日本人と英語の歴史|いつから、なぜ英語を学ぶようになった?

日本人と英語の歴史|いつから、なぜ学ぶようになった?

日本人は、いつから英語を学ぶようになったのでしょうか。答えを短く言えば、江戸時代に西洋の知識へ触れ、幕末に外交と通訳の必要が高まり、明治に学校教育へ入り、戦後から「話す英語」が暮らしや仕事へ広がった、という流れです。

ただし、日本人と英語の歴史は「昔から英会話を習っていた」という一直線の物語ではありません。最初に求められたのは本を読み、海外の制度や技術を理解する英語でした。そこから、外国の人と直接やり取りする英語へ、目的が少しずつ広がっていったのです。

しゅみすけ(大山俊輔)

「日本人は文法や読解は得意でも、会話が苦手」と言われる背景には、英語を必要としてきた目的の変化もあります。歴史を知ると、今の英語学習の姿が見えやすくなります。

日本人と英語の歴史を簡単に整理すると

江戸時代から現代までの日本人と英語の歴史年表

時代 英語との関わり 主な目的
江戸時代 まず蘭学を通して西洋の知識を吸収 医学・科学・地理などを知る
幕末 開国と外交により英学・通訳の重要性が上昇 交渉・翻訳・海外事情の理解
明治 英語が学校や高等教育で重視される 近代国家に必要な学問・制度・技術を学ぶ
戦前から戦後 国際情勢の影響を受けつつ、戦後に学習機会が拡大 学校教育・放送・国際交流
高度成長期以降 海外旅行、仕事、英会話教室へ用途が拡大 人と直接話す
現代 オンライン英会話、動画、AIなど学び方が多様化 仕事・旅行・交流・自己表現

江戸時代:英語の前に、蘭学で西洋を知った

江戸時代の日本が西洋の学問に触れる大きな窓口は、英語ではなくオランダ語でした。長崎の通詞たちがオランダ語を学び、医学、天文学、地理、軍事などの知識を日本へ伝えます。徳川吉宗の時代に洋書研究が進み、1774年に刊行された『解体新書』は蘭学の発展を象徴する出来事となりました。

この時点で英語は広く学ばれていたわけではありません。しかし、外国語を読み、別の世界の知識を取り入れるという学び方は、のちの英学へつながる土台になりました。

幕末:開国によって英語の必要性が急に高まる

19世紀に入り、英語を使う船や人との接触が増えると、オランダ語だけでは外交や貿易に対応しにくくなります。開国後は、通訳、翻訳、外交、海外事情の調査に英語が必要となり、「蘭学」から「英学」へ重心が移っていきました。

その変化を象徴する人物の一人が福澤諭吉です。福澤は大阪の適塾で蘭学を学んだのち英学へ転じ、欧米も訪問しました。1868年には慶應義塾を開きます。英語は、単なる外国語ではなく、新しい社会や制度を理解する入口になっていったのです。

明治:英語が近代化と学校教育の言葉になる

明治初期には、西洋の学問を学ぶために外国語が欠かせませんでした。特に英語は高等教育や専門教育で重視され、政府は東京をはじめ各地に官立の外国語学校・英語学校を整えていきます。

当時の英語学習の中心は、現代の旅行英会話とはかなり異なります。海外の教科書を読み、法律、政治、医学、科学、技術を学ぶための英語です。つまり英語は、近代化に必要な知識を受け取るための「読む道具」という性格が強かったのです。

女性の教育にも英語が新しい窓を開いた

明治初期には、キリスト教系の女学校も各地に設立されました。英米出身の女性教師が英語を教える学校もあり、語学だけでなく、それまでとは異なる教育観や女性観に触れる場にもなりました。日本人と英語の歴史は、学校制度だけでなく、誰が学ぶ機会を得たかという歴史でもあります。

戦前から戦後:英語は国際情勢に揺れた

英語教育は、常に同じ勢いで続いたわけではありません。国際関係が緊張した時代には英語を学ぶ環境が狭まり、外国語に対する社会の見方も変化しました。一方、戦後は学校制度の再編や海外との接触を通して、英語を学ぶ人と機会が再び大きく増えます。

教室の外でも、ラジオやテレビの語学番組、洋画、洋楽などが英語との接点になりました。ここで英語は、専門家が外国の文献を読むものだけでなく、一般の人が耳で聞き、声に出して学ぶものへ広がっていきます。

日本人に「英会話」が必要になったのはいつ?

