「よじ登る」は英語で?climb up・clamber up・scramble upの違い

「よじ登る」の英語表現climb up・clamber up・scramble upの使い分け

「壁をよじ登る」「岩場をよじ登る」のように、手足を使って上へ進む動作は、英語では場面によって表現が変わります。最も広く使えるのは climb up、不器用に苦労しながらよじ登るなら clamber up、急な斜面や岩場を手も使って登るなら scramble up が自然です。

壁や崖を「制覇する」ように登り切ることを強調するなら scale、腕で自分の体を引き上げる瞬間なら pull yourself up も使えます。「よじ登る」に英語を一語だけ当てはめず、どこを登るか、どんな登り方か、どこまで移動するかを見て選ぶのがポイントです。

英語表現 中心となる意味 よく合う場面
climb up 上へ登る一般的な表現 木、はしご、壁、丘
clamber up 手足を使い、不器用に苦労して登る 高い塀、家具、車、急な場所
scramble up 急斜面や岩場を手足で登る 岩山、崖、崩れやすい斜面
scale 難しい壁や崖を登り切る 城壁、高い塀、崖
pull yourself up 腕の力で体を引き上げる 縁、段差、ボート、ベッド

最も一般的な「よじ登る」はclimb up

climb は、手足を使って高い場所へ移動することを表す基本動詞です。単に「登る」と言いたいときにも、「よじ登る」の細かな動きを特に強調しないときにも使えます。up を加えると上方向への移動がはっきりします。

  • The child climbed up the tree to get the ball.
    その子はボールを取るために木をよじ登りました。
  • We had to climb up a steep hill to reach the hotel.
    ホテルへ行くには急な丘を登らなければなりませんでした。
  • He climbed up the ladder and checked the roof.
    彼ははしごを登り、屋根を確認しました。
  • Don’t climb up that wall. It isn’t safe.
    その壁をよじ登らないで。危ないですよ。

climb the treeclimb up the tree はどちらも可能です。climbだけでも上への動きを含みますが、upを入れると「上へ進んでいく」という方向がより見えやすくなります。日常会話ではどちらも自然です。

clamber upは「苦労して、不器用によじ登る」

clamber は、手と足の両方を使い、少しぎこちなく、苦労しながら移動する様子を表します。高い塀を必死によじ登る、荷物を抱えたまま車によじ登るといった場面に合います。climbよりも「楽には登れない」という語感が強い語です。

  • She clambered up the muddy bank.
    彼女はぬかるんだ土手を苦労してよじ登りました。
  • He clambered over the fence to get the ball back.
    彼はボールを取り戻すためにフェンスをよじ登って越えました。
  • We clambered onto the truck with all our bags.
    私たちは荷物を全部持ったまま、トラックによじ登りました。
  • The toddler clambered onto the sofa by himself.
    幼児は一人でソファによじ登りました。

clamberは日常的なclimbほど頻繁ではありませんが、動きの様子を生き生きと伝えられます。カジュアルな物語や旅行の体験談にも自然です。

scramble upは「急な岩場・斜面を手足で登る」

scramble には、手も使いながら急いで、あるいは必死に進む感じがあります。登山では、歩くだけでは難しい岩場を手も使って登る動作を表します。足場が不安定な斜面や、石が崩れやすい場所にもよく合います。

  • We scrambled up the rocky slope before sunset.
    私たちは日没前に岩だらけの斜面を手足で登りました。
  • She scrambled up the bank and reached the road.
    彼女は土手を必死によじ登り、道路へ出ました。
  • The hikers scrambled over the rocks.
    ハイカーたちは岩をよじ登って越えました。
  • I slipped while scrambling up the loose gravel.
    崩れやすい砂利道をよじ登っている途中で滑りました。

なお、scramble eggs は「卵をかき混ぜて炒る」、scramble for tickets は「チケットを奪い合う」という別の使い方です。「よじ登る」の意味では、up、over、ontoなどの方向語や、rocks、slope、bankなどの場所を表す語が手がかりになります。

しゅみすけ(大山俊輔)

clamberとscrambleはどちらも手足を使いますが、clamberは「ぎこちなさ・苦労」、scrambleは「急な岩場や斜面を進む動き」に注目します。迷ったら、まずclimb upで十分伝わります。

