですが、日常会話でも仕事でも使えます。温かい調子なら和平の申し出になり、いら立った調子なら「もういい加減に争いをやめよう」という催促にもなります。
よく使われる形・語順・文法
bury the hatchet
もっとも基本的な形です。the を落とさず、hatchet は通常単数形にします。
After years of arguing, the brothers finally buried the hatchet.
何年も言い争った末、兄弟はついに仲直りしました。
bury the hatchet with 人
誰と仲直りするかは with で続けます。
I want to bury the hatchet with Naomi before the wedding.
結婚式の前にナオミと仲直りしたいです。
bury the hatchet over/about 問題
何をめぐる争いかを示すなら over が特に自然です。about も使われます。
The two teams buried the hatchet over the old scheduling dispute.
二つのチームは、以前のスケジュールをめぐる対立を終わらせました。
be willing/ready to bury the hatchet
仲直りする意思や準備があることを表します。
I’m ready to bury the hatchet if you are.
あなたにその気があるなら、私も争いを終わらせる準備ができています。
場面別の自然な例文
友人とのけんか
A: We haven’t spoken since our trip.
旅行以来、私たちは話していないね。
B: I know. Why don’t we bury the hatchet and start over?
そうだね。仲直りして、もう一度やり直さない?
A: I’d like that. I’m sorry for what I said.
そうしたい。あんなことを言ってごめんね。
start over を続けると、対立を終わらせるだけでなく、新しい関係を築く意志も伝えられます。
恋愛・家族関係
My sisters buried the hatchet for our mother’s birthday.
姉妹は母の誕生日をきっかけに仲直りしました。
We don’t have to agree on everything, but we should bury the hatchet.
すべてに同意する必要はないけれど、争いは終わらせるべきです。
この例のように、bury the hatchet は「意見が一致する」ことを意味しません。違いを残したままでも、敵意を手放すことはできます。
職場での対立
The sales and design teams need to bury the hatchet before the launch.
発売前に、営業チームとデザインチームは対立を終わらせる必要があります。
Let’s bury the hatchet and focus on fixing the customer’s problem.
いがみ合うのはやめて、お客様の問題を解決することに集中しましょう。
仕事では、個人的なけんかだけでなく、部署間の対立や以前の競争を終える場面にも使えます。ただし、正式な文書では resolve the conflict や move past our disagreement のほうが落ち着いた表現です。
競争相手との関係
The former rivals buried the hatchet and opened a shop together.
かつてのライバル同士は和解し、一緒に店を開きました。
They shook hands, but I’m not sure they’ve really buried the hatchet.
二人は握手しましたが、本当に和解したかどうかは分かりません。
握手や謝罪は行動の一つですが、bury the hatchet は敵対関係そのものを終えることを表します。そのため、表面的な和解を疑う文でも使えます。
bury the hatchet・make up・patch things upの違い

bury the hatchet
以前からある争いや敵意を終わらせることに焦点があります。長期の不仲、グループ間の対立、元ライバルなど、やや大きな対立にもよく合います。
Can we bury the hatchet and work together?
対立を終わらせて、一緒に仕事をしませんか。
make up
けんかのあとに「仲直りする」という、もっとも日常的で幅広い表現です。友人、恋人、家族の比較的小さなけんかにも自然です。
Jake and Mia made up after lunch.
ジェイクとミアは昼食後に仲直りしました。
make up with 人 の形も使えます。なお、make up には「作り上げる」「埋め合わせる」「化粧する」など別の意味もあるため、文脈で判断します。
patch things up
傷んだものを継ぎ当てするイメージから、「悪化した関係を修復する」です。完全に元どおりとは限らなくても、話し合って関係を改善する過程を感じさせます。
They’re trying to patch things up after the argument.
二人は口論のあと、関係を修復しようとしています。
過去を完全に忘れて前へ進む感じなら bury the hatchet、日常的なけんかの仲直りなら make up、壊れかけた関係の修復なら patch things up と整理できます。また「過ぎたことは過ぎたこと」と受け入れる表現は、let bygones be bygonesの意味と使い方も参考になります。
日本人が間違えやすいポイント
theをaに変えない
定型表現は bury the hatchet です。通常は a hatchet や無冠詞の bury hatchet にはしません。ひとかたまりで覚えましょう。
「問題を隠す」意味ではない
bury から「問題を隠蔽する」と連想しやすいのですが、このイディオムの目的は対立を終えることです。問題を話し合わず押し込める、という意味を直接表すわけではありません。
一人だけの決断にも、相互の和解にも使える
多くの場合は両者の和解ですが、I’m ready to bury the hatchet. のように、自分が敵意を手放す意思だけを伝えることもできます。相手も同意したかどうかは文脈次第です。
謝罪そのものとは区別する
apologize は謝る行為、forgive は許すこと、bury the hatchet は争いを終えることです。仲直りには謝罪や許しが伴うことが多いものの、同じ意味ではありません。
しゅみすけ式:簡単な英語で言い換えるなら
イディオムが出てこないときは、争いを終える意思を直接伝えれば十分です。
- Let’s stop fighting.
けんかをやめましょう。 - Let’s be friends again.
また仲良くしましょう。 - I don’t want to argue anymore.
もう言い争いたくありません。 - Let’s forget the past and move on.
過去のことは忘れて、前へ進みましょう。 - Can we start over?
やり直せますか。
しゅみすけ(大山俊輔)
会話で使うときの実践ポイント
まず It’s time to bury the hatchet. をそのまま覚えると便利です。「もう争いを終える時だ」という意味で、自分と相手の両方へ働きかけられます。
より柔らかく提案するなら、疑問形にします。
Do you think we could bury the hatchet?
私たち、仲直りできると思いますか。
How about we bury the hatchet and have dinner?
仲直りして、一緒に夕食を食べるのはどうですか。
相手がまだ強く傷ついている場面では、イディオムだけで済ませず、具体的な謝罪を先に置くほうが自然です。
I’m sorry I ignored your concerns. I hope we can bury the hatchet.
あなたの心配を無視してしまってごめんなさい。仲直りできればと思っています。
まとめ
bury the hatchet は、「争いを終わらせる」「過去の対立を水に流して仲直りする」というイディオムです。争いの道具である hatchet を埋め、もう使わないイメージを持つと意味を忘れにくくなります。
日常的なけんかの仲直りを広く表す make up、傷んだ関係を修復する過程を表す patch things up と比べ、bury the hatchet は敵意や長く続いた対立を終える決断に焦点があります。
まずは It’s time to bury the hatchet. と、簡単な言い換え Let’s stop fighting. をセットで覚え、家族、友人、職場の和解の場面で使い分けてみてください。










