
as it were は、「いわば」「言ってみれば」「いわば〜のようなものだ」を表す定型表現です。文字どおりの事実ではなく、比喩や少し大胆な言い方をするときに、「あくまで表現上の話ですが」というワンクッションを置きます。
たとえば She is, as it were, the bridge between the two teams. は、彼女が本物の橋だという意味ではありません。「彼女は、いわば2つのチームをつなぐ橋渡し役です」と、比喩であることをやんわり示しています。
as it were = いわば/言ってみれば
- 比喩や厳密ではない言い方に添える
- 文中に挿入し、前後をコンマで区切ることが多い
- やや改まった・文学的な響きがある
- 日常会話では so to speak のほうが使いやすいことも多い
Contents
as it wereの意味とニュアンス
as it were は、話し手が選んだ言葉を、そのまま文字どおりには受け取らないでほしいと示す表現です。日本語の「いわば」「言ってみれば」「たとえて言うなら」に近い働きをします。
中心にあるのは、次の感覚です。
これは完全に正確な呼び名ではないかもしれませんが、そう表現すると分かりやすいでしょう。
そのため、普通の事実を述べるだけの文には必要ありません。比喩、仮の呼び名、少し変わった言葉遣いに添えると効果を発揮します。
The kitchen is, as it were, the heart of this house.
キッチンは、いわばこの家の心臓部です。
He became, as it were, a second father to me.
彼は、言ってみれば私にとって第二の父親になりました。
しゅみすけ(大山俊輔)
なぜas it wasではなくas it wereなのか
were を見て「過去の話なのか」と思うかもしれません。しかし、as it were の were は過去時制を表しているわけではありません。
ここでの were は、現実とは異なる仮定を表す仮定法の古い形です。「仮にそうであるとすれば」「そう呼んでもよいなら」という、現実から少し距離を置く感覚が残っています。
- as:〜のように
- it were:仮にそれがそうであるなら
ただし、現代英語では一語ずつ組み立てて使う表現ではなく、as it were全体で固定された挿入句として覚えるのが実用的です。主語に合わせて as they were などへ変える表現ではありません。
as it wereは比喩のクッション

次の文では、bridge が比喩です。
She is, as it were, the bridge between the two teams.
彼女は、いわば2つのチームの橋渡し役です。
as it were を外しても文法的には成立します。
She is the bridge between the two teams.
彼女は2つのチームをつなぐ橋渡し役です。
ただし、外した文は比喩をより直接的に言い切る響きがあります。as it were を加えると、「橋という言い方が完全に正確なわけではないが」という控えめな補足が入ります。
as it wereの位置とコンマ
be動詞の後ろに挿入する
The office became, as it were, her second home.
その職場は、いわば彼女の第二の家になりました。
This notebook is, as it were, my external memory.
このノートは、言ってみれば私の外部記憶です。
比喩表現の直後に置く
He served as the team’s compass, as it were.
彼は、いわばチームの羅針盤の役割を果たしました。
We built a small safety net, as it were, for new employees.
私たちは新入社員のために、いわば小さなセーフティーネットを作りました。
文頭でも使えるが頻度は低い
As it were, the town woke up when the festival began.
いわば、祭りが始まると町が目を覚ましました。
文頭も可能ですが、比喩との結びつきが見えにくくなる場合があります。学習者は、まず説明したい語句のすぐ近くに置き、コンマで挟む使い方を覚えると安全です。
場面別の自然な例文
仕事
Mika is, as it were, the glue that holds the project together.
ミカは、いわばプロジェクトをまとめる接着剤のような存在です。
This meeting is, as it were, a rehearsal for the client presentation.
この会議は、言ってみれば顧客向けプレゼンのリハーサルです。
The new system gives every employee a digital assistant, as it were.
新しいシステムによって、全社員がいわばデジタルアシスタントを持つことになります。
人間関係
My aunt became, as it were, my career coach.
叔母は、いわば私のキャリアコーチになりました。
We are members of one big family, as it were.
私たちは、言ってみれば一つの大家族の一員です。
旅行・暮らし
The café was, as it were, our home base during the trip.
