
A, if not B は「少なくともA、ひょっとするとB」「Bとまでは断言しないにせよA」という意味です。まずAは確かだと述べたうえで、実際には一段強いBと言ってもよいかもしれないと評価を引き上げます。
たとえば The task is difficult, if not impossible. は「その仕事は難しい。ひょっとすると不可能かもしれない」という意味です。「不可能ではない」と否定しているわけではありません。
この表現は、普通の否定条件を表すif notや、A, but not Bと語順が似ています。この記事では、意味の仕組み、コンマの位置、自然な例文、誤解を避ける言い換えまで整理します。
Contents
A, if not Bの意味は「少なくともA、ひょっとするとB」
基本的な考え方は次のとおりです。
Aは確かだ。BでないとしてもAだ/ひょっとするとBかもしれない。
- The movie was good, if not excellent.
その映画は少なくとも良かった。ひょっとすると素晴らしかったと言ってもよいでしょう。 - The repair will take weeks, if not months.
修理には数週間、ひょっとすると数か月かかります。 - She calls me weekly, if not daily.
彼女は少なくとも毎週、もしかすると毎日、私に電話します。
通常、BにはAより強い評価、大きな数量、高い頻度などが置かれます。話し手はAを最低ラインとして認め、Bまで言える可能性を示します。
しゅみすけ(大山俊輔)
なぜif notで評価が強くなるの?
A, if not B は、意味を補うと「Bではないとしても、少なくともA」と考えられます。
The result was surprising, if not shocking.
- shocking(衝撃的)と断言できるかは保留する
- shockingでないとしてもsurprising(驚くべき)なのは確か
- 結果として「驚くべき、ひょっとすると衝撃的な結果」となる
日本語では「Bとまでは言わないにせよA」と後ろから訳すことも、「A、いやひょっとするとB」と前から訳すこともできます。
BはAより強い表現を置く
この構文では、AからBへ意味が一段強くなるのが基本です。
- good → excellent:良い → 素晴らしい
- difficult → impossible:難しい → 不可能
- hundreds → thousands:数百 → 数千
- weekly → daily:毎週 → 毎日
- careless → dangerous:不注意 → 危険
His decision was careless, if not dangerous.
彼の判断は不注意で、ひょっとすると危険とさえ言えるものでした。
BがAより弱いと、話し手がどちらを強めたいのか分かりにくくなります。迷ったら「Aは最低ライン、Bはさらに強い候補」と並べましょう。
よく使われる形と語順
形容詞A, if not 形容詞B
- The explanation was confusing, if not misleading.
その説明は分かりにくく、ひょっとすると誤解を招くものでした。 - Her goal is ambitious, if not unrealistic.
彼女の目標は野心的で、非現実的とさえ言えるかもしれません。
数量A, if not 数量B
- Hundreds, if not thousands, of people watched the event.
数百人、ひょっとすると数千人がそのイベントを見ました。 - The project could cost millions, if not billions, of dollars.
その計画には数百万ドル、ひょっとすると数十億ドルかかる可能性があります。
数量表現では、if not Bを途中へ挟むため、前後をコンマで囲む形がよく使われます。
頻度・程度A, if not B
- We meet monthly, if not weekly.
私たちは少なくとも毎月、もしかすると毎週会っています。 - The new model is just as reliable, if not more so.
新型は同じくらい信頼でき、ひょっとするとそれ以上です。
動作A, if not B
- Sales could double, if not triple, next year.
来年、売上は2倍、ひょっとすると3倍になる可能性があります。 - The delay may hurt, if not destroy, the company’s reputation.
その遅れは会社の評判を傷つけ、最悪の場合は台無しにするかもしれません。
場面別の自然な例文
仕事
- The proposal is bold, if not risky.
その提案は大胆で、ひょっとすると危険とも言えます。 - This change will affect dozens, if not hundreds, of employees.
この変更は数十人、ひょっとすると数百人の従業員に影響します。 - The meeting was useful, if not essential.
その会議は有益で、不可欠だったとさえ言えるかもしれません。
恋愛・人間関係
- He seemed upset, if not angry.
彼は動揺しており、ひょっとすると怒っていたように見えました。 - Her message was direct, if not a little harsh.
