Try as I mightはなぜ「どれだけ試しても」?譲歩のasと語順を解説

Try as I mightが努力を先に見せてどれだけ試してもを表すアイキャッチ

Try as I might, I couldn’t open the jar. という英文を見ると、「なぜ as の前に try があるの?」「might は『かもしれない』ではないの?」と戸惑いますよね。

先に結論を言うと、Try as I might は「どれほど頑張って試しても」という努力を最大まで認め、その努力では結果が変わらなかったことを見せる譲歩表現です。

Although I tried hardNo matter how hard I tried と意味は近いものの、動詞 try を先頭へ出すことで「試したこと・努力したこと」を強く印象づけます。

しゅみすけ(大山俊輔)

「頑張った。でもダメだった」の“頑張った”を先に大きく見せる語順です。努力を否定せず、十分に認めたうえで、予想と反対の結果へ進みます。

Try as I mightの意味は「どれだけ試しても」

  • Try as I might, I couldn’t open the jar.
    どれだけ試しても、その瓶を開けられませんでした。
  • Try as she might, she couldn’t remember his name.
    彼女はどれだけ思い出そうとしても、彼の名前を思い出せませんでした。
  • Try as they might, they couldn’t solve the problem.
    彼らはどれだけ頑張っても、その問題を解けませんでした。

この型では、前半が「努力の事実」を認め、後半が「それでも変わらなかった結果」を示します。そのため、後半には couldn’tcan’tfailed tonever など、努力が実を結ばなかった内容がよく続きます。

ただし、文法上必ず否定文になるという意味ではありません。中心にあるのは、前半から普通なら予想される結果と、実際の結果との食い違いです。

なぜTryが文頭に出るの?

通常の譲歩なら、次のように言えます。

  • Although I tried hard, I couldn’t open it.
    一生懸命試しましたが、開けられませんでした。

Try as I might では、努力の中身である try を文の入口へ押し出します。

  • Try:試すという努力を先に提示
  • as:その努力を認めつつ、反対の結果へつなぐ
  • I might:私がどれほど試そうとも、という幅を作る

ここでの as は「〜なので」という理由ではありません。「〜ではあるけれど」「どれほど〜しても」という譲歩の働きです。

Cambridge Dictionaryの対比を表す接続詞の解説にあるように、譲歩とは、ある事実を認めながら、それとは反対・意外な内容を主節で示す関係です。

Although I tried hard、Try as I might、No matter how hard I triedの情報順を比較する図
Try as I mightは努力を先に強く見せ、No matter how hard I triedは同じ意味をより明示的に表す

mightは「かもしれない」という意味?

この表現の might を、一語ずつ「〜かもしれない」と訳すと分かりにくくなります。

Try as I might は、「私がどんなに試そうとしても」「試せるだけ試したとしても」という可能な努力の幅を広げる型です。might が、現実に一回だけ試したという点ではなく、「どこまで努力を増やしても」という仮想的な広がりを作っています。

過去の出来事では might と過去形の主節がよく組み合わされます。

  • Try as I might, I couldn’t find the key.
    どれだけ探しても、鍵を見つけられませんでした。

現在・未来のことでは may を使う形もあります。

  • Try as I may, I can’t understand this rule.
    どれだけ努力しても、この規則を理解できません。

ただし、実際の英語では Try as I might がまとまりのある定型として広く使われ、時間の区別が常に機械的とは限りません。まずは文全体で「どれだけ試しても」と捉えるのが実用的です。

しゅみすけ(大山俊輔)

mightを一語だけ取り出して訳さないのがコツです。“try as I might”を「試せる限り試しても」という一つの景色で覚えましょう。

これはNever have I seenと同じ倒置?

広い意味では、通常とは違う順番へ組み替えた強調的な構文なので「譲歩の倒置」と説明されることがあります。ただし、Never have I seenのような主語と助動詞の倒置とは仕組みが違います

  • Never have I seen …
    否定語を先に置き、have+I と助動詞・主語を入れ替える
  • Try as I might …
    動詞 try を前へ出し、その後ろに as+主語+助動詞 を置く

Try as might I とは言いません。as の後ろは I might という主語+助動詞の順です。ここでは学習者が混同しないよう、譲歩のための動詞前置と考えると分かりやすいでしょう。

否定語による倒置は、Never have I seenの語順になる理由で解説しています。

No matter how hard I triedとの違い

表現 意味 響き
Although I tried hard 一生懸命試したけれど 中立で分かりやすい
No matter how hard I tried どれほど懸命に試しても 努力の程度を明示
Try as I might どれだけ試しても 引き締まった、やや文学的・劇的

