
「怒ってはいけない」と我慢しても苦しい。かといって、感情のまま相手を責めても関係は変わらない。怒りは、押し殺すものでも、誰かにぶつけるものでもなく、自分に何が起きているかを知らせる信号なのかもしれません。
ハリエット・ラーナー(Harriet Lerner)は、女性心理と家族関係を長年研究してきたアメリカの臨床心理学者です。世界的ベストセラー『The Dance of Anger』をはじめ、怒り、謝罪、結婚、家族、人間関係の中で自分の声を取り戻す方法を伝えてきました。この記事では、本人の著書、執筆記事、信頼できるインタビューから英語の名言を7つ紹介します。
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ハリエット・ラーナーとは?
ハリエット・ラーナーは、女性が怒りを表すと「面倒な人」と見られ、我慢すると自分を失いやすいという難しさを早くから言葉にしてきました。彼女が重視するのは、相手を変えるために怒ることではなく、怒りを手がかりに自分の立場、限界、望みを明確にすることです。
境界線を引くことに罪悪感を持ちやすい方は、ネドラ・グローバー・タワブの名言もあわせてどうぞ。怒りが知らせている「ここから先は無理」を具体的な言葉にする助けになります。
ハリエット・ラーナーの英語の名言7選
1.怒りは、聞く価値のある信号
Anger is a signal, and one worth listening to.
和訳:怒りは信号です。そして、耳を傾ける価値のある信号です。
背景:『The Dance of Anger』を代表する言葉です。怒りは「私は悪い人」という証拠ではありません。不公平、侵害、疲労、言えなかった本音など、何かを変える必要があると知らせています。
英語ポイント:worth -ing は「〜する価値がある」。worth listening to で「耳を傾ける価値がある」です。
簡単な英語なら:Your anger is telling you something.(怒りはあなたに何かを伝えています。)
2.怒りそのものは、良くも悪くもない
Anger is neither positive nor negative. Anger simply is.
和訳:怒りは、肯定的でも否定的でもありません。怒りは、ただそこにあるものです。
背景:本人インタビューで、怒りを「悪い感情」と決めつける考えに答えた言葉です。問題になるのは怒りの存在ではなく、黙り込む、爆発する、相手を支配しようとするなど、その扱い方です。
英語ポイント:neither A nor B は「AでもBでもない」。simply is は「ただ存在する」という簡潔な表現です。
簡単な英語なら:Anger is not bad. It is a feeling.(怒りは悪いものではありません。一つの感情です。)
3.人間関係と自分自身を、二者択一にしない
Many of our problems with anger occur when we choose between having a relationship and having a self.
和訳:怒りをめぐる多くの問題は、人間関係を保つことと、自分自身でいることのどちらかを選ぼうとするときに起こります。
背景:関係を壊したくないから黙る。自分を守るために相手を切り離す。ラーナーは、この二択そのものを見直します。相手とのつながりを持ちながら、自分の考えや限界も伝える道を探します。
英語ポイント:choose between A and B は「AとBのどちらかを選ぶ」。have a self は「自分というものを持つ」という印象的な表現です。
簡単な英語なら:You can love others and still be yourself.(人を愛しながら、自分らしくいることもできます。)
4.「私は」で、自分の立場を明確にする
An “I” statement should serve to clarify our position.
和訳:「私は」で始める言葉は、自分の立場を明確にするために使うものです。
背景:「あなたはいつも自分勝手」と責める代わりに、「私はこの件を自分で決めたい」と伝える。大切なのは、I feel を付けて相手を診断することではなく、自分が考えること、必要なこと、できないことを静かに伝えることです。
英語ポイント:serve to do は「〜する役割を果たす」。clarify は「明確にする」です。
簡単な英語なら:Say what you think and need.(自分の考えと必要なことを伝えましょう。)

5.声から「とげ」が抜けるまで待つ
Hold off until you can state your “I” position without the edge.
和訳:とげのない声で「私はこう思う」と言えるまで、少し待ちましょう。
背景:言葉だけ丁寧でも、声が攻撃的なら相手には非難として届きます。感情を否定する必要はありませんが、目的が「勝つこと」から「立場を伝えること」に戻るまで、時間を置くのも大切です。
英語ポイント:hold off は「延期する、少し待つ」。ここでの edge は声に含まれる「とげ、険しさ」です。
簡単な英語なら:Wait until you can speak calmly.(落ち着いて話せるまで待ちましょう。)
6.二人で始めたダンスも、一人から変えられる
It takes two to tango. It takes only one to make things a whole lot better.
和訳:タンゴを踊るには二人必要です。でも、状況をずっと良くするのは一人からでもできます。
背景:人間関係のパターンは二人でつくられますが、相手が先に変わるのを待つ必要はありません。追いかけるのをやめる、説明しすぎない、同じ言い争いから降りる。自分の一歩が変わると、古いダンスは同じ形では続けられなくなります。
英語ポイント:It takes two to tango. は「問題には双方が関わっている」という有名な表現。a whole lot better は「ずっと良く」です。
簡単な英語なら:Change your step, and the pattern can change.(自分の一歩を変えれば、パターンも変わります。)
7.「ごめんなさい」は、癒やしを始める二語
I’m sorry are the two most healing words in the English language.
和訳:“I’m sorry” は、英語でもっとも人を癒やす二つの言葉です。
背景:心からの謝罪は、傷ついた側の現実を認め、「あなたがそう感じたのは当然だ」と伝えます。ただし、言い訳や「でも」を続けず、自分の行動が与えた影響を引き受けることが必要です。
英語ポイント:healing は「癒やす力のある」。I’m sorry. は謝罪だけでなく、お悔やみや残念な気持ちにも使います。
簡単な英語なら:I’m sorry. I hurt you.(ごめんなさい。あなたを傷つけました。)
ハリエット・ラーナーの名言から学べること
怒りが教えてくれるのは、相手がどれほど間違っているかだけではありません。「私は何を大切にしたいのか」「何を変える必要があるのか」「どこまでなら引き受けられるのか」という、自分についての情報です。
自分の物語と行動パターンを違う角度から見直したい方には、ロリ・ゴットリーブの名言もおすすめです。相手を変えることから、自分のダンスステップを変えることへ視点を移せます。
怒ったときに使える3つの問い
- この怒りは、私に何を知らせようとしている?
- 相手の問題ではなく、私の立場として何を伝えたい?
- 古い言い争いを続けないために、私が変えられる一歩は何?
出典
- 『The Dance of Anger』出典付き引用一覧
- Forbes:Harriet Lernerインタビュー
- Psychology Today:本人執筆の“I” statement解説
- Psychotherapy Networker:The Power of Apologizing
- Harriet Lerner公式サイト
怒りをなくす必要はありません。怒りに主導権を渡さず、その中にある情報を受け取り、自分の声で次の一歩を選ぶことができます。










