「富士山が見える」はなぜI can see Mt. Fuji.?英語で「人」が主語になる理由

富士山が見えるをI can see Mt. Fuji.と人を主語にする理由を示す画像

窓の外を見て「富士山が見える!」と言いたいとき、英語では I can see Mt. Fuji! と表せます。日本語では「富士山」が文の前に出るのに、英語では見る人の I が主語になります。

なぜ英語は、富士山ではなく人から文を始めるのでしょうか。また、ここでの can は「見る能力がある」という意味なのでしょうか。

しゅみすけ(大山俊輔)

日本語は「何が見えるか」をそのまま言いやすく、英語は「誰の視界に何が入っているか」を言葉にしやすい。カメラの置き場所が少し違うと考えてみましょう。

結論:「富士山が見える」はI can see Mt. Fuji.が自然

I can see Mt. Fuji from my window.
私の窓から富士山が見えます。

英語では、知覚する人を主語にして、人+can see+見える対象の順で組み立てるのが自然です。

日本語 英語 焦点
富士山が見える I can see Mt. Fuji. 私の視界に富士山が入る
音楽が聞こえる I can hear music. 私の耳に音楽が届く
煙のにおいがする I can smell smoke. 私が煙のにおいを感じ取る

日本語訳では対象が「〜が」となりますが、英語は感覚を受け取る人を文の出発点にできます。

日本語は見える対象から、英語は見る人から表現する違いを示す図

日本語の「見える」は、見える対象を前に出しやすい

日本語では「私は富士山を見ることができる」と言うより、普通は「富士山が見える」と言います。視界に現れた対象をそのまま話題にし、見る人は状況から分かるため省略できます。

  • ここから海が見える
  • 遠くに明かりが見える
  • 窓から東京タワーが見える

誰に見えるのかは、たいてい「今ここにいる私たち」だと分かります。日本語では、その共有された文脈を利用できます。

英語は「知覚する人→見えるもの」の順で景色を作る

英語の I can see Mt. Fuji. は、まず I で視点の持ち主を決めます。次に can see で「視界に入る」、最後に Mt. Fuji で見える対象を置きます。

これは「英語は必ず人を主語にする」という絶対的なルールではありません。しかし、see・hear・smell・feelなどの知覚表現では、経験する人を主語にする形が非常に使いやすいのです。

Can you see the sign?
標識、見える?

I can’t hear you.
あなたの声が聞こえません。

Can you smell gas?
ガスのにおいがする?

日本語では「標識が」「声が」「においが」と対象から言えても、英語では you や I という知覚者から文を始めます。

canは「能力」ではなく、ここでは「見える状況」

canを「〜できる」とだけ覚えると、I can see Mt. Fuji. が「富士山を見る能力がある」のように感じられるかもしれません。

しかしcanには、能力だけでなく、状況が許す可能性もあります。遮る雲がなく、距離や明るさにも問題がないため、今の状況では視界に入るという意味です。

  • I can see it now.:今は見えるよ
  • I can’t see anything in the fog.:霧で何も見えない
  • We can see the ocean from here.:ここから海が見える

本人の視力という恒常的な能力より、今その場で知覚できるかどうかが中心です。

しゅみすけ(大山俊輔)

canを毎回「能力」と訳さなくて大丈夫です。視界を遮るものがなく、「今なら目に入る」という余地を表していると考えると自然です。

I see Mt. Fuji.ではだめ?

I see Mt. Fuji. も文法的には成立します。ただ、目の前の景色について「見える!」と言う場面では、I can see Mt. Fuji. のほうが自然なことが多いです。

単純現在の see は、文脈によって「分かる」「会う」「診てもらう」など別の意味にもなります。

  • I see what you mean.:言いたいことは分かります
  • I see my dentist twice a year.:年に2回、歯科医に診てもらいます
  • I can see Mt. Fuji now.:今、富士山が見えます

今この瞬間の知覚可能性をはっきり表すなら、can seeが便利です。

seeとlook atは何が違う?

see は、対象が視界に入ることを表します。一方、look at は、意識して視線を向ける動作です。

表現 景色
see 視界に入る I can see Mt. Fuji.
look at 対象へ視線を向ける Look at Mt. Fuji!
watch 動きや変化をしばらく見る We watched the sunrise.

