cut the mustardの意味は?否定形の使い方とcut itとの違い

cut the mustardの意味・使い方・ニュアンスと合格水準を表すイラスト

新しい企画や商品について、「悪くはないけれど、求めている水準には届いていない」と言いたいことがあります。そんな評価を英語らしく表せるイディオムが cut the mustard です。

直訳は「マスタードを切る」ですが、実際には「要求される基準を満たす」「期待に応える」という意味です。特に doesn’t cut the mustard(基準を満たしていない)のような否定形でよく使われます。

cut the mustardの意味

cut the mustard は、人・物・計画・能力などが必要な水準に達する、十分に通用する、期待どおりの働きをすることを表します。

  • This software cuts the mustard for basic tasks.
    このソフトは基本的な作業なら十分に使えます。
  • His first proposal didn’t cut the mustard.
    彼の最初の提案は、求められる水準に達していませんでした。

単にgoodかbadかを評価するだけでなく、ある目的や基準に対して十分かを見る表現です。そのため、仕事の成果、製品の性能、応募者の能力、料理の出来など、幅広い対象に使えます。

しゅみすけ(大山俊輔)

cut the mustardは「最高である」という意味ではありません。「必要なラインは超えている」という合格判定に近い表現です。

直訳「マスタードを切る」からどう考える?

単語どおりなら cut は「切る」、mustard は「マスタード」です。しかし、現代の会話でこの二語を文字どおりに解釈しても、「基準を満たす」という意味にはつながりません。cut the mustard全体で一つのイディオムとして覚える必要があります。

cut the mustardの直訳「マスタードを切る」と実際の意味「求められる水準を満たす」の解説図

  • 直訳:マスタードを切る
  • 実際の意味:求められる水準を満たす・十分に通用する

この表現の由来については複数の説があり、一つに確定していません。「mustard=優れたもの」という古い用法との関連などが考えられていますが、学習上は不確かな語源を無理につなげず、meet the required standard の意味を表す定型表現として覚えるのが安全です。

よく使うのは否定形doesn’t cut the mustard

cut the mustardは肯定形でも使えますが、実際には「十分ではない」と批評する否定形が目立ちます。

doesn’t cut the mustard

A cheap microphone won’t cut the mustard for professional recording.
安いマイクでは、プロの録音に必要な水準を満たせません。

Saying “I’ll try harder” doesn’t cut the mustard anymore.
「もっと頑張ります」と言うだけでは、もう十分ではありません。

didn’t cut the mustard

The sample looked nice, but it didn’t cut the mustard in the durability test.
試作品は見た目は良かったものの、耐久試験では基準に届きませんでした。

will / should cut the mustard

This laptop should cut the mustard for online lessons.
このノートパソコンなら、オンラインレッスンには十分使えるはずです。

The revised plan will cut the mustard if we reduce the cost.
費用を抑えれば、修正版の計画は基準を満たすでしょう。

文法と語順

基本形は 主語+cut+the mustard です。目的語をmustardの後ろに置くことはありません。

  • 現在形:This design cuts the mustard.
  • 否定形:This design doesn’t cut the mustard.
  • 過去形:This design didn’t cut the mustard.
  • 未来・予測:This design should cut the mustard.

主語が三人称単数なら cuts、過去形は cut のままです。ただしdidを使う否定文では原形になります。

  • It cuts the mustard.
  • It didn’t cut the mustard.
  • × It didn’t cutted the mustard.
  • × It didn’t cuts the mustard.

