
rob Peter to pay Paul は「一方を救うために他方を犠牲にする」という意味の英語イディオムです。単語を一つずつ訳すと「ピーターから奪ってポールに払う」となるため、初見では意味を推測しにくい表現でしょう。
この記事では、結論を先に示したうえで、直訳から意味をつかむ考え方、ネイティブが感じるニュアンス、自然な語順、日常・仕事で使える例文、似た表現との違い、日本人が注意したい点まで詳しく解説します。最後には、イディオムが出てこないときに中学英語で言い換える「しゅみすけ式」も紹介します。
Contents
rob Peter to pay Paulの意味を先に確認
rob Peter to pay Paul の中心的な意味は、「一方を救うために他方を犠牲にする」です。もう少し具体的にいうと、問題を本当に解決せず、ある人・予算・期限の負担を別のところへ移すという場面で使います。
辞書の日本語訳だけでは使用範囲が広く見えますが、この表現には「批判的で、目先の帳尻合わせを指摘する響き」があります。したがって、単に事実を説明するだけでなく、話し手の評価や感情も伝わります。
しゅみすけ(大山俊輔)
直訳から実際のニュアンスを理解する

直訳は「ピーターから奪ってポールに払う」
語句をそのまま並べると「ピーターから奪ってポールに払う」です。イディオムでは、直訳を日本語として完成させるより、そこにある動き・対比・結果を映像として捉えることが大切です。
実際には「一方を救うために他方を犠牲にする」
直訳の場面から、問題を本当に解決せず、ある人・予算・期限の負担を別のところへ移すという抽象的な意味へ広がっています。会話では、文字どおりの場面を説明しているのではなく、人の判断、態度、関係、仕事の進め方などを評価するために使われます。
rob Peter to pay Paulの背景・成り立ち
PeterとPaulは特定の人物ではなく、対になるありふれた名前です。古くから金銭や資源の付け替えを表す言い回しとして使われ、現代では予算・人員・時間の配分にも広がっています。
語源には複数説がある表現もあります。会話で使うために大切なのは、断定的な物語を暗記することではなく、現代英語で共有されるイメージと使用域を押さえることです。背景に歴史的な重みがある場合は、その重さに合う場面を選びましょう。
よく使われる形と文法
基本パターン
rob A to pay B / It is like robbing Peter to pay Paul
主語、時制、所有格は文脈に合わせて変えます。イディオムの核となる語順は保ちつつ、現在形・過去形・進行形・受け身などを自然に組み合わせます。
文のどこに置くか
多くの場合、be動詞の補語、一般動詞を中心とする述語、または like の後ろのまとまりとして使います。まず「誰が」「何を」「なぜ」を普通の英語で組み立て、その評価部分にこのイディオムを置くと語順が安定します。
使用域と強さ
批判的で、目先の帳尻合わせを指摘する響きです。友人同士では比喩の面白さが生きますが、仕事では相手の判断を批判する表現になり得ます。断定を弱めたいときは It may be …、It feels like …、We could be … のような枠を使うと穏やかです。
rob Peter to pay Paulの自然な例文
仕事・会議で使う例文
We cut the training budget to cover repairs, but that is robbing Peter to pay Paul.
修理費を賄うため研修費を削りましたが、それでは負担を付け替えているだけです。
Using another credit card to pay this bill is just robbing Peter to pay Paul.
この請求を別のカードで払うのは、借金を移しているだけです。
If we cancel one class to staff another, we may be robbing Peter to pay Paul.
一方の授業を休講にして別の授業へ人を回すと、単なる付け替えになるかもしれません。
She called the plan robbing Peter to pay Paul.
彼女はその案を「一方を救うため他方を犠牲にするもの」だと言いました。
That quick fix feels like robbing Peter to pay Paul.
その応急処置は問題を移しているだけに感じます。
We cannot keep robbing Peter to pay Paul every month.
毎月、負担の付け替えを続けるわけにはいきません。
会話で広げるコツ
例文を覚えるときは、表現だけを抜き出さず、理由や結果を一緒に言える形にしましょう。because、if、but を加えると、相手に意図が伝わりやすくなります。短い一文で評価を示し、次の文で具体的な事情を説明する話し方も自然です。
短い会話例
A: Do you think this is a real solution?
B: Not really. It feels like rob Peter to pay Paul.
A: So we should look at the bigger problem.
B: Exactly.