彼女のメッセージは率直で、少しきついとさえ言えるものでした。
日常・旅行
- The hotel was comfortable, if not luxurious.
そのホテルは快適で、豪華と言ってもよいくらいでした。 - The hike will take four hours, if not five.
そのハイキングには4時間、ひょっとすると5時間かかります。
if notの3つの読み方

A, if not B:ひょっとするとB
The food was good, if not excellent.
料理は少なくとも良く、ひょっとすると素晴らしかったと言えます。
excellentを否定しているのではなく、excellentまで評価を上げられる可能性を示します。
A, but not B:AだがBではない
The food was good, but not excellent.
料理は良かったですが、素晴らしいほどではありませんでした。
こちらはBをはっきり否定します。if not と but not では結論が反対になり得るため注意しましょう。
if not A, B:AでなければB
If not today, we’ll finish it tomorrow.
今日でなければ、明日終えます。
文頭のif notは、普通の「もしAでなければ」という否定条件です。Aの後ろに挟まれるA, if not Bとは構造が違います。
コンマは必要?
A, if not Bのif not Bは、コメントを途中から付け足す挿入表現です。そのため、通常はコンマで区切ります。
- It was a brave, if not reckless, decision.
それは勇敢な、ひょっとすると無謀とも言える判断でした。 - She has hundreds, if not thousands, of photos.
彼女は数百枚、ひょっとすると数千枚の写真を持っています。
文末へ置く場合は前にコンマを付け、名詞の前など文中へ挟む場合は両側をコンマで囲むのが分かりやすい書き方です。
「Bとまでは言わないにせよA」と「ひょっとするとB」
この構文には、Bと断言するのを控える響きがあります。そのため日本語訳は文脈によって変わります。
- It was rude, if not insulting.
侮辱的とまでは言わないにせよ、失礼でした。 - It was rude, if not insulting.
失礼で、ひょっとすると侮辱的とさえ言えました。
英語の核は同じです。Bの可能性を示しつつ、少なくともAは確かだと伝えています。日本語では、話し手がBをどれほど強く示唆しているかに合わせて訳します。
しゅみすけ(大山俊輔)
誤解を避けたいときの言い換え
A, if not Bは簡潔ですが、読み手によって一瞬迷うことがあります。重要なメールや会話では、意図を直接言うほうが安全です。
「ひょっとするとB」と言いたい
- It was good—perhaps even excellent.
良かったです。ひょっとすると素晴らしいと言ってもよいでしょう。 - At least hundreds, and possibly thousands, attended.
少なくとも数百人、ひょっとすると数千人が参加しました。 - It was difficult, and maybe impossible.
難しく、もしかすると不可能でした。
「BではなくA」と言いたい
- It was good, but not excellent.
良かったですが、素晴らしいほどではありませんでした。 - I’d call it ambitious rather than unrealistic.
非現実的というより、野心的だと思います。
似た形で「~とは言わないまでも」と評価を補う表現は、not to sayの意味と使い方でも確認できます。
日本人が間違えやすいポイント
Bを否定していると思い込む
good, if not excellent は通常「良いが、素晴らしくはない」ではありません。その意味なら good, but not excellent とします。
AとBの強さを逆にする
Aを最低ライン、Bを強い候補にするのが基本です。excellent, if not good では評価が下がるため、意図が伝わりにくくなります。
会話で複雑にしすぎる
文章では便利ですが、会話中に語順で迷うなら maybe even B を使うほうが簡単です。
The trip will take two weeks, maybe even three.
旅行は2週間、ひょっとすると3週間かかります。
まとめ
- A, if not B は「少なくともA、ひょっとするとB」
- Aは確かな最低ライン、Bはさらに強い可能性
- 形容詞、数量、頻度、動作などを段階的に強められる
- A, but not B はBを否定するため、意味が異なる
- 文頭の if not A, B は普通の否定条件
- 迷ったら at least A, possibly even B で言い換えられる
まずは It was good, if not excellent. を、AからBへ評価が上がる矢印と一緒に覚えてみましょう。
ほかの定型表現は、英熟語・定型表現のまとめから探せます。









