英単語はどのように作られる?語形成の仕組みと8つの作り方

英単語が接辞や複合によって作られる仕組みを表したイラスト

英単語は、どこかの会議室で「今日からこの言葉を使いましょう」と決められて生まれるのでしょうか。

もちろん、専門機関や企業が名前を付けることはあります。しかし、多くの単語はもっと自然です。既存の言葉に部品を足したり、二つの単語をくっつけたり、名詞をそのまま動詞として使ったりするうちに、人々の間へ広がっていきます。

unhappyrainbowemailbrunchsushi。見た目も由来も違うこれらの単語は、英語が持ついくつもの「単語を作る仕組み」から生まれました。

この記事では、英単語が作られる代表的な方法を、足す・組み合わせる・役割を変える・縮める・借りるという動きから見ていきます。英語の文字と語彙の全体像は、親記事の「英語の文字・単語とは?」もあわせてご覧ください。

英単語は「意味を持つ部品」から作られる

単語を作る仕組みを語形成(word formation)といいます。英単語は、必ずしもそれ以上分けられない一枚岩ではありません。意味や働きを持つ小さな部品が組み合わさっている場合があります。

たとえば unhappiness は、次のように分けられます。

  • un-:〜でない
  • happy:幸せな
  • -ness:状態・性質を表す名詞を作る

happy の前に un- を置くと「幸せでない」という反対の意味になり、後ろに -ness を付けると「不幸という状態」を表す名詞になります。

このように、意味を持つ最小の単位を形態素(morpheme)と呼びます。単語を覚えるとき、完成形だけを見るのではなく、どんな部品からできているかを見ると、初めて出会う語も推測しやすくなります。

しゅみすけ(大山俊輔)

英単語は、電話帳みたいに無関係な項目が並んでいるわけやないんです。よく見ると、同じ部品を使って増築された「言葉の街」なんですね。
接辞・複合・品詞転換・短縮と混成・借用による英単語の作られ方
英単語が生まれる代表的なルート。英語は、既存の材料を組み替えながら語彙を増やしてきました。

1.前や後ろに部品を足す|接辞による派生

一つ目は、単語の前後に部品を付ける方法です。これを派生(derivation)と呼び、前に付くものが接頭辞(prefix)、後ろに付くものが接尾辞(suffix)です。

接頭辞は、意味の方向を変える

作り方 できる語 意味
un- + happy unhappy 幸せでない
re- + write rewrite 書き直す
mis- + understand misunderstand 誤解する
pre- + view preview 前もって見る・予告編

接頭辞を付けても、happyunhappy のように品詞が変わらないことが多く、主に否定・反復・誤り・時間関係などの意味を加えます。

接尾辞は、品詞を変えることがある

作り方 できる語 変化
teach + -er teacher 動詞→人を表す名詞
happy + -ness happiness 形容詞→名詞
care + -ful careful 名詞→形容詞
modern + -ize modernize 形容詞→動詞

接尾辞には、意味だけでなく「この語は名詞」「これは形容詞」という標識になるものがあります。そのため、知らない単語でも -tion-ness があれば名詞、-able なら形容詞らしいと予測できます。

2.単語と単語を組み合わせる|複合語

二つ以上の単語を組み合わせ、新しいまとまりを作る方法を複合(compounding)と呼び、できた語が複合語(compound word)です。

  • rain + bow → rainbow(虹)
  • tooth + brush → toothbrush(歯ブラシ)
  • coffee + shop → coffee shop(喫茶店)
  • mother + in + law → mother-in-law(義母)

複合語は、一語で書くもの、空白を入れるもの、ハイフンで結ぶものがあります。この表記は最初から固定されるとは限りません。新しい表現が広まるにつれ、web site から website のように、一語へまとまっていく場合もあります。

英語は語順が意味関係を示しやすいため、既存語を並べるだけで新しい概念を作れます。smartphoneworkplacesunflower など、身近な単語にも複合語が大量にあります。

