
The sign says “No smoking.”
直訳すると「その看板は『禁煙』と言っています」。でも、看板には口も声もありません。それなのに、英語ではなぜ say を使えるのでしょうか。
結論からいうと、sayには「口で言う」だけでなく、文字・数字・表示によって情報を示す働きがあります。看板そのものが話しているのではなく、看板に載っている内容が、見る人へ伝わる景色です。
しゅみすけ(大山俊輔)
Contents
The sign says “No smoking.” の意味
The sign says “No smoking.” は、自然な日本語なら「看板には『禁煙』と書いてあります」「その標識は禁煙を示しています」という意味です。
| 英語の要素 | 見せているもの |
|---|---|
| The sign | 情報が載っている場所・情報源 |
| says | 内容を外へ示す |
| No smoking. | 看板から読み取れる内容 |
Cambridge Dictionaryでも、say には「書かれたもの・数字・記号で情報を与える」という用法が示され、時計や看板を主語にした例が掲載されています。つまり、会話だけの特殊な比喩ではなく、辞書に載る通常の使い方です。
sayの中心は「音」よりも「内容」
日本語の「言う」から考えると、話し手の口や声へ意識が向きます。一方、say は「どんな言葉・内容が示されているか」に焦点を置けます。
そのため、内容を持つものなら、人でなくても主語になれます。
- The email says the meeting starts at ten.
メールには、会議は10時開始と書いてあります。 - The label says “Keep refrigerated.”
ラベルには「要冷蔵」と書いてあります。 - My watch says 3:15.
私の時計は3時15分を示しています。 - The report says sales are increasing.
報告書によると、売上は伸びています。
メール、ラベル、時計、報告書は声を出しません。しかし、どれも読み手や見る人へ情報を渡します。英語では、その「内容が伝わってくる働き」を say でまとめて捉えられるのです。

なぜThe signが主語になるの?
英語では、主語を置いたあと、動詞で「その主語がどんな働きをするか」を示します。この文では、情報の出どころである The sign を入口にしています。
The sign → says → “No smoking.” と進むことで、「看板を見ると、そこから『禁煙』という内容が読み取れる」という流れが一文になります。
日本語では「看板に『禁煙』と書いてある」のように、場所を表す「に」を使うほうが自然です。そのため、日本語から英作文すると、“No smoking” is written on the sign. と受動態にしたくなることがあります。
それも文法的には可能ですが、英語ではもっと簡潔に、情報源を主語にして The sign says … と言えるのです。
しゅみすけ(大山俊輔)
says・reads・is writtenの違い
| 表現 | 主な焦点 | 自然な日本語 |
|---|---|---|
| The sign says “No smoking.” | 看板が伝える内容 | 看板には「禁煙」とあります |
| The sign reads “No smoking.” | 看板に実際に並ぶ文言 | 看板の文言は「禁煙」です |
| “No smoking” is written on the sign. | 文字が看板に書かれている状態 | 看板に「禁煙」と書かれています |
The sign reads … の read は、この場合「読む」ではなく「〜と書いてある・読める」という意味です。実際の文言を引用するときに使えます。
is written は、どこに何が書かれているかという物理的な状態へ焦点を置きます。日常会話で表示の内容を伝えるだけなら、The sign says … のほうが軽く自然なことが多いです。
sayとtellは入れ替えられる?
The sign tells “No smoking.” とは通常いいません。tell は「誰に情報を伝えるか」という相手を目的語に置く形を取りやすいからです。
- The sign says “No smoking.”
看板には「禁煙」と書いてある。 - The sign tells us not to smoke.
その看板は、私たちに喫煙しないよう伝えている。
say は示されている言葉・内容に焦点があり、tell は情報を受け取る相手や、相手への指示に焦点があります。
したがって、引用する内容をそのまま続けるなら says “No smoking.”。受け手を入れて意味を説明するなら tells us not to smoke が自然です。
会話ではどう使う?
A: Can we smoke here?
(ここでたばこを吸ってもいい?)
B: I don’t think so. The sign says “No smoking.”
(だめだと思うよ。看板に「禁煙」って書いてある。)
旅行中には、看板だけでなく券売機、時刻表、予約メール、スマートフォンの画面についても使えます。
- What does the sign say?
看板には何と書いてありますか? - It says the gate closes at nine.
ゲートは9時に閉まると書いてあります。 - My ticket says Gate 12.
チケットには12番ゲートとあります。 - The app says the train is delayed.
アプリでは電車が遅れていると表示されています。
一度話題に出た看板やメールなら、二度目からは It says … と簡単に言えます。
日本人が迷いやすいポイント
1.sayは人だけが使うと思ってしまう
「言う」という日本語訳だけを覚えると、物を主語にする発想が出にくくなります。say を「内容を示す」と広げて捉えると解決します。
2.必ずis writtenを使おうとする
is written は間違いではありません。ただし、日常会話で知りたいのが「何と書いてあるか」なら、What does it say? が短く自然です。
3.現在形と過去形を混同する
- The email says the meeting is canceled.
今見ているメールにそう書いてある。 - The email said the meeting was canceled.
以前読んだメールにはそう書いてあった。
表示や文書が今も手元にあり、その内容を確認しているなら現在形が自然です。過去に受け取った情報として振り返るなら過去形を使えます。
しゅみすけ(大山俊輔)
まとめ:看板は話さなくても、内容を伝えられる
The sign says “No smoking.” で看板が主語になるのは、看板を人間のように扱っているからではありません。say が、声だけでなく文字・数字・記号によって内容を示すことにも使えるからです。
- say は「口で言う」だけでなく「内容を示す」にも使える
- 看板・メール・時計・報告書・アプリなどを主語にできる
- say は内容、tell は受け手や指示へ焦点を置きやすい
- 「何と書いてある?」は What does it say? が会話で便利
物を主語にする英語の別の景色は、This book changed my life. はなぜ「本」が主語?で解説しています。英語と日本語の見え方を全体から整理するなら、英語と日本語の違いを語順・主語・文脈から解説した記事もご覧ください。
say の意味が会話表現へどう広がるかは、be-rize.comのsayのコアイメージは「言う」ではない|I would say・Let’s sayまで理解で体系的に深掘りしています。










