
英語の関係詞は、who・which・that・where などを使い、すでに出した人や物へ説明を追加する仕組みです。学校文法では「先行詞が人ならwho、物ならwhich」と覚えることが多いでしょう。しかし、関係詞の本質は単語の選択ではありません。
英語はまず「誰・何の話か」を示し、その後ろへ必要な説明を継ぎ足す言語です。関係詞は、その情報の流れを支える接続部品だと考えると分かりやすくなります。
しゅみすけ(大山俊輔)
Contents
関係詞とは?人や物と「後ろの説明」を結ぶ言葉
次の二つの文を見てください。
- I met a woman.
私はある女性に会いました。 - She works at the café.
彼女はそのカフェで働いています。
この二文には、a woman と she という同じ人物が登場します。関係詞を使うと、同じ人物を繰り返さず、一つのまとまりにできます。
I met a woman who works at the café.
私は、そのカフェで働いている女性に会いました。
who は、前の a woman と後ろの works at the café を結びます。同時に、後ろの節の中では she に相当する役目も果たします。つまり関係詞には、接続する働きと名詞の代わりになる働きがあります。
英語はなぜ関係詞を使う?「先に対象、あとから説明」のため
英語では、文を左から右へ進めながら、中心となる人物や物を早い段階で示す傾向があります。
I met a woman …
ここまで聞いた時点で、相手は「女性に会った」という骨格をつかめます。その後で、
… who works at the café.
と続ければ、「どの女性なのか」という説明を追加できます。中心を先に置くため、話し手は完璧な長文を最初から設計しなくても、まず骨格を伝え、必要に応じて情報を伸ばせます。
この作り方は、英語の後置修飾(名詞を後ろから説明する仕組み)の代表例です。関係詞は、主語と動詞を含む長い説明を名詞の後ろへ接続できます。
日本語との違い|日本語は説明を先に、英語は名詞を先に置く
英語と日本語は、同じ内容を表せます。ただし、情報を並べる順序がほぼ鏡写しです。

| 言語 | 語順 | 例 |
|---|---|---|
| 英語 | 人・物 → 説明 | the woman who works at the café |
| 日本語 | 説明 → 人・物 | カフェで働いている女性 |
日本語では「カフェで働いている」を聞いている間、中心となる名詞がまだ出ていません。最後に「女性」と聞いて、前の説明が誰にかかるか確定します。一方、英語では the woman を先に確定し、その女性に説明を追加します。
ただし、両言語には大切な共通点もあります。どちらも一つの節を、名詞を説明する形容詞のように使っていることです。違うのは「説明できるかどうか」ではなく、主にその置き場所です。
関係詞は「二文を短くする」だけではない
関係詞は二つの文を一つにする道具、と説明されることがあります。それも間違いではありませんが、実際には情報の焦点を作る働きがあります。
- The woman works at the café.
「その女性がカフェで働く」が主な情報 - I met the woman who works at the café.
「私はその女性に会った」が文の骨格で、勤務先は女性を特定する情報
関係節に入った内容は、独立した文の主張ではなく、前の名詞を選び出したり補足したりする情報になります。話し手は、何を文の中心にし、何を背景へ回すかを関係詞で整理しているのです。
先行詞・関係詞・関係節の役割
the woman who works at the café を三つに分けます。
| 部分 | 名称 | 役割 |
|---|---|---|
| the woman | 先行詞 | これから説明される人・物 |
| who | 関係詞 | 先行詞と後ろの節を結び、節内の役割も担う |
| who works at the café | 関係節 | 先行詞がどの人・物かを説明する |
「節」は主語と動詞を核にしたまとまりです。句と節の基本は、先に英語の句と節とは?phrase・clauseの違いを読むと整理できます。
who・which・that・whereは、後ろの説明との関係を示す
関係詞の選択は、先行詞の種類と、後ろの節で何が不足しているかを示します。ここでは全体像だけ押さえましょう。
| 関係詞 | 主な先行詞 | 基本イメージ | 例 |
|---|---|---|---|
| who | 人 | その人が/その人を | the woman who called me |
| which | 物・動物 | その物が/その物を | the book which changed my life |
| that | 人・物 | 対象を限定して説明へつなぐ | the café that I like |
| whose | 人・物 | その人・物の | the woman whose bag was stolen |
| where | 場所 | そこで | the café where we met |
| when | 時 | そのときに | the day when we met |
who や which は後ろの節の主語・目的語に相当するため「関係代名詞」、where や when は場所・時を示す副詞に相当するため「関係副詞」と呼ばれます。詳しい選び方や省略は、be:RIZEの関係代名詞のコアイメージと使い方、関係代名詞と関係副詞の違いで実践的に確認できます。
関係詞の後ろには「一部が空いた文」が続く
関係代名詞を理解する鍵は、後ろの節に先行詞が入る場所があることです。
- the woman who called me
もとの関係:The woman called me. - the book that I bought
もとの関係:I bought the book.
