アダム・グラントの英語の名言7選|考え直す力・ギバー・仕事

カードを裏返し、新しい見方と道筋を見つける架空の女性チーム

長く働き、経験を重ねるほど、「今さら考えを変えたら、これまでの自分を否定することになる」と感じることがあります。また、人の役に立ちたい気持ちが強いほど、頼まれたことを抱え込み、自分だけが疲れてしまうこともあります。

組織心理学者アダム・グラント(Adam Grant)の言葉は、そんな二つの悩みに新しい角度をくれます。考え直すことは弱さではなく知性であり、与えることは自己犠牲でなくてもよい。彼は研究と物語を通して、仕事、成功、創造性、人間関係を捉え直してきました。

この記事では、本人公式サイト、TED、著書、出版社資料で確認できる英語の名言を7つ選び、自然な和訳、背景、英語のポイント、初心者でも言えるやさしい英語を紹介します。

アダム・グラントの言葉を読むポイント
「何でも人に与えれば成功する」「いつも自分の考えを疑うべきだ」という単純な話ではありません。助け方に境界線を持ち、意見ではなく自分の価値観を軸にしながら、新しい証拠には心を開く。そのバランスが大切です。

アダム・グラントとは?|仕事と人間関係を研究する組織心理学者

アダム・グラントは、ペンシルベニア大学ウォートン校の組織心理学者です。代表作には『Give and Take』『Originals』『Think Again』『Hidden Potential』などがあり、TED講演やポッドキャストでも、動機、意味、創造性、働き方を発信しています。

彼が注目するのは、生まれつきの才能だけではありません。人とどう関わるか、失敗をどう扱うか、知っていると思ったことをどう学び直すか。大人になってからも変えられる行動や思考に光を当てています。

アダム・グラントの英語の名言7選

1.意味のある成功とは、ほかの人の成功を助けること

The most meaningful way to succeed is to help others succeed.

日本語訳:もっとも意味のある成功のしかたは、ほかの人の成功を助けることだ。

出典:アダム・グラント公式サイト

やさしい英語:Real success helps other people grow.(本当の成功は、ほかの人の成長を助けます)

way to succeed は「成功する方法」、help + 人 + 動詞 は「人が〜するのを助ける」です。help の後ろの動詞には to を入れても入れなくても構いません。

自分の成果だけを積み上げるより、知識を渡し、機会を作り、誰かが力を発揮できる状態を残す。人生後半の成功を考えるときにも響く言葉です。

2.正しいつもりで議論し、間違っているつもりで聞く

Argue like you’re right and listen like you’re wrong.

日本語訳:自分が正しいと思うように議論し、自分が間違っていると思うように耳を傾けよう。

出典:著書 Think Again/公式書籍紹介

やさしい英語:Share your idea, but be ready to learn.(自分の考えを伝えながら、学ぶ準備もしておきましょう)

like + 文 は「まるで〜であるかのように」。argue と listen、right と wrong を対にした簡潔な表現です。

意見を曖昧にする必要はありません。根拠を持って話しながら、「知らなかった」「そこは考え直す」と言える余白を残す姿勢です。

3.知識が力なら、知らないことを知るのが知恵

If knowledge is power, knowing what we don’t know is wisdom.

日本語訳:知識が力であるなら、自分が何を知らないかを知ることが知恵である。

出典:著書 Think Again/出版社公式紹介

やさしい英語:It is wise to know what you do not know.(自分が知らないことを知るのは賢明です)

what we don’t know は「私たちが知らないこと」。knowing から始まる部分全体が文の主語です。

経験が増えるほど、分かったつもりになる危険も増えます。「ここは詳しくない」と言えることは、能力不足ではなく、判断を誤らないための知恵です。

4.すべての考えを信じなくてもいい

We don’t have to believe everything we think.

日本語訳:私たちは、自分が考えることをすべて信じる必要はない。

出典:著書 Think Again/公式・出版社紹介

やさしい英語:A thought is not always a fact.(頭に浮かんだことが、いつも事実とは限りません)

don’t have to … は「〜する必要はない」。禁止を表す must not とは違います。

「今さら遅い」「私は英語が苦手」「失敗したら恥ずかしい」。そう思ったことと、それが事実であることは別です。考えをいったん机に置いて検討できます。

5.最高の独創者は、もっとも多く失敗する

The greatest originals are the ones who fail the most, because they’re the ones who try the most.

