
bearと聞くと、まず「熊」を思い浮かべるかもしれません。ところが、I can’t bear it. は「熊ではいられない」ではなく、「もう耐えられない」という意味です。なぜなのでしょうか。
動詞bearの中心には「重さを受け止めて、支えたまま運ぶ」という感覚があります。物理的な荷物だけでなく、費用・責任・苦痛などの“重さ”を引き受けて持ちこたえるため、「負う」「耐える」へ意味が広がります。
しゅみすけ(大山俊輔)
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動詞bearの基本は「運ぶ・支える」
動詞bearは古くから「運ぶ・支える・持ちこたえる」を表してきました。辞書にも、物を運ぶ意味、重さを支える意味、責任や費用を負う意味、嫌なことに耐える意味が載っています。
- The bridge can bear the weight.
その橋はその重さを支えられます。 - She bore the responsibility.
彼女はその責任を負いました。 - We will bear the cost.
私たちがその費用を負担します。 - He bore the pain quietly.
彼は静かに痛みに耐えました。
日本語訳は変わっても、対象の重さを自分の側で受け止め、支え続ける点は共通しています。
なぜbearが「耐える」になるの?
重い箱を運ぶには、その重さを身体で受け止めなければなりません。同じように、痛み・悲しみ・不快な状況をbearするときも、その負担を投げ出さずに受け止めています。

ここでは学習者が理解しやすい見方として、bear=重さを受け止めて支えると捉えます。感情や状況に使うと、その“重さ”に押しつぶされず持ちこたえるため、「耐える」という意味になるのです。
- I can’t bear the noise.
その騒音には耐えられません。 - She couldn’t bear the thought of leaving.
彼女は去ることを考えるだけでも耐えられませんでした。 - I can’t bear to watch.
見ていられません。 - How can you bear this heat?
どうしてこの暑さに耐えられるのですか。
しゅみすけ(大山俊輔)
「熊」のbearとは同じイメージなの?
いいえ、動物のbearと動詞のbearは、現代英語では同じ綴りと発音になっていますが、語源は別です。「熊は力持ちだから耐える」という説明ではありません。
| bear | 品詞・意味 | 語の系統 |
|---|---|---|
| a bear | 名詞「熊」 | 動物を表す別系統の語 |
| bear a load | 動詞「荷を運ぶ・支える」 | 「運ぶ・支える」を表す語 |
| bear the pain | 動詞「痛みに耐える」 | 上の動詞用法からつながる |
多義語の意味をつなげて考えることは有効ですが、綴りが同じ語をすべて一つのイメージへ無理にまとめる必要はありません。
can’t bearの後ろは名詞・動名詞・不定詞
can’t bear+名詞
I can’t bear this smell.(この臭いには耐えられません)のように、耐えられない対象を直接置けます。
can’t bear+doing
I can’t bear waiting in long lines.(長い列で待つのは耐えられません)のように、行為を動名詞で置けます。
can’t bear+to do
I can’t bear to tell her the truth.(彼女に真実を伝えるのはつらくてできません)のように、不定詞も使えます。個別の場面で「〜するのがつらい」という響きになりやすい形です。
doingとto doの両方が可能な場合も多く、文脈による選択があります。「動名詞なら必ずこの意味、不定詞なら必ず別の意味」と機械的に断定しないほうが安全です。
bear・stand・endure・put up withの違い
| 表現 | 主な感覚 | よくある形 |
|---|---|---|
| bear | 負担を受け止め、持ちこたえる | I can’t bear it. |
| stand | 嫌なものに耐えて平静でいる | I can’t stand it. |
| endure | 苦痛や困難が続いても耐え抜く | endure severe pain |
| put up with | 不満はあるが、仕方なく受け入れる | put up with the noise |
I can’t bear it.とI can’t stand it.は近い表現ですが、bearは悲しみ・痛み・精神的負担にも自然です。日常会話ではstandのほうがくだけた場面で頻繁に使われます。
「重さを受け止める」から広がる別の表現
bear responsibility/bear the cost
責任や費用という負担を引き受けるため、「責任を負う」「費用を負担する」になります。
bear fruit
木が実を“運び出す・生み出す”ところからbear fruitは「実を結ぶ」。努力や計画が成果を生む比喩にも使います。
bear a child
子どもを身ごもり、生み出すことを表します。過去分詞は通常borneですが、出生を表す受け身ではbornを使います。
- She has borne many hardships.:彼女は多くの困難に耐えてきました。
- He was born in Osaka.:彼は大阪で生まれました。
bear in mind
Bear in mind that prices may change.なら「価格が変わる可能性を覚えておいてください」。考えを心の中に保って運ぶ、という方向へ広がった表現です。
日本人が間違えやすいポイント
- bareは「裸の・むき出しの」で、bearとは別の語
- 過去形はbore、過去分詞は基本borne
- 出生を表すbe bornだけはbornを使う
- 「熊だから強く耐える」と意味を結びつけない
- can’t bearは強い感情なので、軽い好みにはI don’t really like …のほうが穏やか
まとめ|bearは負担を受け止めて持ちこたえる
- 動詞bearの基本は「運ぶ・支える」
- 費用や責任を受け止めると「負担する・負う」
- 痛みや悲しみの重さを支えると「耐える」
- 名詞「熊」のbearとは語源が異なる
- I can’t bear it.は「もう抱えていられない」という強い表現
しゅみすけ(大山俊輔)
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参考資料
多義語の意味をつながりで学ぶ
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