
「赤いドレスを着ている女性」を英語にすると、the woman in the red dress。日本語では「赤いドレスを着ている」という説明を先に置き、最後に「女性」と言いますが、英語ではまず the woman と対象を示し、その後ろに説明を足します。
英語がいつも後ろから修飾するわけではありません。a beautiful garden のような短い形容詞は名詞の前です。しかし、前置詞句・分詞句・不定詞・関係詞節のように説明が長くなると、名詞の後ろへ置くのが基本です。英語には、聞き手が先に中心となる名詞をつかみ、あとから情報を積み重ねられる構造があります。
- 英語の後置修飾・後ろからの修飾とは何か
- 日本語と英語で説明の順番が逆に見える理由
- 短い形容詞を前、長い説明を後ろに置く基本
- 前置詞句・分詞・不定詞・関係詞による後置修飾
- 長い英文を前から理解する読み方・聞き方
- 英会話で後ろから情報を足す方法
Contents
英語は「中心の名詞」を先に示してから説明を足す
英語の名詞句では、中心となる名詞を head(主要部)と呼びます。the woman in the red dress なら中心は woman、in the red dress はwomanを詳しくする後置修飾です。
| 英語 | 先に分かること | 後から加わる情報 |
|---|---|---|
| the woman in the red dress | 女性 | 赤いドレスを着ている |
| the book on the desk | 本 | 机の上にある |
| the people waiting outside | 人々 | 外で待っている |
| the train that goes to Kyoto | 電車 | 京都へ行く |
英語の聞き手は、最初に「女性」「本」「人々」「電車」という箱を作ります。その後ろに届く情報を、その箱へ順番に足していきます。文末まで待ってから意味をひっくり返す必要はありません。
日本語は説明を先に置き、英語は対象を先に置きやすい
日本語では、名詞を説明する節や句を基本的に名詞の前へ置きます。
| 日本語の順番 | 英語の順番 |
|---|---|
| 私が昨日買った → 本 | the book → I bought yesterday |
| 駅の近くにある → カフェ | the café → near the station |
| 窓際に座っている → 女性 | the woman → sitting by the window |
日本語では最後の名詞が現れるまで、「何についての説明か」が確定しない場合があります。一方、英語は対象を早めに出し、そのあと詳細を追加します。この違いが、日本人学習者にとって英語の長文が「後ろから訳さないと分からない」と感じられる原因の一つです。

短い説明は名詞の前、長い説明は名詞の後ろが基本
英語では一語の形容詞は、通常、名詞の前に置きます。これを前置修飾といいます。
- a beautiful garden
- an old house
- a difficult question
一方、説明が句や節になると名詞の後ろへ置きます。
- the garden behind the house
- the house built in 1920
- the question that she asked
長い説明をすべて名詞の前へ詰め込むと、聞き手は中心の名詞が何かを長く待たなければなりません。英語は名詞を先に出すことで、リアルタイムに理解しやすい順番を作っています。
しゅみすけ(大山俊輔)
前置詞句による後置修飾
in・on・at・with・from などで始まる前置詞句は、名詞の場所・所属・特徴などを後ろから説明します。
| 英語 | 中心の名詞 | 追加情報 |
|---|---|---|
| the keys on the table | the keys | テーブルの上の |
| the man with glasses | the man | 眼鏡をかけた |
| a letter from my friend | a letter | 友人からの |
| the café near the station | the café | 駅の近くの |
理解するときは、the keys(鍵)→ on the table(テーブルの上にある)と、前から情報を足します。
分詞による後置修飾
現在分詞 -ing は進行中・能動的な関係を、過去分詞 -ed などは受け身・完了した状態を表し、名詞を後ろから説明できます。
| 形 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| 現在分詞 | the woman waiting outside | 外で待っている女性 |
| 現在分詞 | people living in Tokyo | 東京に住んでいる人々 |
| 過去分詞 | the cake made by Emma | Emmaが作ったケーキ |
| 過去分詞 | the language spoken here | ここで話されている言語 |
一語だけなら a sleeping baby のように前へ置けますが、a baby sleeping on the sofa のように情報が増えると後ろへ回すのが自然です。
to不定詞による後置修飾
to+動詞の原形 は、名詞の用途・予定・必要性などを後ろから補えます。
- something to eat(何か食べるもの)
- a place to stay(滞在する場所)
- the first person to arrive(最初に到着した人)
- a lot of work to do(やるべき多くの仕事)
something や someone のような不定代名詞は内容が広いため、後ろから説明を加える形が特によく使われます。
関係詞節による後置修飾
who・which・that などで始まる関係詞節は、主語+動詞を含む一文相当の情報を名詞の後ろへつなぎます。
| 英文 | 先行詞 | 後ろからの説明 |
|---|---|---|
| the woman who called me | the woman | 私に電話した |
| the book that I bought | the book | 私が買った |
| the city where she lives | the city | 彼女が住んでいる |
関係代名詞を「二つの文を合体させる難しい文法」と考えるより、先に名詞を置き、後ろから一文分の説明を足す装置と捉えると理解しやすくなります。詳しくはbe:RIZEの関係代名詞とは?who・which・thatを「後から足す」感覚で解説をご覧ください。
後置修飾が二つ以上続くこともある
英語では一つの名詞へ複数の説明を順番に足せます。
I met a woman / from Canada / who works at a hospital.
