
英語を学ぶと、「主語の次に動詞」「動詞の次に目的語」と語順を細かく注意されます。日本語なら「私はケーキを食べた」「ケーキを私は食べた」のどちらも、少し焦点は変わっても意味は通じます。それなのに、英語ではなぜ順番がそれほど大切なのでしょうか。
しゅみすけ(大山俊輔)
Contents
結論:英語では「位置」が単語の役割を知らせる
英語で語順が大切なのは、文の中の位置が「する側」「動き」「受ける側」を知らせる大きな手がかりになるからです。
The dog bit the man.
犬が男性をかんだ。
この文では、動詞 bit の前にある The dog が「かんだ側」、後ろにある the man が「かまれた側」です。単語を入れ替えると、同じ dog・man・bit を使っていても景色が逆転します。
The man bit the dog.
男性が犬をかんだ。

日本語では「犬が」「男性を」のように、助詞が役割を示します。英語には日本語の「が」「を」にそのまま対応する印が通常はないため、前から何番目に置かれたかが重要になります。
学校文法のSVOは、意味を読むための設計図
学校では英語の基本語順を S+V+O と習います。
- S(Subject/主語):誰・何について話すか
- V(Verb/動詞):どんな動き・状態か
- O(Object/目的語):動きが向かう相手・対象
文法記号だけを見ると暗号のようですが、景色に直すとシンプルです。
する人・もの → 動き → 受ける人・もの
| する側 | 動き | 受ける側 | 意味 |
|---|---|---|---|
| Lisa | called | Ken. | リサがケンに電話した |
| Ken | called | Lisa. | ケンがリサに電話した |
| I | love | this song. | 私はこの曲が大好き |
| This song | reminds | me of summer. | この曲を聞くと夏を思い出す |
SVOは試験のためだけの分類ではありません。英語が場面をどの順番で見せるかを表した設計図です。
日本語は語順がどうでもよいの?
いいえ。日本語にも自然な基本語順があり、順番を変えると焦点や響きが変わります。ただ、日本語は助詞によって役割を示せるため、英語よりも語順を動かしやすいのです。
私は昨日、駅でケンを見た。
ケンを私は昨日、駅で見た。
二つ目は「ケンを」を対比・強調するような響きになりますが、「を」があるので、ケンが「見られた側」だと判断できます。
英語では、次の語順が基本です。
I saw Ken at the station yesterday.
Ken saw me… とすれば、見る側と見られる側が入れ替わります。日本語の助詞が担う仕事の一部を、英語では語順が担っているのです。
しゅみすけ(大山俊輔)
英語にも役割を示す「形」はある
英語がすべてを語順だけで示すわけではありません。代名詞には形の違いが残っています。
- I called him.:私が彼に電話した
- He called me.:彼が私に電話した
I / me、he / him、she / her などは役割によって形が変わります。しかし、Lisa・Ken・the dog・the man のような一般の名詞は、主語でも目的語でも形がほぼ変わりません。そのため、語順が大きな仕事をします。
疑問文ではなぜ語順を変えるの?
英語は位置が役割を示す一方で、疑問文になると助動詞を前へ出します。
- You like coffee.:あなたはコーヒーが好きです
- Do you like coffee?:コーヒーは好きですか
Do を前に置くことで、聞き手は文の早い段階で「これは質問だ」と分かります。ただし、中心の並びは you → like → coffee のままです。疑問文でも「誰が・どうする・何を」の骨格は保たれています。
修飾語は動かせることもある
英語の全単語が一字一句、固定されているわけではありません。時間や場所を表す語句は、焦点や文体によって移動できます。
- I met her in Tokyo last year.
- Last year, I met her in Tokyo.
どちらも「去年、東京で彼女に会った」という基本内容です。Last year を前に出すと、最初に時間の枠を設定する感じになります。
大切なのは、文の骨格と、後から足す情報を分けることです。
- 骨格:I met her.
- 場所を追加:in Tokyo
- 時間を追加:last year
まず骨格を作れば、長い文でも迷いにくくなります。
日本人が語順で迷いやすい理由
1.日本語を最後まで作ってから英訳する
日本語では動詞が文末に来ることが多いため、「私は、昨日、友達と、渋谷で……」と周辺情報を並べてから「食事をした」と締められます。これをそのまま英語へ移そうとすると、中心の動詞がなかなか出てきません。
2.単語の意味だけで文を組み立てようとする
単語を全部知っていても、位置が違えば役割が変わります。英語では「何という単語か」と同じくらい、「どこに置くか」が意味の一部です。
3.日本語の助詞を一語ずつ英語にしようとする
「は」「が」「を」に毎回対応する英単語を探す必要はありません。英語では、主語を置き、動詞を置き、必要なら対象を続けることで、その関係を表せます。
会話では「誰が→どうする」から始めよう
英語を話すときは、日本語の完成文を頭に作らず、まず次の二つを決めます。
- 誰・何を主役にする?
- その主役はどうする・どんな状態?
たとえば「昨日、仕事の帰りに偶然、駅で昔の友達に会った」と言いたいとします。全部を一度に訳す必要はありません。
I ran into an old friend.
昔の友達に偶然会った。
骨格を置いてから情報を足します。
I ran into an old friend at the station after work yesterday.
長い日本語を抱えたまま英訳するより、英語の順番で小さく景色を作るほうが会話では使いやすくなります。
語順が分かると別の文法も見えやすくなる
語順の考え方は、ほかの文法にもつながります。
- 受動態:受ける側を主語の位置へ移して主役にする
- 倒置:通常と違う位置へ動かし、注意や焦点を作る
- There is構文:場面を先に開き、新しい存在を後から登場させる
- 疑問文:助動詞や疑問詞を前へ出し、質問の種類を早く示す
これらは「例外的な語順」として丸暗記するだけでなく、通常の語順が何をしているかを知ると理解しやすくなります。
しゅみすけ(大山俊輔)
まとめ:語順は英語の意味を作る
英語で語順が大切なのは、単なる文法規則だからではありません。位置が「誰が、何をしたか」を示し、聞き手が前から意味を組み立てるための案内になるからです。
- 英語では位置が主語・動詞・目的語の役割を示す
- 語順が変わると、する側と受ける側が変わる
- 日本語は助詞で役割を示すため、比較的語順を動かしやすい
- 英会話では「誰が→どうする」の骨格から始める
- 時間・場所などは骨格の後から足せばよい
英語の構造全体を見渡したい方は、英語の基本・構造とは?語順・主語・時制・冠詞・助動詞を「なぜ?」から理解するもあわせてご覧ください。
主語を置く理由は、英語はなぜ主語が必要?日本語では省略できるのにで詳しく解説しています。工房1の記事一覧は、英語と日本語は何が違う?発想・視点・語順から分かる英語の特徴から確認できます。
日本語へ訳さず、場面から主語と動詞を取り出して前から組み立てる方法は、be-rize.comの英語脳とは?日本語に訳さず英語を話すための作り方で体系的に深掘りしています。