英会話の必要が一つの年に突然生まれたわけではありません。戦後の国際交流、経済成長、海外出張や旅行、外国企業との仕事などが増えるにつれて、試験のために読む英語から、目の前の人と話す英語へ需要が広がりました。

その需要を受け止めたのが、放送講座、英会話サークル、民間の英会話教室です。さらにインターネットの普及後はオンライン英会話が登場し、住む場所を問わず会話の練習ができるようになりました。

英会話そのものと英会話スクールの変遷は、school.b-cafe.netの日本の英会話の歴史英会話教室はいつからある?で詳しく紹介しています。

なぜ日本人は「読めるけれど話せない」と言われるのか

背景の一つは、英語を学ぶ目的の違いです。日本の英語教育は長い間、外国の知識を正確に読み取り、試験で理解を確かめる役割を強く担ってきました。文法や読解が重視されたことには、歴史的な理由があります。

しかし、読解力と会話力は同じ方法だけでは育ちません。会話には、相手の言葉をその場で理解し、完璧でなくても短く返し、やり取りを続ける練習が必要です。日本人に英語の才能がないのではなく、学んできた目的と練習の配分が違ったと考えるほうが自然です。

しゅみすけ(大山俊輔)

学校で学んだ文法や単語は、会話にも役立つ大切な土台です。足りないのは知識の全否定ではなく、その知識を短いやり取りで使う練習なのです。

この背景を歴史・言語差・心理・練習の4つに分けた詳しい解説は、日本人はなぜ英語を話せない?をご覧ください。

現代:英語は「知識を得る言葉」から「参加する言葉」へ

現代の日本人が英語を使う場面は、研究や貿易だけではありません。海外旅行、接客、転職、リモート会議、SNS、ゲーム、国際的な友人関係など、日常に近い場所まで広がっています。動画、アプリ、オンライン英会話、生成AIによって、学ぶ手段も大きく増えました。

それでも、英語が世界で広く使われるまでには長い歴史があります。そもそもの英語の成り立ちから知りたい方は英語とは?歴史・特徴・世界で使われる理由を、英語そのものの変化を時代順に知りたい方は英語の歴史をご覧ください。

実際に会話を始める場を考えたい場合は、school.b-cafe.netの英会話スクールとは?種類と選び方も参考になります。

よくある質問

日本人が英語を学び始めたのはいつですか?

英語との接触は江戸時代にもありましたが、広く必要性が高まったのは幕末の開国以降です。明治になると、近代化に必要な学問を学ぶ言葉として学校教育で重視されました。

江戸時代の日本人は英語を話せたのですか?

英語を扱える通詞や学者はいましたが、ごく限られた人々です。西洋の知識を学ぶ主な言語は、長崎のオランダ商館を通じたオランダ語でした。

日本で英会話が広まったのはなぜですか?

戦後の国際交流、海外旅行や海外勤務、外国企業との取引などが増え、文献を読むだけでなく人と直接話す必要が広がったためです。放送講座や英会話教室、のちにはオンライン英会話がその需要を支えました。

学校英語は英会話の役に立たないのですか?

役に立ちます。単語、文法、読解は会話の土台です。ただし、知識を会話で使えるようにするには、聞く・短く返す・言い換えるといった即時の練習を別に重ねる必要があります。

まとめ

日本人と英語の関係は、蘭学による西洋知識の吸収から始まり、幕末の外交、明治の近代化と学校教育、戦後の国際交流を経て、現代の仕事や暮らしの会話へと広がってきました。

この歴史を見ると、日本人が英語を学ぶ目的は「外国の知識を読む」から「世界の人とやり取りし、自分も参加する」へ変化してきたことが分かります。学校英語と英会話は対立するものではありません。これまで蓄えた知識に、実際に使う練習をつなげることが、現代の学習者に必要な一歩です。

参考資料

女性の学びに焦点を当てた詳しい流れは、女性と英語の歴史|女学校・社会進出から大人の学び直しまでで解説しています。

日本人の英語学習を歴史・苦手な理由・女性の学び・大人の学び直しから見渡すには、日本人と英語|歴史・苦手な理由・大人の学び直しをご覧ください。

この記事を書いた人
しゅみすけ(大山俊輔)

b わたしの英会話および英語コーチングGRIT/be:RIZE代表。米国MBA取得、外資系企業4社での勤務経験を持ち、これまで多くの大人の英語学習を支援。日本語と英語の処理構造の違いに着目した「英語OS」の考え方をもとに、独学で伸び悩む人の学び直しをサポートしています。

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