よじ登るを表すclimb up・clamber up・scramble upの違いを示す比較イラスト

壁・崖を登り切るならscale

scale は高い壁、塀、崖などの難しい障害物を登り切ることを表します。ニュース、報告、冒険の描写などで使われ、climbよりフォーマルで劇的です。目的語を直接取る他動詞なので、通常は scale the wall とし、scale up the wall とは言いません。

  • The rescue team scaled the cliff to reach the injured climber.
    救助隊は負傷した登山者のもとへ行くため崖を登りました。
  • Someone tried to scale the fence at night.
    夜中に誰かがフェンスをよじ登ろうとしました。
  • They scaled the castle wall using ropes.
    彼らはロープを使って城壁を登り切りました。

ビジネスで使う scale up the business は「事業を拡大する」という別の意味です。物理的な「よじ登る」ではscaleの直後にwallやcliffなどを置きます。

腕で体を引き上げるならpull yourself up

登る道のり全体ではなく、縁をつかんで体をぐっと上げる瞬間を言いたいなら pull yourself up が自然です。再帰代名詞は主語に合わせてmyself、yourself、himself、herself、ourselves、themselvesと変えます。

  • I grabbed the edge and pulled myself up.
    私は縁をつかみ、体を引き上げました。
  • He pulled himself up onto the boat.
    彼は腕の力でボートによじ登りました。
  • Can you pull yourself up onto the top bunk?
    上段ベッドへ自力でよじ登れますか。

up・onto・overの使い分けと語順

日本語ではすべて「よじ登る」と言えても、英語では移動の終点を方向語で示します。

注目する動き
climb / clamber / scramble up + 場所 上方向へ進む scramble up the slope
clamber / climb onto + 物 物の上に乗る clamber onto the roof
clamber / climb over + 障害物 越えて反対側へ行く clamber over the fence
climb + 目的語 その場所を登る climb the wall
scale + 目的語 難所を登り切る scale the cliff

たとえば He climbed the fence. はフェンスを登った事実を表します。He climbed over the fence. なら、フェンスを越えて反対側へ行ったところまで伝わります。He climbed onto the fence. はフェンスの上に乗ったという意味です。

自動詞・他動詞としての考え方

climbは、climb the tree のように目的語を直接置くことも、climb up the tree のように方向を添えることもできます。clamberとscrambleは、よじ登る意味では通常、up、onto、overなどと組み合わせて移動経路を示します。一方、scaleは scale the wall のように目的語を直接取ります。

  • 自然:She climbed the tree.
  • 自然:She climbed up the tree.
  • 自然:She clambered up the tree.
  • 自然:She scaled the wall.
  • 不自然:She scaled up the wall.(物理的に登る意味ではupは不要)

日常会話と仕事で表現はどう変わる?

日常会話では、細かな様子を描写する必要がなければclimbが最も分かりやすい選択です。旅行や登山の話で岩場の険しさを伝えるならscramble、子どもや大人が何かへ苦労して乗る様子ならclamberが役立ちます。

仕事の場面では、物理的な安全報告なら具体的な動詞を使います。ただし、組織や役職について「上へ行く」と言うときは別の慣用表現が自然です。

  • A worker climbed onto the platform without a safety harness.
    作業員が安全帯なしで足場によじ登りました。
  • The intruder scaled the perimeter fence.
    侵入者は敷地外周のフェンスをよじ登りました。
  • She climbed the corporate ladder quickly.
    彼女は会社で急速に出世しました。
  • We need to scale up production next month.
    来月、生産を拡大する必要があります。

climb the corporate ladder は「出世階段を上る」、scale up は「規模を拡大する」です。物理的な動作の記事で覚えた単語を、仕事の比喩へそのまま当てはめないようにしましょう。

日本人が間違えやすいポイント

go upだけでは「よじ登る」動作が見えにくい

go up は「上へ行く」という結果や方向を表せますが、手足を使って登る様子までは含みません。階段やエレベーターで上がる場合にも使えるため、動作を伝えたいならclimbを選びます。

  • We went up to the roof.
    私たちは屋上へ上がりました。
  • We climbed up to the roof.
    私たちは屋上へよじ登りました。

「必死」をalways desperatelyにしない

日本語の「必死によじ登った」を直訳して climbed desperately とするより、動き自体に苦労や勢いを含むclambered、scrambledを使うほうが簡潔で自然なことがあります。