日本語訳:もっとも優れた独創者は、もっとも多く失敗する人たちだ。なぜなら、もっとも多く挑戦する人たちだから。

出典:TED講演 “The surprising habits of original thinkers”(2016年)

やさしい英語:People with good ideas also have many bad ideas.(良いアイデアを持つ人にも、たくさんの悪いアイデアがあります)

the ones who … は「〜する人たち」、the most は「もっとも多く」。fail と try を同じ構造で対比しています。

失敗が多いことは、才能がない証拠とは限りません。試した数が多いからこそ、使える少数のアイデアへ到達できることがあります。

自分の灯りを残しながら互いにランタンを渡す架空の多世代チーム

6.良いアイデアには、たくさんの悪いアイデアが必要

You need a lot of bad ideas in order to get a few good ones.

日本語訳:いくつかの良いアイデアを得るには、たくさんの悪いアイデアが必要だ。

出典:TED講演 “The surprising habits of original thinkers”(2016年)

やさしい英語:Make many ideas. Keep the good ones.(たくさん案を出して、良いものを残しましょう)

in order to … は「〜するために」。a lot of と a few の数量の対比もポイントです。

最初から正解を一つ出そうとすると、発想が止まります。文章でも英会話でも、まず粗い案を出し、後から直すほうが前へ進みやすくなります。

7.与える人を守ることが大切

The most important thing is to protect the givers.

日本語訳:もっとも大切なのは、与える人たちを守ることだ。

出典:TED講演 “Are you a giver or a taker?”(2016年)

やさしい英語:Help kind people keep their energy.(親切な人が力を保てるよう助けましょう)

The most important thing is to … は「もっとも大切なのは〜すること」。giver は、お金だけでなく時間、助言、つながりを惜しまず渡す人です。

職場で協力的な人へ依頼が集中すると、その人から先に疲弊します。善意に頼り続けず、断れる仕組み、分担、感謝、見返りのない搾取を止めることが必要です。

ギバーは「何でも引き受ける人」ではない

『Give and Take』は、ただ自己犠牲を勧める本ではありません。グラントがTEDで強調するのは、寛大な人を組織が守ることです。助ける相手と方法を選び、自分の時間をまとめて確保し、テイカーに利用されない仕組みを作る必要があります。

特にケア役を引き受けやすい人は、I can help for 20 minutes.(20分なら手伝えます)、I can’t do it today, but I can show you how.(今日はできませんが、やり方なら教えられます)のように、助けと境界線を同時に言えます。

初心者でも言える境界線の英語
I can help, but not today.
手伝えますが、今日はできません。

Let’s share the work.
仕事を分担しましょう。

Please ask the whole team.
チーム全体に聞いてください。

考え直すことは、これまでの自分を否定することではない

意見を変えると「一貫性がない」と感じるかもしれません。しかし、新しい情報を得ても結論を変えないことのほうが、危険な場合があります。大切にしてきた価値観は残しながら、その実現方法を更新できます。

英語学習でも、「文法を全部覚えてから話す」という方法が合わなければ、「知っている単語で話し、必要な表現を後から増やす」に変えてよいのです。過去の努力が無駄になるのではなく、次の方法を選ぶ材料になります。

名言から覚えたい英語表現

英語 意味 短い例文
help 人 succeed 人の成功を助ける Help your team succeed.
be ready to … 〜する準備がある Be ready to learn.
what we don’t know 私たちが知らないこと Ask what we don’t know.
don’t have to … 〜する必要はない You don’t have to agree.
the ones who … 〜する人たち They are the ones who help.
in order to … 〜するために Pause in order to think.
protect 守る Protect your time.

信頼と「考え直す力」を育てる言葉

人が安心して意見を変えるには、間違いを責められない環境が必要です。目的と信頼のあるチームについては、サイモン・シネックの英語の名言7選へ。弱さを見せる勇気と境界線については、ブレネー・ブラウンの英語の名言7選もつながります。

今日ひとつ覚えるなら、この一文です。

We don’t have to believe everything we think.

頭に浮かんだ考えを、すぐ事実にしなくていい。そこから新しい選択が始まります。

参考にした主な資料

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この記事を書いた人
しゅみすけ(大山俊輔)

b わたしの英会話および英語コーチングGRIT/be:RIZE代表。米国MBA取得、外資系企業4社での勤務経験を持ち、これまで多くの大人の英語学習を支援。日本語と英語の処理構造の違いに着目した「英語OS」の考え方をもとに、独学で伸び悩む人の学び直しをサポートしています。

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