英語はなぜThere is・There areを使う?「〜がある・いる」と語順が違う理由

英語がThere is・There areで新しい存在を場面に導入する仕組み

英語で「テーブルの上に本があります」と言うとき、There is a book on the table.という形を使います。日本語の感覚から見ると、thereは「そこ」、isは「です」に見えるため、「そこです、一冊の本が……?」と語順が不思議に感じられるかもしれません。

しかし、このthereは単に場所を表す「そこ」ではありません。英語がまだ会話に登場していない人や物を、聞き手の前に初めて置くための入口です。まず「ある場面に何かが存在する」と知らせ、そのあとで新しい存在を紹介します。

日本語は「テーブルの上に、本がある」のように、助詞の「に」「が」と動詞の「ある・いる」で関係を示せます。一方、語順の役割が大きい英語では、いきなり未知の名詞を主語の位置へ置くより、thereで文の入口を作り、後ろから新情報を導入する形が発達しました。

この記事では、There is・There areを単なる構文として暗記するのではなく、英語が「存在」をどのような順番で見せる言語なのか、日本語と比較しながら考えます。

結論:There is・There areは「場面を開いてから、新しい存在を置く」構文

There is・There areの中心的な働きは、聞き手がまだ知らない人・物・出来事を会話の場へ導入することです。

  • There is a cat in the garden.:庭に猫が一匹いる
  • There are two cups on the table.:テーブルにカップが二つある
  • There was a problem.:問題があった
  • There will be a meeting tomorrow.:明日は会議がある

これらの文では、cat・two cups・problem・meetingが新しく紹介される情報です。英語はまずthereとbe動詞で「何かが存在する場」を開き、そのあとに存在物を提示します。

入口新しく紹介する存在場所・時間
There isa catin the garden
There aretwo cupson the table
There will bea meetingtomorrow

日本語訳では場所が先にも後にも来ますが、英語の構造として大切なのは、thereが先に文の足場を作り、存在するものが後ろに現れる点です。

しゅみすけ(大山俊輔)

There is・There areは「〜があります」という日本語訳から覚えるより、何もなかった舞台に人や物が登場する場面を思い浮かべると、英語の語順が自然に見えてきます。

thereは場所の「そこ」ではなく、文を始めるためのthere

英語のthereには、大きく分けて二つの使い方があります。

thereの種類例文働き
場所を表すtherePut it there.「そこに」という具体的な場所を指す
存在構文のthereThere is a book on the desk.存在を導入する文法上の入口になる

Put it there.のthereには強勢を置けますし、「ここではなく、そこ」と場所を指せます。ところが、There is a book on the desk.のthereは、机の場所そのものを意味していません。実際の場所は文末のon the deskが示しています。

存在構文のthereは、意味の中心となる名詞が後ろに来ても、英語の文が主語位置を空けたまま始まらないようにする形式的な役割を担います。ただし、単なる空箱ではありません。「これから新しい存在を紹介します」という情報上の合図にもなっています。

なぜ英語は最初から“A book is on the table.”と言わないのか

A book is on the table.も文法的には可能です。しかし、There is構文とは情報の見せ方が異なります。

  • There is a book on the table.:そこに何があるかを初めて伝える
  • A book is on the table.:本を話題として取り上げ、その位置を伝える
  • The book is on the table.:聞き手も知っている特定の本の場所を伝える

英語の文頭、特に主語の位置には、話し手と聞き手がすでに共有している情報や、これから何について話すのかという話題が置かれやすい傾向があります。一方、初めて登場する具体的な中身は後ろへ置かれやすくなります。

そのため、まだ聞き手が知らないa bookを紹介するときには、thereで入口を作ってから後ろに置くのが自然です。これは、英語が新しい情報や重い情報を文末側へ置く仕組みともつながります。

日本語の「〜がある・いる」は助詞で関係を見せる

日本語では、存在する場所に「に」、存在するものに「が」を付けて関係を示せます。

  • いる
  • 机の上ある
  • 明日、会議ある

「庭に猫がいる」と「猫が庭にいる」は焦点が少し異なりますが、助詞が役割を示すため、語順をある程度動かしても関係を保てます。日本語には英語の存在構文thereに一語で対応する要素はなく、「に・が・ある/いる」という組み合わせで存在を表します。

英語は助詞ではなく、語順と文の型によって「場面→存在」という流れを明確にします。日本語訳が同じでも、情報を組み立てる順番は同じではありません。

英語のThere is・There areと日本語の「ある・いる」の情報順序の違い

日本語は「ある」と「いる」を分けるが、英語はbe動詞でまとめる

日本語では、一般に物や出来事には「ある」、人や動物には「いる」を使います。

  • 本がある
  • 予定がある
  • 人がいる
  • 犬がいる

英語では、これらを基本的にbe動詞で表せます。

  • There is a book.
  • There is a plan.
  • There is someone outside.
  • There is a dog in the park.