乗り物にはget into / get ontoも使う

高い車へ苦労して乗る様子ならclamber into the truckが合いますが、普通に車へ乗るだけなら get into the car、バスや電車なら get on the bus/train が自然です。「乗る」をすべてclimbにしないことが大切です。

「よじ登る」が出てこないときの簡単な言い換え【しゅみすけ式】

clamberやscrambleを思い出せなくても、基本動詞のclimb、go、use、pullを使って動作を分ければ伝えられます。

  • I climbed the wall using my hands and feet.
    手と足を使って壁を登りました。
  • The hill was very steep, so I used my hands too.
    丘がとても急だったので、手も使いました。
  • I went up slowly because the rocks were loose.
    石が崩れやすかったので、ゆっくり上へ進みました。
  • I held the edge and pulled my body up.
    縁をつかみ、体を上へ引き上げました。
  • He got over the fence with some difficulty.
    彼は苦労しながらフェンスを越えました。

一文で完璧に訳す必要はありません。It was steep. I used my hands and feet to go up.(急でした。手足を使って上へ行きました)のように二文へ分ければ、特殊な動詞なしでも映像が伝わります。

しゅみすけ(大山俊輔)

難しい単語が止まってしまったら、「上へ行った」「手足を使った」「足場が悪かった」と小さく分けてください。知っている基本動詞だけでも、よじ登る様子は十分説明できます。

場面別の自然な例文

家庭・暮らし

  • My cat climbed up the curtain.
    うちの猫がカーテンをよじ登りました。
  • My son clambered onto my bed early this morning.
    今朝早く、息子が私のベッドによじ登ってきました。

海外旅行・アウトドア

  • We scrambled up the last rocky section to see the sunrise.
    日の出を見るため、最後の岩場を手足で登りました。
  • I didn’t feel safe enough to scale the cliff.
    その崖を登るのは安全だと思えませんでした。

学校・人間関係

  • The kids clambered over the playground wall.
    子どもたちは遊び場の壁をよじ登って越えました。
  • He helped me pull myself up onto the ledge.
    彼は私が岩棚へ体を引き上げるのを手伝ってくれました。

似た表現との違い

  • crawl:四つんばいで進む。「上へ登る」は中心ではありません。
  • creep:低い姿勢や忍び足でゆっくり進むことを表します。
  • hike:自然の中を長い距離歩くことで、手足でよじ登る動作そのものではありません。
  • mount:馬、自転車、台などに乗るフォーマルな表現です。
  • ascend:「上昇する・登る」というフォーマルな語で、よじ登る方法は表しません。

関連する英語表現

登り方だけでなく、英語が「動き」と「方向」をどう組み合わせるか知りたい方は、英語の移動表現と「様態・経路」の考え方も参考になります。登山・ハイキングの言葉を整理したい場合は、hiking・trekking・climbingの違いもあわせてご覧ください。

FAQ

「木をよじ登る」は英語で何と言いますか?

一般的には climb up a tree または climb a tree です。苦労してぎこちなく登る様子ならclamber up a treeも使えます。

climb upとclamber upの違いは何ですか?

climb upは一般的な「上へ登る」です。clamber upは手足を使い、楽ではない姿勢で苦労して登る様子まで含みます。

scramble upは急いで登るという意味ですか?

速さが感じられることもありますが、岩場や急斜面を手も使って登ることが中心です。必ずしも競争のように速く登るとは限りません。

まとめ

  • climb up:上へ登る最も一般的な表現
  • clamber up:手足を使い、不器用に苦労してよじ登る
  • scramble up:急な岩場や斜面を手も使って登る
  • scale:壁や崖などの難所を登り切る
  • pull yourself up:腕で自分の体を引き上げる

迷ったときはclimb upを基本にし、「苦労してぎこちない」ならclamber up、「急な岩場・斜面」ならscramble upと整理しましょう。さらにup、onto、overで移動の終点を示すと、英語らしい具体的な表現になります。

この記事を書いた人
しゅみすけ(大山俊輔)

b わたしの英会話および英語コーチングGRIT/be:RIZE代表。米国MBA取得、外資系企業4社での勤務経験を持ち、これまで多くの大人の英語学習を支援。日本語と英語の処理構造の違いに着目した「英語OS」の考え方をもとに、独学で伸び悩む人の学び直しをサポートしています。

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