アン・ウォジスキの名言7選|健康・科学・自分を知る力を英語で読む

架空の女性起業家が光るDNAと家系図をたどり、仲間と科学を学ぶイラスト

自分の体や家族について、もっと知ることができたら——。その情報は、人生の選択を自由にしてくれるのでしょうか。それとも、慎重に扱うべき新しい責任を生むのでしょうか。

アン・ウォジスキ(Anne Wojcicki)は、個人向け遺伝子検査サービス23andMeの共同創業者です。彼女の言葉の中心にあるのは、専門家だけが情報を持つのではなく、一人ひとりが自分の情報を理解し、選び、研究にも参加できる社会です。

ただし、その歩みは成功物語だけでは語れません。23andMeは2025年3月に米連邦破産法11条の適用を申請し、ウォジスキはCEOを退任。その後、彼女が率いる非営利組織TTAM Research Instituteが同年7月に主要事業を取得しました。現在は23andMe Research Instituteの創業者兼CEOとして、非営利組織への移行を進めています。遺伝情報を扱う以上、本人の選択、同意、透明性、プライバシーは、理念を現実にするための欠かせない条件です。

この記事では、Stanford eCornerの講演、23andMeの公式イベントや発表から7つの言葉を選び、自然な和訳、背景、英語ポイント、初心者向けの簡単な英語とともに紹介します。

アン・ウォジスキとは?

アン・ウォジスキは1973年生まれのアメリカの起業家です。2006年に23andMeを共同創業し、一般の人が自分の遺伝情報へ直接アクセスするという考えを広めました。姉はGoogle初期からYouTube CEOまで長くテクノロジー業界を歩んだスーザン・ウォジスキです。

科学を分かりやすく届けること、利用者を研究の「材料」ではなくパートナーとして扱うこと、そして健康を病気になった後だけでなく毎日の選択から考えること。これらが、アンの発言をつなぐ大きなテーマです。

アン・ウォジスキの名言7選

1.人を本当に力づける仕事をしたい

“I wanted to do something where I’m truly empowering people.”

和訳:私は、人を本当の意味で力づける仕事をしたいと思いました。

背景:23andMeの顧客向けコミュニティ会議で語った言葉です。ここでいう「力」は、誰かに答えを決めてもらうことではありません。自分の情報を理解し、自分で質問し、自分で選択できる状態を指しています。

英語ポイント:empower 人 は「人に力・権限・自信を与える」。truly は「本当に」で、見かけだけではないことを強調します。

簡単な英語なら:I want to help people make their own choices.(人が自分で選べるように助けたいです)

出典:23andMe, “Customers at the 23andYou Community Conference”

2.顧客ではなく、パートナーとして向き合う

“You have to have true engagement with your customers, and you have to treat them like partners.”

和訳:顧客とは本当の意味で関わり合い、パートナーとして接しなければなりません。

背景:科学研究を、多くの参加者との協力で進める事業について語った言葉です。データを受け取るだけの一方通行ではなく、目的や使い方を伝え、本人が参加を選べる関係が必要だという考えです。

英語ポイント:treat A like B は「AをBのように扱う」。engagement は単なる接触ではなく、継続的で積極的な関わりを表します。

簡単な英語なら:Work with people, not just for them.(人のためだけでなく、人と一緒に働こう)

出典:23andMe, “Customers at the 23andYou Community Conference”

3.自分の遺伝情報を、よりよい人生に使う

“23andMe is entirely built upon empowering individuals.”

和訳:23andMeは、一人ひとりを力づけるという考えの上に、すべてが築かれています。

背景:同じコミュニティ会議の締めくくりで、サービスの原点を表した言葉です。続けて、祖先や健康についての知識を「よりよい人生」のために使ってほしいと語りました。遺伝情報は運命を決める答えではなく、自分を知るための一つの材料です。

英語ポイント:be built upon … は「〜を土台として築かれる」。individuals は集団ではなく「一人ひとり」に焦点を当てる語です。

簡単な英語なら:Know yourself and live better.(自分を知り、よりよく生きよう)

出典:23andMe, “Customers at the 23andYou Community Conference”

4.情報は、よりよい決断のためにある

“Genetic information is the basis for personalized medicine and it’ll help us make better decisions.”

和訳:遺伝情報は個別化医療の土台となり、私たちがよりよい決断をする助けになります。

背景:2014年のSXSW基調講演で語られました。同じ治療や予防が全員に同じように働くとは限らないからこそ、個人差を理解する情報に価値があるという主張です。ただし、情報だけで診断や治療を決めるのではなく、医療専門家と相談するための材料として読む必要があります。

英語ポイント:the basis for … は「〜の基礎」。help us make のように、help+人+動詞 で「人が〜するのを助ける」と言えます。

簡単な英語なら:Good information helps us choose.(よい情報は選ぶ助けになります)

出典:23andMe, “The Future of Genetics in People’s Lives”

5.変化を起こすなら、仕組みそのものを変える

“To really drive change, you have to change the system.”