場面別の自然な例文

仕事・企画

The presentation was clear, but the data didn’t cut the mustard.
プレゼンは分かりやすかったのですが、データは十分な水準ではありませんでした。

We need a stronger proposal. This one won’t cut the mustard with the client.
もっと説得力のある提案が必要です。これでは顧客には通用しません。

Her revised report finally cut the mustard.
彼女の修正版の報告書は、ようやく必要な水準に達しました。

商品・サービス

The camera is affordable, but does it cut the mustard in low light?
そのカメラは手頃ですが、暗い場所でも十分な性能を発揮しますか。

The free plan cuts the mustard for occasional users.
無料プランは、ときどき使う人には十分です。

学校・学習

Memorizing the answers won’t cut the mustard in a speaking test.
答えを暗記するだけでは、スピーキング試験には通用しません。

Your vocabulary is good, but accuracy also has to cut the mustard.
語彙力はありますが、正確さも必要な水準に達しなければなりません。

家庭・暮らし

This small heater doesn’t cut the mustard in the middle of winter.
この小さなヒーターでは、真冬には力不足です。

For a quick weekday dinner, this recipe cuts the mustard.
平日の手早い夕食なら、このレシピで十分です。

cut itとの違い

cut it にも「十分な能力がある・要求に応えられる」という意味があります。意味は非常に近いですが、cut itのほうが短く、口語的です。

表現 ニュアンス
cut the mustard ある基準・目的に照らして十分である。少し古風でユーモラスに響くこともある This tool cuts the mustard.
cut it 必要な能力・性能がある。短く口語的 This tool doesn’t cut it.
be good enough 十分によい。最も直接的で分かりやすい This tool is good enough.

This excuse doesn’t cut it. は「その言い訳では通用しない」という自然な口語です。This excuse doesn’t cut the mustard. も可能ですが、少し表現味が強くなります。

measure up・meet the standardとの違い

表現 中心の意味
cut the mustard 必要な水準に達し、実用上十分である
measure up 比較される基準・期待に釣り合う
meet the standard 明示された規格・基準を満たす
be up to par 通常期待される水準にある
fall short of 期待・基準に届かない

より中立的に基準達成を述べるなら meet the standard が安全です。人や製品が期待どおりかを比較する感覚は、measure upの意味・使い方で詳しく解説しています。

反対に「期待に届かない」と明確に伝えるなら、fall short ofの意味・使い方も使えます。

日本人が間違えやすいポイント

料理の「マスタードを切る」と解釈しない

現代の通常の会話では、食材を切る意味ではありません。料理の動作を言うなら、対象に応じて slicechop を使います。

cut a mustardにしない

定型形は cut the mustard です。冠詞はtheで、mustardは単数形のまま使います。

人に使うと評価が厳しく聞こえる

He doesn’t cut the mustard. と人を主語にすると、「彼は必要な能力がない」と強く評価する言い方になります。本人へ直接言う場合は慎重にしましょう。

しゅみすけ(大山俊輔)

仕事で柔らかく伝えるなら、“This still needs some improvement.”(これにはまだ改善が必要です)のように、成果物を主語にすると角が立ちにくくなります。

すぐ出てこないときの簡単な言い換え

  • It’s good enough.
    十分な出来です。
  • It meets the standard.
    基準を満たしています。
  • It works well enough.
    必要な程度にはうまく機能します。
  • It’s not good enough.
    十分な出来ではありません。
  • We need something better.
    もっとよいものが必要です。

イディオムが出てこなくても、It’s good enough. または It’s not good enough. と言えば中心の意味は十分に伝わります。

まとめ

cut the mustard は、「求められる基準を満たす」「十分に通用する」という意味です。

  • 直訳は「マスタードを切る」だが、全体で覚えるイディオム
  • 特に doesn’t cut the mustard の否定形がよく使われる
  • cut it は、より短く口語的
  • 人を主語にした否定形は厳しい評価になりやすい
  • 簡単な言い換えは It’s good enough.

ほかの表現も学びたい方は、英熟語・定型表現のまとめも活用してください。

この記事を書いた人
しゅみすけ(大山俊輔)

b わたしの英会話および英語コーチングGRIT/be:RIZE代表。米国MBA取得、外資系企業4社での勤務経験を持ち、これまで多くの大人の英語学習を支援。日本語と英語の処理構造の違いに着目した「英語OS」の考え方をもとに、独学で伸び悩む人の学び直しをサポートしています。

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