
日本語の「どうぞ」は、とても便利な言葉です。「お先にどうぞ」「はい、どうぞ」「ご自由にどうぞ」「こちらへどうぞ」など、場面が変わっても同じ一言で通じます。
ところが英語には、どの場面でも使える「どうぞ」専用の単語はありません。何を相手に勧めるのか、許可するのか、手渡すのかによって表現が変わります。
この記事では、After you.、Go ahead.、Here you go.、Help yourself. などの違いを、日常会話・接客・おもてなしで使える例文とともに解説します。
お先にどうぞ:After you.
やっていいですよ:Go ahead.
物を渡して「はい、どうぞ」:Here you go.
ご自由にどうぞ:Help yourself.
こちらへどうぞ:This way, please.
Contents
- 1 「どうぞ」は英語で何と言う?場面別の早見表
- 2 お先にどうぞ:After you.
- 3 許可する「どうぞ」:Go ahead.
- 4 物を渡す「はい、どうぞ」:Here you go.
- 5 ご自由にどうぞ:Help yourself.
- 6 こちらへどうぞ:This way, please.
- 7 ごゆっくりどうぞ:Take your time.
- 8 よかったらどうぞ:Would you like …?
- 9 お好きな席へどうぞ
- 10 お好きにどうぞ:As you like. / It’s up to you.
- 11 接客で使える「どうぞ」の英語
- 12 「どうぞよろしく」はpleaseでは訳せない
- 13 「どうぞ」と言われたときの返事
- 14 初心者はこの4つから覚えよう
- 15 「どうぞ」の英語に関するよくある質問
- 16 まとめ:「どうぞ」の後ろに省略された行動を考えよう
「どうぞ」は英語で何と言う?場面別の早見表
順番を譲る
After you.
お先にどうぞ。
許可する・行動を促す
Go ahead.
どうぞ。/いいですよ。
物を渡す
Here you go. / Here you are.
はい、どうぞ。
自由に取ってもらう
Help yourself.
ご自由にどうぞ。
場所へ案内する
This way, please.
こちらへどうぞ。
ゆっくりしてもらう
Take your time.
ごゆっくりどうぞ。
招き入れる
Come in.
どうぞお入りください。
日本語だけを見て英訳するのではなく、「相手に何をしてもらいたいか」を考えるのが使い分けのコツです。
お先にどうぞ:After you.
ドア、エレベーター、列などで順番を譲る「お先にどうぞ」には After you. が定番です。直訳は「あなたの後で」ですが、「私はあなたの後に行きます」という気持ちから、相手を先に通す表現になります。
A: Are you getting off here?
ここで降りますか?
B: Yes.
はい。
A: After you.
お先にどうぞ。
A: Please, after you.
どうぞお先に。
B: Thank you.
ありがとうございます。
相手も After you. と譲ってくれたら、Thank you. と言って先に進めば自然です。「どうぞどうぞ」と譲り合う雰囲気なら、No, please, you go first.(いえ、どうぞ先に行ってください)とも言えます。
Go aheadとの違い
Go ahead. も順番を譲るときに使えますが、中心的な意味は「先へ進んで」「やっていいよ」です。ドアの前で丁寧に相手を先に通すなら After you.、会話や作業の順番を譲るなら Go ahead. が使いやすいでしょう。
A: Sorry, were you about to say something?
ごめんなさい、何か言おうとしていましたか?
B: Go ahead.
どうぞ先に話してください。
Go ahead の許可・計画・励ましなどの用法は「go aheadの意味と使い方」で詳しく解説しています。
許可する「どうぞ」:Go ahead.
「使ってもいいですか?」「質問してもいいですか?」など、相手から許可を求められたときの「どうぞ」は Go ahead. が自然です。
A: Can I use your phone?
電話を使ってもいいですか?
B: Sure, go ahead.
もちろん、どうぞ。
A: May I ask you a question?
質問してもよいですか?
B: Go ahead.
どうぞ。
Go ahead. は「その行動を始めていいですよ」という表現です。物を手渡すときの「はい、どうぞ」には通常使いません。
Please do.も使える
相手が Do you mind if …? や Can I …? と尋ねたとき、Please do. で「ぜひどうぞ」と答えられます。
A: Can I open the window?
窓を開けてもいいですか?
B: Please do.
どうぞ。
行動を歓迎している気持ちが伝わる、丁寧で前向きな返答です。
物を渡す「はい、どうぞ」:Here you go.
飲み物、書類、おつりなどを相手に渡す「はい、どうぞ」には、Here you go. または Here you are. を使います。
Here’s your coffee. Here you go.
コーヒーです。どうぞ。
Here you are. This is the document you asked for.