- a woman:ある女性に会った
- from Canada:カナダ出身の
- who works at a hospital:病院で働いている
日本語では「病院で働いているカナダ出身の女性」と前へ並べますが、英語ではwomanを受け取ったあと、説明を一枚ずつ重ねます。
長い英文を前から理解する3ステップ
- 冠詞+名詞までで中心人物・物をつかむ
- 前置詞・分詞・to・関係詞を追加説明の合図として見る
- 説明を中心の名詞へ戻して重ねる
The woman sitting by the window is my teacher. なら、The woman(その女性は)→ sitting by the window(窓際に座っている)→ is my teacher(私の先生です)と前から処理します。
文末まで抱えて日本語へ並べ替える負担については、be:RIZEの長い英語になると聞き取れないのはなぜ?「足し算リスニング」にも接続できます。
英会話では「短く言ってから足す」と考える
後置修飾は読解だけの文法ではありません。会話で最初から長い日本語を英訳しようとせず、まず中心を短く言い、必要な情報を後ろへ足せます。
| 最初の骨格 | 後から追加 | 完成 |
|---|---|---|
| I met a woman. | from Canada | I met a woman from Canada. |
| I need a place. | to work | I need a place to work. |
| Do you know the man? | standing by the door | Do you know the man standing by the door? |
これは「完璧な長文を頭の中で完成してから話す」のではなく、英語の情報順に沿って発話を伸ばす方法です。
よくある質問
英語は必ず後ろから修飾しますか?
いいえ。一語の形容詞や名詞による短い説明は、通常、名詞の前に置きます。説明が句・節として長くなると、後ろへ置くのが基本です。
後置修飾は後ろから訳すべきですか?
自然な日本語訳を作るときは並べ替える場合があります。しかし、読解やリスニングの処理では、名詞を先につかみ、説明を後から足すほうが負担が小さくなります。
関係代名詞を省略しても後置修飾ですか?
はい。the book I bought では目的格のthatが省略されていますが、I bought がthe bookを後ろから説明する構造は同じです。
この記事に出てきた前置詞句・分詞句・関係詞節について、「句」と「節」の違いから整理したい方は、英語の句と節とは?phrase・clauseの違いと見分け方もご覧ください。
まとめ:英語は名詞を先に置き、情報を後から積み重ねる
英語の後置修飾は、日本語と反対の語順を暗記するための規則ではありません。中心となる人物・物を先に示し、そのあと場所・状態・用途・一文分の説明を足す情報設計です。
短い説明は前、長い説明は後ろという基本をつかむと、前置詞句・分詞・不定詞・関係詞が同じ地図上に並びます。この仕組みは英語の基本・構造とは?や、英語はなぜ語順が重要?とあわせて理解してください。
参考資料
- Cambridge Dictionary Grammar: Noun phrases—dependent words
- Cambridge Dictionary Grammar: Adjective phrases—position
- Cambridge Dictionary Grammar: Relative clauses
関連記事:英語はなぜ関係詞を使う?人や物を先に置き、説明を後から追加する仕組み
後置修飾を支える、短い既知情報から長い新情報へ進む原則は、英語の文末重点・文末重心もあわせてご覧ください。
後置修飾の中で分詞が果たす役割は、英語はなぜ分詞を使う?もあわせてご覧ください。








