
not A but B は、「AではなくB」「Aではない、正しくはBだ」と訂正する表現です。
It was not luck but preparation. なら、「成功の理由は運ではなく、準備だった」と、最初に考えられそうなAを否定し、本当に伝えたいBへ焦点を移します。
名詞だけでなく、形容詞・動詞・理由を表す節などもAとBに置けます。大切なのは、AとBの文法上の形をそろえることです。
しゅみすけ(大山俊輔)
Contents
not A but Bの意味は「AではなくB」
基本の形はシンプルです。
not A but B=AではなくB
She ordered not tea but coffee.
彼女が注文したのは紅茶ではなくコーヒーです。
He is not angry but disappointed.
彼は怒っているのではなく、がっかりしています。
What we need is not more meetings but clearer decisions.
私たちに必要なのは会議を増やすことではなく、より明確な決定です。
not がAを否定し、but が「Aとは違う方向のB」へ話を切り替えます。単なる対比ではなく、誤解・予想・第一候補を退けて、Bが正しいと示す働きがあります。
notとbutからニュアンスを理解する
- not A:Aではない
- but B:しかし正しいのはB
The problem is not the price but the timing.
問題なのは価格ではなく、タイミングです。
この文は価格とタイミングをただ並べているのではありません。「価格が問題だ」という見方を訂正し、焦点をタイミングへ移しています。会話ではBを少し強く発音すると、訂正の意図がより明確になります。
butを含む接続詞全体の働きを整理したい場合は、be-rize.comの英語の接続詞一覧|and・but・because・ifなどの使い方も参考になります。b-cafe.netのこの記事では、完成した構文としてのnot A but Bに焦点を絞ります。
AとBには同じ種類の要素を置く

not A but Bは、AとBを同じ位置で比べる並列表現です。そのため、基本的にはAとBの形をそろえます。
名詞と名詞
This is not a complaint but a suggestion.
これは苦情ではなく提案です。
We traveled by train, not by plane.
私たちは飛行機ではなく電車で移動しました。
形容詞と形容詞
The room is not small but cozy.
その部屋は狭いのではなく、居心地がよいのです。
Her answer was not rude but honest.
彼女の答えは失礼だったのではなく、率直だったのです。
動詞と動詞
Don’t complain but suggest a solution.
不満を言うのではなく、解決策を提案してください。
He came not to argue but to apologize.
彼は言い争うためではなく、謝るために来ました。
2つ目は not to argue but to apologize と、to不定詞の形をそろえています。
節と節
It’s not that I dislike him, but that I need some time alone.
彼が嫌いなのではなく、ただ一人になる時間が必要なのです。
She left not because she was angry but because she felt sick.
彼女が帰ったのは怒っていたからではなく、気分が悪かったからです。
because A と because B、that A と that B のように対応させると、何を訂正しているのかが伝わりやすくなります。
よく使うnot A but Bの型
It is not A but B.
物事の正体・原因・重要点を訂正するときに便利です。
It is not talent but daily practice.
大切なのは才能ではなく、毎日の練習です。
It was not a date but a business dinner.
それはデートではなく、仕事の夕食会でした。
What matters is not A but B.
「重要なのはAではなくB」と、判断基準を示せます。
What matters is not how fast you speak but how clearly you communicate.
大切なのは話す速さではなく、どれほど明確に伝えるかです。
What matters is not the mistake but what you learn from it.
大切なのは間違いそのものではなく、そこから何を学ぶかです。
not because A but because B
理由についての誤解を訂正する型です。
I called you not because I was worried but because I missed you.
心配だったから電話したのではなく、あなたが恋しかったからです。
We changed the plan not because it was bad but because we ran out of time.
計画が悪かったから変えたのではなく、時間がなくなったからです。
not to do A but to do B
目的や行動を訂正するときに使います。
I’m here not to judge you but to help you.
私はあなたを批判するためではなく、助けるためにここにいます。
She opened the app not to shop but to check her order.
彼女は買い物をするためではなく、注文を確認するためにアプリを開きました。
場面別の自然な例文
仕事
We need not a quick fix but a long-term solution.
私たちに必要なのは応急処置ではなく、長期的な解決策です。
The delay was caused not by our staff but by a system error.
遅延の原因はスタッフではなく、システムエラーでした。
I’m not rejecting your idea but asking for more evidence.
あなたの案を却下しているのではなく、もう少し根拠を求めているのです。
恋愛・人間関係
I’m not upset with you but worried about you.
あなたに腹を立てているのではなく、あなたのことが心配なのです。
What he needs is not advice but someone who will listen.
彼に必要なのは助言ではなく、話を聞いてくれる人です。
It wasn’t her words but her tone that hurt me.
私を傷つけたのは彼女の言葉ではなく、言い方でした。
海外旅行
Our gate is not 18 but 80.
私たちの搭乗口は18番ではなく80番です。
I asked for a window seat, not an aisle seat.
通路側ではなく窓側の席をお願いしました。
The train goes not to Central Station but to West Station.
その電車は中央駅ではなく西駅へ行きます。
英語学習
Try to understand the message, not translate every word.
すべての単語を訳すのではなく、メッセージを理解するようにしてください。
Fluency comes not from perfection but from repeated use.