はい、どうぞ。ご依頼の書類です。
Here’s your change.
おつりをどうぞ。
Here you go. は日常的でよく使われます。Here you are. も同じように使え、少し整った響きになることがあります。ただし、地域や話し手による違いが大きく、どちらも失礼ではありません。
There you go.との違い
There you go. も物を渡すときに使われますが、それ以外に「できたね」「ほら、その調子」「そう、それでいい」という意味があります。
There you go. You did it!
ほら、できたね!
There you go—that’s the right answer.
そう、それが正解です。
初心者は、目の前で物を渡すなら Here you go. と覚えておけば十分です。
ご自由にどうぞ:Help yourself.
料理、お菓子、飲み物などを自由に取ってもらうときは、Help yourself. を使います。「自分で自分に取り分けてください」というイメージです。
Help yourself to some cookies.
クッキーをご自由にどうぞ。
Please help yourself to coffee or tea.
コーヒーか紅茶をご自由にお取りください。
There are extra towels in the closet. Help yourself.
クローゼットに予備のタオルがあります。ご自由にどうぞ。
何を取ってよいか続けるときは、help yourself to + 名詞 の形にします。
複数の相手にはHelp yourselves.
複数人に言う場合は yourself を複数形にして Help yourselves. と言えます。
Everyone, please help yourselves.
皆さん、どうぞご自由に召し上がってください。
Feel free to …も便利
食べ物以外の「遠慮なく〜してください」「ご自由にどうぞ」には Feel free to + 動詞 が便利です。
Feel free to ask any questions.
どんな質問でも遠慮なくどうぞ。
Feel free to use the kitchen.
キッチンは自由に使ってください。
Please feel free to contact me anytime.
いつでも遠慮なくご連絡ください。
こちらへどうぞ:This way, please.
人を部屋や席へ案内する「こちらへどうぞ」には、This way, please. が定番です。ホテル、レストラン、受付などの接客でもよく使います。
Your table is ready. This way, please.
お席の準備ができました。こちらへどうぞ。
The meeting room is this way. Please follow me.
会議室はこちらです。私についてきてください。
Right this way, please.
さあ、こちらへどうぞ。
Right this way, please. は相手をすぐに案内し始めるときによく使われます。
「中へどうぞ」はCome in.
部屋や家の中に招くなら Come in. や Please come in. を使います。
Please come in.
どうぞお入りください。
Come on in and make yourself at home.
どうぞ入って、くつろいでください。
Come on in. は Come in. より親しみのある響きです。
ごゆっくりどうぞ:Take your time.
急がなくてよいと伝える「ごゆっくりどうぞ」には、Take your time. が自然です。
There’s no rush. Take your time.
急がなくて大丈夫です。ごゆっくりどうぞ。
Take your time choosing.
ごゆっくりお選びください。
Take your time with the menu.
メニューをゆっくりご覧ください。
食事やイベントを楽しんでもらいたい場合は Enjoy! や Enjoy your meal. も使えます。
Here’s your order. Enjoy!
ご注文の品です。ごゆっくりどうぞ。
Enjoy your stay.
どうぞごゆっくりお過ごしください。
「ごゆっくりどうぞ」は、急がなくてよいなら Take your time.、楽しんでほしいなら Enjoy. と、伝えたい内容で分けましょう。
よかったらどうぞ:Would you like …?
何かを相手に勧める「よかったらどうぞ」は、Would you like + 名詞? が自然です。
Would you like some cake?
よかったらケーキをどうぞ。
Would you like to try this?
よかったら、これを試してみませんか?
Please have some if you’d like.
よかったらどうぞ召し上がってください。
相手の希望を尋ねる疑問文なので、押しつけずに勧められます。
お土産にどうぞ
This is for you.
これはあなたに。/どうぞ。
Please take this as a souvenir.
これをお土産にどうぞ。
I brought you a little something from Japan.
日本からちょっとしたお土産を持ってきました。
お好きな席へどうぞ
店や待合室で席を選んでもらうなら、次の表現が使えます。
Please sit wherever you like.
お好きなところにどうぞ。
You can sit anywhere.
どこに座っても大丈夫です。
Please choose any seat you like.
お好きな席をお選びください。
Have a seat.
どうぞお掛けください。
Take a seat. も使えますが、状況や口調によっては指示のように響くことがあります。接客では Please have a seat. が柔らかく便利です。
お好きにどうぞ:As you like. / It’s up to you.
「好きなものを選んでよい」という中立的な意味なら、Choose whichever you like. や You can choose anything you like. が分かりやすい表現です。
Choose whichever you like.
どれでもお好きなものをどうぞ。
It’s up to you.
あなたにお任せします。/お好きにどうぞ。
Do as you like.
