
kip downは、「普段のベッドではない簡素な場所で、一時的に寝る」という意味の、主にイギリス英語で使われるくだけた表現です。
Can I kip down on your sofa tonight?
今夜、君の家のソファで寝てもいい?
旅行中に友人宅の床やソファを借りる、終電を逃して職場や誰かの家で寝るなど、きちんと用意された宿泊というより、その場で簡単な寝場所を確保する場面に合います。
ただし、kipはアメリカ英語ではあまり一般的ではありません。幅広く通じる表現が必要なら、stay the night、sleep on the sofa、crash at someone’s placeなどを使うほうが安全です。
Contents
kip downの基本的な意味とニュアンス
kipはイギリス英語のくだけた語で、名詞なら「短い眠り・寝ること」、動詞なら「寝る」を表します。そこにdownが加わると、体を横たえてその場所に落ち着くイメージになります。
kip downには、次のようなニュアンスがあります。
- 一時的に寝る
- 普段の自分のベッドではない
- 床・ソファ・寝袋など、簡素な寝場所を使う
- 予定外または気軽な宿泊になりやすい
- 主にイギリス英語で、かなり口語的
We missed the last train, so we kipped down at a friend’s flat.
終電を逃したので、友人のアパートで寝ました。
There weren’t enough beds, so two of us kipped down in the living room.
ベッドが足りなかったので、私たちのうち二人はリビングで寝ました。
downが句動詞で表す「体勢・状態を下げる」感覚については、be-rize.comのupとdownのコアイメージの違いも参考になります。
しゅみすけ(大山俊輔)
kip down on+寝場所の使い方
どこに寝るのかを具体的に言うときは、kip down on+寝場所をよく使います。
- kip down on the sofa:ソファで寝る
- kip down on the floor:床で寝る
- kip down on a mattress:マットレスで寝る
- kip down in a sleeping bag:寝袋で寝る
I kipped down on the sofa after the party.
パーティーのあと、私はソファで寝ました。
The kids kipped down on mattresses in the hall.
子どもたちはホールに敷いたマットレスで寝ました。
You can kip down on the floor if you don’t mind.
気にならなければ、床で寝てもいいですよ。
We had to kip down on our coats at the airport.
私たちは空港でコートを敷いて寝なければなりませんでした。
床・ソファのように表面を寝場所として捉えるため、基本的にonを使います。一方、場所を広く示すならin the living room、at my friend’s placeなども使えます。
場所を表すin・atとの組み合わせ
onは具体的な寝る面、inは部屋や空間、atは家・施設などの地点を示します。
| 形 | 焦点 | 例 |
|---|---|---|
| kip down on+物 | 寝る面 | on the sofa |
| kip down in+空間 | 寝る部屋・空間 | in the office |
| kip down at+場所 | 泊まる地点 | at a friend’s place |
A few guests kipped down in the spare room.
何人かの客は空き部屋で寝ました。
Could we kip down at your place for one night?
一晩、君の家で寝かせてもらえない?
He kipped down in the van during the festival.
彼はフェスティバルの期間中、バンの中で寝ました。
kipの活用|kipped・kipping
kipの語尾は短い母音+子音なので、過去形・過去分詞と現在分詞では最後のpを重ねます。
| 形 | 英語 | 例 |
|---|---|---|
| 原形 | kip | We can kip down here. |
| 三人称単数 | kips | He kips down on the sofa. |
| 過去形・過去分詞 | kipped | We kipped down here. |
| 現在分詞 | kipping | They’re kipping down upstairs. |
She kipped down at her sister’s flat last night.
彼女は昨夜、姉(妹)のアパートで寝ました。
We’ve kipped down here before.
私たちは以前にもここで寝たことがあります。
スペルをkipedやkipingにしないように注意しましょう。
kip down・stay the night・sleep on the floorの違い

| 表現 | 意味 | ニュアンス |
|---|---|---|
| kip down | 簡素な場所で一時的に寝る | 英国口語・臨時の寝場所 |
| stay the night | 一晩泊まる | 中立的で寝場所を限定しない |
| sleep on the floor | 床で寝る | 場所を文字どおり説明 |
stay the nightは最も中立的
stay the nightは「一晩泊まる」という事実を表し、ベッドで寝るか、ソファで寝るかは問いません。地域を選びにくく、初学者にも使いやすい表現です。
You can stay the night if it’s too late to go home.
家へ帰るには遅すぎるなら、一晩泊まっていっていいよ。
You can kip down on the sofa if it’s too late to go home.