一つ目では who が「電話した人」という主語の場所を担います。二つ目では that が「買った物」という目的語の場所を担います。そのため、the woman who she called me や the book that I bought it のように、she や it を重ねる必要はありません。
関係副詞の場合、後ろの節は主語や目的語がそろっています。
the café where we met
→ We met there.
where は there に近い場所の関係を担います。この「後ろの文に何が足りないか」が、関係代名詞と関係副詞を見分ける基本です。
限定と補足|説明には二つの目的がある
関係節には、対象を選び出す説明と、すでに分かっている対象へ補足を加える説明があります。
| 種類 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| 限定用法 | どの人・物かを特定する | The students who studied passed the test. |
| 非限定用法 | 特定済みの人・物へ補足する | My sister, who lives in Osaka, is a designer. |
限定用法では「勉強した生徒」という範囲を作ります。非限定用法では、すでに my sister で誰かが分かっており、「大阪に住んでいる」を挿入情報として足します。書き言葉ではコンマが、この情報の扱いの違いを示します。
しゅみすけ(大山俊輔)
日本語にも関係節はあるが、関係詞にあたる語は通常いらない
日本語の「昨日私が買った本」も、「昨日私が買った」という節が「本」を説明しています。したがって、日本語にも関係節に相当する構造はあります。
ただし、日本語は説明を名詞の前へそのまま置けるため、英語の who や which に直接対応する接続語を通常必要としません。
| 日本語 | 英語 |
|---|---|
| 私が昨日買った + 本 | the book + that I bought yesterday |
| 駅の近くに住んでいる + 人 | the person + who lives near the station |
日本語話者が関係詞を難しく感じやすいのは、概念が存在しないからではありません。同じ説明を、名詞の反対側へ置き直す必要があるからです。
英語を作るときは、まず短い骨格を確定する
関係詞を使うときは、日本語の長い修飾部分を最初から英訳するより、英語の情報順に組み替えると自然です。
- 中心となる人・物を先に言う:I met a woman.
- 追加したい説明を考える:She works at the café.
- 重なる人・物を関係詞へ替える:I met a woman who works at the café.
これは「二文を合体する問題」の解法であるだけでなく、英語を話すときの思考順です。まず短い骨格を出し、そのあと説明を継ぎ足します。
よくある質問
関係詞と接続詞は何が違いますか?
どちらも節をつなぎますが、関係代名詞は後ろの節の主語・目的語などの役割も担います。接続詞 because や if は関係を示して節を導きますが、それ自体が節内の主語や目的語にはなりません。接続詞全体の仕組みは英語の接続詞とは?で解説しています。
thatはいつでもwhoやwhichの代わりになりますか?
限定用法では、人にも物にも広く使えます。ただし、コンマを使う非限定用法では通常 that を使いません。また前置詞の直後など、置き換えられない場合があります。この記事では設計の全体像を優先し、細かな使い分けはbe:RIZEの記事へ譲ります。
目的格の関係代名詞はなぜ省略できますか?
the book (that) I bought のように、先行詞の直後に主語 I が現れるため、関係節の始まりと「買った物」の空所を推測しやすいからです。一方、the woman who called me の who は節の主語そのものなので、基本的に省略できません。
まとめ|関係詞は、英語の情報を後ろへ伸ばす接続部品
- 関係詞は、先行詞と後ろの説明を結ぶ
- 英語は人・物を先に示し、関係節を後ろへ追加する
- 日本語は説明を先に置き、最後に人・物を示す
- 両言語とも、節を名詞の説明として使う点は共通する
- 関係代名詞は、後ろの節の主語・目的語の役割も担う
- 限定用法は対象を特定し、非限定用法は補足を加える
関係詞は、英語だけに存在する不思議な暗記項目ではありません。「誰・何の話か」を先に渡し、その説明を後ろへ伸ばしていく英語の設計に必要な仕組みです。この情報順が見えると、長い英文でも中心となる名詞を先につかみ、後ろの説明を落ち着いて読めるようになります。
英語の語順・主語・時制・冠詞などを「なぜ?」からたどる場合は、親記事英語の基本・構造とは?もあわせてご覧ください。
参考資料
- Cambridge Dictionary Grammar: Relative clauses
- Cambridge Dictionary Grammar: Relative pronouns
- British Council LearnEnglish: Defining relative clauses
- British Council LearnEnglish: Non-defining relative clauses
this・that・these・thoseを英語の「距離×数」と日本語の「こ・そ・あ」の比較から知りたい方は、英語はなぜthis・that・these・thoseを使い分ける?日本語の「こ・そ・あ」との違いもご覧ください。