訳:
A:これは本当の解決策だと思いますか。
B:あまり思いません。一方を救うために他方を犠牲にするように感じます。
A:では、もっと大きな問題を見るべきですね。
B:そのとおりです。
このように、イディオムは結論や評価を短く示す役目を果たします。その後に平易な英語で理由を足せば、相手が表現を知らない場合にも会話が止まりません。
似た表現との違い
shift the problem は問題の移動を直接述べる中立的な説明です。borrow from A to pay B は実際の行動を述べます。rob Peter to pay Paul は「解決したように見えて全体では改善していない」という評価まで含みます。
どれを選べばよい?
比喩の絵や話し手の評価まで伝えたいなら rob Peter to pay Paul が効果的です。正確さを最優先する会議、英語学習者同士の会話、緊急時の説明では、意味を直接述べる一般語のほうが安全です。「難しい表現ほどよい」のではなく、相手と場面に合う表現を選ぶことが自然な英語につながります。
日本人が間違えやすいポイント
直訳どおりに使わない
本当に盗む場面だけの表現ではありません。また Peter や Paul を実在の人名に置き換えるのが基本形ではありません。定型句としてそのまま使います。
強さを考えずに相手へ向けない
イディオムは短いぶん、評価が鋭く聞こえることがあります。相手本人に向ける前に、事実を確認し、必要なら I think、It seems、may などで判断の余地を残しましょう。人ではなく plan、decision、situation、approach などを主語にすると、対立を避けやすくなります。
出てこない時の「しゅみすけ式」
rob Peter to pay Paul を思い出せなくても、伝えたい中身を二つに分ければ簡単な英語で十分に説明できます。まず何が起きているかを言い、次に話し手の評価や結果を足します。
We are only moving the problem.
まず意味を直接伝える短い言い方です。
This solves one problem but creates another.
状況を一文で説明する言い方です。
しゅみすけ(大山俊輔)
自分の会話で使えるようにする練習
主語を身近なものに変える
まず例文の主語を I、we、my boss、our plan、this rule などへ置き換えます。次に、自分が実際に経験した仕事、旅行、買い物、家族との会話を一つ選び、過去形で一文作ります。最後に「なぜそう思ったか」を because で足すと、暗記した例文が自分の発話へ変わります。
使う前に簡単な言い換えも言ってみる
最初に簡単な英語で意味を説明し、その後でイディオムに置き換える練習が効果的です。両方を往復できれば、相手が表現を知らないときにも言い直せます。理解語彙で終わらせず、短い状況説明とセットで声に出しましょう。
場面別の使い分けと注意
日常会話では状況を共有してから使う
家族や友人との会話では、相手が何について話しているか分かる状態で使うと自然です。突然イディオムだけを言うより、最初に具体的な出来事を一文で示し、その後に That is rob Peter to pay Paul. や It feels like rob Peter to pay Paul. と評価を加えます。比喩を知らない相手にも、前の文が意味の手掛かりになります。
仕事では人より判断や仕組みに焦点を当てる
職場で人を主語にすると、人格そのものを批判しているように聞こえる場合があります。this plan、the decision、our approach、the current system などを主語にすれば、問題を人から切り離して話せます。反対意見を述べるときは、I am concerned that … や Could this be …? と組み合わせると、結論を押し付けずに議論できます。
理解はできても無理に使わなくてよい
この種のイディオムは地域差・世代差があり、聞けば分かるものの、自分では頻繁に使わない話者もいます。映画、ニュース、小説で見かけたときに意味を取れることと、毎日の会話で積極的に使うことは別です。まず理解語彙として覚え、自然な場面に出会ったときだけ使えば十分です。
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ほかの表現も意味・場面・直訳イメージから整理したい方は、英熟語・定型表現の意味と使い方一覧をご覧ください。一覧から、同じ場面で使える表現や似たニュアンスの専門記事へ進めます。
まとめ
rob Peter to pay Paul は「一方を救うために他方を犠牲にする」を表すイディオムです。直訳は「ピーターから奪ってポールに払う」ですが、実際には問題を本当に解決せず、ある人・予算・期限の負担を別のところへ移すという評価を伝えます。ニュアンスは「批判的で、目先の帳尻合わせを指摘する響き」ため、相手・場面・強さを考えて使いましょう。
すぐに出てこなければ、We are only moving the problem. のように意味を直接伝えれば問題ありません。まず簡単な英語で通じる形を確保し、余裕が出てきたらイディオムを会話の味付けとして加えていきましょう。