和訳:本当に変化を前へ進めるには、仕組みそのものを変えなければなりません。

背景:Stanford eCornerの講演で、個人向け遺伝子検査が規制当局から厳しい審査を受けた経験について語った言葉です。新しいサービスが既存のルールと衝突するとき、勢いだけで押し切るのではなく、安全性や信頼を含めて新しい仕組みをつくる必要があります。

英語ポイント:drive change は「変化を推進する」。have to は「〜しなければならない」で、強い必要性を表します。

簡単な英語なら:Big change needs a new system.(大きな変化には新しい仕組みが必要です)

出典:Stanford eCorner, “Driving Discovery and Disruption”

架空の女性たちが鍵付きの箱を守りながら、情報の断片を未来への道に組み立てるイラスト
知る力は、選ぶ権利と守る責任がそろって初めて、人のための力になる。

6.誰にでも何かがある。だから助け合いたい

“There’s no such thing as a healthy person. Everyone has something, and so, we all want to help each other.”

和訳:完全に「健康な人」というものは存在しません。誰にでも何かがあります。だから私たちは、互いに助け合いたいのです。

背景:研究へのデータ提供を本人が選ぶ仕組みと、参加者同士の連帯について話した部分です。健康を「問題がある人/ない人」に二分せず、誰もが弱さやリスクを持つという見方は、研究参加を競争ではなく助け合いとして捉え直します。

英語ポイント:There’s no such thing as … は「〜というものは存在しない」。each other は「お互いに」です。

簡単な英語なら:We all need help sometimes.(私たちは誰でも、ときどき助けが必要です)

出典:Stanford eCorner, “Respecting Privacy and Choice”

7.医療の未来は、私たち全員のもの

“The future of healthcare belongs to all of us.”

和訳:医療の未来は、私たち全員のものです。

背景:2025年、破産手続き中の23andMe事業を、アンが率いる非営利組織TTAM Research Instituteが取得することになった際の発言です。彼女は同じ声明で、遺伝データについて本人が選択肢と透明性を持つことが自らの信念の中心だと述べました。再出発を掲げる言葉だからこそ、今後も実際の運営が理念に応えているかを見続ける必要があります。

英語ポイント:belong to … は「〜に属する、〜のものである」。all of us は一部の専門家や企業ではなく「私たち全員」を強調します。

簡単な英語なら:We should all help shape healthcare.(みんなで医療の形をつくるべきです)

出典:23andMe, “23andMe Receives Court Approval for Sale to TTAM Research Institute”

成功だけでなく、破綻と再出発から読む

23andMeは個人向け遺伝子検査を身近にした一方、事業の持続性、規制、サイバーセキュリティ、極めてセンシティブな遺伝データの管理という難題にも直面しました。2025年3月のChapter 11申請は、革新的な理念がそのまま安定した経営を保証するわけではないことを示しています。

同年7月、アンが設立した非営利組織TTAM Research Instituteは、23andMeのPersonal Genome ServiceとResearch Servicesを取得。現在の公式説明では、顧客が研究参加の判断を変更できることを含め、データに関する選択と透明性を掲げています。ここで大切なのは、「情報で人を力づける」という言葉を、同意・プライバシー・説明責任という具体的な仕組みで支えられるかです。

アン・ウォジスキの英語から学べること

彼女の言葉には、難しい科学用語よりも、日常で使える基本語が多く登場します。

  • empower:人が自分で選べる力を与える
  • choice:選択、選ぶ権利
  • partner:一緒につくる相手
  • change:変える、変化
  • belong to:〜のものである

Give people a choice.(人に選択肢を渡そう)、Tell people how data is used.(データの使い方を人に伝えよう)のような簡単な英語でも、科学と社会について大切なことを話せます。

まとめ|知る力には、選ぶ権利と守る責任がある

アン・ウォジスキの名言は、「知識があればすべて解決する」とは語っていません。情報を本人へ返し、理解できる形にし、本人が参加や利用を選べるようにする。その関係をつくることこそが、empower の意味です。

そして、会社の破綻と非営利組織としての再出発を経た今、その理念は以前より厳しく試されています。革新とは新しい技術を出すことだけではなく、信頼を守る仕組みまでつくり直すこと。そこに、起業や科学を超えて、私たちの生き方にも通じる学びがあります。

ほかの創業者・経営者の言葉も読みたい方は、起業家・経営者の英語の名言ポータルもあわせてどうぞ。

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この記事を書いた人
しゅみすけ(大山俊輔)

b わたしの英会話および英語コーチングGRIT/be:RIZE代表。米国MBA取得、外資系企業4社での勤務経験を持ち、これまで多くの大人の英語学習を支援。日本語と英語の処理構造の違いに着目した「英語OS」の考え方をもとに、独学で伸び悩む人の学び直しをサポートしています。

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