
「でも時間が……」「もし雨だったら……」と理由を並べる相手に、「言い訳はなし。決めたとおりにやってください」と言いたい場面があります。
そんな強い決定を表す英語が no ifs, ands, or buts です。if・and・butという接続詞が、なぜ ifs・ands・buts と複数形になるのでしょうか。この記事では、意味の仕組み、使い方、米英の形の違い、相手にきつく聞こえないための注意点まで解説します。
- no ifs, ands, or buts=「言い訳も条件も反論もなし」
- 決定や命令に例外を認めない、かなり強い表現
- イギリス英語では no ifs or buts が一般的
Contents
no ifs, ands, or butsの意味
no ifs, ands, or buts は、直訳すると「ifもandもbutもなし」。自然な日本語では、次のような意味になります。
- 言い訳はなし
- つべこべ言わない
- 反論や例外は認めない
- 問答無用
You’re going to finish your homework before dinner—no ifs, ands, or buts.
夕食前に宿題を終わらせなさい。言い訳はなしです。
The safety rule applies to everyone, with no ifs, ands, or buts.
その安全規則は全員に適用され、例外も反論も認められません。
単なる No. よりも、「if(もし〜なら)」「and(それに〜)」「but(でも〜)」と続けて理由を持ち出すこと自体を封じる、印象的な言い回しです。
しゅみすけ(大山俊輔)
なぜif・and・butが複数形になる?
ふだんの if・and・but は、文と文をつなぐ接続詞です。しかし、このイディオムでは「ifと言って持ち出す条件」「andと言って追加する理由」「butと言って始める反論」という発言そのものを指す名詞として扱われています。
- an if=「もし〜なら」という条件・言い訳
- an and=「それに〜」と付け足す理由
- a but=「でも〜」という反論
それらを一つも認めないため、no+複数名詞の形で no ifs, ands, or buts となります。

日本語でも「『もし』も『でも』もなし」と言えば、単語そのものが言い訳を表す名詞のように使われます。英語も同じ発想です。
基本の使い方と語順
文末に付け加える
命令・決定を先に伝え、そのあとにダッシュやカンマを置いて「言い訳は認めません」と念を押す形が自然です。
Be home by ten—no ifs, ands, or buts.
10時までに帰ってきなさい。言い訳はなしです。
We need to submit this today, no ifs, ands, or buts.
これは今日提出しなければなりません。例外はありません。
with no ifs, ands, or buts
withを付けると、「言い訳や例外を一切伴わずに」という形で文に組み込めます。
All employees must follow the policy, with no ifs, ands, or buts.
全従業員がその方針に従わなければならず、例外は一切ありません。
There are no ifs, ands, or buts about it.
「その件については議論の余地がない」と、独立した文でも使えます。
We have to put the customer’s safety first. There are no ifs, ands, or buts about it.
お客様の安全を最優先にしなければなりません。この点に例外や反論の余地はありません。
アメリカ英語とイギリス英語の違い
| 主な地域 | よく使われる形 | 意味 |
|---|---|---|
| アメリカ英語 | no ifs, ands, or buts | 言い訳・条件・反論はなし |
| イギリス英語 | no ifs or buts | 言い訳・反論はなし |
形は異なりますが、中心的な意味は同じです。イギリス英語の形はandを省いて簡潔にし、No ifs or buts! と言うことがよくあります。
I want this room cleaned today—no ifs or buts.
今日、この部屋をきれいにしてほしい。言い訳はなしです。
アメリカ英語でも短い形が通じますし、地域だけで機械的に分ける必要はありません。ただ、学習時には代表的な二つの形を知っておくと、聞き取りや検索で迷いません。
ネイティブが感じる強さとニュアンス
この表現には、「決定は最終的であり、交渉は終わっている」という強さがあります。特に、親から子、上司から部下、規則を伝える人から守るべき人へ、というように権限の差がある場面で使われます。
そのため、対等な同僚や友人に真顔で使うと、相手の事情を聞かずに押し切る態度に聞こえることがあります。
自然になりやすい場面
- 安全・法律・コンプライアンス上、例外を認められない
- 親が子どもに家庭のルールを伝える
- 自分自身に「もう言い訳しない」と決意する
- 親しい間柄で、大げさな言い方として冗談を言う
注意が必要な場面
- 相手の事情を確認する必要がある仕事上の相談
- 顧客や初対面の相手への依頼
- 健康・家庭事情など、例外があり得るルールの説明
場面別の自然な例文
家庭
Phones stay off during dinner—no ifs, ands, or buts.
