
「今の話はなかったことにして」「失敗をなかったことにはできない」「この件はなかったことにしよう」。日本語では同じ表現ですが、英語では事実を否定するのか、気にしないことにするのか、記録を消すのか、決定を元に戻すのかで言い方が変わります。
起きた事実を「起きなかったふりにする」なら pretend it never happened が基本です。発言や依頼を撤回して「今のは忘れて」と言うなら forget I said anything、過去のことを水に流すなら forget about it や let it go が自然です。
Contents
- 1 「なかったことにする」の基本は pretend it never happened
- 2 pretend・forget・erase・undoの違い
- 3 今の発言を「なかったことにして」は forget I said anything
- 4 失敗やけんかを水に流すなら forget about it
- 5 記録や証拠をなかったことにするなら erase・delete
- 6 決定や契約をなかったことにするなら reverse・undo・cancel
- 7 「なかったことにはできない」の自然な英語
- 8 日常・仕事・人間関係の会話例
- 9 日本人が間違えやすいポイント
- 10 この英語を知らなかったら?【しゅみすけ式】
- 11 よくある質問
- 12 まとめ
- 13 「○○にする」の英語を一覧で確認
「なかったことにする」の基本は pretend it never happened
pretend + 文 は「~であるふりをする」。it never happened は「それは一度も起きなかった」という意味なので、合わせると「起きなかったことにする」です。
- Let’s pretend this never happened.
これはなかったことにしよう。 - We can’t just pretend it never happened.
ただ、なかったことにするわけにはいきません。 - He tried to pretend the argument never happened.
彼はその口論をなかったことにしようとしました。
この表現には、事実そのものは起きたのに、それを認めず無視するニュアンスがあります。深刻な問題に使うと「隠そうとしている」「責任から逃げている」と批判的に聞こえることもあります。
しゅみすけ(大山俊輔)
pretend・forget・erase・undoの違い
| 英語 | 中心の意味 | よく使う場面 |
|---|---|---|
| pretend it never happened | 起きなかったふりをする | 出来事、失敗、口論 |
| forget about it | 気にしない・水に流す | 謝罪、小さな失敗、過去 |
| forget I said anything | 今の発言を忘れてもらう | 依頼、提案、秘密 |
| erase / delete | 記録やデータを消す | 履歴、文書、ファイル |
| reverse / undo | 決定や操作を元に戻す | 判断、取引、変更 |

今の発言を「なかったことにして」は forget I said anything
言ってしまったことや頼みごとを撤回するときは、「起きなかったふり」より「今の発言を忘れて」と言うほうが自然です。
- Forget I said anything.
今のはなかったことにして。 - Forget what I just said.
今言ったことは忘れて。 - Please disregard my previous email.
先ほどのメールはなかったことにしてください。
disregard は「考慮に入れない」という少しフォーマルな語です。仕事のメールなら Please disregard my previous message. が使えます。
失敗やけんかを水に流すなら forget about it
Forget about it. は文脈によって「もう気にしないで」「その話はやめよう」「無理だから諦めて」などに変わります。相手の謝罪を受け入れて「この件はなかったことにしよう」と言う場合にも使えます。
- It’s okay. Let’s forget about it.
大丈夫。この件はなかったことにしよう。 - Let’s put it behind us and move on.
過去のことにして、前へ進みましょう。 - I’m willing to let it go this time.
今回は水に流すつもりです。
人間関係を修復して過去を蒸し返さないなら、let bygones be bygones の意味と使い方も近い表現です。
記録や証拠をなかったことにするなら erase・delete
データや記録を実際に消す場合は、心理的な pretend ではなく erase や delete を使います。
- They tried to erase the record of the incident.
彼らはその事件の記録をなかったことにしようとしました。 - You can’t delete the entire history.
すべての履歴をなかったことにはできません。 - The mistake was removed from the report.