好きなようにしてください。
Do as you like. や Suit yourself. は、言い方によって「勝手にすれば」という冷たい響きになることがあります。親切に選択肢を与えたいなら、You can choose … や It’s up to you. が安全です。
接客で使える「どうぞ」の英語
レストラン・カフェ
Here’s the menu.
メニューをどうぞ。
Please have a seat.
どうぞお掛けください。
This way, please.
こちらへどうぞ。
Please help yourself to some water.
お水はご自由にどうぞ。
Take your time.
ごゆっくりどうぞ。
ホテル・受付
Please wait here for a moment.
こちらで少々お待ちください。
Please proceed to the front desk.
フロントへどうぞ。
Right this way, please.
こちらへどうぞ。
Here’s your room key.
お部屋の鍵をどうぞ。
店・レジ
Please come to the next register.
次のレジへどうぞ。
Here’s your receipt and change.
レシートとおつりをどうぞ。
Feel free to try it on.
ご自由にご試着ください。
「どうぞよろしく」はpleaseでは訳せない
日本語の「どうぞよろしくお願いします」も、英語では場面によって言い換えます。単に Please. と言っても伝わりません。
Nice to meet you.
はじめまして。よろしくお願いします。
I’m looking forward to working with you.
一緒にお仕事できるのを楽しみにしています。よろしくお願いします。
Thank you in advance for your help.
ご協力のほど、よろしくお願いします。
Thank you for your continued support.
今後ともよろしくお願いいたします。
「よろしくお願いします」は、挨拶、依頼、感謝、今後への期待など、日本語では省略されている内容を英語で具体的にします。
お願いを丁寧に伝える please の使い方については「pleaseの意味と使い方・丁寧な依頼表現」も参考にしてください。
「どうぞ」と言われたときの返事
物を受け取ったり順番を譲ってもらったりしたら、短く Thank you. と返せば自然です。
A: After you.
お先にどうぞ。
B: Thank you.
ありがとうございます。
A: Here you go.
はい、どうぞ。
B: Thanks.
ありがとう。
何かを勧められて受けるなら Yes, please.、断るなら No, thank you. が使えます。
A: Would you like some tea?
紅茶はいかがですか?
B: Yes, please. / No, thank you.
はい、お願いします。/いいえ、結構です。
初心者はこの4つから覚えよう
最初からすべてを覚えなくても大丈夫です。まずは、使う場面がはっきりしている次の4つを声に出して練習しましょう。
人を先に通す:After you.
許可を出す:Go ahead.
物を渡す:Here you go.
自由に取ってもらう:Help yourself.
たとえばペンを渡しながら Here you go.、ドアを開けて After you. と、動作と一緒に覚えると定着しやすくなります。
「どうぞ」の英語に関するよくある質問
Q. pleaseは「どうぞ」という意味ではありませんか?
please が「どうぞ」に当たる場面もあります。This way, please. や Please come in. などです。ただし、物を渡す Here you go. や順番を譲る After you. の代わりに、Please. だけを使うのは通常不自然です。
Q. Here you go.とHere you are.はどちらが丁寧ですか?
どちらも自然で失礼ではありません。Here you go. は日常会話で非常によく使われ、Here you are. は少し整った響きに感じられることがあります。地域や人によって好みも異なります。
Q. 「いつでもどうぞ」は英語で何と言いますか?
連絡や訪問を歓迎するなら Anytime.、Feel free to …、You’re welcome anytime. などを使います。
Call me anytime.
いつでも電話してください。
You’re welcome to visit anytime.
いつでも遊びに来てください。
Q. 「どうぞどうぞ」は英語で何と言いますか?
順番を強く譲るなら Please, you go first.、許可なら Sure, go ahead.、食べ物を勧めるなら Please, help yourself. のように、場面に合う表現を強めます。
Q. 「どうぞお構いなく」は英語で何と言いますか?
訪問先で相手に気を遣わせたくないなら Please don’t go to any trouble. が使えます。
Please don’t go to any trouble.
どうぞお構いなく。
まとめ:「どうぞ」の後ろに省略された行動を考えよう
英語で「どうぞ」と言うときは、日本語の一語をそのまま訳すのではなく、後ろに省略されている行動を考えます。
「先へどうぞ」なら After you.、「やってどうぞ」なら Go ahead.、「これをどうぞ」なら Here you go.、「自由に取ってどうぞ」なら Help yourself. です。
まずは After you.、Go ahead.、Here you go.、Help yourself. の4つを、実際の動作と結びつけて使ってみましょう。
「こちらへどうぞ」から担当者への引き継ぎまでの案内表現は、受付・案内の接客英語も参考にしてください。