夕食中はスマホを使いません。言い訳はなしです。
仕事
Everyone must wear a helmet on site, with no ifs, ands, or buts.
現場では全員がヘルメットを着用しなければならず、例外はありません。
学校
All sources must be cited. There are no ifs, ands, or buts about that.
すべての出典を明記しなければなりません。その点に例外はありません。
恋愛・人間関係
We’re taking a real vacation this year—no ifs, ands, or buts!
今年こそ本当に休暇を取るよ。反対はなしね!
この例は、親しい相手に少し大げさに言う、遊び心のある使い方です。声の調子や笑顔によって強さが和らぎます。
自分への決意
I’m going for a walk every morning—no ifs, ands, or buts.
毎朝散歩に行きます。もう言い訳はしません。
No excuses.との違い
No excuses. も「言い訳はなし」という意味です。違いは主に、表現の長さと印象にあります。
| 表現 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| No excuses. | 短く直接的 | 指示・自己決意・日常会話 |
| No ifs, ands, or buts. | リズムがあり、例外や反論まで強調 | 最終決定・規則・印象的な念押し |
No excuses. も言い方によっては十分に強いため、必ずしも丁寧な代案ではありません。依頼をやわらかくしたいなら、理由を説明して We really need everyone to… などを使います。
日本人が間違えやすいポイント
ifs・ands・butsにアポストロフィを入れない
ここでは複数形なので、基本の綴りは ifs・ands・buts です。if’s・and’s・but’s のようなアポストロフィは付けません。
接続詞の並びとして訳さない
この表現のandやbutは、文をつないでいるのではなく、「andと言って付け足す理由」「butと言って始める反論」を指します。文法的には名詞として扱われています。
目上の人に命令として使わない
上司や顧客に No ifs, ands, or buts. と言うと、相手の発言を封じる尊大な印象になり得ます。自分の決意として言うか、誰に対して言ってよい場面かを判断しましょう。
しゅみすけ(大山俊輔)
簡単な英語で言い換えるなら
このイディオムを知らなくても、状況に合わせて次のように言えます。
- No excuses.
言い訳はなしです。 - This is the final decision.
これが最終決定です。 - We can’t make an exception.
例外を設けることはできません。 - This rule is the same for everyone.
この規則は全員に同じです。 - I’m going to do it. I won’t make excuses.
やります。言い訳はしません。
特に仕事では、相手を黙らせる表現より、なぜ例外にできないのかを直接伝える方が自然なことも多くあります。
似た表現との違い
- no matter what:「何があっても」と、行動を変えないことに焦点
- no questions asked:「理由を尋ねない・詮索しない」
- That’s final.:「それで決定です」と議論の終了を示す
- bite the bullet:嫌でも覚悟を決めて実行する
嫌なことでも腹を決めて行動する表現は、bite the bulletの意味と使い方で詳しく解説しています。
まとめ
no ifs, ands, or buts は、「言い訳・条件・反論は一切認めない」と伝える定型表現です。
- if・and・butを発言や言い訳を表す名詞として使い、複数形にする
- 米国では no ifs, ands, or buts、英国では no ifs or buts が代表的
- 文末に付ける形、with no…、There are no… about it. が使える
- 決定が最終的で、交渉しないという強い響きがある
- 丁寧に伝えるなら、規則や理由を簡単な文で直接説明する
安全規則や自分の決意など、本当に例外を認めない場面で使いましょう。ほかの表現は、英熟語・定型表現の一覧から確認できます。









