
It was John that broke the window. は、なぜ単に John broke the window. と言わないのでしょうか。また、文頭のitは何を指しているのでしょうか。
先に結論をいうと、It is … thatの強調構文は、普通の文から目立たせたい部分を取り出し、そこへスポットライトを当てる形です。出来事そのものは同じでも、「誰が」「何を」「いつ」「どこで」なのか、聞き手に注目してほしい部分を選べます。
しゅみすけ(大山俊輔)
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強調構文It is … thatの基本形
基本の形は次のとおりです。
It is/was + 強調したい部分 + that + 残り
たとえば、元の文が次の形だとします。
- John broke the window.(ジョンが窓を割りました)
Johnを強調したいなら、Johnを取り出してIt wasとthatの間に置きます。
- It was John that broke the window.
窓を割ったのはジョンでした。
日本語の「〜したのは○○だ」に近い形です。「誰が割ったの?」への答えとしてJohnへ焦点を当てたり、「ほかの人ではなくジョンだ」と訂正したりするときに使えます。

なぜ「分裂文」と呼ばれるの?
It is … thatの形は、英語学ではcleft sentence(分裂文)とも呼ばれます。cleftには「割れ目ができた・二つに分かれた」という意味があります。
普通なら一続きの文であるJohn broke the window.を、次の二つの部分に分けているからです。
- It was John:スポットライトを当てる部分
- that broke the window:残りの情報
文を二つに分けることで、目立たせたい部分のための特別席を作っています。学校文法の「強調したい語をIt isとthatで挟む」という規則は、この景色を形にしたものです。
何を強調できる?
同じ元の文を使うと、焦点の移動がよく分かります。
元の文:
- John met Mary in Tokyo yesterday.
ジョンは昨日、東京でメアリーに会いました。
人・主語を強調する
- It was John that met Mary in Tokyo yesterday.
昨日東京でメアリーに会ったのは、ジョンでした。
目的語を強調する
- It was Mary that John met in Tokyo yesterday.
ジョンが昨日東京で会ったのは、メアリーでした。
場所を強調する
- It was in Tokyo that John met Mary yesterday.
ジョンが昨日メアリーに会ったのは、東京でした。
時を強調する
- It was yesterday that John met Mary in Tokyo.
ジョンが東京でメアリーに会ったのは、昨日でした。
四つの文が表す出来事は同じです。変わるのは、話し手が「どこが重要なのか」「どの候補を訂正・特定したいのか」です。
しゅみすけ(大山俊輔)
It isとIt wasはどう選ぶ?
基本的には、元の出来事や話している時間に合わせます。
- It is Tom that usually opens the store.
いつも店を開けるのはトムです。 - It was Tom that opened the store yesterday.
昨日店を開けたのはトムでした。
現在の習慣・事実ならIt is、過去の出来事ならIt wasが自然です。強調構文だから常にisになるわけではありません。
人ならwho、物ならwhichも使える?
thatの代わりに、人ならwho、物ならwhichが使われることもあります。
- It was Sarah who called me.
私に電話したのはサラでした。 - It was this book that changed my life.
私の人生を変えたのはこの本でした。
人を強調するときのwhoは自然です。ただし、thatは人・物・時・場所などに広く使えるため、初心者はまずIt is/was … that …を基本形として覚えると整理しやすいでしょう。
形式主語のIt is … thatとは何が違う?
見た目が似ていても、次の文は強調構文ではありません。
- It is important that we talk.
私たちが話し合うことは重要です。
このitは、後ろのthat we talkという内容を先に受ける形式主語です。importantへスポットライトを当てているわけではありません。
| 形 | 働き | 例 |
|---|---|---|
| 強調構文 | 元の文の一部を取り出して強調 | It was John that called. |
| 形式主語 | 長い主語を後ろへ送り、itで席を埋める | It is important that we talk. |
元の普通の文へ戻せるかを見る
強調構文は、It is/wasとthatを外し、強調部分を元の位置へ戻すと、普通の文を再現できます。
- It was John that called me.
- → John called me.
一方、It is important that we talk.から同じように外しても、Important we talk.という普通の文にはなりません。この「元の文を復元できるか」が見分ける手がかりになります。
強調構文と関係代名詞の見分け方
thatの後ろに主語や動詞が続くため、関係代名詞の文にも似ています。
- It was the book that changed my life.
この文は文脈によって、「私の人生を変えたのはその本だった」という強調構文として読めます。The book changed my life.へ戻せることが確認できます。
ただし、すべてのIt is 名詞 that …が自動的に強調構文になるわけではありません。前後の文脈と、「その名詞を元の文へ戻せるか」を一緒に見ましょう。
動詞そのものを強調できる?
It is … thatの特別席には、主に名詞・人・物・時・場所・理由などを置きます。動詞の動作そのものを目立たせたい場合、この形へ無理に入れるより、doによる強調や別の分裂文を使います。
- I did call her.(私は確かに彼女へ電話しました)
- What I did was call her.(私がしたことは、彼女へ電話することでした)
It is … thatですべてを強調できる、と考えないことが大切です。
疑問文ではどう使う?
会話では、相手が人や時間を確認するときにも使われます。
- Was it John that called you?
あなたに電話したのはジョンでしたか。 - Who was it that called you?
あなたに電話したのはいったい誰でしたか。 - When was it that you first met?
初めて会ったのはいつでしたか。
Who called you?でも質問できますが、Who was it that …?は「その人物は誰だったのか」と焦点を明確にする形です。場面によっては「いったい誰?」という強い確認にもなります。
会話ではいつ使う?
誤解を訂正する
A: Did Mike suggest the idea?
B: No. It was Lisa who suggested it.
大切な転換点を示す
It was in London that I decided to change careers.
転職しようと決めたのは、ロンドンでした。
「〜して初めて」を強調する
It was not until Friday that we found the cause.
金曜日になって初めて、私たちは原因を突き止めました。
最後の形は時間の境界を強く見せる定番表現です。語順と倒置との違いは、not untilの意味と強調構文・倒置で詳しく解説しています。
日本人が間違えやすいポイント
元の文に必要な要素を二重に残さない
- × It was John that he broke the window.
- ○ It was John that broke the window.
Johnを主語の位置から取り出しているため、残りの部分へheを足すと主語が二重になります。
過去の出来事なのにIt isのままにしない
- △ It is John that called me yesterday.
- ○ It was John that called me yesterday.
特殊な文脈を除き、昨日の出来事ならIt wasが自然です。
強調する必要がない場面で多用しない
単に事実を伝えるだけなら、普通の語順のほうが自然です。
- 中立:John called me yesterday.
- 焦点あり:It was John that called me yesterday.
後者には「電話したのはジョンだ」という対比や訂正が感じられます。文法的に作れるかだけでなく、なぜそこへライトを当てるのかも意識しましょう。
まとめ|強調構文は焦点を動かすスポットライト
- 基本形はIt is/was+強調部分+that+残り
- 普通の文から一部を取り出し、人・物・時・場所などへ焦点を当てる
- 出来事は同じでも、聞き手に見せたい部分が変わる
- 形式主語との見分けは、元の普通の文へ戻せるかが手がかり
- 動詞そのものの強調にはdoやWhat … is …などを使う
しゅみすけ(大山俊輔)
語順によって焦点を動かす別の仕組みとして、英語の倒置とは?否定語・Only・So・場所・仮定法も参考になります。










