
You can lead a horse to water, but you can’t make it drink. は、直訳すると「馬を水辺まで連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」。そこから、機会や助けは与えられても、本人に行動を強制することはできないという意味で使われる英語のことわざです。
勉強方法を教えたのに勉強しない、研修を用意したのに実践しない、心配して助言したのに本人が動かない——そんなときにぴったりです。この記事では、言葉の成り立ち、自然な使い方、語順、似た表現との違いまで例文で解説します。
Contents
You can lead a horse to water, but you can’t make it drink.の意味
このことわざが伝える中心的な意味は、次の2段階です。
- こちらができること:情報、機会、助言、環境などを用意する
- こちらにはできないこと:相手にそれを利用させたり、行動させたりする
自然な日本語なら、「きっかけは与えられても、やるかどうかは本人次第」「手助けはできても、本人に行動を強制はできない」などと訳せます。

しゅみすけ(大山俊輔)
ネイティブが感じるニュアンス
この表現には、しばしば「必要なことは伝えたし、機会も用意した。でも、あとは本人次第だ」というあきらめや歯がゆさがにじみます。一方で、相手を責めるというより、「他人の選択まではコントロールできない」と冷静に受け入れる場面でも使えます。
ただし、本人に面と向かって言うと「せっかく助けているのに、あなたは行動しない」と上から目線に聞こえることがあります。第三者に状況を説明するときや、チームで対応の限界を確認するときのほうが自然です。
なぜこの意味になる?leadとmakeから理解しよう
lead a horse to water
lead A to B は「AをBへ導く」。馬を水辺まで連れて行けば、飲める環境は用意できます。比喩では、相手に情報を渡す、選択肢を示す、学ぶ機会を作るといった支援を表します。
make it drink
make + 人・物 + 動詞の原形 は「人・物に無理に〜させる/〜する状態にする」という形です。ここでの it は horse を指し、drink は動詞の原形です。
つまり、正しい語順は make it drink。make it to drink とは言いません。
You can lead a horse to water, but you can’t make it drink.
馬を水辺まで連れて行けても、水を飲ませることはできない。
can と can’t の対比によって、「準備や案内はできるが、本人の決断までは代われない」という境界がはっきり示されています。
会話では途中まで言うこともある
よく知られたことわざなので、英語圏では結末を省略し、次のように言うことがあります。
Well, you can lead a horse to water…
まあ、できるところまでは助けられるけど、あとは本人次第だよね……。
この you は聞き手個人ではなく、「人は一般に」という意味の一般人称です。話し手が自分のことを振り返る場合でも使えます。
自然な使い方を場面別の例文で確認
勉強・子育て
I bought him the textbook and found a great tutor, but he still won’t study. You can lead a horse to water, but you can’t make it drink.
教科書を買って、いい家庭教師も見つけたけれど、彼はまだ勉強しようとしない。きっかけは与えられても、やるかどうかは本人次第だね。
仕事・研修
We gave everyone training and clear instructions. At this point, you can lead a horse to water, but you can’t make it drink.
全員に研修を行い、明確な指示も出しました。ここから先は、機会を用意できても実践するかは本人次第です。
健康についての助言
I’ve explained why he should see a doctor, but I can’t book the appointment for him. You can lead a horse to water.
病院に行くべき理由は説明したけれど、代わりに予約することまではできない。最後は本人が決めることだよ。
恋愛・人間関係
We introduced Mia to several nice people, but she isn’t interested in dating right now. You can lead a horse to water, but you can’t make it drink.
ミアに何人か素敵な人を紹介したけれど、今は恋愛に興味がないみたい。機会は作れても、本人の気持ちは変えられないよ。
接客・サービス
I showed the customer the cheaper plan, but she chose the premium one. You can lead a horse to water, but you can’t make it drink.
お客様には安いプランも案内しましたが、プレミアムプランを選ばれました。情報は示せても、選択するのはご本人です。
「馬の耳に念仏」と同じ意味?
完全には同じではありません。日本語の「馬の耳に念仏」は、ありがたい話や大切な助言を聞いても価値が分からず、聞き流してしまうことに焦点があります。
一方、You can lead a horse to water, but you can’t make it drink. の焦点は、機会を与えたあとに行動するかどうかは本人の意思次第という点です。相手が話を理解していても、行動しなければこのことわざを使えます。
「馬の耳に念仏」に近い英語を知りたい方は、「馬の耳に念仏」は英語で?聞き流す・忠告を無視する表現もあわせてご覧ください。
似た表現との違い
It goes in one ear and out the other.
「片方の耳から入って、もう片方の耳から抜ける」、つまり聞いたことを覚えない・気に留めないという意味です。行動の自由よりも、話を聞き流すことに重点があります。
My advice went in one ear and out the other.
私の助言は右から左へ聞き流されました。
It’s like talking to a brick wall.
「レンガの壁に話しかけているようだ」という比喩で、相手が反応しない、話がまったく通じないという強いいら立ちを表します。今回のことわざより批判的です。
Trying to explain it to him is like talking to a brick wall.
彼にそれを説明しようとしても、壁に向かって話しているようなものです。
You can’t force someone to do something.
「人に〜するよう強制はできない」という直接的な言い方です。ことわざを知らない相手にも分かりやすく、ビジネスでも使いやすい表現です。
You can encourage her, but you can’t force her to apply.
彼女を励ますことはできても、応募を強制することはできません。
日本人が間違えやすいポイント
- can と can’t を明確に発音する:前半は「できる」、後半は「できない」という対比が要です。
- make it drink とする:make の後ろでは to を付けず、動詞の原形を使います。
- horse は単数、代名詞は it:決まり文句なので、基本形をそのまま覚えるのが安全です。
- 「助言を理解できない」という意味に限定しない:理解していても、選ばない・動かない場合に使えます。
- 相手に直接言うときは口調に注意する:批判や見下しに聞こえないよう、状況説明として使いましょう。
しゅみすけ(大山俊輔)
簡単な英語で言い換えるなら
ことわざを使わず、基本的な英語で直接伝えても十分です。
- I can help, but I can’t decide for you.
手助けはできますが、あなたの代わりに決めることはできません。 - I can give you the information, but you have to act.
情報は提供できますが、行動するのはあなたです。 - I showed him what to do, but it’s his choice.
やり方は彼に見せましたが、選ぶのは彼です。 - We can offer help, but we can’t force anyone.
助けを申し出ることはできますが、誰にも強制はできません。
まとめ
You can lead a horse to water, but you can’t make it drink. は、「機会や助けは与えられても、本人に行動を強制することはできない」という英語のことわざです。
lead a horse to water が機会や環境を用意すること、make it drink が行動を強制することを表します。会話では You can lead a horse to water… と後半を省略することもあります。
歯がゆさを表すだけでなく、他人の選択を尊重し、自分にできることの限界を受け入れる表現としても役立ちます。まずは簡単な言い換えの I can help, but I can’t decide for you. と一緒に覚えてみましょう。
ほかの英熟語や定型表現も学びたい方は、英熟語・定型表現の一覧をご覧ください。









