英語の否定文を作るとき、be動詞なら She is not busy.、助動詞なら She cannot come. と、動詞の後ろへ not を置きます。ところが一般動詞では、She likes coffee. を She likes not coffee. とはせず、She does not like coffee. と、肯定文にはなかった does が突然現れます。
なぜ、否定するだけなのに do が必要なのでしょうか。答えは、英語では否定・疑問・強調などの文法情報を、原則として助動詞の位置で処理するからです。be動詞や助動詞がすでにあれば、そこへ not を置けます。受け皿がない一般動詞の文では、do がその仕事を引き受けます。
- 英語の否定文でnotを置く基本位置
- 一般動詞の否定文にdo・does・didが必要な理由
- be動詞・助動詞・一般動詞の否定文の違い
- doesn’tの後ろでlikesがlikeに戻る理由
- notが文のどこまでを否定するかという「否定の範囲」
- 否定文を会話で素早く組み立てる方法
Contents
英語の否定文はnotを置くだけでは作れない
not は「〜ではない」「〜しない」を表す否定の中心語です。しかし、英語では好きな位置に置けるわけではありません。標準的な英文では、基本的に最初の助動詞の直後へ置きます。
| 肯定文 | 否定文 | notを支える語 |
|---|---|---|
| She is busy. | She is not busy. | be動詞 is |
| She can come. | She cannot come. | 助動詞 can |
| She has finished. | She has not finished. | 完了の助動詞 has |
| She likes coffee. | She does not like coffee. | 補われた does |
上の最初の3文には、すでに is・can・has という文法情報を扱える語があります。一方、likes は内容を伝える一般動詞であり、現代英語ではそのまま not を受け止めません。そこで助動詞 do を補う必要があります。
一般動詞の否定文ではdoがnotの受け皿になる
do には「する」という一般動詞の意味もありますが、do not like の do は動作を表していません。時制・人称・否定などの文法情報を運ぶ助動詞として働いています。この仕組みは do-support(doによる支え)と呼ばれます。
| 主語・時制 | 形 | 例文 |
|---|---|---|
| I・you・複数/現在 | do not+原形 | I do not agree. |
| he・she・it/現在 | does not+原形 | She does not agree. |
| すべての主語/過去 | did not+原形 | They did not agree. |
短縮形は、それぞれ don’t・doesn’t・didn’t です。会話では短縮形が非常によく使われます。一方、I do not agree. のように短縮しない形は、否定をはっきり示したいときや、やや改まった文体で使われます。
しゅみすけ(大山俊輔)
doesn’tの後ろでlikesがlikeに戻るのはなぜ?
She likes coffee. では、三人称単数・現在の情報が likes の -s に載っています。しかし否定文では、その情報が助動詞 does へ移動します。
| 文 | 現在・三人称単数の印 | 本動詞 |
|---|---|---|
| She likes coffee. | likes | likes |
| She does not like coffee. | does | like |
一つの文法情報を二重に付けないため、doesn’t likes にはしません。同様に、過去の情報は did が受け持つので、didn’t went ではなく didn’t go になります。
- She doesn’t like coffee.
- He didn’t go yesterday.
- They don’t know the answer.
