
pass overは、人や物事を「選ばずに飛ばす」「取り上げずに先へ進む」という句動詞です。特に仕事では、be passed over for promotion(昇進を見送られる)がよく使われます。
She was passed over for promotion again.
彼女はまた昇進を見送られました。
Let’s pass over that issue for now.
その問題は今のところ触れずに進みましょう。
日本語の「見送る」は幅が広いため、提案を辞退するpass on、単純に飛ばすskip、見落とすoverlookとは使い分けが必要です。この記事では、pass overのコアイメージ、用法、文法、仕事・人間関係での温度感まで解説します。
Contents
pass overの基本的な意味とコアイメージ
passは「通過する」、overは「上を越えて、その先へ」という感覚です。pass overは、対象の上を通り越し、そこを選んだり詳しく扱ったりせずに先へ進むイメージです。
- 候補者を飛び越えて別の人を選ぶ → 人を昇進・選考で飛ばす
- 議題を取り上げず次へ進む → 話題に触れずに進む
- 間違いや問題を処理せず先へ進む → 見逃す、黙認する
「完全に気づかなかった」というより、候補や問題が存在するのに、それを取り上げず先へ進んだという含みが出やすい表現です。
しゅみすけ(大山俊輔)
pass overの3つの主な使い方

1.人を昇進・選考で飛ばす
複数の候補者から選ぶ場面で、ある人を選ばず別の人を選ぶことをpass over someoneと表します。本人側から述べる受動態が特に一般的です。
She was passed over for promotion.
彼女は昇進を見送られました。
He was passed over in favor of a less experienced candidate.
彼は、より経験の浅い候補者が選ばれたため選考から外されました。
I felt disappointed when they passed me over for the role.
その役職で私が見送られたとき、がっかりしました。
for promotion、for the position、for the roleのように、何について選ばれなかったのかをforで示せます。差別や不公平を訴える文脈でも使われるため、単なる不採用より「本来検討されるべきだったのに飛ばされた」という感情を伴うことがあります。
2.話題・問題に触れず先へ進む
議題や説明の一部を取り上げず、先へ進む意味でも使えます。
We’ll pass over the details and focus on the main issue.
細部は省き、主要な問題に集中します。
She passed over the uncomfortable topic without comment.
彼女は気まずい話題にコメントせず、そのまま先へ進みました。
ただし日常の指示で「この項目を飛ばして」と言うだけなら、skip this partの方が自然で直接的です。pass overには、対象を意識しながら軽く扱う、または触れないでおくというやや文章的な響きがあります。
3.間違い・問題を見逃す、黙認する
誤りや欠点を厳しく追及せず、そのままにする意味があります。
I can’t simply pass over this mistake.
この間違いをそのまま見過ごすことはできません。
The report passed over several important risks.
その報告書は、いくつかの重要なリスクを十分に取り上げませんでした。
この用法では「うっかり気づかなかった」だけでなく、「十分に扱わなかった」「重要なのに軽く流した」という批判を含むことがあります。
pass over・pass on・skip・overlookの違い
| 表現 | 中心的な意味 | 代表例 |
|---|---|---|
| pass over | 人・問題を取り上げず、その先へ進む | be passed over for promotion |
| pass on | 機会・提案を自分の判断で辞退する | pass on the offer |
| skip | 項目や行動を単純に飛ばす | skip this question |
| overlook | 見落とす、または意図的に大目に見る | overlook an error |
| gloss over | 不都合な点を詳しく説明せず軽く流す | gloss over the problem |
pass overとpass on
I passed on the promotion opportunity.なら、「私は昇進の機会を自分から辞退した」という意味です。一方、I was passed over for promotion.は「会社側が私を選ばなかった」です。誰が決定したかが正反対になります。
pass onについては「pass onの意味は?「伝える・渡す・見送る」の違いと使い方」で詳しく解説しています。
pass overとskip
Skip question 3.は「3番の問題を飛ばしてください」という中立的な操作です。They passed her over.は、人が選考対象だったのに選ばれなかったという判断と感情を含みます。
pass overとoverlook
I overlooked the typo.は「その誤字を見落とした」で、気づかなかった意味が自然です。I passed over the typo.は、誤字を取り上げず先へ進んだという響きになり、文脈によっては意図的です。
pass overとgloss over
gloss overは、不都合な問題に一応触れながら、詳しく説明せず軽く見せる表現です。pass overは、そもそも十分に取り上げず先へ進むことに焦点があります。
文中での位置と文法
pass overは目的語を取る他動詞型の句動詞です。
- pass over someone:人を飛ばす
- pass over a topic:話題を取り上げず進む
- pass someone over:人を飛ばす
- pass them over:彼らを飛ばす
目的語が代名詞なら、通常はpass them overのように間へ置きます。昇進の文脈では受動態のbe passed over for …が非常によく使われます。
She has been passed over for promotion twice.