つまり、日本語は存在物の生命性に応じて動詞を選び分け、英語は存在するものの数に応じてis・areを一致させます。両言語は同じ「存在」を、異なる情報に注目して文法化しているのです。

言語主に文法へ表す区別
日本語物・出来事か、人・動物かある/いる
英語単数か複数かThere is/There are

isとareの選択は、thereではなく後ろの名詞の数に合わせます。この点は、英語が主語・動詞・代名詞を一致させる理由、そして英語が単数・複数を区別する仕組みとも深く関係します。

There isとThere areは、存在するものの数を先に予告する

英語ではbe動詞を聞いた段階で、後ろから一つの存在が来るのか、複数の存在が来るのかを予測できます。

  • There is a reason.:理由が一つある
  • There are several reasons.:理由がいくつかある
  • There was an accident.:事故があった
  • There were many people.:多くの人がいた

会話では複数名詞の前でもThere’sが使われることがありますが、標準的な書き言葉では単数にThere is、複数にThere areを使うのが基本です。ここで重要なのは規則の丸暗記ではなく、英語が存在の数を文の早い段階で見せようとすることです。

There is・There areは「所有」ではなく「場面の中の存在」を表す

日本語の「ある」は、文脈によって存在にも所有にも使えます。

  • 部屋に机がある:存在
  • 私には時間がある:所有に近い関係

英語では、存在を場面へ置くThere is構文と、誰かが何かを持つhaveを区別します。

  • There is a piano in the room.:部屋という場面にピアノが存在する
  • She has a piano.:彼女がピアノを所有・保持している
  • There is a problem with the plan.:計画に問題が存在する
  • We have a problem.:私たちが問題を抱えている

同じ状況を異なる視点から表せる場合もあります。There isは場面を中心に見せ、haveは人や組織との関係を中心に見せます。どちらが正しいかではなく、話し手が何を文の土台にするかの違いです。

しゅみすけ(大山俊輔)

日本語の「ある」を見て機械的にThere isへ置き換えるのではなく、「場面に新しい存在を置きたいのか」「誰かが持っている関係を言いたいのか」を見ると、haveとの違いも整理できます。

否定文と疑問文でも、thereは存在を調べる入口になる

否定文では「その場面に存在しない」、疑問文では「その場面に存在するか」を表します。

  • There isn’t any milk in the fridge.:冷蔵庫に牛乳がない
  • There aren’t enough chairs.:椅子が足りない
  • Is there a restroom nearby?:近くにトイレはありますか
  • Are there any questions?:質問はありますか

疑問文ではbe動詞が前へ出ますが、thereが担う「存在の入口」という役割は変わりません。実際の作り方や練習問題を中心に学びたい方は、be:RIZEのThere is・There areとは?haveとの違いを「存在を場面に置く」感覚で理解するで体系的に確認できます。

There is構文は、物だけでなく出来事や可能性も場面へ置ける

存在するのは目に見える物だけではありません。英語では、問題・理由・可能性・変化なども一つの存在として場面に導入できます。

  • There is no doubt.:疑いの余地はない
  • There is a chance of rain.:雨の可能性がある
  • There has been a change.:変化があった
  • There seems to be a mistake.:間違いがあるようだ
  • There may be another way.:別の方法があるかもしれない

助動詞や完了形と組み合わせても、中心にある考え方は共通です。「今この場面に、どのような存在・出来事・可能性があるのか」を提示しています。

the bookのような既知情報は、通常There isで初登場させない

There is構文は、新情報を導入する働きが強いため、後ろにはa book・someone・a problemのような不特定・未知の表現が置かれやすくなります。

  • There is a book on the desk.:初めて本を紹介する
  • The book is on the desk.:すでに共有している本の場所を述べる

There is the book I was looking for!のように、探していた物を発見して「あそこにあった」と示す特殊な文脈では定冠詞も使えます。しかし基本の情報構造では、未知の存在はThere isで導入し、いったん共有された存在は次の文から通常の主語として扱います。

There is a woman at the door. She wants to speak with you.

最初の文で女性を会話へ登場させ、次の文ではすでに共有された人物としてsheで受けています。There is構文は、文章や会話に新しい登場人物を入れる扉ともいえます。

まとめ:There is・There areは、英語が新しい存在を紹介する順番

There is・There areは、「〜がある・いる」という日本語訳だけでは見えにくい情報の仕組みを持っています。

  • thereは具体的な「そこ」ではなく、存在を導入する入口になる
  • 英語は場面を開き、そのあとで新しい存在を提示する
  • 既知の話題は文頭、新しい情報は後ろに置かれやすい
  • 日本語は「に・が・ある/いる」、英語は語順とthere+beで存在を組み立てる
  • 日本語は「ある/いる」、英語は「is/are」という異なる区別を文法に表す
  • There isは場面中心、haveは所有者・関係者中心の見せ方になる
  • 一度導入された存在は、次の文から通常の主語や代名詞で受けられる

英語は、ただ単語を左から並べているのではありません。聞き手が情報を受け取りやすいように、共有されている場面から未知の存在へ進みます。There is・There areは、その英語らしい情報の流れが最も分かりやすく現れた構文の一つです。

英語の語順・主語・時制・冠詞・助動詞を「なぜ?」から見渡したい方は、英語の基本・構造とは?もあわせてご覧ください。

be動詞と一般動詞がなぜ別の骨格を持つのかは、英語はなぜbe動詞と一般動詞を分ける?「状態」と「動き」を別の骨格で表す理由で、日本語の述語構造と比較しながら解説しています。

この記事を書いた人
しゅみすけ(大山俊輔)

b わたしの英会話および英語コーチングGRIT/be:RIZE代表。米国MBA取得、外資系企業4社での勤務経験を持ち、これまで多くの大人の英語学習を支援。日本語と英語の処理構造の違いに着目した「英語OS」の考え方をもとに、独学で伸び悩む人の学び直しをサポートしています。

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