日常会話で自分から使いやすいのは、No matter how hard I triedEven though I tried です。Try as I might は会話でも使われますが、文章・物語・スピーチなどで特に映える凝縮された言い方です。

no matter howの意味・語順とhoweverとの違いもあわせて確認すると、より使い分けやすくなります。

Try以外にも同じ譲歩の語順がある

形容詞を先に出す

  • Tired as she was, she kept working.
    疲れてはいたものの、彼女は働き続けました。
  • Strange as it may seem, it’s true.
    奇妙に思えるかもしれませんが、それは事実です。

tiredstrange を最初に見せ、「その性質は認める。それでも後半が成り立つ」と進みます。

副詞・程度を先に出す

  • Hard as he tried, he couldn’t lift it.
    懸命にやってみたものの、持ち上げられませんでした。
  • Much as I’d like to help, I can’t.
    ぜひ助けたいのですが、できません。

Much as I’d like to … は、相手の希望を認めながら断るときにも使われます。

名詞を先に出す

  • Beginner as he was, he played remarkably well.
    初心者ではありましたが、驚くほど上手に演奏しました。

この名詞を使う型では、一般に a beginnera を付けず Beginner as … とします。ただし、この形はかなり書き言葉的なので、初心者はまず読んで分かることを目標にして構いません。

会話で使うならどんな場面?

思い出せなかった

A: Did you remember where you’d seen him?
どこで彼を見たか思い出しましたか。

B: No. Try as I might, I couldn’t place him.
いいえ。どれだけ思い出そうとしても、誰なのか分かりませんでした。

問題を直せなかった

A: Were you able to fix the error?
エラーを直せましたか。

B: Try as we might, we couldn’t find the cause.
どれだけ試しても、原因を見つけられませんでした。

丁寧に断る

Much as I’d like to join you, I have to work tonight.
ぜひご一緒したいのですが、今夜は仕事をしなければなりません。

相手への前向きな気持ちを先に認め、そのあとで断る理由を伝える流れです。

日本人が間違えやすいポイント

asを「〜として」と訳さない

Try as I mightas は「私が試すように」でも「試す者として」でもありません。ここでは譲歩を結ぶ as です。

後半に普通の結果を置かない

この構文は「努力した→当然成功した」という順当な結果より、「努力した→それでも失敗した」という予想外の関係に向きます。

  • 不自然になりやすい:Try as I might, I opened the jar easily.
  • 自然:Try as I might, I couldn’t open the jar.

無理に日常会話へ詰め込まない

意味を伝えるだけなら、次の形で十分です。

  • I tried hard, but I couldn’t do it.
  • No matter how hard I tried, I couldn’t do it.

Try as I might は、努力の大きさと結果の壁を少しドラマチックに見せたいときの選択肢です。

まとめ:努力を最大まで認めてから、変わらない結果を見せる

  • Try as I might は「どれだけ試しても」
  • try を先頭へ出し、努力を強く見せる
  • as は理由ではなく譲歩を表す
  • might はこの型全体で「試せる限り試しても」という幅を作る
  • No matter how hard I tried は意味が近く、より明示的
  • 否定語による主語・助動詞の倒置とは仕組みが違う
  • 形容詞・副詞・名詞を先に出す譲歩表現にも広がる

ここでは学習者が理解しやすい見方として、「努力のメーターを最大まで上げても、結果の壁は動かない」という景色で説明しました。Try as I might を見たら、一語ずつ訳すより、その二段構えを思い浮かべてみてください。

しゅみすけ(大山俊輔)

自分で使うときは、まず “No matter how hard I tried …” でも大丈夫です。物語やスピーチで “Try as I might …” に出会ったら、「最大限やった。それでも」と読めればバッチリですよ。

try 自体の感覚や try to do/try doing の違いは、be-rize.comのtryの意味とコアイメージで整理できます。倒置全体の仕組みは、英語の倒置とは?否定語・Only・So・場所・仮定法も参考になります。

参考資料

この記事を書いた人
しゅみすけ(大山俊輔)

b わたしの英会話および英語コーチングGRIT/be:RIZE代表。米国MBA取得、外資系企業4社での勤務経験を持ち、これまで多くの大人の英語学習を支援。日本語と英語の処理構造の違いに着目した「英語OS」の考え方をもとに、独学で伸び悩む人の学び直しをサポートしています。

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