流暢さは完璧さではなく、繰り返し使うことから生まれます。
会話では後半だけをnot Bと付け足すことも多い
日常会話では、先に事実を言い、そのあと not+訂正前の候補 を付け足す形も自然です。
I ordered coffee, not tea.
注文したのはコーヒーです。紅茶ではありません。
We’re meeting on Thursday, not Tuesday.
会うのは木曜日です。火曜日ではありません。
これは意味としては not tea but coffee と近いものの、語順は「正しい情報B → 否定する情報A」です。短い訂正では、この形が会話で非常によく使われます。
not A but Bとrather thanの違い
どちらも日本語では「AではなくB」になり得ますが、焦点が異なります。
| 表現 | 中心の感覚 | 例 |
|---|---|---|
| not A but B | Aを否定し、Bが正しいと訂正する | It’s not luck but preparation. |
| B rather than A | AよりBを選ぶ・Bのほうが適切だと見る | I chose tea rather than coffee. |
She is not shy but careful.
彼女は内気なのではなく、慎重なのです。
She is careful rather than shy.
彼女は内気というより、むしろ慎重です。
not A but BはAをはっきり退けます。rather thanは2つの見方を比べ、「どちらかといえばB」と程度を調整することもできます。詳しくはrather thanの意味と使い方で解説しています。
not only A but also Bとは意味が違う
not A but B はAを否定します。一方、not only A but also B はAを否定せず、「AだけでなくBも」と両方を肯定します。
She speaks not English but Spanish.
彼女が話すのは英語ではなくスペイン語です。
She speaks not only English but also Spanish.
彼女は英語だけでなくスペイン語も話します。
not onlyをひとかたまりで見ないと、正反対の意味に読み違える可能性があります。
主語を並べるときの動詞の形
AとBが主語の場合、動詞は一般に近いほうのBに合わせます。
Not Ken but his friends are coming.
来るのはケンではなく、彼の友人たちです。
Not his friends but Ken is coming.
来るのは彼の友人たちではなく、ケンです。
ただし、単数と複数が混ざると文が硬く、読み手が迷いやすくなります。実際の会話や仕事の文章では、次のように書き換えると明快です。
Ken isn’t coming; his friends are.
ケンは来ません。彼の友人たちが来ます。
カンマは必要?
短い語句をつなぐだけなら、通常はカンマを置きません。
She wants tea, not coffee.
彼女が欲しいのは紅茶で、コーヒーではありません。
The issue is not money but time.
問題はお金ではなく時間です。
後半が独立した文であったり、強い訂正として間を置いたりするときは、butの前にカンマを置けます。
I didn’t ignore your message, but I needed time to think.
あなたのメッセージを無視したのではありません。ただ、考える時間が必要でした。
カンマは機械的にnotの前後へ入れるのではなく、AとBの長さや文の構造で判断します。
よくある間違い
AとBの形がそろっていない
△ She went there not to complain but for an apology.
to complain と for an apology で形がずれています。意味は推測できますが、対応をそろえると明快です。
○ She went there not to complain but to apologize.
彼女は苦情を言うためではなく、謝るためにそこへ行きました。
強調したいBを先に置いてしまう
基本形では、否定する候補Aがnotの直後、正しい答えBがbutの後ろです。
It is not Monday but Tuesday.
月曜日ではなく火曜日です。
「火曜日ではなく月曜日」と言いたいなら、AとBを逆にします。
It is not Tuesday but Monday.
not only A but also Bと混同する
not only は「〜だけでなく」という肯定の追加です。Aを否定したいときはonlyを入れません。
不自然に長いAとBを1文へ詰め込む
長い文同士を訂正すると、どこが対応しているか分かりにくくなります。その場合は2文に分けて構いません。
I didn’t cancel the meeting. I moved it to Friday.
会議を中止したのではありません。金曜日に変更しました。
簡単な英語での言い換え
not A but Bがすぐ出てこなければ、短い2文で訂正できます。
It’s not tea. It’s coffee.
紅茶ではありません。コーヒーです。
I’m not angry. I’m disappointed.
怒っているのではありません。がっかりしています。
That’s not the problem. The timing is the problem.
それが問題なのではありません。タイミングが問題です。
会話では、複雑な構文を一度に作るより、Not A. B. と2つに分けたほうが誤解なく伝わることもあります。
しゅみすけ(大山俊輔)
関連表現
- B rather than A:AよりもB・AではなくBを選ぶ
- instead of A:Aの代わりに
- not only A but also B:AだけでなくBも
- not so much A as B:AというよりむしろB
- A, not B:BではなくA
まとめ
- not A but B は「AではなくB」「正しくはB」
- Aを否定し、本当に伝えたいBへ焦点を移す
- AとBには名詞同士、形容詞同士、動詞同士など同じ形を置く
- not because A but because Bやnot to do A but to do Bもよく使う
- rather thanは訂正よりも選択・比較の感覚が出やすい
- 難しければIt’s not A. It’s B.と2文に分ければよい
まずは It’s not A but B. の短い型から使ってみましょう。相手の誤解を否定するだけで終わらず、「正しいのはこちらです」とBまで示せる、実用性の高い構文です。









