
「来月には待遇を改善する」「次の予算で必ず対応する」——そう言われ続けているのに、肝心の「今」は何も変わらない。そんな、いつまでも未来へ送られる恩恵や実現しない約束を、英国英語では jam tomorrow と表すことがあります。
直訳は「明日のジャム」ですが、食卓の話とは限りません。この記事では、jam tomorrowの意味、由来、ニュアンス、自然な使い方を、仕事・家庭・人間関係の独自例文とともに解説します。
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Jam tomorrowの意味は「いつまでも実現しない約束」
jam tomorrow は、ひとことで言えば「将来与えると言われているが、いつまでも実現しない良いもの・恩恵」です。日本語では文脈に応じて、次のように訳せます。
- いつまでも実現しない約束
- 先送りされる恩恵
- 将来の話ばかりの空約束
- 絵に描いた餅
大切なのは、単なる「明日の楽しみ」ではない点です。話し手は、その約束が本当に実現するのか疑っています。多くの場合、少し皮肉や批判を込めて使います。
結論:jam tomorrowは「良い話を未来に置き続け、今日には何も与えないこと」を表す、主に英国英語の表現です。
しゅみすけ(大山俊輔)
なぜ「明日のジャム」が空約束になるのか
由来は『鏡の国のアリス』
この表現の背景には、ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』に登場する言葉があります。白の女王はアリスに、ジャムを「一日おき」に与えるという話をします。しかし、その規則は「昨日にはジャム、明日にもジャム、ただし今日は決してない」という不思議なものです。
昨日の分はもう受け取れません。明日の分はまだ受け取れません。そして明日になれば、その日は「今日」なので、やはり受け取れません。つまり、ジャムは約束され続けるのに、実際に食べられる日は永遠に来ないのです。
原文の場面はProject Gutenbergの『Through the Looking-Glass』で確認できます。
jamは「ご褒美・良いもの」の象徴
ここでのjamは、単なる食品ではなく、待てばもらえるはずの「うれしい報酬」です。そのため現代の用法では、昇給、減税、サービス改善、完成予定、将来の利益などに置き換えて考えられます。

ネイティブが感じるニュアンス
期待よりも「疑い」が中心
jam tomorrowには、明るく未来を待つ響きよりも、「また将来の話ですか」という冷めた視線があります。約束する側が希望を語り、受け取る側がその実現性を疑っている構図です。
たとえば会社が何年も「業績が上がれば給与を改善する」と言うだけなら、従業員はその計画をjam tomorrowと呼ぶかもしれません。
政治・企業・制度の話と相性がよい
この表現は、個人同士の小さな約束にも使えますが、特に政策、経営計画、福利厚生、開発計画など、「立派な将来像は示されるが、現在の具体策がない」場面によく合います。
主に英国英語で使われる
jam tomorrowは英国英語色のある表現です。英語圏の全員が日常的に使うとは限らないので、会話で自分から使うなら、相手や場面を選びます。意味を知らない相手には an empty promise や They keep postponing it. のほうが直接的です。
Jam tomorrowのよく使われる形と語順
jam tomorrowは、文の中で名詞のまとまりとして使われます。
a promise of jam tomorrow
「将来の良い話という約束」「いつまでも実現しない恩恵の約束」という形です。
We were offered another promise of jam tomorrow.
私たちは、またしても将来の空約束を提示されました。
It is / sounds like jam tomorrow
ある計画や説明を「jam tomorrowのようだ」と評価します。
The new benefits sound like jam tomorrow to me.
その新しい福利厚生は、私には先送りの空約束に聞こえます。
more than jam tomorrow
「将来の話だけではない」という対比にも使えます。
Employees need a clear date, not more jam tomorrow.
従業員に必要なのは明確な日付であって、これ以上の空約束ではありません。
なお、jam tomorrow は通常、この順番でひとかたまりとして扱います。tomorrow’s jamにすると、文字どおり「明日のジャム」という食品の話に聞こえやすくなります。
場面別の自然な例文
仕事・職場
Management keeps promising bonuses next year, but it feels like jam tomorrow.
経営陣は来年の賞与を約束し続けていますが、実現しない約束のように感じます。
We need a timetable, not jam tomorrow.
必要なのは日程であって、将来の良い話だけではありません。
The promotion plan may be nothing more than jam tomorrow.
その昇進計画は、単なる空約束にすぎないかもしれません。
政治・地域社会
Voters are tired of jam tomorrow and want results now.
有権者は先送りされる約束にうんざりしており、今すぐ結果を求めています。
The proposal offers jam tomorrow but no help for families today.
その提案は将来の恩恵を掲げていますが、今困っている家庭への支援はありません。
家庭・暮らし
You have promised to fix the kitchen for three years. It is always jam tomorrow.
キッチンを直すと3年間約束しているよね。いつも「そのうち」ばかりです。
Do not give the children jam tomorrow. Tell them exactly when the trip will happen.
