
the elephant in the roomは、「誰もが気づいているのに、気まずさや恐れから誰も触れようとしない大きな問題」を表す英語イディオムです。
象ほど大きな存在が部屋にいれば、見えないはずがありません。それなのに全員が象を無視して普段どおりに振る舞う。この不自然な光景が、表現の意味をそのまま示しています。
この記事では、the elephant in the roomの意味とニュアンス、自然な使い方、addressやacknowledgeとの組み合わせ、taboo・open secret・a white elephantとの違いまで解説します。
Contents
the elephant in the roomの意味は「皆が避けている明白な問題」
the elephant in the roomは、次の3つがそろう場面で使います。
- 問題が大きく、無視できない
- その場の全員が問題に気づいている
- 気まずい、怖い、都合が悪いなどの理由で誰も話題にしない
Everyone knew the company was losing money, but nobody mentioned it. It was the elephant in the room.
会社が赤字だと全員が知っていましたが、誰も口にしませんでした。それが皆の避けている明白な問題でした。
His resignation was the elephant in the room at the meeting.
会議では、彼の辞任が誰も触れたがらない大問題でした。
しゅみすけ(大山俊輔)
なぜ「部屋の中の象」がこの意味になる?
elephantは非常に大きく、in the roomは同じ空間にいることを表します。部屋の中に象がいれば、誰の目にも明らかです。
それでも全員が象の存在を認めず、別の話を続けているとしたら不自然です。この「明白なのに見て見ぬふりをする」状況から、誰も触れたがらない問題を意味するようになりました。

ネイティブが感じるニュアンス
the elephant in the roomには、話し手が「もう無視するのは不自然だ」「本当はこの問題を話すべきだ」と感じているニュアンスがあります。
そのため、問題そのものを説明するだけでなく、周囲の沈黙・気まずさ・回避も同時に批判したり指摘したりする表現です。
We had a pleasant dinner, but the argument from last night was still the elephant in the room.
楽しく夕食を取りましたが、昨夜の口論は依然として誰も触れたがらない問題でした。
会話でも仕事でも使われますが、かなり直接的な指摘になることがあります。相手を責める響きを弱めたい場合は、Maybe we should talk about…などの柔らかい導入を添えると自然です。
よく使う形と語順
A is the elephant in the room
避けられている問題を主語にして、Aが「例の触れにくい問題だ」と示す基本形です。
The budget is the elephant in the room.
予算が、皆が避けている明白な問題です。
Their breakup was the elephant in the room.
二人の破局が、その場で誰も触れたがらない話題でした。
There is an elephant in the room
「この場には、誰も触れていない大きな問題がある」と問題の存在を切り出します。この形では、初めて導入するのでanを使うことがあります。
There’s an elephant in the room: we don’t have enough money to finish the project.
誰も触れていない大問題があります。このプロジェクトを終えるだけのお金がありません。
一度何の問題か共有された後は、通常the elephant in the roomと定冠詞theを使います。
address the elephant in the room
addressはここでは「住所を書く」ではなく、「問題を取り上げて対処する」です。非常によく使われる組み合わせです。
Let’s address the elephant in the room.
皆が避けてきた問題について、きちんと話しましょう。
We need to address the elephant in the room before making a decision.
決定する前に、誰も触れていない大問題を取り上げる必要があります。
acknowledge the elephant in the room
acknowledgeは「存在を認める」です。すぐ解決できなくても、まず問題があると公に認める場面で使います。
The manager finally acknowledged the elephant in the room.
マネージャーはついに、皆が避けていた問題の存在を認めました。
ignore/avoid the elephant in the room
ignoreは「無視する」、avoidは「避ける」。問題を取り上げない態度を表します。
We can’t keep ignoring the elephant in the room.
この明白な問題をいつまでも無視し続けることはできません。
場面別の自然な例文
仕事・会議
Before we discuss next year’s plans, we should address the elephant in the room: sales are falling.
来年の計画を話す前に、避けてきた問題を取り上げるべきです。売上が落ちています。
The failed launch was the elephant in the room during the team meeting.
