
英語を読んでいて、単語は全部知っているのに意味が分からない。日本語へ一語ずつ置き換えたら、かえって不自然になった。そんな経験はないでしょうか。
たとえば、相手の意見に強く賛成するときの You can say that again.。一語ずつ訳せば「あなたはそれをもう一度言ってもいい」ですが、実際の会話では「本当にその通り」「まったくだ」という意味になります。
結論からいうと、英語を日本語に訳すと分かりにくくなることがあるのは、英語と日本語が、同じ場面を同じ単位・同じ順番で言葉にしているわけではないからです。単語の置き換えだけでは、文全体が見せている場面や、話し手の意図が抜け落ちることがあります。
しゅみすけ(大山俊輔)
この記事のポイント
- 英単語と日本語の単語は、意味の範囲が完全には重ならない
- 英語と日本語では、文の中で明示する情報が違う
- 語順は単なる並びではなく、場面を組み立てる順番でもある
- 直訳が不自然なときは「誰が・どうした」より先に、実際の場面を思い浮かべる
- 和訳を捨てるのではなく、目的に応じて使い分ける
Contents
英語を日本語に訳すと分かりにくくなる3つの理由
理由1:英単語と日本語の単語は意味の範囲が同じではない
辞書には英単語に対応する日本語訳が載っています。しかし、その日本語訳は、英単語が使われる範囲の一部を示したものです。
たとえば have は「持つ」と習いますが、次の文を見てください。
- I have a headache.
頭が痛いです。 - We had a good time.
楽しい時間を過ごしました。 - She has blue eyes.
彼女は青い目をしています。
「頭痛を持っています」「良い時間を持ちました」「彼女は青い目を持っています」と訳しても構造は追えますが、自然な日本語ではありません。
have=持つという日本語だけを見るより、「主語のところに何かがある・主語が何かを自分の側に持っている関係」と捉えると、複数の使い方がつながります。日本語ではその関係を、場面に応じて「痛い」「過ごす」「〜をしている」などと言い分けます。
理由2:英語と日本語では、言葉にする情報が違う
日本語は、会話の流れから分かる主語や目的語を省くことができます。
「もう食べた?」「うん、食べた」だけでも、誰が何を食べたのかは状況から分かります。
英語では通常、次のように主語と動詞を置きます。
Have you eaten yet?
Yes, I have.
反対に、日本語では言葉にするのに、英語では別の形で処理する情報もあります。「私は頭が痛い」を英語では I have a headache. と表し、「私」を主語、「頭痛」を目的語として関係を組み立てます。
どちらが詳しい、どちらが曖昧という話ではありません。何を文の中に置き、何を文脈に任せるかが違うのです。
理由3:英語の語順には、場面を組み立てる役割がある
英語は、基本的に主語と動詞を早い段階で示します。
My sister found an old photo in the drawer yesterday.
この文は、まず My sister found で「妹が見つけた」という骨格を作り、次に何を、どこで、いつ、という情報を足しています。
日本語では「妹が昨日、引き出しの中で古い写真を見つけた」のように、動詞が最後に来るのが自然です。英語を日本語の語順へ並べ替えながら読もうとすると、文が長くなるほど情報を頭に保留する必要があります。
英語は英語の順番のまま、
- My sister:妹が
- found:見つけた
- an old photo:古い写真を
- in the drawer:引き出しの中で
- yesterday:昨日
と前から小さく場面を足していくほうが、文の動きが見えやすくなります。
You can say that again.を直訳すると意味がずれる理由

You can say that again. の単語と文法だけを見れば、「あなたはそれをもう一度言ってもよい」です。しかし、実際には相手の発言を聞いて、「その意見なら何度言ってもいいほど同感だ」と反応しています。
A: This summer is unbelievably hot.
今年の夏は信じられないほど暑いね。
B: You can say that again.
