
kick down は「足で蹴って倒す」「蹴破る」という意味です。特にドアや門など、立っている障害物を強い力で倒す場面で使われます。
They kicked the door down.
彼らはドアを蹴破りました。
一見するとkickとdownをそのまま訳せばよい表現ですが、実際に使うときはkick the door down / kick down the doorの語順と、よく似たkick the door inとの違いがポイントです。本記事では、downが加える「倒れた状態まで」という感覚から整理します。
Contents
kick downの基本的な意味
kick down+物 または kick+物+down で、「物を蹴って倒す」「蹴って壊し、通れる状態にする」を表します。
- ドアを蹴破る
- 門や柵を蹴り倒す
- 障害物を足で倒す
The firefighters had to kick down the door.
消防士たちはドアを蹴破らなければなりませんでした。
Someone kicked the old fence down during the night.
夜の間に誰かが古い柵を蹴り倒しました。
He tried to kick the barrier down, but it didn’t move.
彼はその障害物を蹴り倒そうとしましたが、動きませんでした。
なぜdownで「蹴り倒す」になる?
kick は「足で蹴る」、down は「上から下へ」「立っている状態から倒れた状態へ」という変化を加えます。
つまり、kick downは単に足を当てる動作ではなく、蹴った結果、対象が倒れる・機能しなくなるところまで含む表現です。
downそのものの働きを詳しく確認したい方は、be-rize.comのdownのコアイメージも参考になります。
しゅみすけ(大山俊輔)
kick downの語順|名詞は2通り、代名詞は真ん中
kick downは、目的語を間に入れられる分離可能な句動詞です。
| 語順 | 可否 | 例 |
|---|---|---|
| kick+名詞+down | ○ | kick the door down |
| kick down+名詞 | ○ | kick down the door |
| kick+代名詞+down | ○ | kick it down |
| kick down+代名詞 | × | kick down it |
目的語がthe doorのような名詞なら、前後どちらに置いてもかまいません。
The police kicked the door down.
警察はそのドアを蹴破りました。
The police kicked down the door.
警察はそのドアを蹴破りました。
一方、it / themなどの代名詞は必ずkickとdownの間に置きます。
The door was stuck, so they kicked it down.
ドアが動かなかったので、彼らはそれを蹴破りました。

kick downとkick inの違い
ドアの話では、kick downとkick inの両方を耳にします。どちらも「蹴破る」と訳せますが、注目点が少し違います。
| 表現 | 注目するもの | イメージ |
|---|---|---|
| kick the door down | 倒れた結果 | ドアが外れたり倒れたりする |
| kick the door in | 内側への動き | ドアを内側へ蹴り込む |
They kicked the front door down.
彼らは玄関のドアを蹴り倒しました。
The rescue team kicked the locked door in.
救助隊は鍵のかかったドアを内側へ蹴破りました。
実際の場面では両方が重なることもあり、厳密に使い分けられない場合もあります。ただし、downは「倒れた・壊れた結果」、inは「内側へ入る方向」を強く見せると理解できます。
kick inには「薬が効き始める」「制度が作動する」など別の重要な意味もあります。詳しくはkick inの意味と使い方をご覧ください。
knock down・break downとの違い
kick down:足で蹴って倒す
手段が足で蹴ることだとはっきり分かります。
He kicked the wooden panel down.
彼は木のパネルを蹴り倒しました。
knock down:衝撃を与えて倒す・取り壊す
足に限らず、ぶつかる、殴る、車がはねる、建物を取り壊すなど幅広く使えます。
The storm knocked down several trees.
嵐で数本の木が倒れました。
break down:壊す・分解する/故障する
物を小さく分けたり、機械が動かなくなったりする意味が中心です。「ドアを蹴破る」という具体的な動作には通常kick downまたはkick inを選びます。
We broke down the old cabinet before throwing it away.
捨てる前に古い棚を解体しました。
kick downは比喩にも使える?
kick down barriers(障壁を打ち破る)のように、比喩的に使うことがあります。強い行動力や勢いを感じさせる表現です。
She kicked down barriers for women in the industry.
彼女はその業界における女性への障壁を打ち破りました。
The campaign aims to kick down the barriers to education.
その運動は教育への障壁を取り払うことを目指しています。
ただし日常の穏やかな会話では少し劇的です。普通に「障壁をなくす」と言うなら、remove barriersやbreak down barriersのほうが使いやすいでしょう。
車で使うkickdownとは?
自動車の文脈では、1語のkickdown(またはkick-down)が、アクセルを強く踏み込んだときに自動変速機が低いギアへ切り替わる機能を指します。
The kickdown gives the car extra acceleration for overtaking.
キックダウンによって、追い越し時に車がさらに加速します。
これは「ドアを蹴り倒す」という句動詞とは異なる専門用語です。車の文脈とスペルで見分けられます。
日本人が間違えやすいポイント
「下方向へ蹴る」だけとは限らない
kick downのdownは、足を下向きに動かすことよりも、対象を倒れた状態にする結果を表します。ドアを前方へ蹴っても、結果として倒れればdownです。
壊れなければkickで十分
単にドアを足で軽く蹴っただけなら、kick the doorです。downを付けると、倒した・蹴破ったという結果が加わります。
He kicked the door, but it stayed shut.
彼はドアを蹴りましたが、閉じたままでした。
kick down itとは言わない
代名詞itは真ん中に置き、kick it downとします。これは句動詞でよく見られる語順です。
しゅみすけ(大山俊輔)
簡単な英語で言い換えるなら
kick downが出てこなくても、動作と結果を基本語で説明できます。
- They broke the door by kicking it.
彼らは蹴ってドアを壊しました。 - He kicked the door, and it fell down.
彼がドアを蹴ると、ドアが倒れました。 - They used force to open the door.
彼らは力ずくでドアを開けました。 - The door fell after he kicked it.
彼が蹴ったあと、ドアが倒れました。
「何をしたか」と「その結果どうなったか」を2文に分ければ、難しい句動詞を思い出せなくても十分伝わります。
会話で使ってみよう
A: How did the firefighters get inside?
消防士たちはどうやって中に入ったの?
B: They had to kick the door down.
ドアを蹴破らなければならなかったんだ。
A: Was anyone hurt?
誰かけがをしたの?
B: No. Everyone got out safely.
ううん。全員無事に外へ出たよ。
まとめ
kick downは「足で蹴って倒す・蹴破る」という意味です。downは、立っていた物が倒れたり、障害物として機能しなくなったりする結果を加えます。
- kick the door down / kick down the door:どちらも可能
- kick it down:代名詞は必ず真ん中
- kick down:倒れた結果に注目
- kick in:内側への動きに注目
- kickdown:車の自動変速に関する名詞
まずはThey kicked the door down.(彼らはドアを蹴破った)と、代名詞を使うThey kicked it down.をセットで覚えてみてください。
ほかの句動詞も体系的に学びたい方は、英熟語・定型表現の一覧もご活用ください。