チーム会議では、失敗した製品発表が誰も触れたがらない問題でした。
恋愛・人間関係
We talked about work and the weather, but our future together was the elephant in the room.
仕事や天気について話しましたが、二人の将来は避けたままの大問題でした。
Let’s talk about the elephant in the room. Are you still angry with me?
避けていた話をしよう。まだ私に怒っているの?
家族
Dad’s health was the elephant in the room at dinner.
夕食の席では、父の健康が誰も触れたがらない問題でした。
Everyone knew the house had to be sold, but it remained the elephant in the room.
家を売らなければならないと全員分かっていましたが、誰もその話を切り出しませんでした。
学校
The cheating incident was the elephant in the room, but the teacher decided to discuss it openly.
カンニング事件は皆が避けている問題でしたが、先生は率直に話し合うことにしました。
社会的な話題
The rising cost of living has become the elephant in the room.
生活費の上昇が、誰も無視できないのに十分話されていない問題になっています。
tabooとの違い
tabooは、文化・宗教・社会的な規範などによって「話したり行ったりしてはいけない」とされることです。必ずしも、その場に具体的な問題が存在するとは限りません。
Talking about salaries is still taboo in some workplaces.
職場によっては、給与について話すことが今もタブーです。
一方、the elephant in the roomは、今その場にある明白な問題を、関係者が意図的に避けている状況です。
open secretとの違い
an open secretは「公然の秘密」。公式には発表されていなくても、多くの人が知っている事実です。
Their relationship is an open secret in the office.
二人の関係は職場では公然の秘密です。
open secretは「皆が知っていること」が中心です。the elephant in the roomは、皆が知っているうえに、重要なのに話題にするのを避けている問題であることが中心です。
a white elephantとの違い
同じelephantを使いますが、意味はまったく異なります。
- the elephant in the room:皆が気づいているのに触れない大問題
- a white elephant:高価だが役に立たず、維持費のかかる持て余し物
The empty stadium is a white elephant, and its maintenance cost is the elephant in the room.
空っぽのスタジアムは無用の長物で、その維持費が皆の避けている大問題です。
この例では、スタジアムそのものがa white elephant、話題にされない維持費の問題がthe elephant in the roomです。詳しい違いは、a white elephantの意味・由来・使い方でも確認できます。
しゅみすけ(大山俊輔)
日本人が間違えやすいポイント
基本形ではtheを使う
定型表現としてはthe elephant in the roomです。「皆がどの問題か分かっている」という共有感がtheに表れています。
小さな秘密には使わない
誰かが新しい靴を買ったといった小さな話題には大げさです。無視できない重要性と、その場の気まずさが必要です。
知られていない問題には使わない
自分だけが知っている隠れた問題なら、まだthe elephant in the roomではありません。その場の人たちが気づいていることが前提です。
addressは「話しかける」ではない
address a problemは「問題を取り上げる・対処する」という意味です。address the elephant in the roomを「象に話しかける」と直訳しないようにしましょう。
簡単な英語で言い換えるなら?
このイディオムが出てこなくても、基本的な英語で十分に説明できます。
- Everyone knows there is a problem.(問題があると全員知っています)
- Nobody wants to talk about it.(誰もそのことを話したがりません)
- We need to talk about the real problem.(本当の問題について話す必要があります)
- Let’s stop avoiding this issue.(この問題を避けるのはやめましょう)
Everyone knows the deadline is impossible, but nobody wants to say it.
締め切りが無理だと全員分かっていますが、誰も口にしたがりません。
「皆が知っている」と「誰も話さない」を二つの短い文に分ければ、イディオムを使わなくても意味は明確に伝わります。
まとめ
the elephant in the roomは、「その場の全員が気づいているのに、気まずさや都合の悪さから誰も触れない大きな問題」です。
基本形はA is the elephant in the room。問題を話し合うならaddress the elephant in the room、まず存在を認めるならacknowledge the elephant in the roomが自然です。
ほかの表現は、英熟語・定型表現の一覧や、動物を使った英語イディオムの一覧でも確認できます。