Look at Mt. Fuji! It’s beautiful.
富士山を見て!きれいだよ。

これは相手に視線を向けるよう促しています。すでに視界に入っていることを報告する I can see Mt. Fuji. とは場面が違います。

Mt. Fuji is visible.なら富士山を主語にできる

英語でも、見える対象を主語にできます。

Mt. Fuji is visible from the hotel.
そのホテルから富士山が見えます。

visible は「目に見える」という形容詞です。この文は富士山の見え方や、ホテルからの眺望を客観的に説明します。案内文・天気情報・物件紹介などに合います。

表現 向いている場面
I can see Mt. Fuji. 話し手が今見えていると伝える会話
You can see Mt. Fuji from this room. 相手に眺望を案内する
Mt. Fuji is visible from the hotel. 見える条件を客観的に説明する

どれも正しい表現ですが、会話のカメラを「見る人」に置くか、「見える対象」に置くかが異なります。

この考え方はhear・smell・feelにも使える

「音が聞こえる」

I can hear music upstairs.
上の階から音楽が聞こえます。

「焦げたにおいがする」

I can smell something burning.
何かが焦げているにおいがします。

「風を感じる」

I can feel the wind on my face.
顔に風を感じます。

日本語では対象や現象から言いやすくても、英語では知覚者を主語にして「自分の感覚の中へ何が入ってきたか」を組み立てられます。

会話で使い分ける例

A: Can you see Mt. Fuji from your room?
部屋から富士山は見える?

B: Yes, I can. It’s clearer in the morning.
うん。朝のほうがくっきり見えるよ。

A: I can’t see the screen.
画面が見えません。

B: I’ll move out of the way.
邪魔にならないところへ移動しますね。

「○○が見える/聞こえる」と言いたくなったら、まず 誰の感覚か を主語に置き、can see/can hearへ続けると会話を作りやすくなります。

しゅみすけ(大山俊輔)

日本語の「○○が見える」を一語ずつ移すのではなく、「私の視界に○○が入る」と場面を組み直す。するとI can see …が自然に出てきます。

まとめ:「見える対象」ではなく「見る人」から始めてみる

  • 「富士山が見える」は I can see Mt. Fuji. が自然
  • 日本語は見える対象を前に出し、知覚者を省略しやすい
  • 英語は I/you/we など、知覚する人から組み立てやすい
  • canは能力だけでなく「今の状況なら知覚できる」ことを表す
  • seeは視界に入る、look atは意識して視線を向ける
  • 客観的な説明なら Mt. Fuji is visible. も使える

英語で主語を置く基本的な理由は、英語はなぜ主語が必要?日本語では省略できるのにで解説しています。

日本語と英語の視点・語順を扱う個別記事は、英語の特徴とは?日本語との違いを語順・主語・単語・音から解説から確認できます。知覚表現を使った別の言い回しは、I can tell.の意味は?「見れば分かる・様子で分かる」の使い方も参考になります。

英語が主語と動詞から骨格を作る仕組みは、be-rize.comの英語は主語と動詞から始める|4コードで文の骨格を作る練習法で体系的に解説しています。

この記事を書いた人
しゅみすけ(大山俊輔)

b わたしの英会話および英語コーチングGRIT/be:RIZE代表。米国MBA取得、外資系企業4社での勤務経験を持ち、これまで多くの大人の英語学習を支援。日本語と英語の処理構造の違いに着目した「英語OS」の考え方をもとに、独学で伸び悩む人の学び直しをサポートしています。

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