
バス停で近づいてくるバスを見つけたとき、英語ではよく Here comes the bus! と言います。ところが、学校で習った「主語+動詞」の順なら The bus comes here. になりそうですよね。なぜ comes the bus と逆になるのでしょうか。
結論から言うと、Here comes the bus は「ここ」という場所を先に映し、そこへ動きながら現れる新しい主役=the busを最後に登場させる語順です。日本語なら「ほら、バスが来たよ」「バスが来るよ」に近い表現です。
しゅみすけ(大山俊輔)
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Here comes the busは「場所から主役を登場させる」倒置
英語の基本語順は「主語+動詞」です。
- The bus is coming.
バスが来ています。
この文は、まず the bus を話題にし、そのバスがどうしているかを is coming で説明します。視線は「バス→動き」の順です。
一方、目の前にバスが現れた瞬間なら、話し手は聞き手の注意をまず現在地へ向けます。
- Here comes the bus!
ほら、バスが来たよ!
here で場面を示し、comes でこちらへ近づく動きを見せ、最後に the bus を登場させます。場所を文頭に出し、動詞と主語を入れ替えるこの形は、場所を表す語句による倒置の一種です。
Cambridge Dictionaryの文法解説でも、Here comes the bus! は場所を表す副詞句を前に置く倒置の例として示されています。
The bus comes hereとは何が違う?
The bus comes here. も文法的には成立します。ただし、通常は目の前の到着を知らせる文ではなく、バスの経路や習慣を説明する響きになります。
- The bus comes here every twenty minutes.
そのバスは20分おきにここへ来ます。 - Does the airport bus come here?
空港バスはここに来ますか。
現在形の comes は、繰り返し起こることや通常の動きを表すのが得意です。今まさに見えてきたバスを指して「ほら、来た」と知らせたいなら、Here comes the bus! のほうが自然です。

なぜHere it comesは倒置しない?
主語が名詞ではなく代名詞になると、ふつうは語順が変わります。
- Here comes the bus.(名詞)
- Here it comes.(代名詞)
- Here he comes.(代名詞)
the bus のような名詞は、その場で初めて示す「新しい主役」になれます。だから最後に置くと、登場感が生まれます。一方、it や he は、話し手と聞き手がすでに何を指すか分かっている語です。既知の短い代名詞は動詞の前に置き、Here it comes. とするのが自然です。
Here comes it. は、通常の現代英語では不自然です。同じことは There goes the train. と There it goes. にも当てはまります。
しゅみすけ(大山俊輔)
Never have I seenとは仕組みが違う
どちらも「倒置」と呼ばれますが、語順が変わる理由と形は同じではありません。
- Never have I seen such a view.
否定語を前に出したため、助動詞 have と主語 I が入れ替わる。 - Here comes the bus.
場所を先に示し、一般動詞 comes のあとに名詞主語を登場させる。
Here does the bus come. のように does を足すわけではありません。否定語による倒置は、Never have I seenの語順になる理由で詳しく解説しています。
会話でよく使うHere comes/There goes
人や乗り物が近づいてくる
- Look, here comes our bus.
見て、私たちのバスが来たよ。 - Here comes Maya.
ほら、マヤが来たよ。 - Here comes the rain.
雨が来るぞ。
Look と一緒に使うと、「あそこを見て」と相手の注意を向ける感じがさらにはっきりします。なお、Here comes the sun の表現は、ビートルズ『Here Comes the Sun』で学ぶ英語表現でも紹介しています。
離れていくもの・失われるものを示す
- There goes the last train.
ああ、終電が行ってしまう。 - There goes our chance.
これで私たちのチャンスはなくなった。
there は視線を少し離れた場所へ向け、goes はそこから離れていく動きを見せます。そこから「チャンスが消えてしまった」のような抽象的な意味にも広がります。
物語や描写では場所を先に置く倒置もある
同じ「舞台→動き・状態→主役」の並べ方は、物語や情景描写でも使われます。
- At the door stood a man.
ドアのところに一人の男性が立っていた。 - On the wall hung a picture.
壁には一枚の絵が掛かっていた。 - Down the hill rolled a ball.
丘をボールが転がり落ちてきた。
これらは会話の定番である Here comes … より、描写的・文学的な響きがあります。場所を先に映すことで、読者は舞台を見たあと、そこに何がいるのか、何が起きるのかを知ることになります。
Here you goとは別の表現
何かを手渡すときの Here you go.(はい、どうぞ)や Here you are. もよく聞きます。ただし、これは Here comes the bus. と同じ「新しい名詞主語を登場させる倒置」として覚える必要はありません。手渡しの場面で使う一まとまりの表現として覚えるほうが実用的です。
まとめ:語順はカメラの動きだと考える
Here comes the bus. は、ただ目立たせるために語順を逆にした文ではありません。
- The bus is coming.:バス→動き
- Here comes the bus.:場所→動き→新しい主役
- Here it comes.:場所→すでに分かっている主役→動き
- The bus comes here.:バスの経路・習慣を説明しやすい
ここでは学習者が理解しやすい見方として「カメラの動き」で説明しました。実際の語順には文脈・情報の新しさ・文体なども関係しますが、まずは「何を先に見せ、何を最後に登場させるか」を意識すると、丸暗記ではない理解につながります。
しゅみすけ(大山俊輔)
倒置全体を「何を先に見せるか」という視点から整理したい方は、be-rize.comの英語の倒置を焦点と情報の流れから理解するもあわせてご覧ください。










