
ルール違反やごまかしが一度見逃されると、「次も大丈夫」と思ってしまうことがあります。しかし、運は永遠には続きません。その累積リスクを、井戸へ運ばれる水差しで表す古いことわざです。
The pitcher goes so often to the well that it is broken at last は、危険なことを何度も続ければ、最後には失敗や破滅に至るという英語のことわざです。最初に結論を言うと、一度うまくいったことを安全だと思い込み、同じリスクを重ねる人への警告です。日本語訳だけを丸暗記するより、文の景色と話し手の気持ちを一緒に押さえると、聞いたときにも使うときにも迷いにくくなります。
しゅみすけ(大山俊輔)
Contents
The pitcher goes so often to the well that it is broken at last の意味
自然な日本語では「水差しも何度も井戸へ行けば最後には割れる」「危ない橋を何度も渡れば、いつか失敗する」などと訳せます。ことわざなので一語ずつ機械的に置き換えるより、水差しが何度も井戸へ運ばれ、少しずつ傷み、最後に割れるという状況を思い浮かべるのがポイントです。
| 英語 | 基本イメージ |
|---|---|
| The pitcher goes so often to the well that it is broken at last | 反復する危険 → 損傷の蓄積 → 最終的な失敗 |
pitcher はここでは野球の投手ではなく、水を入れる「水差し」です。goes so often … that … は「とても何度も行くので、その結果…」という結果構文です。at last は「ついに、最後には」を表します。
なぜこの意味になる?単語と文の組み立て
- the pitcher:壊れ得る陶器の水差し。
- goes to the well:井戸へ水をくみに行く。
- so often that:あまりに頻繁なので、その結果。
- is broken:壊される、割れる。受け身です。
- at last:繰り返しの末、ついに。
無生物の pitcher が goes となるのは、実際には人が運んでいても、ことわざが水差しを主役に描くためです。that 以下は頻度の結果を示し、警告の結論になっています。
ネイティブが感じるニュアンス
「今回は見つからなかった」「前回も平気だった」という油断に対する厳しい警告です。特に不正、危険な習慣、無理な働き方など、反復が問題を大きくする場面に合います。
やや古風で長いため、現代会話では引用として使われることが多い表現です。相手を責めるより、自分たちのリスク管理を見直すために使うと建設的です。

使いやすい場面
無断利用、経費のごまかし、徹夜、危険運転、セキュリティ手順の省略など、幸運に依存した反復を止めたい場面です。
避けたほうがよい場面
一度の小さな失敗を大げさに責めるためには向きません。反復や蓄積が本当にあるかを確認して使います。
よく使われる形と文法
原形が長いので The pitcher will go to the well once too often. という変種もあります。いずれも「ある一回が限界を超える」という意味です。
- The pitcher goes so often to the well that it is broken at last. — 危険を繰り返せば最後には破綻する
- He’ll go to the well once too often. — 彼もいつか同じ無理をして失敗するだろう
- You can’t rely on luck forever. — 永遠に運を当てにはできない
so … that の that を省略したくなりますが、長い基本形では残すと関係が分かりやすくなります。broken は自然に壊れた状態だけでなく、運搬中に割られる受け身の結果も含みます。
場面別の自然な例文
- He has lied to the client three times already.
彼はすでに顧客へ3回うそをついています。 - The pitcher goes so often to the well that it is broken at last.
危険を何度も重ねれば、最後には失敗します。 - Skipping backups worked until the server failed.
バックアップを省いても平気でしたが、サーバーが故障するまでの話でした。 - We cannot depend on luck every month.
毎月、運に頼ることはできません。 - One day the shortcut will cause a serious error.
いつかその近道が重大なミスを起こします。 - She kept driving when she was exhausted.
彼女は疲れ切っていても運転を続けました。 - A small crack can grow over time.
小さなひびも時間とともに大きくなります。 - Repeated risks are still risks.
繰り返しても、リスクはリスクです。 - Let’s fix the process before something breaks.