これは疑問文の Does she like coffee? や Did he go? と同じ仕組みです。詳しくは英語はなぜ疑問文で語順が変わる?doが現れる理由もあわせてご覧ください。
be動詞と助動詞にはdoを足さない
すでにbe動詞または助動詞がある文へ、さらに do を足す必要はありません。否定の not は、そこにある最初の助動詞の直後へ置きます。
| 種類 | 正しい形 | 誤り |
|---|---|---|
| be動詞 | She isn’t tired. | She doesn’t be tired. |
| 助動詞can | She can’t swim. | She doesn’t can swim. |
| 完了形 | She hasn’t finished. | She doesn’t have finished. |
| 進行形 | She isn’t working. | She doesn’t be working. |
英語の文を見たら、まず主語のすぐ後ろにbe動詞・助動詞・完了の have があるかを確認します。あれば、その後ろに not。なければ do を呼ぶ。この二段階でかなり整理できます。
notは文全体ではなく「どこまで否定するか」が重要
否定文は、単に肯定文を反対にするだけではありません。not が何を否定するかによって意味が変わります。
| 例文 | 中心的な意味 |
|---|---|
| I don’t think she is wrong. | 彼女が間違っているとは思わない |
| I think she is not wrong. | 彼女は間違っていないと思う |
| Not everyone agreed. | 全員が賛成したわけではない |
| No one agreed. | 誰も賛成しなかった |
Not everyone は「全員ではない」という部分否定であり、「誰も〜ない」ではありません。この先の否定の範囲は、be:RIZEの部分否定とは?not all・not every・not always・not necessarilyで詳しく解説しています。
never・no・nobodyも否定を作る
否定は not だけで作るものではありません。never・no・nobody・nothing・nowhere など、それ自体に否定の意味を持つ語もあります。
- I never drink coffee at night.(夜にコーヒーを飲むことは決してない)
- Nobody knew the answer.(誰も答えを知らなかった)
- There is nothing in the box.(箱の中には何もない)
標準英語では、通常、一つの節の中で否定を重ねません。したがって「誰も知らなかった」は、Nobody knew. または No one knew. と表します。主語を I にして「私は何も知らなかった」と言うなら、I didn’t know anything. が標準的です。I don’t know nothing. のような二重否定は一部の方言や口語では使われますが、標準的な学習文法では避けます。
否定文を会話で素早く作る3ステップ
- 主語と時制を決める:I/she/they、現在か過去かを決める
- すでに助動詞があるか見る:is・can・haveなどがあれば直後にnotを置く
- なければdon’t・doesn’t・didn’tを置く:その後ろは動詞の原形にする
| 言いたいこと | 骨格 | 完成文 |
|---|---|---|
| 私は分かりません | I+don’t+know | I don’t know. |
| 彼女は運転しません | She+doesn’t+drive | She doesn’t drive. |
| 私たちは行きませんでした | We+didn’t+go | We didn’t go. |
| 彼は忙しくありません | He+isn’t+busy | He isn’t busy. |
文法用語を思い出せないときも、isn’t系・can’t系・don’t系の三つに分ければ、会話で必要な否定文の大部分を作れます。
英語の否定文についてよくある質問
do notとdon’tは意味が違いますか?
基本的な意味は同じです。会話では don’t が普通で、do not は否定を強調するときや、改まった文章で使われやすい形です。
notは必ず動詞の後ろですか?
基本の否定文では最初の助動詞の後ろですが、not everyone、not today、not because… のように、否定したい要素の前に置くこともあります。
cannotとcan notはどちらが正しいですか?
通常は一語の cannot、または短縮形の can’t を使います。can not only A but also B のように、not が後ろの表現と結びつく場合は分けて書くことがあります。
まとめ:doは否定を支える文法の土台
英語の否定文で重要なのは、not という単語だけではなく、否定を文のどこで処理するかです。be動詞や助動詞があれば、その直後に not を置きます。一般動詞しかない場合は、助動詞 do が現れて否定・時制・人称を引き受け、本動詞は原形へ戻ります。
この仕組みが分かると、doesn’t likes や didn’t went を避けられるだけでなく、疑問文・強調・付加疑問文も同じ地図の上で理解できます。英語の文全体の設計図は、親記事の英語の基本・構造とは?に戻って確認してください。
参考資料
- Cambridge Dictionary Grammar: Do
- Cambridge Dictionary Grammar: Not
- Cambridge Dictionary Grammar: Modality—forms
- Cambridge Dictionary Grammar: Negation
関連記事:英語はなぜ否定疑問文・付加疑問文を使う?予想を相手に確認する仕組み
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