
「英語の時制は12種類」と習ったのに、「英語の時制は現在と過去の2つしかない」という説明を見かけることがあります。どちらが正しいのでしょうか。
結論からいうと、数え方の基準が違います。学校文法でいう「12時制」は、現在・過去・未来という時間の位置と、単純・進行・完了・完了進行という出来事の見せ方を組み合わせた学習上の整理です。一方、言語学では動詞の形として表される時制を狭く捉え、英語は現在形と過去形の2つを基本とする分析が広く行われます。
しゅみすけ(大山俊輔)
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学校文法では英語の時制を12種類と整理する
一般的な英文法教材では、次の3×4で12の形を整理します。
| 現在 | 過去 | 未来 | |
|---|---|---|---|
| 単純 | I work. | I worked. | I will work. |
| 進行 | I am working. | I was working. | I will be working. |
| 完了 | I have worked. | I had worked. | I will have worked. |
| 完了進行 | I have been working. | I had been working. | I will have been working. |
この一覧は、英語学習の地図として役立ちます。ただし、12個の互いに無関係な活用を暗記する表ではありません。

12時制は「時間の位置×出来事の見せ方」
表を理解する鍵は、横軸と縦軸が別の仕事をしていると知ることです。
- 現在・過去・未来:どの時間を基準に話すか
- 単純・進行・完了・完了進行:出来事をどの角度から見るか
進行形は出来事の途中へカメラを入れます。完了形は基準時点に立ち、そこまでの結果・経験・継続を振り返ります。完了進行形は、基準時点まで続いてきた動きを見せます。
つまり、I worked、I was working、I had worked は、すべて過去に関係しますが、見せる景色が違います。
言語学では「時制は2つ」と説明される理由
狭い意味での時制(tense)は、動詞の形が時間に応じて文法的に変化する仕組みを指します。英語の一般動詞を見ると、基本的な対立は次の2つです。
- 現在形:work/works
- 過去形:worked
未来について話す will work では、動詞 work 自体が「未来形」へ活用しているわけではありません。現在形の助動詞 will と動詞の原形を組み合わせています。
そのため、英語には形態的な未来時制を認めず、「現在と過去の2時制を持ち、未来はwillなどの表現で示す」と分析できます。ただし、言語学でも理論や用語の定義は一つではなく、未来を時制体系に含めて記述する立場もあります。ここでは、学習者が理解しやすい代表的な見方として紹介しています。
進行形と完了形は「時制」ではなくアスペクト
アスペクト(aspect)とは、出来事の内部をどう見るかを示す仕組みです。初心者向けにいえば、時間上の場所ではなく、場面をどう切り取るかです。
| 形 | 見せる景色 | 例 |
|---|---|---|
| 単純形 | 出来事・状態をひとまとまりで示す | She works here. |
| 進行形 | 展開中の途中を見る | She is working now. |
| 完了形 | 基準時点までの結果や履歴を見る | She has worked here before. |
| 完了進行形 | 基準時点まで続く動きを見る | She has been working all morning. |
学校で12時制と呼ぶものは、厳密には時制だけでなく、アスペクトや助動詞による未来表現を一緒に並べた体系だと考えるとよいでしょう。
しゅみすけ(大山俊輔)
では「未来形」は間違った呼び方?
英語学習で will+動詞 を「未来形」と呼ぶこと自体は、未来を表す形をまとめて学ぶための便宜的な呼び方として機能します。テストや教材の文脈では、12時制という用語を使って問題ありません。
ただし、実際の英語には未来を表す方法が複数あります。
- will:話し手の意志・判断・予測
- be going to:すでにある意図や兆候
- 現在進行形:手配が進んでいる予定
- 現在形:時刻表や確定した日程
I’ll call her tonight.
今夜、彼女に電話するよ。
I’m meeting her tomorrow.
明日、彼女に会う予定です。
The train leaves at seven.
電車は7時に出ます。
未来の出来事だから自動的に will になるわけではありません。未来をどんな根拠や視点で見せるかによって表現を選びます。
12種類を全部暗記する必要はある?
名称と形を一覧で確認することは役立ちますが、最初から12個の用法を別々に丸暗記する必要はありません。次の順で理解すると整理しやすくなります。
- 現在形と過去形で、基準となる時間を置く
- 進行形で「途中」の場面を見る
- 完了形で、基準時点までを振り返る
- willなどを使い、未来への判断や見通しを示す
- 必要になった段階で、完了進行形や未来完了へ広げる
この順序なら、will have been working のような長い形も、ばらばらな公式ではなく「未来の基準点まで、動きが続いている」という組み合わせとして読めます。
日本人が混乱しやすいポイント
「時制」と「時間」は同じではない
現在形で未来を表すことも、過去形で現在の仮定を表すこともあります。文法形式としての時制と、実際に指す時間は必ずしも一対一ではありません。
12個すべてを同じ重要度で覚えない
日常会話では、現在形・過去形・進行形・現在完了・willなどの基本形が中心です。珍しい形まで同時に覚えるより、よく使う形から場面と結びつけましょう。
「2時制だから未来はない」と考えない
「未来時制を形態的に区別しない」という分析は、英語で未来を表せないという意味ではありません。助動詞、現在形、進行形など複数の手段を使い分けます。
しゅみすけ(大山俊輔)
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英語の時間表現を体系的に深掘りするなら、be-rize.comの英語の現在形・過去形・未来表現も参考にしてください。
まとめ
- 学校文法では、3つの時間×4つの見せ方を12時制として整理する
- 言語学では、動詞の形の対立から英語を現在・過去の2時制と分析することがある
- 進行・完了・完了進行は、出来事の見せ方を表すアスペクト
- willは未来専用の活用語尾ではなく、未来表現に使われる助動詞
- 12と2は競合する答えではなく、数える範囲が違う
学習者にとって大切なのは、正しい数字を一つ選んで争うことではありません。「いつを基準にするか」と「出来事をどう見せるか」を分けることです。この2つが分かれば、12の形はばらばらな暗記項目ではなく、組み合わせとして理解できます。
現在形・過去形・進行形・完了形・未来表現の疑問は、中間親記事「英語の時制・時間表現の「なぜ?」一覧」からまとめて確認できます。