子どもたちに曖昧な将来の約束をしないで。旅行がいつなのか、はっきり伝えてください。
買い物・サービス
The company talks about a faster app, but so far it is just jam tomorrow.
会社はもっと速いアプリをうたっていますが、今のところ将来の話だけです。
A vague promise of future discounts is jam tomorrow, not compensation.
将来の割引という曖昧な約束は空約束であって、補償ではありません。
会話ではどう使う?
A: They say the new system will make everything easier next year.
来年には新しいシステムですべて楽になると言っています。
B: Maybe, but we have heard that before. It sounds like jam tomorrow.
そうかもしれませんが、前にも聞きました。先送りの約束に聞こえます。
このように、まず相手の発言を受けてから It sounds like jam tomorrow. と評価すると自然です。いきなり相手の約束を空約束と断定するより、sounds likeを使うほうが少し柔らかくなります。
似た表現との違い
empty promiseとの違い
an empty promise は「中身のない約束」で、実現する意思や根拠がないことに焦点があります。jam tomorrowは、良いことを未来に置いて現在の不満をなだめる構図がより鮮明です。
It was an empty promise.
それは口だけの約束でした。
They keep offering jam tomorrow.
彼らは良い話を将来へ先送りし続けています。
pie in the skyとの違い
pie in the sky は「現実味のない夢・絵空事」です。jam tomorrowは「未来に与えると約束されるが、今日には届かない恩恵」です。非現実的な計画を批判するならpie in the sky、繰り返される先送りを批判するならjam tomorrowが合います。
pay lip serviceとの違い
pay lip service は、口では支持や賛成を示すのに、行動が伴わないことです。詳しくはpay lip serviceの意味・使い方で解説しています。
Hope deferred makes the heart sick.との違い
こちらは「希望が先延ばしにされると心が疲れる」という、待たされる人の苦しさに焦点を置くことわざです。jam tomorrowは、その原因となる「未来へ送られ続ける良い約束」を指します。関連するHope deferred makes the heart sick.の意味・使い方もあわせて読むと違いが分かりやすくなります。
日本人が間違えやすいポイント
前向きな「明日のお楽しみ」には使わない
明日のデザートを楽しみにしているだけなら、We will have jam tomorrow. のような普通の文です。慣用的なjam tomorrowには、実現性への疑い、先延ばし、皮肉のどれかが必要です。
相手への批判として響く
This is jam tomorrow. と言い切ると、「あなたの話は信用できない」と批判する響きがあります。職場で角を立てたくなければ、次のように具体的な確認へつなげるとよいでしょう。
I am concerned this may become jam tomorrow. Could we set a firm date?
このまま先送りになるのが心配です。確定した日付を決められますか。
米国英語では説明的な言い換えが安全
米国の相手を含む国際的な場では、表現自体を知らない人もいます。伝わることを優先するなら、難しい慣用句にこだわる必要はありません。
出てこないときの「しゅみすけ式」
jam tomorrowがすぐに出てこなければ、意味を分解して基本語で直接伝えましょう。
- They keep promising it, but it never happens.
約束し続けていますが、実現しません。 - They always say “later,” not now.
いつも「今度」と言うだけで、今ではありません。 - The plan keeps getting delayed.
その計画は先延ばしされ続けています。 - We need action now, not another promise.
必要なのは今の行動であって、また別の約束ではありません。
しゅみすけ(大山俊輔)
Jam tomorrowについてのFAQ
Jam tomorrowはことわざですか?
文学作品の言葉から生まれ、現在は慣用的な表現として使われています。長い形の jam tomorrow and jam yesterday, but never jam today は、約束が永遠に現在へ到達しない仕組みをそのまま表します。
jam tomorrowだけで文になりますか?
見出しや短いコメントとしては使えますが、通常の会話では It sounds like jam tomorrow. や another promise of jam tomorrow のように文へ組み込むと自然です。
「明日には良くなる」と励ます表現ですか?
いいえ。基本的には将来の約束を疑う表現です。前向きに励ますなら Things will get better. や Tomorrow is another day. などが適しています。
まとめ
jam tomorrow は、「将来もらえると言われるものの、いつまでも実現しない恩恵や約束」を表す、主に英国英語の表現です。『鏡の国のアリス』で、ジャムは昨日と明日にはあるのに今日には決してない、という逆説から生まれました。
仕事や政治の立派な将来計画に具体的な日付や行動がないとき、It sounds like jam tomorrow. と言えば、先送りへの疑いを端的に示せます。ただし批判的に響くため、必要なら They keep promising it, but it never happens. のような簡単な英語で伝えましょう。
関連表現を体系的に探したい方は、英熟語・定型表現のまとめと失敗・注意・教訓を表す英語のことわざ一覧もご覧ください。