3.形を変えず、品詞の仕事を変える|転換

英語には、単語の形を変えないまま、別の品詞として使う方法があります。これを転換(conversion)またはゼロ派生(zero derivation)といいます。

  • email:名詞「メール」→動詞「メールする」
  • text:名詞「文章・メッセージ」→動詞「メッセージを送る」
  • water:名詞「水」→動詞「水をやる」
  • download:動詞「ダウンロードする」→名詞「ダウンロードしたもの」

日本語でも「メールする」「ググる」のように、既存語を別の働きで使うことがあります。ただし日本語では「する」や語尾を加えることが多いのに対し、英語は語形を変えず、文中の位置で名詞か動詞かを示せます。

これは英語の語順と品詞の柔軟性をよく表しています。新しい道具や行為が登場したとき、すでにある名詞をそのまま動詞へ転職させられるので、造語の速度も上がります。

4.長い語を縮める|短縮語

頻繁に使われる語は、会話の中で短くなることがあります。単語の一部を切り落とす方法をクリッピング(clipping)といいます。

  • advertisement → ad
  • application → app
  • examination → exam
  • laboratory → lab
  • influenza → flu

短縮形は、正式な語を知らなければ作れない暗号ではありません。人々が同じ長い語を繰り返すうち、短くても通じる部分が残り、それが新しい単語として定着します。

5.二つの語を一部ずつ混ぜる|混成語

複合語が「単語を丸ごと並べる」方法なら、混成(blending)は二つの語の一部を混ぜる方法です。できた語は混成語(blend/portmanteau word)と呼ばれます。

  • breakfast + lunch → brunch
  • motor + hotel → motel
  • smoke + fog → smog
  • web + seminar → webinar

新しい物や習慣が二つの性質を持つとき、混成語は非常に便利です。意味を説明する長い表現を作らなくても、元の二語を知っていれば直感的にイメージできます。

6.頭文字から作る|略語・頭字語

複数語からなる名称は、頭文字を使って短くできます。文字を一つずつ読むものはイニシャリズム、一語のように読むものはアクロニムと区別されることがあります。

  • FBI:Federal Bureau of Investigation
  • BBC:British Broadcasting Corporation
  • NASA:National Aeronautics and Space Administration
  • UNESCO:United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization

NASAUNESCO のように一語として発音され、元の長い名称を意識せずに使われるようになると、略語自体が独立した単語に近づきます。

7.ほかの言語から借りる|借用語

英語は、他言語から非常に多くの単語を取り込んできました。これを借用(borrowing)といい、取り入れられた語を借用語(loanword)と呼びます。

  • フランス語由来:restaurant, ballet, cuisine
  • イタリア語由来:piano, opera
  • スペイン語由来:patio, tornado
  • 日本語由来:sushi, karaoke, emoji, tsunami

英語はゲルマン語派の言語ですが、歴史の中で古ノルド語、フランス語、ラテン語などを大量に受け入れました。そのため同じような意味の語が複数の層に重なっています。詳しくは「英語にはなぜ似た意味の単語が多い?」や、「英語の歴史」へつながります。

8.長い語から“余分そうな部分”を引く|逆成

少し変わった作り方が逆成(back-formation)です。話者が長い単語の一部を接尾辞だと考え、それを取り除いて新しい語を作ります。

  • editor → edit
  • television → televise
  • donation → donate
  • babysitter → babysit

私たちは「短い語が先で、そこに部品を足して長い語ができる」と考えがちです。しかし歴史上は、長い名詞から短い動詞が後で作られることもあります。言葉は論理式だけでなく、人が形をどう解釈したかによっても変化するのです。

どこからが「本当の英単語」なのか

新しい表現は、誰かが一度口にしただけでは辞書の見出し語にはなりません。多くの人が使い、複数の場所や媒体で繰り返し確認され、意味がある程度共有されると、社会の語彙として定着していきます。