家へ帰るには遅すぎるなら、ソファで寝ていっていいよ。
後者では、臨時の簡素な寝場所という情報が加わります。一般的な宿泊表現は、「宿泊する」のstay at・stay with・spend the nightの違いでも整理しています。
sleep on the floorは文字どおり
sleep on the floorは英国口語に限らず、「床で寝る」と具体的に説明する表現です。
I slept on the floor because there were no beds left.
空いているベッドがなかったので、床で寝ました。
kip downを知らなくても、このように場所を直接伝えれば問題ありません。
kip downとcrashの違い
crashにも、くだけた会話で「寝る」「一時的に泊まる」という意味があります。
- I’m going to crash.:もう寝るよ
- Can I crash at your place?:君の家に泊めてもらえる?
- I crashed on the sofa.:ソファで寝た
kip downは主にイギリス英語で、簡素な寝場所に横になる感じが比較的明確です。crashは特にアメリカ英語でも使われ、疲れて寝る・気軽に泊まるという勢いがあります。
| 表現 | 地域・響き | 中心 |
|---|---|---|
| kip down | 主に英国・くだけた表現 | 臨時の場所で寝る |
| crash | 広く使われる俗語 | 疲れて寝る・気軽に泊まる |
疲れて急に寝る表現との比較は、zonk out・crash・doze offの違いも参考になります。
kip downはアメリカでも通じる?
kipはイギリス、アイルランド、オーストラリアなどで見聞きしやすい口語です。アメリカでは意味を推測できる人もいますが、日常的な選択とは限りません。
相手の地域が分からないときは、次の表現が安全です。
- Can I stay the night?
今夜泊まってもいい? - Can I sleep on your sofa?
君の家のソファで寝てもいい? - Do you have somewhere I can sleep?
どこか寝られる場所はある?
一方、英国の会話・ドラマ・小説でkip downが出たら、「一時的な場所で簡単に寝る」と理解すればよいでしょう。
しゅみすけ(大山俊輔)
日本人が間違えやすいポイント
「下へ蹴る」ではない
kipはkickではありません。kip downは「寝る」表現であり、何かを蹴る意味はありません。
ホテルに普通に宿泊する場面には使いにくい
予約したホテルのベッドで宿泊するなら、通常はstay at a hotelです。
- 自然:We stayed at a hotel near the station.
- 不自然になりやすい:We kipped down at a luxury hotel.
後者は「高級ホテルなのに、まるで簡易寝床のように寝た」という特別な冗談や文脈がない限り、語感が合いません。
onの後ろに人を置かない
具体的な寝場所ならon the sofaですが、「友人宅で」ならat my friend’s placeまたはat Tom’sとします。
- ○ kip down on the sofa
- ○ kip down at Tom’s
- × kip down on Tom
簡単な英語で言い換えるなら
kip downが出てこなくても、次の基本表現で十分に伝わります。
- I slept on the sofa.
ソファで寝ました。 - We slept on the floor.
私たちは床で寝ました。 - I stayed at my friend’s place.
友人の家に泊まりました。 - Can I stay here tonight?
今夜ここに泊まってもいい? - We had no bed, so we used sleeping bags.
ベッドがなかったので、寝袋を使いました。
「どこで」「何を使って」「なぜそこで寝たのか」を基本語で言えば、臨時の宿泊状況を具体的に説明できます。
会話で使ってみよう
A: The last train has already gone.
終電、もう行っちゃったよ。
B: Don’t worry. You can kip down on the sofa.
心配しないで。ソファで寝ていっていいよ。
A: Are you sure? I don’t want to be a bother.
本当に?迷惑をかけたくないんだけど。
B: It’s fine. I’ll get you a blanket.
大丈夫。毛布を持ってくるよ。
まとめ
kip downは、主にイギリス英語で「普段のベッドではない簡素な場所に、一時的に寝る」というくだけた句動詞です。
- ソファ・床・寝袋などの臨時の寝場所に合う
- kip down on the sofaのように、具体的な面にはonを使う
- 場所ならin the living room・at a friend’s placeも可能
- 過去形・過去分詞はkipped、現在分詞はkipping
- stay the nightは中立的な「一晩泊まる」
- crashは疲れて寝る・気軽に泊まる俗語
- 米国英語を含め広く通じさせるならsleep on the sofaなどが安全
まずはCan I kip down on your sofa?を、「今夜だけ簡単に寝かせてもらえる?」という場面と一緒に覚えてみましょう。
ほかの句動詞も体系的に学びたい方は、英熟語・定型表現の一覧もご活用ください。









