
分厚い本を最初から最後まで読むのではなく、気になる章だけ少し読む。急な出費のため、貯金の一部を使う。この2つの場面で使えるのがdip intoです。
一見するとまったく違う意味ですが、どちらにも「中へ少し入り、必要な分だけ取り出す」という共通イメージがあります。この記事では、dip intoの意味、語順、自然な例文、skim through・dive intoなどとの違いを解説します。
Contents
dip intoの主な意味は3つ
1.本・資料などの一部だけ読む
本、雑誌、報告書などを最初から最後まで通読せず、興味のある部分・必要な部分だけ読むという意味です。「拾い読みする」「一部に目を通す」と訳せます。
I dipped into the book on the train.
電車の中でその本を少し拾い読みしました。
I’ve only had time to dip into the report.
その報告書は一部に目を通す時間しかありませんでした。
2.貯金・資金の一部を取り崩す
dip into savings / funds / reservesで、取っておいたお金の一部を使う意味になります。予定外の出費や、一時的に資金が必要な場面でよく使われます。
We had to dip into our savings to pay for the repairs.
修理代を払うため、私たちは貯金を取り崩さなければなりませんでした。
3.バッグ・容器などへ手を入れる
文字どおり、バッグやポケットなどの中へ手を入れて何かを取り出す意味でも使われます。
She dipped into her purse and took out some coins.
彼女は財布に手を入れ、硬貨を何枚か取り出しました。
しゅみすけ(大山俊輔)
dip+intoから意味の仕組みを理解する
dipは、もともと「液体などにさっと入れて、また出す」という動きです。intoは「外から中へ」の方向を表します。
組み合わせると、あるものの中へ深く入り切るのではなく、少しだけ入り、必要な一部を取り出す感覚になります。

dip intoの語順:目的語はintoの後ろ
基本形はdip into + 名詞です。分離できないため、目的語や代名詞は必ずintoの後ろに置きます。
- ○ dip into the book
- ○ dip into my savings
- ○ dip into it
- × dip the book into(「本を何かに浸す」なら別の文型)
- × dip it into(目的語を省略した句動詞の語順としては不可)
なお、dip the brush into the paintなら「筆を塗料の中に浸す」という通常の他動詞文型です。句動詞のdip into somethingとは構造が異なります。
活用形
- 原形:dip into
- 三人称単数:dips into
- 過去形・過去分詞:dipped into
- 進行形:dipping into
過去形と進行形ではpを重ねて、dipped / dippingと綴ります。
よく使われる組み合わせ
読書・情報
- dip into a book:本を拾い読みする
- dip into a report:報告書の一部に目を通す
- dip into a magazine:雑誌をところどころ読む
- dip into a subject:あるテーマを少しかじる
- dip into a series:シリーズの一部を試しに見る
お金・資源
- dip into savings:貯金を取り崩す
- dip into funds:資金の一部を使う
- dip into reserves:予備資金・蓄えを取り崩す
- dip into one’s pocket:自腹を切る、財布からお金を出す
dip intoの自然な例文
学習・読書
This isn’t a book you need to read from cover to cover; you can dip into it.
これは最初から最後まで読む必要のある本ではなく、拾い読みできます。
I sometimes dip into my grammar book when I have a question.
疑問があるとき、ときどき文法書の必要な部分だけ読みます。
She dipped into several chapters before choosing the book.
彼女はその本を選ぶ前に、いくつかの章を拾い読みしました。
仕事・資料
I dipped into the report during my lunch break.
昼休みにその報告書の一部へ目を通しました。
You can dip into the guide whenever you need an example.
例が必要なときは、いつでもガイドの必要な箇所を見れば大丈夫です。
暮らし・お金
I don’t want to dip into my emergency savings.
緊急用の貯金には手を付けたくありません。
We dipped into our travel fund to replace the refrigerator.
冷蔵庫を買い替えるため、旅行用の資金を一部使いました。
The company may need to dip into its reserves.
会社は予備資金を取り崩す必要があるかもしれません。
dip intoとskim throughの違い
どちらも「ざっと読む」と訳されますが、読む方法が異なります。
| 表現 | 中心の動き | 目的 |
|---|---|---|
| dip into | 好きな部分・必要な部分だけ読む | 一部を試す、参照する |
| skim through | 文章全体を速く通る | 全体像・要点をつかむ |
I dipped into a few chapters.
いくつかの章だけ拾い読みしました。
I skimmed through the whole report.
報告書全体にざっと目を通しました。
dip intoとthumb throughの違い
thumb throughは、親指で紙のページをぱらぱらめくる物理的な動作に焦点があります。dip intoは、どのようにページをめくるかではなく、内容の一部だけに触れることが中心です。
- dip into a book:本の興味のある部分だけ読む
- thumb through a book:本のページをぱらぱらめくって見る
dip intoとdive intoの違い
dive intoは「ためらわず飛び込む、熱心に始める」という意味です。少しだけ触れるdip intoとは、取り組む深さが対照的です。
- dip into the subject:そのテーマを少しかじる
- dive into the subject:そのテーマへ本格的・熱心に取り組む
しゅみすけ(大山俊輔)
日本人が間違えやすいポイント
- 代名詞はdip into itで、dip it intoではない
- 過去形はdipedではなくdipped
- 読書の意味では「全体を速読する」と決めつけない
- dip into savingsは貯金の全額ではなく、一部を使うニュアンス
- 本格的に始める意味ならdive intoのほうが合う
この句動詞が出てこなかったら?しゅみすけ式の簡単な言い換え
本・資料を拾い読みする
- I read only a few parts of the book.
その本の数か所だけ読みました。 - I didn’t read the whole report.
報告書全部は読みませんでした。
貯金を取り崩す
- I used some of my savings.
貯金の一部を使いました。 - We took some money from our emergency fund.
緊急用資金から一部のお金を取りました。
難しい句動詞を使わなくても、「全部ではなく一部を読んだ/使った」と説明すれば十分伝わります。
関連する句動詞・表現
まとめ
dip intoの中心は「中へ少し入り、必要な一部だけ取り出す」です。本・資料なら必要な部分だけ拾い読みする、貯金・資金なら一部を取り崩して使うという意味になります。
語順はdip into + 名詞で、代名詞ならdip into itです。「全部ではなく一部だけ」という感覚を押さえれば、複数の意味をばらばらに暗記せず使えるようになります。









