
with one’s hands tied は、直訳すると「両手を縛られた状態で」ですが、会話では主に「規則・権限・状況に制約されて、したくても行動できない」という比喩で使われます。
特によく聞くのが My hands are tied. です。「能力がない」「やりたくない」ではなく、自分の外にある事情のため、自由に決められないというニュアンスを含みます。
しゅみすけ(大山俊輔)
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with one’s hands tiedの意味
基本の意味は次の2つです。
- 文字どおり:両手を縛られた状態で
- 比喩的に:制約があって自由に行動できない状態で
英会話で重要なのは比喩の用法です。手を使えなければ、目の前の問題に対処したくても動けません。この身体感覚から、「ルール・上司の判断・契約・予算・法律・時間などに縛られて、どうすることもできない」という意味になります。
My hands are tied. は「私にはどうすることもできません」
My hands are tied. は文として完成した定番表現です。日本語では場面に応じて、次のように訳せます。
- 私にはどうすることもできません。
- こちらでは決められません。
- 規則上、対応できません。
- 身動きが取れない状況です。
My hands are tied by company policy.
会社の方針に縛られて、私にはどうすることもできません。
I’d love to give you a refund, but my hands are tied.
返金して差し上げたいのですが、私の権限ではどうすることもできません。
なぜhandsは複数形?意味の成り立ち
このイディオムは、両手を縛られて行動を封じられた姿を思い浮かべると理解しやすくなります。通常は両手を表すため hands と複数形になり、所有格もそれに合わせます。
- my hands:私の手
- your hands:あなたの手
- his / her hands:彼/彼女の手
- our hands:私たちの手
- their hands:彼らの手
one’s は辞書で使われる代表形です。実際の会話で one’s と言うのではなく、話す人に合わせて my、your、his、her などに変えます。
よく使う形と語順
1. one’s hands are tied
最も自然で頻度の高い形です。
Sorry, my hands are tied.
すみません、私にはどうすることもできません。
Her hands were tied by the contract.
契約のせいで、彼女は自由に動けませんでした。
Our hands will be tied if the budget is cut again.
予算がまた削られたら、私たちは身動きが取れなくなります。
2. with one’s hands tied
with + 名詞 + 過去分詞 で「名詞が〜された状態で」を表します。文の前後に置いて、行動するときの状況を補足します。
We’re trying to solve the problem with our hands tied.
私たちは制約だらけの状態で、その問題を解決しようとしています。
With both hands tied by regulations, the team couldn’t respond quickly.
規制に縛られ、チームは素早く対応できませんでした。
3. tie someone’s hands
主語を「制約する側」にすると、tie someone’s hands「人の自由な行動を封じる」になります。
These rules tie our hands.
これらの規則のせいで、私たちは自由に動けません。
I don’t want to tie your hands with too many conditions.
条件を増やしすぎて、あなたの行動を縛りたくありません。
自然な会話例
仕事:上司の承認が必要
A: Can you approve the discount today?
A:今日、値引きを承認できますか。
B: I wish I could, but my hands are tied until the director signs off.
B:できればそうしたいのですが、部長の承認が出るまでは私には決められません。
買い物:返品期限を過ぎた
A: Could you make an exception?
A:例外として対応してもらえませんか。
B: I’m sorry. The return window closed last week, so my hands are tied.
B:申し訳ありません。返品期間が先週終わったため、こちらでは対応できません。
家庭:予定を変えられない
I’d come earlier, but my hands are tied because I have to pick up the kids.
もっと早く行きたいけれど、子どもの迎えがあるので時間を動かせません。
人間関係:秘密を守る約束
She asked me not to tell anyone, so my hands are tied.
誰にも言わないでと頼まれたので、私からは話せません。

My hands are tiedとI can’t・I don’t want toの違い
My hands are tied:外部の制約で動けない
能力や気持ちではなく、規則・権限・状況が妨げになっています。「本当はそうしたい」という同情や残念な気持ちをにじませることもできます。
I can’t:単純に「できない」
I can’t は最も広い表現です。能力、予定、許可、状況など、できない理由を限定しません。
I can’t approve this.
これは承認できません。
この文だけでは、権限がないのか、内容に反対なのかは分かりません。
I don’t want to:自分の意思で「したくない」
I don’t want to は本人の希望・意思です。外部の制約を表す My hands are tied. とは明確に異なります。
I don’t want to approve this.
私はこれを承認したくありません。
have no choiceとの違い
have no choice but to do は「ほかに選択肢がないので、〜するしかない」。一方、one’s hands are tied は「制約のせいで、したい行動ができない」に焦点があります。
We have no choice but to cancel.
中止するしかありません。
Our hands are tied, so we can’t change the date.
こちらでは自由に決められないため、日程を変更できません。
「〜するしかない」の語順やニュアンスは、have no choice but toの専門記事でも詳しく解説しています。
日本人が間違えやすいポイント
本当に手を縛る話だと決めつけない
前後に rules、policy、budget、authority、contract などが出ていれば、通常は比喩です。事件や手品など、物理的に手を縛る文脈では文字どおりの意味にもなります。
handを単数にしない
定番の比喩表現は My hands are tied. です。通常、My hand is tied. とは言いません。単数形なら、片手が物理的に縛られている意味に聞こえやすくなります。
責任逃れに聞こえることもある
My hands are tied. は便利ですが、理由を示さず繰り返すと「自分には責任がない」と逃げている印象を与える場合があります。仕事では、制約と次の行動を一緒に伝えると親切です。
My hands are tied on the price, but I can offer free delivery.
価格については私の権限では変えられませんが、無料配送ならご用意できます。
しゅみすけ(大山俊輔)
簡単な英語で言い換えるなら
イディオムがすぐ出てこなくても、理由を直接説明すれば十分伝わります。
- I’m not allowed to do that.
私はそれをすることを許可されていません。 - I don’t have the authority to decide.
私には決める権限がありません。 - The rules don’t let us change it.
規則上、私たちはそれを変更できません。 - There’s nothing I can do.
私にできることはありません。
初心者には、I can’t change it because of the rules.(規則のため変更できません)のように、becauseで理由を添える形が使いやすいでしょう。
関連表現
- be bound by …:契約・規則などに拘束されている
- be restricted by …:〜によって制限されている
- be out of one’s hands:自分の管理・権限の外にある
- hit a dead end:行き詰まる
- get nowhere:進展しない、埒が明かない
努力しても進展しない状況を言いたい場合は、get nowhereの意味と使い方も参考になります。
英熟語を意味だけでなく、語順やイメージから理解したい方は、英熟語・定型表現のまとめもご覧ください。
まとめ
with one’s hands tied は「規則・権限・状況に制約され、自由に行動できない状態で」という意味です。会話では My hands are tied. の形が特によく使われます。
- one’sはmy・your・his・her・our・theirに変える
- handsは通常、複数形
- できない理由は能力や意思ではなく、自分の外にある制約
- 仕事では制約の理由や代案を添えると、責任逃れに聞こえにくい
まずは I’d like to help, but my hands are tied.(お手伝いしたいのですが、私にはどうすることもできません)をひとかたまりで覚えて、権限や規則のために動けない場面で使ってみましょう。