彼女は昇進を2回見送られています。
Why was I passed over?
なぜ私は選ばれなかったのでしょうか。
仕事で使えるpass overの例文
I’d like to understand why I was passed over for promotion.
なぜ昇進を見送られたのか理解したいです。
Several qualified employees were passed over for the position.
複数の有能な社員がその役職で見送られました。
Let’s not pass over the risks just to meet the deadline.
期限に間に合わせるためだけに、リスクを軽視するのはやめましょう。
The presentation passed over the cost issue too quickly.
そのプレゼンはコスト問題を十分に扱わず、早く流しすぎました。
上司に理由を尋ねる場合、Why did you pass me over?は責める響きが強くなります。I’d like to understand what I need to develop for the next opportunity.(次の機会に向けて何を伸ばす必要があるか知りたいです)と続けると、建設的な温度になります。
しゅみすけ(大山俊輔)
恋愛・人間関係・日常会話の例文
She felt passed over when everyone else was invited.
ほかのみんなが招待されたので、彼女は自分だけ無視されたように感じました。
Don’t pass over her feelings just because the conversation is uncomfortable.
話しづらいからといって、彼女の気持ちを軽く流さないで。
He passed over the question about their future together.
彼は二人の将来についての質問に触れず、話を先へ進めました。
人間関係では、無視された、優先されなかったという傷つきがにじむことがあります。単に順番を飛ばしただけならskipを使う方が、不要な非難を避けられます。
強さ・丁寧さ・使用上の注意
pass overは俗語ではなく、仕事でも使える表現です。ただし、人を目的語にすると「正当に評価されなかった」という否定的な響きが出やすくなります。
She was passed over because she lacked experience.のように理由を断定すると、評価や人事判断への強い主張になります。事実が不明なら、It seems she may have been passed over.のように慎重に表現できます。
また、Passoverと一語で大文字から始める場合は、ユダヤ教の祭日「過越祭」を指します。句動詞のpass overとは別の語なので、表記と文脈に注意しましょう。
日本人が間違えやすいポイント
- I passed over the offer.より、提案を辞退するなら通常I passed on the offer.
- I was passed over for promotion.は自分が辞退したのではなく、会社に選ばれなかった
- 単純な「次の問題へ飛ぶ」ならskipの方が自然なことが多い
- うっかり見落としたならoverlookが明確
- 不都合な点を軽く説明して流すならgloss over
- Passover(過越祭)とpass over(句動詞)を混同しない
まとめ
pass overのコアイメージは、「対象の上を越え、それを選んだり詳しく扱ったりせず先へ進む」です。
- 人を昇進・選考で飛ばす:be passed over for promotion
- 話題に触れず先へ進む:pass over a topic
- 問題や間違いを見逃す:pass over a mistake
自分から提案を見送るpass on、単純に飛ばすskip、見落とすoverlook、不都合な点を軽く流すgloss overとの違いを押さえると、自然に使い分けられます。
句動詞・イディオム・定型表現の全体像は「英熟語とは?句動詞・イディオム・定型表現・重要構文の違いと覚え方」をご覧ください。
近いpassの表現は、「pass outの意味と使い方」や「pass for・pass asの意味と違い」もあわせて確認してください。