何かが壊れる前に手順を直しましょう。 - Getting away with it once proves nothing.
一度うまく逃れたことは、何の証明にもなりません。
短い会話で使い方を確認
A: We saved time by skipping the safety check again.
(また安全確認を省いて時間を節約したよ。)
B: That luck won’t last. The pitcher goes so often to the well that it is broken at last.
(その幸運は続かないよ。危険を繰り返せば、最後には破綻する。)
Bは一回の結果ではなく、反復によって事故の可能性が積み上がる点を指摘しています。
似た表現との違い
| 表現 | 違い |
|---|---|
| If you play with fire, you’ll get burned. | 危険な行為には悪い結果が伴うという、より短く一般的な警告です。 |
| You can’t push your luck forever. | 幸運の限界を試し続けるな、という現代的な口語です。 |
| Once bitten, twice shy. | 一度失敗した人が次は慎重になる、という経験後の反応です。 |
日常会話なら Don’t push your luck. が短く自然です。このことわざは、反復による摩耗や累積を強く映像化します。
日本人が間違えやすいポイント
- 直訳だけで判断しない:pitcher を「投手」と訳さず、井戸と組み合わさる水差しだと判断します。
- 強さと相手を選ぶ:相手を犯罪者扱いするような文脈では、事実関係に慎重になります。
- 説明なしで連発しない:長い形が出てこなければ無理に再現せず、You can’t rely on luck forever. と言います。
出てこないときの「しゅみすけ式」簡単英語
ことわざを完璧に思い出せなくても、言いたい内容が伝われば会話は成立します。次のような中学英語中心の文にほどいてみましょう。
- You can’t be lucky every time.
毎回幸運ではいられません。 - If you keep taking risks, something will go wrong.
危険を冒し続ければ、何かがうまくいかなくなります。 - Let’s stop before we have a serious problem.
深刻な問題になる前に止めましょう。
原因、反復、提案を分けて言えば、ことわざより具体的に行動を促せます。
しゅみすけ(大山俊輔)
このことわざが示す「累積リスク」の考え方
危険な行為を一度して事故が起きなかったとしても、その行為が安全だと証明されたわけではありません。一回あたりの失敗確率が小さくても、回数が増えれば失敗に出会う機会は増えます。水差しのひびは目に見える場合もあれば、信頼、健康、システムの余裕のように見えにくい場合もあります。ことわざの強みは、その蓄積を「井戸への往復」と「最後の破損」で見せる点です。
職場で応用するなら、個人を責める前に仕組みを確認します。“Why do people keep skipping this step?” と尋ね、手順が複雑すぎる、時間が足りない、責任者が不明といった原因を探します。そして “Let’s make the safe process easier.” と改善へ進みます。警告だけでは行動は変わりにくく、安全な選択をしやすい設計が必要です。
so … that の応用
この構文は結果を示します。“He was so tired that he fell asleep.” は「とても疲れていたので眠ってしまった」。“The pitcher goes so often … that …” も同じで、頻度を示す often が so と結びつき、その結果として破損が起きます。長いことわざも基本文法で読めます。
長い英文を三つに切る
音読では “The pitcher goes so often to the well / that it is broken / at last.” と三つに分けます。最初に反復、次に結果、最後に長い時間の末という順番です。主語を a person、行為を keeps taking the same risk に置き換えてから元の比喩へ戻ると、語順を保ったまま意味を思い出せます。
まとめ
The pitcher goes so often to the well that it is broken at last は、同じ危険を繰り返すと運が尽き、最後には破綻するという警告。大切なのは、ことわざらしい格好よさよりも、累積するリスクを具体的な行動改善につなげることです。まずは簡単な言い換えを使い、表現が自然に出てくるようになったら一言添える感覚で使ってみてください。
ほかの表現も比べたい方は、英語のことわざ一覧と英熟語・定型表現の親記事もあわせてご覧ください。危険な行為への警告なら If you play with fire, you’ll get burned との違いも参考になります。