その間違いは報告書から削除されました。
erase the past は比喩的に「過去を消す」ですが、実際に起きたことまで変えられるという意味ではありません。
決定や契約をなかったことにするなら reverse・undo・cancel
決定を撤回するなら reverse a decision、操作や変更の効果を元に戻すなら undo、予約や契約を取り消すなら cancel が自然です。
- The company reversed its decision.
会社はその決定を撤回しました。 - Can we undo this change?
この変更をなかったことにできますか。 - They agreed to cancel the deal.
両者はその取引を白紙に戻すことで合意しました。
undo the decision でも意図は伝わりますが、決定そのものの正式な撤回には reverse the decision がより自然です。パソコン操作や変更の取り消しなら undo がぴったりです。
「なかったことにはできない」の自然な英語
過去の事実や発言を消せないと強調するときは、次のように言えます。
- You can’t pretend it never happened.
なかったことにはできません。 - We can’t erase the past.
過去をなかったことにはできません。 - You can’t take back what you said.
言ったことはなかったことにできません。 - There’s no undo button in real life.
現実には取り消しボタンはありません。
「一度言ったことは元に戻せない」という比喩は、You can’t put the toothpaste back in the tube.でも表せます。
日常・仕事・人間関係の会話例
言い間違いを撤回する
A: Did you just say you were quitting?
今、辞めるって言った?
B: No—forget what I just said.
いや、今のはなかったことにして。
仕事の提案を取り下げる
A: Should we move forward with your proposal?
あなたの提案を進めますか。
B: Please disregard it. I need to revise the numbers.
いったんなかったことにしてください。数字を見直す必要があります。
けんかを水に流す
A: I’m sorry about yesterday.
昨日のこと、ごめん。
B: Let’s put it behind us.
もうなかったことにして前へ進もう。
日本人が間違えやすいポイント
× make it nothing と直訳しない
make it nothing は通常、「出来事をなかったことにする」という意味にはなりません。何をどう扱うかに合わせて pretend、forget、erase などを選びます。
Forget it. は言い方によって強く聞こえる
Forget it! と強く言うと、「もういい!」「そんなの無理だ」という拒絶にもなります。仲直りの意図なら It’s okay. Let’s forget about it. と文脈を補うと安全です。
pretend は本当に忘れることではない
pretend it never happened は「覚えているが、起きなかったように振る舞う」です。本当に気持ちを手放す let it go とは違います。
しゅみすけ(大山俊輔)
この英語を知らなかったら?【しゅみすけ式】
難しい表現を知らなくても、何をしてほしいのかを簡単な英語に分ければ伝わります。
- Please forget what I said.
私が言ったことは忘れてください。 - Let’s not talk about it again.
もうその話はしないようにしましょう。 - Let’s start over.
最初からやり直しましょう。 - We can’t change the past.
過去は変えられません。
少し説明的でも、「忘れてほしい」「蒸し返したくない」「やり直したい」のどれかが明確になります。
よくある質問
Q. 「今のはなかったことにして」は英語で?
Forget what I just said. が自然です。軽い会話なら Never mind. も使えますが、こちらは「気にしないで」「今の話はいいです」に近い表現です。
Q. 「全部なかったことにしよう」は?
出来事を起きなかった扱いにするなら Let’s pretend none of this ever happened.、関係をやり直すなら Let’s put this behind us and start over. が自然です。
Q. pretend it didn’t happen と pretend it never happened の違いは?
どちらも使えます。never happened は「そもそも一度も起きなかった」と強く打ち消し、定番表現としてよく使われます。
まとめ
「なかったことにする」は、事実を起きなかった扱いにするなら pretend it never happened、今の発言を撤回するなら forget what I just said、過去を水に流すなら forget about it や put it behind us が自然です。
記録を消すなら erase/delete、決定を撤回するなら reverse、変更を元に戻すなら undo。日本語の一言を直訳せず、「何をなかった扱いにしたいのか」を英語で具体的にすると選びやすくなります。
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