
much less と still less は、否定的な内容のあとに「まして〜ない」「〜はなおさら無理だ」と、さらに可能性の低いことを付け加える表現です。
I can’t afford a bicycle, much less a car.
自転車さえ買う余裕がありません。まして車など無理です。
先に「比較的簡単なAさえできない」と述べ、そのあとに「もっと難しいBはなおさらできない」と段差を上げるのがポイントです。日常会話では much less や let alone が使いやすく、still less はやや硬く文章的です。
しゅみすけ(大山俊輔)
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much less・still lessの基本的な意味
基本の形は次のとおりです。
否定・不足・困難を表す内容, much less / still less B
Aさえ難しい・ない。ましてBはなおさら難しい・ない。
- much less:まして〜ない、〜はなおさらない
- still less:なおさら〜ない、まして〜ない(より硬め)
She can barely walk, much less run.
彼女は歩くのがやっとです。まして走ることなどできません。
He does not understand the basic rule, still less its exceptions.
彼は基本ルールさえ理解しておらず、ましてその例外はなおさら理解していません。
後半だけを見ると否定語がありませんが、前半の can’t や barely などの否定的な意味がBにも引き継がれます。
語順は「簡単なA → さらに難しいB」
もっとも大切なのはAとBの順番です。
- A:比較的簡単、小さい、可能性が高いもの
- B:さらに難しい、大きい、可能性が低いもの
○ I can’t run five kilometers, much less a marathon.
5キロさえ走れません。ましてマラソンなど無理です。
× I can’t run a marathon, much less five kilometers.
マラソンが無理でも5キロは走れるかもしれないため、通常は後者の順番では論理的な段差ができません。
much lessの後ろには何を置ける?
名詞・数量
We don’t have enough chairs for ten people, much less fifty.
10人分の椅子さえ足りません。まして50人分などありません。
I can’t afford a small apartment, much less a house.
小さなアパートさえ借りる余裕がありません。まして家など無理です。
動詞・動作
He can’t cook rice, much less prepare a full dinner.
彼はご飯さえ炊けません。まして夕食を一式作ることなどできません。
I haven’t packed yet, much less booked the hotel.
まだ荷造りさえしていません。ましてホテルの予約などしていません。
形容詞・状態
The proposal isn’t clear, much less convincing.
その提案は明確ですらなく、まして説得力があるとは言えません。
AとBは、名詞と名詞、動詞と動詞、形容詞と形容詞のように、できるだけ同じ文法的な形でそろえると自然です。
much lessとstill lessの違い
much less:会話にも文章にも使える
much less は否定・不足・困難のあとで広く使えます。日常会話では let alone も非常に自然です。
I don’t have time for lunch, much less a long meeting.
昼食を取る時間さえありません。まして長い会議など無理です。
still less:より文章的で硬い
still less も論理は同じですが、現代の日常会話では頻度が低く、論説、報告、改まった文章で見かけやすい表現です。自分で話すときは、無理に使わず much less や let alone を選ぶと自然です。
The evidence does not prove negligence, still less deliberate misconduct.
その証拠は過失さえ証明しておらず、まして故意の不正行為を証明するものではありません。
場面別の自然な例文
仕事
We can’t meet Friday’s deadline, much less finish by tomorrow.
金曜日の締め切りにも間に合いません。まして明日までに終えることなど無理です。
The team hasn’t agreed on the goal, much less the budget.
チームは目標についてさえ合意しておらず、まして予算についてはなおさらです。
日常生活
I can barely keep my room tidy, much less the whole house.
自分の部屋を片づけておくのがやっとで、まして家全体など無理です。
She doesn’t have time to call, much less visit in person.
彼女には電話する時間さえなく、まして直接会いに行く時間などありません。
恋愛・人間関係
He’s too nervous to say hello, much less ask her out.
彼は緊張しすぎて挨拶さえできず、まして彼女をデートに誘うことなどできません。
I don’t know his last name, much less where he lives.
