
ASAP、NASA、FBI、Dr.。どれも元の語句を短くした表現ですが、実は同じ種類ではありません。
英語で略語全般を表す広い言葉が abbreviation です。その中でも、複数の語の頭文字をつなぎ、一語のように読むものを acronym、一文字ずつ読むものを initialism と呼びます。
- abbreviation:短くした表現全般。例:Dr.、Jan.、dept.
- acronym:頭文字を一語として読む。例:NASA、NATO
- initialism:頭文字を一文字ずつ読む。例:FBI、BBC
この記事では、略語の種類、読み方、表記のルール、会話や文章で使うときの注意点を整理します。LOL・OMG・BTWなど実用的な表現を一覧で見たい方は「w/の意味はwith|SNS・チャットで使う英語略語一覧」もあわせてご覧ください。
Contents
英語の略語とは?abbreviationが最も広い言葉
abbreviation は、単語や語句を短くした形の総称です。日本語では「略語」「略称」「省略形」などと訳されます。
たとえば doctor を Dr.、January を Jan.、department を dept. と書くのは、いずれも abbreviation です。頭文字を集めた NASA や FBI も、広い意味では abbreviation の仲間です。
つまり、すべてのacronymとinitialismはabbreviationに含まれますが、すべてのabbreviationがacronymやinitialismとは限りません。
しゅみすけ(大山俊輔)
abbreviation・acronym・initialismの違い

abbreviation|短くした表現全般
abbreviation は最も広い分類です。単語の一部を残すもの、頭文字を使うもの、複数の語を縮めるものなどを含みます。
- Dr. = Doctor
- Mr. = Mister
- Jan. = January
- approx. = approximately
- dept. = department
これらは書くときには短縮形を使っても、読むときには元の単語で読むのが一般的です。Dr. Smith は「ディーアール・スミス」ではなく Doctor Smith と読みます。
acronym|頭文字を一つの語として読む
acronym は、複数の語の頭文字などから作られ、まとまった一語のように発音される表現です。
- NASA = National Aeronautics and Space Administration
- NATO = North Atlantic Treaty Organization
- UNESCO = United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization
- scuba = self-contained underwater breathing apparatus
- radar = radio detection and ranging
NASAは「エヌ・エー・エス・エー」ではなく、英語では一語として「ナサ」に近く読みます。長く使われ、普通名詞として定着した scuba や radar は、小文字で書かれるのが一般的になっています。
initialism|頭文字を一文字ずつ読む
initialism も複数の語の頭文字から作られますが、各文字の名前を一つずつ読みます。
- FBI = Federal Bureau of Investigation
- BBC = British Broadcasting Corporation
- CEO = chief executive officer
- UK = United Kingdom
- DIY = do it yourself
FBIなら F-B-I、CEOなら C-E-O と一文字ずつ発音します。日常会話では acronym という言葉を頭字語全般に広く使う人もいますが、厳密に区別する場合はこの読み方がポイントです。
ASAPはacronym?initialism?
ASAP は as soon as possible の頭文字です。興味深いことに、英語話者の間でも読み方が一つではありません。
- 一語のように読む:「エイサップ」に近い読み方。この場合はacronym的
- 一文字ずつ読む:A-S-A-P。この場合はinitialism的
- 元の句で読む:as soon as possible
分類は言葉そのものだけでなく、実際の読み方にも左右されます。ASAPの使い方や強く響かせない言い換えは「ASAPの意味は?読み方・使い方と失礼にならない丁寧な言い換え」で詳しく解説しています。
略語にはほかにどんな作り方がある?
単語の後ろを省く|clipping
- ad ← advertisement
- exam ← examination
- lab ← laboratory
- info ← information
単語の一部を切り取る作り方は clipping と呼ばれます。元の単語と意味はほぼ同じですが、短い形はカジュアルに響く場合があります。
複数の語を混ぜる|blend
- brunch ← breakfast + lunch
- smog ← smoke + fog
- motel ← motor + hotel
これは頭文字語ではなく、二つの語の一部を混ぜた blend(混成語) です。「英単語がどう作られるか」という全体像は「英単語はどのように作られる?語形成の仕組みと8つの作り方」で確認できます。
ピリオドは付ける?付けない?
略語のピリオドには、英米差、出版社のスタイル、組織ごとの表記方針があります。そのため、絶対に一つの形だけが正しいとは限りません。
- アメリカ英語では Mr.、Dr. のようにピリオドを付ける表記が一般的
- イギリス英語では Mr、Dr のように省くスタイルも一般的
- NASA・FBI・BBCなどの頭字語には、通常ピリオドを付けない
- e.g.・i.e.はピリオドを含む表記が広く使われるが、スタイルによっては省略される
迷ったら、使っている辞書、会社のスタイルガイド、提出先の指定に合わせるのが安全です。同じ文章の中で表記を統一することも大切です。
大文字と小文字はどう決まる?
組織名や役職名の頭文字から作る略語は、NASA・FBI・CEOのように大文字で書くのが一般的です。一方、長く一般語として使われた laser、radar、scuba などは小文字化しています。
メールやSNSでは lol、omg のような小文字表記もよく見られます。これは意味の違いより、媒体のカジュアルさや書き手のスタイルによる場合が多いです。
略語を複数形・所有格にするとき
複数形は、通常アポストロフィーを入れず、小文字の s を付けます。
- CDs:複数のCD
- URLs:複数のURL
- CEOs:複数のCEO
所有格なら、一般の名詞と同じようにアポストロフィーを使います。
- the CEO’s office:そのCEOのオフィス
- NASA’s mission:NASAのミッション
会話では、相手が知っている略語か確認する
略語は便利ですが、業界・会社・国・世代が変わると通じないことがあります。特に仕事の文書では、最初に正式名称を書き、その後に略語を示す方法が分かりやすいです。
We conducted a user acceptance test (UAT). The UAT results were positive.
ユーザー受け入れテスト(UAT)を実施しました。UATの結果は良好でした。
会話中に意味が分からなければ、次の短い英語で確認できます。
- What does ASAP stand for?
ASAPは何の略ですか。 - What does that abbreviation mean?
その略語はどういう意味ですか。 - Could you say the full name?
正式名称を言ってもらえますか。 - How do you pronounce it?
どう発音しますか。
しゅみすけ(大山俊輔)
まとめ
- abbreviation:略語全般を表す最も広い言葉
- acronym:NASAのように一語として読む頭字語
- initialism:FBIのように一文字ずつ読む頭字語
- Dr.などは短く書いても、読むときは元の語で読む
- ピリオドや大文字・小文字には地域差・スタイル差がある
- 仕事では初出時に正式名称と略語を併記すると分かりやすい
英語の略語は、長い語句をすばやく共有するための仕組みです。分類名を暗記することより、「一語で読むのか、一文字ずつ読むのか、元の単語で読むのか」を確認すると、実際に使える知識になります。
文字・綴り・語源・単語の作られ方をまとめて見渡したい方は「英語の文字・単語とは?」へ戻って全体像を確認できます。
参考:Cambridge Dictionary “abbreviation”、Merriam-Webster “acronym”