辞書は単語を生み出す役所ではなく、主に実際の使用を観察し、記録するものです。そのため、世の中で使われ始めてから辞書に載るまでには時間差があります。また、一時的な流行語のまま消える語もあれば、日常語として残る語もあります。

selfiepodcastcrowdfunding のように、新しい技術や生活様式は新しい呼び名を必要とします。しかしその作り方を見ると、まったく無から生まれたというより、既存の部品や規則を利用していることが分かります。

しゅみすけ(大山俊輔)

英語は「単語数が多すぎる言語」に見えます。でも、新語の多くは既存パーツの再利用です。作り方が見えると、語彙は暗記の山から、仕組みのある森に変わります。

語形成が分かると、知らない単語を推測できる

語形成を知る目的は、専門用語を暗記することではありません。初見の単語に出会ったとき、内部を分解できるようになることです。

たとえば unpredictable を知らなくても、次のように見られます。

  • un-:〜でない
  • predict:予測する
  • -able:〜できる

すると「予測できない」という意味にたどり着けます。さらに predictionpredictablepredictably も、同じ中心から枝分かれした語だと分かります。

これは単語を一語ずつ孤立して覚えるのではなく、語族(word family)として捉える見方です。この読み解き方は、「英語の接頭辞・語根・接尾辞とは?」でさらに詳しく扱っています。

よくある質問

英単語は誰が作るのですか?

作家、科学者、企業、ネット利用者など、誰でも新しい表現を作れます。ただし、その語が英語社会に定着するかどうかは、多くの人に繰り返し使われるかで決まります。

新しい単語は自由に作っても通じますか?

英語の語形成ルールに沿えば意味を推測してもらえる可能性はありますが、自然な語として定着しているとは限りません。既存の言い方がある場面では、辞書や実例を確認するのが安全です。

複合語と混成語の違いは何ですか?

rainbow のように元の語をほぼ丸ごと組み合わせるのが複合語、brunch のように元の語の一部分ずつを混ぜるのが混成語です。

語源と語形成は同じですか?

重なる部分はありますが、同じではありません。語源は、その語がどの言語・時代・形から来たかをたどります。語形成は、どのような構造や操作によって語が作られたかを見ます。

次に読む:接辞による派生をさらに詳しく知りたい方は、「英語の接頭辞・語根・接尾辞とは?」で、意味を持つ3つの部品を一つずつ確認できます。

複合語を詳しく:「英語の複合語とは?」では、toothbrush・coffee shop・mother-in-lawを例に、一語・二語・ハイフンの違いを解説しています。

関連:頭文字から作る語の分類や読み方は「英語の略語・頭字語とは?abbreviation・acronym・initialismの違い」で詳しく解説しています。

関連:英語が古ノルド語・フランス語・ラテン語・ギリシャ語・日本語などから単語を取り入れた仕組みは「英語の外来語・借用語とは?」で詳しく解説しています。

まとめ|英単語は、完成品ではなく今も動く仕組み

英単語は、次のような方法で作られます。

  1. 接頭辞・接尾辞を足す
  2. 二つ以上の単語を組み合わせる
  3. 形を変えず品詞の役割を変える
  4. 長い語を縮める
  5. 二語の一部を混ぜる
  6. 名称の頭文字を使う
  7. ほかの言語から借りる
  8. 長い語から一部を引く

英語の語彙は、倉庫に積まれた完成品の山ではありません。古い語を材料にし、社会の変化に合わせて新しい語を作り続ける工房です。

その仕組みが見えると、rainbowunhappy のような身近な語も、ただのスペルではなくなります。一語の中に、英語が何百年も使ってきた「言葉を増やす知恵」が見えてきます。

参考

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この記事を書いた人
しゅみすけ(大山俊輔)

b わたしの英会話および英語コーチングGRIT/be:RIZE代表。米国MBA取得、外資系企業4社での勤務経験を持ち、これまで多くの大人の英語学習を支援。日本語と英語の処理構造の違いに着目した「英語OS」の考え方をもとに、独学で伸び悩む人の学び直しをサポートしています。

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