彼の名字さえ知りません。ましてどこに住んでいるかなど知りません。
海外旅行
I can’t order coffee in Italian, much less explain a medical problem.
イタリア語でコーヒーさえ注文できません。まして体調の問題を説明することなどできません。
This suitcase won’t fit in the locker, much less under the seat.
このスーツケースはロッカーにも入りません。まして座席の下には入りません。
much less timeは別の使い方

much less がいつも「まして〜ない」になるわけではありません。less+名詞 の前に much が置かれ、比較級を強める場合は「はるかに少ない」という意味です。
We have much less time than we expected.
私たちには予想していたより、はるかに少ない時間しかありません。
This option costs much less.
この選択肢はずっと安く済みます。
- A, much less B:ましてBは〜ない(前の否定を受ける接続的な表現)
- much less+名詞 / than …:はるかに少ない(比較級lessの強調)
コンマの有無だけで機械的に判断せず、前半の否定を受けてBを追加しているのか、量・数・費用を比較しているのかを見ましょう。数や程度の less thanの意味と使い方 も関連します。
let alone・not to mentionとの違い
let alone:日常会話で使いやすい近い表現
I can’t afford a bicycle, let alone a car.
自転車さえ買えません。まして車など無理です。
let alone と much less は、多くの否定的な文脈で置き換えられます。どちらもAよりBのほうが難しいという段差を示します。会話では let alone が特に使いやすい表現です。
not to mention:追加情報を付け加える
The hotel was noisy, not to mention expensive.
そのホテルは騒がしいうえに、高かったことは言うまでもありません。
not to mention は「そのうえ〜も」と情報を追加する表現です。必ずしも「Aが無理ならBはもっと無理」という難易度の段差を必要としません。
日本人が間違えやすいポイント
後半に否定文を丸ごと置かない
△ I can’t buy a bicycle, much less I can’t buy a car.
○ I can’t buy a bicycle, much less a car.
共通部分は省略し、対比するBを簡潔に置くのが自然です。
AとBの形をそろえる
○ She can’t read the report, much less write one.
彼女は報告書を読むことさえできず、まして書くことなどできません。
read と write のように並列の形をそろえると、関係が伝わりやすくなります。
still lessを無理に会話で使わない
still less は誤りではありませんが、日常会話では硬く感じられることがあります。迷ったら much less または let alone を使いましょう。
中学英語での簡単な言い換え
表現がすぐ出てこなくても、2文に分ければ十分に伝わります。
- I can’t buy a bicycle. A car is impossible.
自転車を買えません。車は無理です。 - She can hardly walk. She definitely can’t run.
彼女はほとんど歩けません。走ることは絶対にできません。 - We can’t finish by Friday. Tomorrow is impossible.
金曜日までにも終えられません。明日は無理です。 - That is even more difficult.
それはさらに難しいです。
しゅみすけ(大山俊輔)
関連する表現
- much less:まして〜ない、または比較級で「はるかに少ない」
- still less:なおさら〜ない(硬め・文章的)
- let alone:まして〜ない(会話でも自然)
- not to mention:〜は言うまでもなく、そのうえ〜も
- to say nothing of:〜は言うまでもなく
英熟語・定型表現を一つずつ深く理解したい方は、英熟語・定型表現の記事一覧もご覧ください。
まとめ
- much less / still less は「まして〜ない」「〜はなおさらない」
- 先に比較的簡単なAを置き、さらに難しいBを後ろに置く
- 前半の否定・不足・困難の意味が後半にも引き継がれる
- AとBは同じ文法的な形にそろえると自然
- still less は much less より硬く文章的
- much less time のような形では「はるかに少ない」という別の用法
- 会話では let alone も自然で使いやすい
I can’t handle one more task, much less a whole new project.
仕事をあと一つ引き受けることさえできません。まして新しいプロジェクトを丸ごと担当することなど無理です。