そのカフェは、いわば旅行中の私たちの拠点でした。
The balcony is, as it were, an extra room in summer.
そのバルコニーは、夏にはいわばもう一つの部屋です。
as it wereとso to speakの違い
so to speak も「いわば」「言ってみれば」を表し、比喩であることを示します。意味は非常に近いですが、響きと使われる場面に差があります。
| 表現 | 響き | 向いている場面 |
|---|---|---|
| as it were | やや古風・改まった・文学的 | 文章、講演、慎重な説明 |
| so to speak | 比較的会話的で親しみやすい | 日常会話、口頭説明、文章 |
She is the captain of our little ship, so to speak.
彼女は、いわば私たちの小さな船の船長です。
She is, as it were, the captain of our little ship.
彼女は、言ってみれば私たちの小さな船の船長です。
現代の日常会話で自分から使うなら、so to speak のほうが自然に聞こえる場面が多いでしょう。as it were は理解語彙として知っておくと、小説・エッセイ・講演を読むときにも役立ちます。
in a manner of speakingとの違い
in a manner of speaking も「ある意味では」「言ってみれば」という表現です。相手の質問に対して、完全なYesではないが、ある解釈ではYes と答えるときにも使えます。
“Is Ken your boss?” “In a manner of speaking. He leads the project, but he isn’t my manager.”
「ケンはあなたの上司ですか」「ある意味ではね。彼はプロジェクトを率いていますが、私の直属の上司ではありません」
as it were は主に自分が使った比喩を和らげます。一方、in a manner of speaking は「そういう言い方をするなら」「ある意味では」と、質問への限定的な肯定にも使いやすい表現です。
as if it wereとの違い
as it were と as if it were は見た目が似ていますが、文の仕組みが異なります。
- as it were:固定された挿入句「いわば」
- as if it were …:接続表現「まるでそれが〜であるかのように」
He is, as it were, the voice of the community.
彼は、いわば地域社会の代弁者です。
He speaks as if he were the voice of the whole community.
彼はまるで自分が地域社会全体の代弁者であるかのように話します。
後者には as if+主語+動詞 という節が続きます。詳しくはas ifの意味・時制とas thoughとの違いをご覧ください。
日本人が間違えやすいポイント
「以前はそうだった」と訳さない
were があっても、as it were は「以前そうだったように」という意味ではありません。時制ではなく、比喩に距離を置く固定表現です。
事実にむやみに付けない
She is, as it were, a doctor. と言うと、「医師に似た役割だが、本当の医師ではない」という含みが生まれます。本当に医師なら、単に She is a doctor. と言います。
多用すると不自然に堅くなる
比喩のたびに付ける必要はありません。日常的な比喩は、そのまま言っても通常は誤解されません。
This app is a lifesaver.
このアプリには本当に助けられます。
このような分かりやすい比喩なら、as it were を付けずに自然に使えます。
しゅみすけ(大山俊輔)
中学英語で簡単に言い換えるなら
- She is, as it were, the bridge between the teams.
→ She connects the two teams.(彼女が2つのチームをつないでいます) - The kitchen is, as it were, the heart of the house.
→ The kitchen is the most important part of the house.(キッチンは家の中で最も重要な場所です) - This notebook is, as it were, my external memory.
→ This notebook helps me remember everything.(このノートがすべてを覚える助けになります) - He became, as it were, my second father.
→ He was like a father to me.(彼は私にとって父親のような存在でした)
まとめ
as it were は、比喩や厳密ではない呼び方に添える「いわば」「言ってみれば」です。
- 文字どおりではない言い方にワンクッションを置く
- were は過去ではなく、現実から距離を置く仮定法の名残
- 文中に挿入し、コンマで挟むことが多い
- so to speak のほうが会話的で、as it were はやや改まった響き
- as if it were は「まるでそれが〜であるかのように」で別の構造
まずは She is, as it were, the bridge between the two teams. のように、「人=橋」「場所=心臓部」といった比喩に添えて感覚をつかみましょう。似た形でも意味が異なるas it turned outの意味と使い方もあわせて確認すると整理しやすくなります。関連表現は英熟語・定型表現の記事一覧からご覧ください。