本当にその通り。
ここで相手に発言の繰り返しを依頼しているわけではありません。会話の場面と話し手の態度まで含めて初めて、意味が決まります。
なお、聞き取れなかったので本当にもう一度言ってほしいなら、Could you say that again? や Could you repeat that? と尋ねます。疑問文か平叙文かも、大切な手がかりです。
しゅみすけ(大山俊輔)
直訳ではつかみにくい英語の具体例
| 英語 | 直訳に近い形 | 場面に合う日本語 |
|---|---|---|
| I miss you. | 私はあなたを逃す | 会えなくて寂しい/あなたが恋しい |
| That makes sense. | それは意味を作る | なるほど/筋が通っている |
| The door won’t open. | ドアは開こうとしない | ドアがどうしても開かない |
| What’s wrong? | 何が間違っている? | どうしたの?/何か問題? |
| You can say that again. | もう一度言ってもいい | 本当にその通り |
ここで重要なのは、直訳が常に誤りだということではありません。直訳は英語の構造を確認するのに役立ちます。ただし、直訳は完成した意味ではなく、構造を見るための途中段階と考えたほうがよいでしょう。
日本人が直訳しやすい理由
日本の英語学習では、英文和訳を通して文法構造を確認する練習が長く行われてきました。この方法には、主語・動詞・修飾関係を丁寧に確認できる利点があります。
一方、会話では一文を最後まで分析してから日本語訳を完成させる時間はありません。相手が話している間にも、会話は先へ進みます。
また、辞書で最初に覚えた日本語訳が強く残ることもあります。
- have=持つ
- get=得る
- make=作る
- take=取る
これらは基本的な訳ですが、実際の使い方のすべてではありません。最初の訳だけに固定すると、That makes sense. や I’ll take it. のような表現が、知っている単語だけでできているのに分かりにくくなります。
英語を場面で理解する4つの手順
1.まず主語と動詞を見つける
最初からきれいな日本語を作らず、「誰・何が」「どうする・どんな状態」をつかみます。
2.実際に何が起きているか思い浮かべる
人物、場所、動き、表情、前後の会話を簡単な映像にします。鮮明な映画のように想像する必要はありません。
3.一語ずつではなく、意味のまとまりで受け取る
- take care of:世話をする/対応する
- as soon as possible:できるだけ早く
- That makes sense.:なるほど、筋が通っている
よく一緒に使われる語を一つのまとまりとして受け取ると、毎回組み立て直す負担が減ります。
4.必要なときだけ自然な日本語にする
内容を理解するだけなら、完全な和訳を作らなくても構いません。一方、誰かに説明するときや正確な確認が必要なときは、場面を理解したあとで自然な日本語にします。
おすすめの読み方
英語 → 単語の日本語訳 → 日本語の完成文ではなく、
英語 → 場面・関係 → 必要なら自然な日本語
という順番を試してみましょう。
和訳はやめたほうがいい?
和訳を完全にやめる必要はありません。目的によって使い分けるのが現実的です。
| 目的 | 和訳の使い方 |
|---|---|
| 文法構造を確認する | 直訳に近い日本語で対応関係を見る |
| 文章の内容を理解する | 場面と要点をつかみ、必要な部分だけ訳す |
| 自然な日本語で伝える | 英語の意図を理解してから日本語として言い直す |
| 英会話で反応する | 日本語の完成文を作らず、場面から短く返す |
学校文法や和訳は、英語を正確に見るための土台です。問題になるのは、それだけが唯一の理解方法になり、会話でもすべてを日本語へ変換しようとする場合です。
この考え方は単語・熟語・文法にも応用できる
「日本語訳ではなく場面を見る」という考え方は、さまざまな分野で役立ちます。
- 基本動詞:get・have・make・takeの意味の広がり
- 句動詞:動詞と前置詞・副詞が作る場面
- 時制:出来事をどの時間・視点から見るか
- 冠詞:名詞をどのような輪郭で相手に見せるか
- 語順:誰を主役にし、何を先に伝えるか
英語と日本語の全体的な違いは、英語の特徴とは?日本語との違いを語順・主語・単語・音から解説でも整理しています。
日本語に訳しにくい具体的な英語表現は、この英語、日本語には何て訳すの?も参考になります。
英語を日本語へ訳さず理解するための練習方法は、be-rize.comの英語脳とは?日本語に訳さず英語を話すための作り方で体系的に解説しています。
まとめ:単語を訳す前に、英語が見せる場面をつかもう
英語を日本語に訳すと分かりにくくなることがあるのは、英語と日本語で単語の意味範囲、明示する情報、語順による場面の組み立て方が異なるためです。
- 英単語と日本語訳は一対一ではない
- 直訳は構造確認には役立つが、意味の完成形とは限らない
- 主語・動詞・前後の状況から場面をつかむ
- 英語は意味のまとまりで前から受け取る
- 自然な和訳が必要なら、場面を理解したあとで作る
しゅみすけ(大山俊輔)
※英語表現には文脈によって複数の解釈があります。この記事では、大人の英語学習者が理解しやすい見方として、代表的な場面を紹介しています。










